花邑の帯あそび

1本の帯を通して素敵な出会いがありますように…

宮古上布について -その1-

2009-06-23 | 宮古上布について

presented by hanamura


天気予報に傘マークがつく日がつづいていますね。
しかし、夏至も過ぎて季節は確実に夏を迎えようとしています。
そろそろ、夏休みに海や山へ行くための
計画を立てている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
海と言えばやはり国内では沖縄への旅行者が多いようですね。
本州ではみることができないような、
青く透き通った海と白い砂浜、南国の草花が旅行者を迎えてくれます。

しかし、沖縄は戦争の悲しい歴史をもつ場所でもあります。
今日6月23日は沖縄慰霊の日。
沖縄戦終了から64年が経ったようです。

今日は、その沖縄県でつくられている
「宮古上布」についてお話ししましょう。

宮古上布は、夏の高級着物として、
よく知られていますね。
沖縄県・宮古島でつくられている麻織物です。
1978年に国指定重要無形文化財にも指定されました。

宮古上布の滑らかな肌触りや、
伝統文様を織りだした絣柄は、
とても繊細で上品です。
宮古上布の「上布」とは、
庶民が着ることのできた「下布」に対して
上等な麻布のことを指したようです。



しかし、宮古上布も例にもれず、
それを織り上げる作業は、
たいへんな労苦と
長い時間をともないます。

原料となるのは、宮古島で栽培されている
芋麻(ちょま)とよばれる麻です。
芋麻は、沖縄の方言では「ブ-」とよばれていますが、
なにかユーモラスな響きのある名前ですね。
この芋麻は繊維が細くて長く、
引っ張っても切れることがない強いものです。

芋麻の発育は、織リ上がったときの仕上がりにも影響するので、
一時も目が離せません。
そのため、植える場所や肥料などに気を配りながら育てていきます。
やがて、茎の高さが1.5メートル以上になった芋麻は、
茎だけを刈り取ります。
そして、表側を剥いで繊維以外をそぎ落とします。
余分なものが剥ぎ落とされた繊維は
水洗いしたうえで陰干しにします。

次に、糸積みの作業です。
まず、芋麻の繊維を髪の毛ほどに細かく裂きます。
そして裂いた繊維同士を
結ばずに撚り合わせながら繋いで1本の糸にします。
その際に、麻が乾燥してしまうと
撚り合わせられなくなってしまうので、
糸積みをする人は、
自らの唾で繊維に水分を与えていきます。

これは、たいへん根気のいる作業です。
着物1反分の糸を作るには、およそ3ケ月以上かかるそうです。
もちろん高い技術がなくてはならないので
高齢者の経験に裏打ちされた技術が必要とされます。

花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は6月30日(火)予定です。


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