上には上がある、とは良く言われるが、下には下があるようだ。
もう十数年前になったが、阪神淡路大震災の時、その惨状をTVで呆けてみていた村山内閣は、長年の反米思想に縛られて、米軍の援助の手をはねつけた。つまり、自らの政治信条により、被災者を見捨てた。
私はこれほど愚かな政治家はいないと思っていた。
ところがだ、これを上回るオオバカがいやがった。それが菅直人・前総理大臣だ。震災直後の対応は可もなく不可もない程度だが、その後がいけない。
阪神淡路の震災の時、時の総理である村山首相は、自らに実務能力が欠けることを自覚していた。だから関係閣僚を呼んで、責任は一切自分がとるから、力を合わせて被災地の救援に全力を傾けるようにと指示した。任された閣僚たちは、その大半が自民党の族議員であり、官僚のトップを呼び寄せて他の官庁と協調して動くように指示。その指示を受けた官僚たちは、集結して情報交換と具体的行動に至っている。
一方、閣僚たちは関係諸団体にも協力を要請した。トラック業界への手配、コンビニ、大手スーパーへの食材の優先配給などを矢継ぎ早に依頼した。その後の被災地復旧工事を睨み、ゼネコン関係各社との連絡も絶やさず、建材メーカー、商社などにも意見調整を図った。
だからこそ、阪神淡路震災の復旧は早かった。もちろん拙速による問題は少なからずあったし、復旧計画も完璧とは程遠いものだった。それでも、今回の東日本大震災の復旧の遅さとは雲泥の差だ。
その差はどこから生じたのか。
元々、民主党のなかでも菅直人は、官僚不信が根強い政治家だ。官主導の政治を否定すること甚だしく、そのことが今回の震災で、悪い方に出てしまった。
首相官邸で、TVで阪神淡路の惨状を見ていた村山と異なり、菅首相は早くから動いていた。その点は良し、としても、問題はその後の対応だ。
ヘリコプターで迅速に福島原発の視察に向かったは良いが、現場では怒鳴り散らすばかり。「役立たずの怒鳴菅」(ドナルカン)との異名を現場の東電職員たちから言われる始末。
とにかく、なんとかしろと言うばかりで、具体的な指示は一切ない。おまけに責任を他人(東電や官僚)に押し付けるばかりで、現場を混乱させるだけ。
一番、現場を分っている人たちに「責任は私がとるから、最善の策をとってくれ」の一言があれば、あれほど現場が混乱することはなかったと思える。
東京に戻ってからも、官僚主導となるのを嫌がり、いわゆる「会議」を乱発させて、政府が意思統一する機会を奪い、各々が勝手に言いたいことだけ言いふらす醜態を引き起こした。
だから、閣僚及び各官庁の事務次官たちは、統一した行動がとれず、混乱に拍車がかかり、救助はもとより復旧活動も目処が立たず。
あまりの醜態に、観るに見かねた前・官房長官やら幹事長らが動き出すと、震災もそこのけに権力闘争に夢中になる菅首相には、もはや誰も近づかない。
具体的な復旧計画に関して、誰も菅首相に相談に行くものはいなかったのが実情らしい。自分の権力の座が危ういと感じたらしく、元々持論である反・原発に口出しはじめたから、党内はもとより政府自体が混迷する有様。
こうなると、周囲を昔からの支持者で固めて外部の意見を聞かず、国民の声はもとより、被災した東北の悲痛な叫びすら聞こえないふり。ただ、ひたすらに自分は正しいと言い聞かせて、最後っ屁(朝鮮学校への無償援助)を置き土産に総理の座を退いた。
私は昨年まで、鳩山・元首相こそ戦後の首相のワースト・ワンだと信じていたが、どうやら鳩ポッポはNo2であるらしい。まったく違うタイプの二人だが、どちらも民主党からの首相であることが、なにより全てを語っている。
嗚呼、次の選挙が待ち遠しい。
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ただ、財務省はなにがなんでも支えるつもりみたいです。なにせ、財務省には忠実なお方のようですから。