八咫烏の声

神社の行事、社務などの日記です。

震災について学ぶ

2013年12月09日 12時29分16秒 | 神道青年会

早くも12月も第2週になりました。

段々と新年が近づいて参ります。

こんにちは。禰宜です。

さて、先日は福岡市にある筥崎宮にて神青会の教養研修会が開催されましたので、私も会員の一人として参加して参りました。

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相変わらず壮大な御社殿です。

今回の教養研修会は「東日本大震災の今と向き合う」と題しまして、福島県からそれぞれ神職と海洋学者をお招きし、震災発生から1000日が過ぎた被災地の今と、震災から学ぶ防災について講演を賜りました。

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第1部の講師は熊野神社禰宜の吉田定聡先生です。

吉田先生は福島神社界の若手リーダーの1人として、震災発生からこれまでに瓦礫撤去・炊き出し・慰霊祭に祈願祭、そして全国各地での講演など、幅広く復興支援活動を展開されておられます。

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講演では震災の発生直後の状況や、全国・全世界から行われた復興支援への感謝、そして現在の福島県の置かれている状況など、詳しく・・・むしろ生々しく語っていただきました。

写真は「福島県産の米」と「他県産の米」を手に取った先生です。

率直に「お店にあればどちらのお米を手に取りますか?」と受講生全員に尋ねられたその質問が、我々に重くのしかかり、福島県の置かれている「風評被害」という状況を感じさせられました。

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この他、現在の浪江町の様子を映像で拝見しました。

閑散とした駅構内から始まり、荒れ果てた神社、建物は残るものの人の気配の無い町、そして町が消失してしまった地区など・・・受講生一同、固唾を飲んで映像に見入っておりました。

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震災発生から1000日が過ぎ、確かに復興を遂げつつある被災地も数多く現れてきました。しかし、特に福島県が置かれた「終わりの見えない復興」というものがどれほど現地の人々にとって辛いものか、深く考えさせられる吉田先生のお話でした。

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第2部の講師は海洋学者・熊谷航先生。

福島市を拠点に沿岸の環境調査や測量、また村の鎮守の復興プロジェクトを主催され、神社と津波防災復興への取り組みに関する講演活動を行っておられます。

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熊谷先生の講演ではデータを基にして震災被害を説明していただきました。

興味深かったのは、例外も勿論あるものの津波被災地ではそれほどの被害を受けなかった神社が数多く見られるというお話でした。

被災地では「津波が来る時は神社へ逃げろ」という伝承があり、実際にそれで助かった人々も数多くおられたと言う事です。

これはもちろん神様が守って下さった事もあるのでしょうが、データに基づくと津波が襲来したラインと神社が点在するラインが大まかに重なるようです。

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これについて、熊谷先生は古くからの海岸線(津波に襲われたのは近世以降埋め立てられた陸地である場合が多かったようです)に神社が創建され、神社は海と生活圏の境界にあったのでは?と仮説を述べられており、皆興味深そうに聞き入っておりました。

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最後に被災地における震災の記憶について語っていただきましたが、数年間は生々しく震災の記憶が刻まれるものの、人間は逞しいもので、やがて平静を取り戻し、数十年後には全く風化してしまうものだそうです。

今回の津波被害を風化させずにどう後世に伝えていくか、これはこの時代に生まれた我々の大切な使命であると考える次第です。

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両先生の講演後、受講生で意見交換会が行われ、復興支援として青年神職は何が出来るのか?というテーマで意見が交わされました。

神職らしく復興祈願祭や慰霊祭を行う、氏子地域に募金を呼びかける、若者らしく撤去活動などの力を使った支援活動、被災地域で伝承が困難になった祭事の保存・・・などなど多くの意見が出ました。

私的にはこういった意見を交換し合うのも、ある意味一つの復興支援であると考えます。

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研修後に行われた懇親会(テーマ的に懇親会も「研修」に含まれたようですが)では、「飲食から東北を応援しよう!」との事から、東北のお酒や食べ物が並べられ、皆一様に東北の復興に思いを馳せながら懇親を深めました。

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東北はお酒も食べ物も絶品!

そして暖かい人柄の人が多い素晴らしい土地です。

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「被災地復興」を東北という一地方の事だけとは考えず、日本全体で頑張っていきましょう!

禰宜


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