presented by hanamura
まもなく4月。
ここ東京では先日、
桜の開花宣言が発表されました。
今年の冬は、長く厳しい寒さが続いたこともあり、
桜の開花宣言を聞いて
うれしく感じた方も多いのではないでしょうか。
今日は、その桜の文様について
お話しましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/a3/f166108eccf5a78d6c08a8f3e41b024b.jpg)
桜は、日本の各地で古来より人々に愛され、
親しまれてきた花です。
また、数多くの品種があり
その種類は600種もあるといわれています。
世界各地で見られる桜は、ほとんど日本原産のもののようで、
桜はまさに名実ともに日本を代表する花だといえるでしょう。
桜の品種と同じように、
桜の文様も数多くのものがつくられています。
桜の花を散らした「桜散らし」、
桜をのせた筏(いかだ)が流れる様をあらわした「花筏」、
流水に桜が流れる様をあらわした「桜川」、
山に咲く満開の桜の花をあらわした「山桜」、
秋の楓とあわせた「桜楓(おうふう)」
など、文様の名前を聞くだけでも、
美しい光景が目に浮かび、
風流な趣きが感じられます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/c0/aa33d915e2343ab310c345626362e377.jpg)
その種類の多さは、桜の品種と同様に、
日本人が桜を愛してきた証しでもあるようです。
飛鳥時代後期に編纂された「古事記」には
「木花咲耶姫(コノハナノサクヤヒメ)」という美しい姫が登場しますが、
この名前の「木花」は桜をあらわしたものといわれています。
奈良時代につくられた「万葉集」には、
桜を題材にした歌が多く残されています。
平安時代には、「花」といえば「桜」のことを指すようになりました。
そして、貴族たちの間では
桜を愛でる行事や宴が頻繁におこなわれました。
一方で、農民たちにとって桜は、
田植えをはじめる時期を知らせてくれるもので、
桜には穀物の神様が宿ると考えられていました。
やがて、武士の時代になると、
桜の散り際の美しさを称え、
精神的な象徴ともなりました。
また武士たちの間でも、
桜を愛でる花見は盛んに行われたようです。
それまで支配階級でしかおこなわれなかった花見でしたが
江戸時代になると庶民にも広まり、
桜の開花時期になると、各地の桜の名所には、
多くの人々が集うようになりました。
古来より桜は、
着物や帯などの意匠のモチーフとしても、
人気が高いものでしたが、
庶民の間で桜文様が広まったのは、
この時代になってからのようです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/42/0123843a3448b3cecb249402c506f77a.jpg)
現代の日本において、
桜が咲く4月は、学校の卒業入学の時期に重なるため、
桜は出会いや別れを象徴する花として、
歌の歌詞や物語にも多く登場します。
桜は日本人にとって、
四季の移ろいや儚(はかな)さを感じさせるものであると同時に、
寒い冬を乗り越えた生命の力強さや美しさを
象徴するものでもあるようです。
ちなみに、厳しい寒さの冬を乗り越えた桜は蕾がしっかりとして、
たいへん美しい花を咲かせるようです。
まもなく、その桜の花をいたるところで
眺めることができることでしょう。
私も心待ちにしています。
※写真は花邑 銀座店にてご紹介している桜文様の帯の意匠です。
花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は4月6日(水)予定です。
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