ヌマンタの書斎

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大阪都構想の失敗

2020-11-04 11:16:00 | 社会・政治・一般
正論では通らないだろうと思っていた。

先日、僅差で否決された大阪都構想のことだ。二重行政を排除するとの意見には、大阪とは無関係の私も同意出来る。たしかに税金の無駄以外のなにものでもない。

でも、多分否決されるだろうと予想していた。橋下氏も松井氏も、行政の無駄にしがみ付いて生活している人々の執念を甘く見過ぎだと思う。

たしかに二重行政は無駄である。だが、その無駄は生きている人間の生活そのものである。一人で出来ることを2人でやっているのだから、効率的には無駄であろう。

しかし、人間は生きている。公務員という安定した職業に就いている人間は、自分の公務員としての役割は社会に必要なものだと確信している。公務員で自らの仕事に疑問を持てる人は滅多にいない。

自分は国家のため、府民のため、市民のために働いているとの矜持を持っている人の仕事を無駄だと誹謗すれば、問答無用で反発される。二重行政における無駄の排除とは、リストラであり、失業に直結しかねない浮ウがある。

更に付け加えるのならば、行政における無駄に食らいつく業者もいる。同じ仕事が二つあるということは、お得意様が二人いるのと同じことだ。行政の無駄は美味しいと思っている民間業者は多いはずだ。

二重行政を排除されると失業したり、売上が下がったりすると浮黷髏l々が、今回の投票において大阪都構想に反対票を投じるのは当然のことだ。

私は基本的に行政の無駄を排除することには賛成だ。しかし、その排除される側に対する配慮が十分でないと、徹底的な抵抗を受けることも分かっている。

守秘義務があるので書けないが、かつて私も正しいはずの改革案を、やんわりと、しかし断固として否定されたことがある。正しさは認められたつもりであった。しかし、人は正しいだけでは動かないのだと思い知らされた。

橋下氏も松井氏も頭の良い行政官だと思う。しかし、人の心に寄り添う配慮が足りない。正しさは、時として血肉を引き裂く冷たい刃と化す。引き裂かれる痛みを想像し、思いやることができなければ、如何なる正論も通らない。

すごく残念でならない。

なぜなら僅差の結果が出たということは、その正論を認める人も多数いたはずだから。正しさが通らない場合の失望は根深くなる。そう遠くない将来、大阪は最悪梼Yする可能性さえあると思う。

多分、霞が関の一部のエリート様は内心密かに、大阪も夕張市のように梼Yさせなければ建て直しは出来ないと考えていると思いますよ。

その時大阪市民は、きっと思い出すでしょう。あの時に大阪都構想をやっておけば・・・とね。
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