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花邑の帯あそび

1本の帯を通して素敵な出会いがありますように…

帯仕立ての道具 -かいつ-

2007-12-28 | 帯仕立ての道具

presented by hanamura



「かいつ」について



私の母は「かいつ」を指し、
「帯を仕立てるときのお友達だと思いなさい」
とユーモアをこめて言いました。
この言葉は、「かいつ」の役割を
とても的確に表現していると思います。



しかし、「かいつ」のもつ重要な役割と、
どの段階でどこにつかえばその役割を生かせるのか
ということが理解できていないと
「かいつ」との良い関係は築けません。

「かいつ」という名は、
一説では「重しをかう」という方言に
由来するとされています。
その名前の由来どおり、
「かいつ」は、帯を仕立てるときに
重しとしてつかいます。



「かいつ」の直径は9cm、高さは5cmほど。
上の写真のように布で包んで使用するため、
一見、軽そうにみえますが、
重さ2~3Kgの鉄の塊でできていて、
手にもってみると、「ずっしり」としています。

この重さにより、
布を固定し、張った状態にすることで、
縫い目にたるみがでず、
ぴんと張りのある帯を仕立て上げることが
できるのです。

帯を仕立てるときには、
「かいつ」をほんとうによくつかいます。
そのため、いつでも手にとれるように
自分のすぐ脇へ置いておくようにします。

お友達、あるいは親友のように、
帯仕立ての良きパートナーとして
「かいつ」を上手に使いこなせるようになったとき、
帯仕立ての技術をひとつ習得できたと
きっと、胸をはっていえることでしょう。

● 次回は帯を仕立てるときに必要な道具~その3~のお話しです。

帯のアトリエ「花邑hanamura」ホームページへ

帯仕立ての道具 -仕立て台-

2007-12-21 | 帯仕立ての道具

presented by hanamura


今回から数回に分け、
帯を仕立てるための道具について
お話しをします。

道具とは、職人にとって体の一部であり、
また、上質な帯を仕立て上げるための仲間でもあります。

その道具たちを眺めてみれば、
帯仕立ての奥深さが
垣間みれるのではないでしょうか。
 


「仕立て台」について



上質な帯を仕立て上げるために
かかすことができないもののひとつ、
それが「仕立て台」です。



仕立て台は、桜のムク材(合板ではなく天然材)からつくられます。

桜の木は、とても丈夫で長もち。
そして表面はざらつきがなく、とてもなめらかです。   
そのため、ダンスホールや練習場の床などにも
よくつかわれているようです。

帯の仕立ては、仕立て台の上に
布などをひかず、
直接帯反をのせ、仕立てていきます。

ときには仕立て台の上に足をのせたりと、
からだ全体を使用する
帯の仕立て方は、
「男仕立て」とも呼ばれています。

そのため、からだの重さに耐えることができ、
なおかつ帯反に傷がつかないようなもの
でなくてはなりません。

丈夫で、なめらかという性質を持つ
桜材は、仕立て台にもっとも適した
材料だといえます。

仕立て台の寸法は、
巾は1尺1寸(約42cm)、
長さが3尺4寸から3尺5寸(約130cm)、
高さが6寸(約23cm)といったところです。

この寸法は、
帯の巾や、長さにちょうどよい
というだけではありません。

ときにはその長さを用い、
帯芯の寸法を図るなどの
役割もはたします。
  
そして、実際に帯を仕立ててみると、
「なるほど!」と納得してしまうぐらい、
仕立てるときの姿勢や、その作業についても
実によく考えられています。 

仕立て台は、帯仕立てを支え、
その作業を助けてくれる
「とても頼れる」道具なのです。

● 次回は帯を仕立てるときに必要な道具~その2~のお話しです。

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