アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

北海道知事への連名の要請文

2010-06-28 20:41:51 | インポート
活動「日誌」ならず週間報告になってしまっています。
19日(土)は朝に道立図書館に行き調べものをしてきました。
その一つ、旭川に市制が施行されたころの記録「旭川回顧録」に以下の文があるのを確認しました。

一.蒙昧無知にして不潔なる旧土人を市街の中央に介在居住せしむるは衛生上極めて危険なり
二.師団および旭川市街間は、必然連接にして大市街となるべく、旧土人地の存在はこれが発展を妨げる
三.市街の発展は永久畑地の存在を許さず
四.在来の権利を保留し、和人と雑居生活をなさしむるも、彼等は生存競争上次第に和人のため亡滅駆逐せらるべし
五.在来の旨意により、彼等をして時代に適合したる新移住地を選定して、これに転居せしむるは畢竟彼等の幸福なり


写していてもめまいがします。このような差別意識と現実の差別が和人によってなされていたわけです。現代の人権意識との温度差をたとえ配慮したとしてもひどい文章です。この差別と偏見の意識は続くのです。

「アイヌ神謡集」を後世に残した知里幸恵さんが旭川で生活を始めたのが6歳の時の1910年。まさにこの文章が書かれた時代のただ中に、彼女は旭川で生活をしています。1917年に優秀な成績で女子職業学校へ進学するも、差別ゆえに孤独な学生生活だったといいます。同級生に「あなたの来るところではない」と言われたと言います。このことを過日の「銀の滴降る日」講演会で荒井和子さんが言っておられたのです。荒井さんの著書「焦らず挫けず迷わずに」(北海道新聞社1993年)も差別のひどさで胸が締めつけられる思いになる本です。

先の文章ですが、もしやと思い金倉義慧さん著「旭川・アイヌ民族の近現代史」(高文研2006年)を調べたところ、この段落はそのまま引用されていました。よく調べられていますのでお勧めします。


その日の午後2時からは第三十一回樺太移住受難者墓前際に参列しました。
樺太アイヌが対雁へと強制連行された結果、たくさんの犠牲者を出したたことを覚える慰霊祭です(過去ブログ参照)。以前にも書きましたが、この樺太強制連行や千島アイヌの強制連行といい、他にもある大小様々な強制連行といい、強者による暴力が多くの悲劇を生み出したのです。この歴史をしっかりと覚え伝えて、未来を豊かなものにしていきたいです。

夜は6時半よりWIN AINUの学習会がLプラザで開催されたのですが、葬儀が入り断念。
常本照樹(北大アイヌ・先住民研究センター長)さんの『広義の文化』は是非とも聞きたかったです(後日、参加者に情報を頂こうと思います)。

26日は札幌の北星学園大学付属高校の有志が旭川の川村カ子トアイヌ記念館で体験学習をするのにお手伝いをしました。みんな真剣に川村館長の説明に耳を傾けてメモを取っていましたし、アイヌ紋様刺しゅうやムックリ作りをやっていました。前日に学年遠足だったこともあり、参加者は少なかったですがいい出会いでした。


みな真剣に刺しゅうをしています。


さて、明日はさっぽろ自由学校“遊”の連続講座です。
今回は芽室町より村上恵さんをお迎えしてお話を伺います。歌や踊りも披露していただけるようです。

「アイヌ新時代~若者たちと語り合う、民族の現在と未来~」
第二回 とあるウタリのお話
日時:6月29日(火)18:30~20:30
会場:さっぽろ自由学校「遊」
受講料(単発):一般1,500円 会員・アイヌ民族1,000円 学生500円
●ゲスト 村上 恵(むらかみ めぐみ)さん 1984年・幕別生まれ。現在、芽室在住。
 アイヌ文化から離れていた自分が戻るきっかけになった出来事、それが自分を大きく変えてくれた事、今現在の自分とこれから先についてお話したいと思います。


昨日から緊急のお願いとして以下の賛同者を求めています。
あまりに緊急ですが、ご理解の上、賛同よろしくお願いします。

紋別のモベツ川上流部に産廃処理施設の建設計画があり、アイヌ民族の畠山敏さんらが反対をしています。しかし、6月中にも北海道は建設を許可してしまいそうな状況になっています。そこでこの度、先住民族の立場から緊急要請文を道知事宛に送ることとなりました。29日に知事に渡すとのこと。一度、紋別にもお訪ねしたいと思います。今後の報告もUPしていきます。




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