おひるね茶家だより

おひるね茶家は終わっちゃいましたが、もうしばらく「たより」は続けたいと思います。
どうぞおつきあいください。

何度目か、安土往還記を読む

2015-08-24 17:02:37 | Weblog
暑い日が続いている。夏休みのオジサンはそのほとんどをうたた寝
と推理小説など軽ーい読書で過ごしているが、時には脳ミソに負担
のかかることもしなければと、辻邦生の「歴史小説集成」を手に取
った。

「安土往還記」を読むのはもう数回目のはずなのに、読んだ瞬間か
らすぐ忘れてしまうオジサンにはまことに新鮮で面白い。これはき
っとオジサンの特技(邦生流に読めば<とくいわざ>)に違いない。

信長が天下統一の過程で、比叡山を焼き尽くし、謀反した荒木一族
は女子供まで残らず処刑する。長島で石山で一向門徒は数か月の兵
糧攻めの末に殺し尽くす。その戦いぶりはまさに鬼畜のごとくであ
る。

戦争とは殺すこと、という理(ことわり)を徹底すれば、それが理
にかなうことと信長は考える。そして、かれは「理にかなう」こと
を何よりも大切にする。

だから、戦場以外では弱いものを救い、貧しいものに施すのも信長
にとって理にかなうことなのである。路傍の足萎えの女を救い、荒
木村重への恩義から謀反に加担しようとして思いとどまった高山一
族は、キリシタンであるにもかかわらず最後まで重用する。

秀吉と並んで、もっとも優秀な武将であり、天下統一の両輪となっ
た明智光秀も、その潔癖さや優しさのためか、とうとう本能寺の変
を起こしてしまう。同時に、自害し、炎に包まれた信長は、近代の
幕を開くという自らの役割を終えて、燃え尽きたようにも見える。

前回、申し上げた戦争とは殺すことということを考えながら、オジ
サンがサラリーマンを終わるころ、「企業は成長しなければ」とい
論理についていくのが苦しくなったことを思い出す。

おひるねのオジサンになって、まことに安気な毎日である。
昨日は、キャベツ・芽キャベツ・クキッコリーの苗を植えた。
芽キャベツの育て方を聞きかじったのでとても楽しみである。

戦後70年

2015-08-07 19:41:56 | Weblog
ものすごい暑さが続いています。
昨日はちょっと一服と思ったら、今日の名古屋は何と38度とか、
オジサンも少し街に出かけましたが、ホントに死ぬほど暑かった。

さて、先週は東京・学習院に出かけて、邦生の展示を見てきました。
と、言いつつ、現地でいろいろな方にお目にかかってお話している
うちに、きちんと展示を見ないで帰ってしまいました。
まあ、オジサンらしいというかドジというか・・・・

そこで、ある方に「満州難民」という著書を頂きました。
敗戦の時、満州や朝鮮半島にいて、取り残された人たちが帰国する
までの厳しい、苦しい、残酷な1年半を綴ったノンフィクションで
す。心の逞しさにはからきし自信のないオジサンのことですから、
なんども挫折しながら、ようやく読み終えました。

著者のお祖母さまの記録ですから、書いておられるご本人が一番つ
らい思いをされているのでしょうけれど、その気持ちを抑えて、淡
々と事実が綴られます。そのことがさらに悲しみを募らせるように
思います。

1000人以上の仲間は、結局200人以上を飢えや病気で失いま
す。最後に居留地を出発する列車を追うようにして飛ぶ三匹の蛍は
まるで、亡くなった3人の子どもたちの魂のよう・・・・。
オジサンはもう涙が止まりませんでした。

この本に触発されて、今日は「ソ満国境 15歳の夏」という映画
を見てきました。やはり、終戦の時、軍にも役所にも学校にも見捨
てられた120人の中学生が、最後には現地の中国人の村人たちに
救われ、4人の犠牲者は出ますが、日本に帰ることができたという
お話です。

その村の村長さん、ボクの好きな田中眠さんはそのお婿さんにあた
ります。お父さんはなぜ子供たちを救うことにしたのか、という質
問に答えて「人間というのは困っている人を見ると助けるものです」
と答えます。

オジサンは思いました。「人間というのは戦場では相手がだれであ
れ殺さざるを得ないもの」ではないでしょうか。だから、武器をも
ってはいけないのです。