フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

6月1日(金) 晴れ

2018-06-04 12:49:09 | Weblog

8時、起床。

昨日、修理に出していた置時計が戻ってきた。早稲田大学での最初の教え子たち(1996年3月、一文社会学専修卒)からいただいた時計だ。再び時を刻み始めた。♪いまはもう動かない置時計~にならなくてよかった。

今日から6月。書斎の壁掛けカレンダーの図柄は椅子だ。6月がなぜ椅子なのかは想像力を必要とするが、晴耕雨読をモットーとする生活では、梅雨の季節は椅子に腰を下ろしての読書の時間が増えるということだろうか。

先日、松本の「グレイン・ノート」の2階で観た「子どもの椅子展」の記憶が蘇る。

サラダ、牛乳、紅茶の朝食。

今日の『半分、青い』。終りの方で、祖父ちゃん役の中村雅俊がガロの『学生街の喫茶店』とササンオールスターズの『真夏の果実』を生ギター弾き語りで熱唱した。とってもよかったが、しかし、あんな祖父ちゃんはいないだろう。あんな歌い方をする、あんな髪型の祖父ちゃんはいないだろう。

午前中に家を出る。この週末は梅雨入り前の最後の散歩日和かもしれない。

所用があって茗荷谷へ行く。茗荷谷は放送大学の東京文京学習センターやお茶ノ水女子大学があり、以前はよく来た場所だが、今日は久しぶだ。

用事を済ませてから、「タンローバ」というイタリアンの店で昼食をとる。

ランチプレート。

ミニデザートとコーヒー(または紅茶が付く)。

せっかく近くまで来たので「小石川植物園」に行ってみる。二度目の訪問で、去年の春に卒業生で俳句仲間でもある恵美子さんと来たのが最初である。

あの時はちょうど桜が満開だったが、今日は新緑である。いや、新緑よりももう少し時間が進み、万緑(ばんりょく)と言った方がふさわしい。

 万緑の中に吾子の歯生えそむる  中村草田男

私の前を上品な雰囲気の母と娘とおぼしき二人が歩いている。なんだか軽井沢の高原を散歩している気分だ。

林の中に小さな池がある。水の中から女神が現れて、「お前の落としたのは金の斧か銀の斧か?」と聞かれたら、「いいえ、私の落としたのは鉄の斧です」と答えよう。

木洩れ日が降り注いでいる。

日の当たる辺りには小魚がたくさん集まっている。

開けた場所に出る。「日本庭園」と案内板にはあるが、和洋折衷公園という感じがする。

それは庭園の一隅に洋風の古い建物があるためかもしれない。明治9年に建てられた旧東京医学校で、現在は東京大学総合研究博物館小石川分館として一般公開されている。ちなみみ「小石川植物園」の正式名称は「東京大学大学院理学系研究科附属植物園」である。

丘の上空には初夏の雲。東京とは思えない風景だ。

丘の方へ登ってみる。

木洩れ日がいよいよ煌めいている。

食後のいい散歩になった。

お茶大の横の道を音羽の方へ下って、そこからバスで大学まで行く。

研究室の卓上カレンダーをめくる。こちらの図柄は雨靴で、わかりやすい。

来る途中で買ってきた鯛焼きでお八つ。

5限・6限はゼミ。

5限は3年・4年合同ゼミで、映画・TVドラマを素材にして「人生の物語」の考察。今日のグループが取り上げたのは日本映画『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016年)。宮沢りえ演じる双葉は明るくて強い女性。学校でいじめに遭っている娘にも「逃げちゃダメ」と言う。この場面、見ている学生からは「逃げてもいいんじゃないか」という声があった。確かに「逃げる」ことは生き抜いていくための方法の1つである。ちょうど「立ち向かう」ことが生き抜いていくための方法の1つであるように。どちらか一点張りというのではなく、ケースバイケースで二つの方法を駆使するというのが賢いやり方だろう。ただ、この作品を観るときに忘れてはならないことは、双葉は母に捨てられた子供であるということだ。彼女の母は苦しい状況から娘を捨てて逃げ出していったのだ。そして(これは物語の後半で明らかになるのだが)双葉の娘の本当の母親も彼女が生まれたばかりの時に彼女を捨てて逃げ出して行ったのだ。娘にはそういう母親になってほしくない。そういう強い思いが、「逃げちゃダメ」という言葉に込められているのだ。「子供を捨てて逃げ出す母親の物語」の世代間連鎖を断ち切ること、それが自分の役目である、そう双葉は考えているのである。

休み時間のスイーツ(用意してくれたのは誰だっけ?)

6限は学年に分かれてのゼミ。私は3年生の文献講読+ディスカッションの方に出る。よく発言するな(それも一部の学生ではなく、全員が)と感心する。15名という人数がゼミのサイズとしてはいいのではないだろうかと思う。

8時過ぎに大学を出る。夕食は蒲田に着いてから「そば新」で。

天玉そば。いつもは天玉うどんなのだが、蕎麦の方がカロリーが低そうなので(ですよね?)、天玉そばにした。

質素な夕食であるが、ウィークデー終わった「やれやれ」感はやはりいいものである。

2時、就寝。