花邑の帯あそび

1本の帯を通して素敵な出会いがありますように…

龍文様について

2009-05-19 | 文様について

presented by hanamura


5月も半ばを過ぎて、
紫陽花の蕾が少しずつ大きくなっています。
梅雨入りも間近なのでしょうか。

梅雨というと雨が降り、
じめじめとして暑苦しいイメージが浮かんでしまいますね。
しかし雨は、農作物にはなくてはならない恵みでもあります。

昔の日本では稲作が盛んだったため、
雨は信仰の対象でもありました。
また、雨をもたらす雲や雷なども、
畏敬の対象として、崇められていました。
そのため、日本の伝統文様には、
雨や雷、雲などの自然現象を意匠化したものが多くみられます。
同時に、その自然の力を擬人化した聖獣も描かれてきました。

その中で今回は「龍」をモチーフにした
文様をご紹介します。

龍文様の起源は定かではないようですが、
紀元前4500年前のメソポタミア文明の古墳で出土された
印章に龍とみられる文様が用いられています。
日本では、弥生時代の古墳から
龍文様が入った銅鏡もみつかっています。

世界各国からみつかる龍文様を辿ると、
壮大な歴史地図が描けるでしょう。
もともと想像上の生物とされる龍の文様は
人々を魅了してきました。
そして、龍の文様を研究した書物などが
多く記されてきました。



とくにアジア地域では、「龍」は水を司る聖獣とされ、
上の写真にみられる雲龍文様のように、
雲や雷など、雨を表わす文様と一緒になって、
意匠化されていることが多いようです。

下の写真の龍文は、紗綾形(さやがた)が
まるで雷雨文のように意匠化されています。
中国では、この龍のように爪が3つのものは庶民の龍、
爪が5つのものは王室の龍だとされてきました。



水を司る龍は、雨や雷、雲を呼ぶ生きものです。
夏の暑さをやわらげるように、
一時の“涼”をも呼んでくれることでしょう。

●写真の龍文様の名古屋帯は花邑ウェブショップにて紹介しています。

花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は5月19日(火)予定です。


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