花邑の帯あそび

1本の帯を通して素敵な出会いがありますように…

帯の種類-丸帯-

2008-06-17 | 帯の種類

presented by hanamura


「丸帯について」

「丸帯」という帯を知っている人でも、
実際に絞めたことがある人は少ないのではないでしょうか?

「丸帯」は、江戸時代に礼装用の帯として、
留袖紋付や、花嫁衣装に締める帯としてつくられました。
その多くが手のこんだ華麗な錦織で
吉祥文様が表現されています。
昭和のはじめ頃までは、礼装用の帯といえばこの「丸帯」が主役でした。

しかし、現在では礼装用の帯には「丸帯」ではなく、
「袋帯」を絞める方が多いですね。
この「袋帯」にはいろいろな柄行きのものがありますが、
礼装用のときには「丸帯」と同じように華麗な錦織で
吉祥文様を表現したものが使われます。



この「袋帯」と「丸帯」は仕立て上がりの寸法も同じです。
その寸法は、巾が8寸2分~8寸5分(31cm~32cm)、
長さが1丈1尺(417cm)です。

しかし、仕立てる前の帯反の寸法は違います。
「袋帯」の帯反の巾は、8寸2分~8寸5分です。
これは、名古屋帯や腹合わせ帯と同じ巾になります。
しかし「丸帯」の帯反の巾は、1尺8寸(約69cm)です。
「袋帯」の2倍近い巾の帯反なんです。
「丸帯」を仕立てるときには、この巾を半分に折り帯芯をいれて仕立て上げます。
そのため、仕立て上がった「丸帯」の両端を見ると、その片方が輪になっています。

そして「丸帯」の帯反には、全体に柄が織られていています。
現代の「袋帯」のように、「六通柄」などではなく「総柄」なのです。
また「袋帯」は、帯を絞めたときに裏側になる部分には、柄が織られていません。
しかし、「丸帯」は帯を絞めたときに裏側になる部分にも柄が織られているのです。

「丸帯」はとても贅沢な帯だといえるでしょう。
しかし、贅沢な「丸帯」は、「袋帯」に比べて、
たいへんな手間がかかり、帯を締めたときに重くなってしまいます。

そのため、おうちに「丸帯」があっても、
使われずに、眠っている「丸帯」も多いのではないでしょうか?

しかし、むかしにつくられた「丸帯」は、
高い技術を用いてつくられていて、
現代にはないような柄行きのものが多いのです。
おうちの中で眠らせているのはもったいないですよね。

そこで、「袋帯」と「名古屋帯」に仕立てかえてみるのはどうでしょうか。
ふつう「丸帯」の寸法があれば、
袋帯と、名古屋帯の2本分の帯をつくることができます。
仕立てかえるときには、「丸帯」を半分に切り分けて2枚の布にします。

また、むかし仕立てられた「丸帯」の帯芯は、
とても固くて重いものが使われています。
そのため、この帯芯を現代のものに変えるだけでも、
軽くなり、締めやすくなります。

帯ではなく、掛け軸やテーブルセンターに用いるのも良いですね。

豪華で贅沢な柄行きは「丸帯」ならではのものです。
この機会にたんすの中や押入れの中を探してみてください。

花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は6月24日(火)予定です。


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