ヌマンタの書斎

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プロレスってさ ジミー・スヌーカ

2017-01-20 12:01:00 | スポーツ

スーパーフライこと、ジミー・スヌーカが亡くなったとの報に驚いた。

フィジー島出身で、ハワイのボディビル大会で優勝して後、プロレス界入りであった。褐色の肌と、精悍な風貌、そして見事にビルドアップされた筋肉美が自慢のマッチョ・レスラーであった。

だが、最大の魅力はその跳躍力であった。ヘビー級のプロレスラーは、その重量ゆえに飛んだり跳ねたりを苦手とすることが多い。長身なだけならともかく、プロレスラーは分厚い筋肉をまとい、その上に脂肪の鎧をつけているようなものなので、当然のことである。

しかし、スヌーカは「スーパーフライ」の異名に違わず、桁外れの跳躍力を誇っていた。私の知る限りでも、コーナーポストに駆け上がり、およそ9メートルの跳躍をみせたヘビー級のプロレスラーは、スヌーカ唯一人である。

足から飛び降りるのではない。マット上に倒れている相手レスラーに向かって、身体全体をぶつけるように飛ぶのである。この技を受ける方も大変だが、トビ落ちる方のダメージだって相当なものだ。

場合によっては、マット内ではなく、場外に向けてのダイビングだってある。ジュニアヘビー級が多い、メキシカン・プロレスでは時折みられるが、ヘビー級レスラーにとっては大怪我をする可能性さえある危険な技だ。相当に浮「と思う。

ところが、このジミー・スヌーカは、ダイブしている最中に顔が笑っているかのように見える。どこか、神経が飛んでいるのではないかと思っていた。もっとも、こんな危険な技を平然とする豪胆さに似ず、スヌーカ自身は温和な性格であった。

実のところ、日本ではシングルプレイヤーとしてよりも、タッグ・パートナーとしての活躍が目立つ。相手は、あの超トラブルメーカーの超獣ブルーザー・ブロディである。

ブロディはエゴイスト揃いのプロレスラーの中でも、仲間からも嫌われるほどの自己中人間であった。タッグ・パートナーに対しても傲慢で、大学の後輩のハンセン以外では、スヌーカーくらいしか相手は務まらなかった。

これは、ブロディがスヌーカの実力を認めていたことに他ならない。我儘ではあったが、実力には自信もあったブロディは、自分が認めた相手でないと、味方でも敵でも許せない性分であった。ダメと決めつけたら、その超絶的なパワーで相手に見せ場を作らせずに、ボロボロにしてしまうほどであった。

しかし、スヌーカは単に見栄えのする筋肉だけでなく、瞬発力、スタミナも十分な実力を持っていた。その上、我儘なブロディに合わせての付き合いが出来る稀有な性格であったようだ。

実際、ボディビル出身のプロレスラーは、その筋肉美を見せつけるパフォーマンスを好むが、スヌーカにはそのようなことはなかった。むしろ抜群の運動神経と跳躍力を見せつけるようなパフォーマンスを好んだ。

ただ、残念なことに日本では、ブロディのタッグ・パートナーとしてリングに上がることが多かった。自分がナンバーワンでなければ許せないブロディのせいで、スヌーカはその実力を十分に出すことが出来なかった。

幸いアメリカでは、シングルで試合をすることが多く、その試合を現在はユーチューブなどで観ることが出来る。改めて、そのパフォーマンスのレベルの高さに驚かされる。

もし、ブロディのタッグ・パートナーを任されていなかったら、もっと実力を発揮できたのだろうと思うと、いささか残念に思います。なお、晩年は内臓疾患(癌であった模様)に苦しんだとのこと。謹んでご冥福をお祈りいたします。


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1 コメント

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Unknown (ヌマンタ)
2017-01-23 13:16:46
アブダビさん、こんにちは。ダイナマイトキッドは、ステロイドの使い過ぎで筋肉を異常に肥大させて寿命を縮めてしまいました。私はジュニアヘビー級の頃のほうが好きなので、コナン役は迷います。スヌーカは、おそらく相当にケンカが強かったと思います。どのレスラーからも敬意を払われていましたから、まず間違いないでしょう。でも、それをリング上で見せることなく、あくまでプロレスを演じた自制心にこそ敬意を払いたいと思います。
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