アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

「アイヌの遺骨はアイヌのもとへ」 in 東京 報告その4  

2015-02-06 17:10:18 | 日記
今回の東京出前講座は「週刊金曜日」の協賛もあり、1月30日号にて特集「日本の先住民族と憲法と」を組み、さらに、YouTube「金曜日チャンネル」に葛野次雄さんのインタビューを公開しています。
次のURLで観ることができます(6分後より)。
https://www.youtube.com/watch?v=VxwrHfW9CxI&feature=youtu.be

週刊金曜日の特集はフリーランス記者の平田剛士さんがまとめたものですが、6ページにわたって年表やコラムをふんだんに使い、とても見事です。様々な意見も豊かでとても読みやすいです。そこから、「Part3 憲法に規定されていない先住権」の部分を紹介します。ざっというと以下の通り。
常本照樹さん(北大アイヌ・先住民研究センター長・アイヌ政策推進作業部会会長)は著書でこう述べる。
「国内に先住民族が存在しているにもかかわらず、それに関する憲法規定を持たず、条約(先住民族との間に結ばれ、先住民族の地位と権利を規定するもの)もない国々もある。(略)日本尾その一例である。(略)憲法が一朝一夕になしうるものではないとしたら、さしあたり現行の憲法のもとで先住民族にとって必要な権利の実現をはかる道を追求すべきことになろう。」(「憲法の最前線あるいは最縁辺―先住・少数民族の権利」、紙谷雅子編著『日本国憲法を読み直す』収録,日本経済新聞社、2000年)

2009年の有識者懇談会もほぼ同じスタンスで、アイヌ政策が「憲法を踏まえるべきなのは当然」といった趣旨の記述があり、常本氏はその委員でもあった。政府に憲法を遵守する義務はある。その憲法に先住権の規定はない。ない以上、政府に出来ることには限界がある、というわけだ。
しかし、この意見に上村英明さん(市民外交センター代表・恵泉女学園大学教授)は、こう述べています。
「法律は人のためにある、という視点がまるで欠落していますよね。憲法に規定がないと結論づける前に、憲法でアイヌ民族の権利をどう守れるか、憲法学者たちが議論していないことこそ問題です。」
「常本氏のこの理論は、ただでさえ動きたがらない政府をまるで正当化してしまっている。」

植木哲也さんは、以下のように述べています。
「現状を肯定した上で、日本国憲法の枠内で処理しようというこの発想自体が、同化政策的です」

市川守弘さん(遺骨返還訴訟弁護団)は、こう述べます。
現在、この体内的主権(注1)を日本政府は認めていません。それこそ先住権の侵害そのものです。先住権を回復するとは、すなわちこの違法状態を是正することにほかなりません」

(注1)対内的主権とは、領域内の資源利用法を定め、メンバー間の紛争を解決し、ルール違反者を罰する、といった内部統治のための権利のこと。アイヌ民族は江戸期までは幕府に各コタンの体内的主権が認められていましたが、明治になって妨げられてしまう。

名ばかりの先住民族の状態を一刻も早く法に位置づける努力をするべきです。

この度の人権救済の申立と出前講座、それにまつわる報道で多くの反響がありました。この問題を広めたいとパンフレットを多数買って下さる方も増えましたし、中には70代の方より、ご自身の父親が児玉作左衛門と同時期に北大教授で、遺骨収集に対し批判していたのを覚えているとのことで、応援のお電話を頂いたりもしました。関心と支援の輪が広がっていっています。


sayoさんデザインの2015年カレンダーをご本人より送って頂きました。昨年も素晴らしかったですが、今年もいいです!事前にチラ見したことがあり、sayoさんに無理を言って「息子もファンなので二枚を!」とお願いしたら、送って下さいました。感謝感激。
早速、教会に飾りました。ちなみにこれはアイヌ文化振興・研究推進機構が出しているものです。
それと、以前にsayoさんから紹介して頂いたアイヌ語ボードゲーム「アイヌイタク アエスクプ」(アイヌ語で育つ)を、プレイするのを楽しみにしています(このイラストもsayoさんが書いたようです)。プレイ方法を知っておられる方がいたら一緒にやりたいです。
最近、吹雪くことが多いので、いろいろな市販のゲーム(UNOはもちろん、PIT、ワードバスケット、ドブルなど)を近所のこどもたちとやっています。このボードゲームも近々チャレンジしたいと考えています。

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