ヌマンタの書斎

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イチローの安打記録に思うこと

2010-10-15 12:21:00 | スポーツ
敢えて暴言を吐いてみます。

今期、10年連続で200本安打を達成した大リーグ、マリナーズのイチローを賛美する報道で塗りつぶされたのは当然だと思う。容易に出来る事のない偉業であることは間違いない。

ただ、それでも私はイチローに対して若干の違和感を拭えずにいる。

野球とはチーム・スポーツだ。個人記録を軽視する気はないが、それでもチームの勝利こそ至上の価値観を持つと、私は信じている。そう考えた時、イチローという選手の評価は下がらざる得ない。

オリックス時代も、今のマリナーズにおいても、彼は決してチーム・リーダーであったことはない。常に孤高の選手であった。彼の凄まじいまでの安打記録は、優勝から遠い弱小チームだからこそ生まれた、と言ったら言い過ぎだろうか。

優勝を争うような強豪チームには、強打者以外にも安打が上手い巧打者が必ず居る。私の記憶では、篠塚、蓑田、落合らが即座に脳裏に浮かぶ。彼らはホームランバッターの前後で厳しいマークをかいくぐって、好成績を挙げてチームの優勝に貢献している。

その安打数はイチローに及ぶものではないが、チームへの貢献度は遥かに上回る。野球選手個人としてその安打記録は、たしかにイチローが上だと思うが、チームの勝利という基準で測ると、イチローの記録はいささか霞がかかる。

マリナーズにおいて、反イチロー感情がチームメイトに渦巻くのも無理ない気がする。何故にイチローは優勝を狙えるチームに移籍しないのか?

ロッテにおいて数多くの記録を打ち立てた落合は、優勝を狙えるチームに移籍して、凄まじい重圧のなか二つのチームで優勝という実績を残している。もし落合がロッテに在籍したままであったのならば、イチロー以上の個人成績を上げていた可能性は否定できないと思う。

イチロー自身は優勝の魅力を否定しているわけでないことは、数々のインタビューなどで語っているとうりだ。事実、WBCにおける日本チームの優勝の際の、はしゃぎっぷりは彼が如何に優勝の美酒に恋焦がれていたかが分るものであった。

だが、それでもイチローは弱小チームから移籍しない。多分、今年の移籍市場にイチローの名が上がることはあるまい。安打記録を積み重ねるには、弱小チームのほうが楽なのは間違いのない事実だ。

数多居るイチロー・ファンにとっては、彼が安打を重ねることのほうが大切なのかもしれない。その期待に応えているイチローの努力を誹謗する気はない。

ただ、それでもイチローをあまりに賛美するのは如何なものかと思う。優勝を狙えるチームでは、イチローに対する相手のマークは今以上に厳しく、チームからの期待とプレッシャーは更に重い。そのことを彼はWBCで知ったはずだ。

前回のWBCの決勝におけるイチローのさよならヒットはあまりに鮮烈で、忘れている方も多いと思うが、大会を通じての打撃成績は低調であった。これが強豪チームにおける彼の実力だと断じる気はないが、一面の事実であるのは確かだ。

イチローの10年連続での200本安打を素晴らしい記録だと思う一方で、野球選手としての彼のあり方に若干の疑問を呈したいと思います。
コメント (1)
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