将来の国家像なき一時的対策で手広く寄せ集めたバラマキ対策以外の
何物でもない。衆院選目当ての対策でしかない。外交と内政需要で低落した内
閣支持率を上げるための一時的浮揚効果を狙っている。財政再建より当面は
景気浮揚を喧伝するが後世にツケを回す責任回避でしかない。国・地方の80
0兆円の赤字を抱え、その上、更に垂れ流して水膨れする措置はインフレを招
き金利の上昇を齎す。国債発行額も税収を上回る結果となる。それは戦後初
めてである。小泉構造改革が既に破綻をきたした事を示す。即ち、国債発行抑
制と歳出削減が不可能となった。011年までのプライマリーバランスも絵に描
いた餅になった。麻生首相は「財政支出でGDP(国内総生産)比2%(約10兆
円)超」を指示。財政支出15.4兆円、事業規模56.8兆円とする対策案をま
とめ今日、決定する。そして今月末に09年度補正予算案を編成する事にして
いる。財源は、財政投融資特別会計の積立金(霞が関埋蔵金)を取り崩して<
3兆円超>を捻出する。09年度当初予算に計上された経済緊急対応予備費
<1兆円>も活用。残る<10兆~11兆円>を“建設国債”と“赤字国債”の発
行で賄う、としている。これでは、過去最高と言われる15兆円の追加経済対策
も将来的見通しのない一時しのぎのものでしかない。介護、医療、年金等々の
社会保障の中長期的対策が欠落している。それでは安心して生活は出来な
い。疑念が湧くのも当然である。これで09年度の一般会計総額は100兆円を
超えた。09年度当初予算の一般会計の総額は、過去最大の88兆5480億
円。新規国債発行額は約33.3兆円。今回の補正に伴う上積みによって43兆
~44兆円程度になる。他方、09年度の一般会計税収見通しは約46.1兆
円。景気の落ち込みによる企業業績は悪化する。数兆円規模の税収減とな
る。これで国債発行額を下回る見通しとなった。09年度一般会計総額の100
兆円のうち4割強は借金である。その事にも連動して麻生首相は「景気回復
後、消費税を引き上げる」と言明した。消費増税と引き換えの追加経済対策で
ある。―― その後が怖い ――。・・・国債の大量発行で国債価格は下落する。
しかも金利が上昇すれば企業の資金調達が困難になる。今回の追加経済対
策の効果を打ち消す事になる。800兆円の赤字国債にどう対処するのか、見
通しは暗い。それもこれも「国家の将来像」なき行き当たりばったりの一時しの
ぎの対策でしかないところに最大の要因がある。民主党の経済対策の対案と
も突き合わせて審議し、国民生活の不安を払拭する確かな経済対策とする事
を切望する。