故萱野茂さん監修で石坂啓さん作の「ハルコロ」というマンガがあります。
少女が成長するまでの物語に加え、アイヌの生活や歴史、
そしてカムイの物語がちりばめられた内容豊かな二巻ものです。
(「ハルコロ」 石坂啓作 本多勝一原作 萱野茂監修 潮出出版)
この物語のはじめに、カムイの国からオキクルミという若い神が
アイヌ・モシリ(人間の住む地)に降りてくる話があります。
沙流川に降臨した神オキクルミはアイヌの人々と共に住み、文化を教えました。
ある年の冬、一夜で家が埋まるような大雪に見舞われ、
食料であるユク(シカ)が次々と死にました。
オキクルミは心をいため、自分の食べる分を減らしてまでも
アイヌたちに食料を分け与えました。
オキクルミの妻が各々の家の窓からそっと食料を差し入れていったのです。
ところが、ひとりの若者が窓から差し出されるオキクルミの妻の手を見て
あまりにも美しかったので、思わずその手を握ってしまったのです。
それに怒ったオキクルミは神の国へと帰ってしまいました。
こんな、話です。
先日のフィールドワークで訪れたところに、「ノカピラ」があります。
ノカ(形)ピラ(崖)という意味で、地域の言い伝えによると、
ここにオキクルミが妻ではなく妹と住んでいたそうです。
ある年、対岸のシケレペコタン(村)が大飢饉となります。
オキクルミは沙流川河口の浜へ行き、鯨を獲って煮物を作り、
お椀にいれて妹に一軒づつ届けさせました。
その妹の手を見て、是非とも顔を拝みたいとその手を引っ張った男がおり、
そのとたんに雷鳴が鳴り響き、怒ったオキクルミは妹とカムイの国へと
帰ってしまった、
という話となっていました。
ここには、さらに伝説が残っていて、突然に帰った後に、
妹の使っていた箕がそのまま残され、その箕が今も崖の一部に残っているので、
箕の形(ノカ)が残っている崖(ピラ)=ノカピラと言い、
古くから村の人たちのチノミシリ(祈りの場)となっていたそうです。
(貝澤美和子さん談)
箕は、半月型のザルのような形で、籾殻と実を分ける道具(と言っていいでしょうか)。
下のノカピラの写真にも見えますね。不思議な形がくっきりと残っていますね~
少女が成長するまでの物語に加え、アイヌの生活や歴史、
そしてカムイの物語がちりばめられた内容豊かな二巻ものです。
(「ハルコロ」 石坂啓作 本多勝一原作 萱野茂監修 潮出出版)
この物語のはじめに、カムイの国からオキクルミという若い神が
アイヌ・モシリ(人間の住む地)に降りてくる話があります。
沙流川に降臨した神オキクルミはアイヌの人々と共に住み、文化を教えました。
ある年の冬、一夜で家が埋まるような大雪に見舞われ、
食料であるユク(シカ)が次々と死にました。
オキクルミは心をいため、自分の食べる分を減らしてまでも
アイヌたちに食料を分け与えました。
オキクルミの妻が各々の家の窓からそっと食料を差し入れていったのです。
ところが、ひとりの若者が窓から差し出されるオキクルミの妻の手を見て
あまりにも美しかったので、思わずその手を握ってしまったのです。
それに怒ったオキクルミは神の国へと帰ってしまいました。
こんな、話です。
先日のフィールドワークで訪れたところに、「ノカピラ」があります。
ノカ(形)ピラ(崖)という意味で、地域の言い伝えによると、
ここにオキクルミが妻ではなく妹と住んでいたそうです。
ある年、対岸のシケレペコタン(村)が大飢饉となります。
オキクルミは沙流川河口の浜へ行き、鯨を獲って煮物を作り、
お椀にいれて妹に一軒づつ届けさせました。
その妹の手を見て、是非とも顔を拝みたいとその手を引っ張った男がおり、
そのとたんに雷鳴が鳴り響き、怒ったオキクルミは妹とカムイの国へと
帰ってしまった、
という話となっていました。
ここには、さらに伝説が残っていて、突然に帰った後に、
妹の使っていた箕がそのまま残され、その箕が今も崖の一部に残っているので、
箕の形(ノカ)が残っている崖(ピラ)=ノカピラと言い、
古くから村の人たちのチノミシリ(祈りの場)となっていたそうです。
(貝澤美和子さん談)
箕は、半月型のザルのような形で、籾殻と実を分ける道具(と言っていいでしょうか)。
下のノカピラの写真にも見えますね。不思議な形がくっきりと残っていますね~