往年の銀幕のスター! ショーン・コネリー! そして 吾が高倉 健! 心地
よい響きが耳目を覆う。忘れられた望郷の念にも似て東西の大スターは現今
でも健在である。あの銀幕に映し出された東西の両雄の名演技が観衆を虜に
し堪能させた。―― 若かりし頃の一齣である ―― 懐かしさが込み上げてきて
感涙したのである。007の雄姿は今も眼に焼き付き鮮やかに映し出される。ス
パイ役を演じさせたら世界広しと言えどもショーン・コネリーの右に出る者はい
ない。美女を手玉にとり縦横無尽に活躍する雄姿は今でも脳裏から離れない。
スリル満点で痛快そのものであった。・・・対する我が高倉健はどうか、言わず
と知れたヤクザものでは、これ又、健さんの専売特許であった。在り日の鶴田
浩二と双壁をなす得難い存在の二人だった。 健さん!健さん!と当時のギャ
ル(今、老熟女?)は、オッカケ・ギャルだった。渋い歌声も健さんの持ち味で一
世を風靡したものだ。もう、二人の様な特異な存在の後継者は出てこない。日
本の映画史に燦然と残る貴重な存在である。・・・西のショーン・コネリーの様な
個性派の名優も、もう、誕生しないであろう。洋の東西を問わず、“人、老いて
朽ちる!”。儚い人間の運命・宿命である。過去を想起するのも、もう、歳にな
ったかなあ、と自己を省みる。幾年月 過ぎて、自分史として何を残し去っていく
のか、今、思案中であるが遅きに失する事はない。あのショーンも高倉も、未
だ、健在ではないか、彼等より年下の私が嘆くのは、まだ早い。意を強くして、
これからも吾が人生を大いに楽しみ堂々と闊歩して行きたい(生きたい)もので
ある。