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アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

アイヌ民族女性の複合差別

2008-11-14 10:11:21 | インポート
12日は恵庭に手術入院している教会員のお見舞いをし、その後、札幌で諸事務をこなし、
夜はさっぽろ自由学校“遊”の講座を聞きに行きました。

アイヌ民族女性という、マイノリティーの中の女性の立場からさらに差別を受けるという“複合差別”に関するお話を多原良子さん(ウタリ協会札幌支部)とアンエリスさん(北大研究員)から伺いました。

かつて、多原さんには時間を割いて頂き、わたしたちの機関誌「ノヤ」にインタビュー記事を掲載させていただきました。その際も、複合差別に関して問題や課題の多いことを伺いましたが、今回はさらに、より詳しく聞く事が出来ました。複合差別は差別に差別が重なっているということではなく、「複数の文脈の中でねじれたり、葛藤したり、ひとつの差別が他の差別を強化したり、という複雑な関係にある」(多原さんの発題から)と、分かりやすく問題部分をお話くださいました。

さらに、アンエリスさんの発題で注目したのは「複合差別と権利宣言のパラドックス」の項。
慣習法、伝統法と先住民族社会に見える女性権利を否定する習慣についてのお話でした。
先住民族の伝統儀式において、女性差別・軽視が温存される伝統があるということを、いろいろな例を出して提起されました。
例えば、インドでは先立たれた男性の遺体を燃焼する際に、残された連れ合いの女性も火に身を投じる習慣が過去にあった(最近も新聞に掲載あり)ことや、アフリカでは映画「母たちの村」で取り上げられた女子の性器切除の習慣など。
(「母たちの村」→http://www.alcine-terran.com/main/moolaade.htm 参照)

アイヌ民族女性の具体的な事例に関しては出されませんでしたが、その当たりじっくりとアイヌ女性から伺いたいです。
ただ、大事なことは、自己決定権が個人に確保されていて、そこで同意があるかないかが重要なことだと思いました。

エンパワメントをより豊かにするためのプログラムに関しても多原さんから紹介頂きました。
エンパワメントは互いにその人の過去を慰め癒し、現在を認め褒め、未来を励まし支えあう交わりが必要だと思います。今後も豊かな交わりができますように。



白老ポロトコタンで飼われていたアイヌ犬。熊にも挑む勇敢さがあると言われます。
今は、お隣に熊さんも一緒に飼われて仲がよさそうです。




余談ですが、第3回有識者懇談会は、北海道において開催されました。
ニュースではアイヌ民族のみなさんとの懇談をしたとありましたので、さぞ、有識者懇談会の皆さんはアイヌの声を傾聴しただろう報道ですが、実際は、10名のみなさんでひとりの発言時間はたったの5分以内だったと。
それで聞いたと言えるのでしょうか。
(ちなみに、アイヌ文化振興法制定時の「有識者懇談会」も最初に一度だけ、アイヌ民族と接しています。しかし、それっきりでおわっている!)

時間をかけて傾聴する必要性を感じます。


今日はこれから札幌にてアイヌ民族委員会、夜は6時半から武者公路公秀さん(大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター所長)講演会「国連・先住民族権利宣言の意義―反植民地主義の視点から-」(北海道環境サポートセンター)
明日は、むかわで行なわれる国際先住民の10年 第21回アイヌ民族文化祭“ヌヤン・ヌカラン・ピラサレヤン”を観て帰宅しま
す。

そうそう、朝日新聞記者であり、ニサッタ仲間の山田さんの文が紙面に載りましたね~
いい記事です。全国版のようですので多くの反響を望みます!!
朝日新聞11/12(水) 夕刊1面「ニッポン人脈記」
シリーズ「ここにアイヌ」① ありのままの君でいい
http://www.asahi.com/jinmyakuki/TKY200811120235.html



留萌の朝日。


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