徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

どうして“能”と呼ぶの? “踊り”と“舞い”はどう違う?

2013-04-30 13:53:04 | 音楽芸能
 日本の「民俗学の父」柳田國男の高弟で今日の民俗学の基礎を築いた一人である折口信夫(おりぐちしのぶ)の講義録「日本芸能史六講」(昭和19年版)を読むと、今まで疑問を抱いていたことに解答を与えてくれるようで実に面白い。

▼「能」
 1200年を超える歴史を有するという「能」はなぜ「能」と呼ぶようになったのか。実はもともと「態(たい/てい)」という字を使っていたらしい。つまり「・・・の態で」と言うように「能」はモノマネから始まったというのだ。それがいつからか「態」の下の「心」が取れて「能」となった。「能」がいにしえから今日まで連綿と人々の支持を得続けるのも、今日の「モノマネ芸」が根強い人気を博しているのも腑に落ちる。

▼「踊り」と「舞い」
 今日では「舞踊」とひっくるめて呼ぶことが多いが、本来「踊り」と「舞い」は別のものだという。悪霊を地下に踏みつける「反閇(へんばい)」という動作が発展して、下から上にピョンピョン跳び上がる動作のことを「踊り」といい、「舞い」というのはもともと「めぐる」という意味で旋回運動のことを指すという。つまり「舞踊」というのはこの二つの動作が織り込まれているということなのである。