ヌマンタの書斎

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統一地方選挙前半戦

2019-04-17 13:40:00 | 社会・政治・一般

統一地方選挙の結果が興味深い。

与党である自民党が案外と苦戦している。国政では盤石の安倍政権であるが、地方では必ずしもその評価は高くない。

ある意味、当然だと私は思う。安倍政権の国内政策は、基本的に大企業と投資家向けである。実際、上場企業を中心に大企業は好成績を挙げている。また株式市場も民主党政権時とは比較にならぬ盛況である。

また不動産も都市部を中心に活況を呈していたと思う。これは、これで十分に評価に値する業績だと思う。だが、地方に目を向ければ、活況どころか衰退の一途をたどっているのが実情であろう。

これは高齢化社会が本格的に到来したことと密接に関係しており、必ずしも安倍政権の失点とはいえない。だが有効な対処策を取らなかったのは確実に失点であり、それが地方選挙に影響している。

だからこそ、地方の選挙で中央の意見が通りづらく、ねじれ現象が起きたりしている。都市部と地方では、民意が明らかに違ってきていることを無視してきた結果だとも云える。

更に付け加えるのならば、景気の減速は既に生じていると私は判断している。いくら統計上の実質賃金の上昇を宣伝しようと、庶民の財布の中身は確実に細ってきている。

アベノミックスが盛んに実質賃金の上昇を訴えようと、その上昇分を社会保険と所得税、住民税が吸収してしまうので、手取り額の増加を実感しずらい現実を見過ごしてきた。それは、飲食業やサービス業の現場を見ていれば明白なのだが、安倍政権と霞が関のエリート様は無視してきた。

そのツケが、統一地方選挙における自民党候補の落選といった形で現れている。

ところがけったいなことに、自民党候補の苦戦が必ずしも野党候補の躍進につながらない。これは、野党が安倍政権を批判、誹謗することばかりに傾唐オ、次なる政権を担う姿勢を見せてなかったことが原因だと私は判じている。

与党に対抗しうる健全な野党が存在しないことが、戦後の日本政治の最大の特徴である。

ただ、私自身、最近思うのだが、日本人は心の底では、健全な野党の存在を望んでいないのではないか。与党を批判し、与党に健全な緊張感を持たせるための道具としての野党こそを、日本人は望んでいるのか。

これが、日本人が理想とする議会政治ではないのか。そんな思いが拭えない。まだ確信している訳でもないのだが、ここまで野党がだらしないのは、野党自身の問題以上に、日本の有権者の本意の顕れではないのか。

そんな疑問が脳裏から離れない統一地方選挙前半戦でした。

なお、日本の有権者は、国政選挙と地方選挙では異なる投票行動をすることが多いので、今回の結果がそのまま次の国政選挙に直結するかは疑問です。ただ、財務省の目論見通りに進む消費税の二桁化が実施された場合、確実に景気は沈むでしょう。

その景気減退に、安倍政権が耐えうるかどうか。決して楽観は出来ないと思います。ただ、今の野党を見ていると、次期政権を担うだけの力量は感じられません。そうなると、自民党内部での席取り争いでしょうけど、安倍の対抗馬がいない・・・

日本が政治的に停滞の時期を迎えているようで、そのことが私は気がかりです。高齢化社会に相応しい政治だともいえますが、そのわりに本格的な高齢者向けの施策が欠落しているのですよねぇ。

私には今の日本が、ぬるま湯に寛ぐ蛙のように思えてなりません。知らず知らずのうちに、茹で上がって瀕死の状態にならねば良いのですがね。


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