徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

夏目漱石文学と「禅」・「能」

2013-04-22 21:16:04 | 文芸
 夏目漱石の文学は「禅」や「能」の影響がみられるという。先日訪れた内坪井旧居の展示物にもそんな内容の説明があった。僕は詳しく研究したわけではないので漱石作品を読んでもどれがそうなのかよくわからない。たしかに熊本にいた時代も坪井立町の臨済宗・見性寺で参禅していたと聞くし、能(謡)については寺田寅彦の「夏目漱石先生の追憶」の中にも次のようなくだりがある。

(先生は)謡曲を宝生新氏に教わっていた。いつか謡って聞かされたときに、先生の謡は巻き舌だと言ったら、ひどいことを言うやつだと言っていつまでもその事を覚えておられた。

 漱石先生は日頃よく「熊野(ゆや)」などを謡って、自分自身は悦に入っていたらしいが、寺田寅彦の言葉のように奥様や知人友人などには評判は良くなかったらしい。便所や風呂などで謡っている姿を想像すると微笑ましい。
 これから漱石作品を読む時は少しそんな視点からも読んでみたい。


夏目漱石が参禅した見性寺


寺田寅彦が居候を望んだ漱石内坪井旧居の馬丁小屋