下の記事は2006年3月12日にこのブログに書いたものです。
今と違って、とてもマジメに書いてます。
暗い内容ではありますが、参考のために、今一度貼っておきます。
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録画していた「ラヴェル その病と苦悩」を見た。
ゴーゴリは叫びながら死んだ
ディアギレフは笑いながら死んだ
しかしラヴェルは生きながら死んでいった 最悪の死に方だ
------ストラヴィンスキー
という強烈なイントロで始まるこの番組は、
ラヴェルの晩年の病について、ドキュメンタリーと再現ドラマを織り交ぜて詳細に語る。
ラヴェルは57歳の時、タクシーに乗っていて交通事故に遭う。
その後、原因不明の脳の病に悩まされ、
62歳の時には当時ほとんど成功例のないような脳外科の手術を受ける。
が、9日後に死亡。
脳の病の主な症状は「他人の言っていることは理解できるし、自らの思考能力にも衰えはないものの、自分の意思は断片的にしか伝えられない」というものだったという。
これは作曲においても同じ症状となってあらわれ、「頭の中に曲はあるのだけれど、楽譜に表現できない」というまことに悲惨極まりない状況におかれた。
1930年代当時、脳外科手術はまだまだ発展の途上にあり、成功率は少なかった。
医者も「ラヴェルだからこそすすめる。万が一にでも奇跡が起これば・・」と弟子たちやラヴェルの弟に相談したそうだ。
一方ラヴェルも「音楽あってこその命」だったため、治療法という治療法を試し万策尽きたため、万が一にかけて手術台にのったのだという。
当時、全身麻酔は脳の手術には使われておらず、脳そのものは痛みを感じないというものの、その他の処置時に非常に苦痛を伴なったらしい。
しかし、それもむなしく・・・・・・・
ラヴェルは大変作曲に慎重で、残された作品は多いほうではない。
だが、しかし作曲した作品のすべてが今でも演奏されているのだという。
こういう作曲家は他に類をみないということだ。
そのラヴェルに弟子がたずねた。
「先生がもし亡くなった時には、どんな音楽をかけてほしいですか?」
「簡単な質問だ。ドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』にしてほしい。
あらゆる曲のなかで、もっとも完璧な曲だからね」
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