熊本では昔、藤崎八旛宮例大祭の随兵行列などで大将の馬の後をついて行く甲冑をつけた雑兵たちのことを「ツームシ」と言った。「ツームシ」とは「かぶと虫」のことで雑兵たちの格好が「かぶと虫」を連想させたのでそう呼ばれたという。「ツー」というのは「ツがでけた」とか「ツがとれた」というあの「かさぶた」のことだ。熊本を含む九州の一部で今も使われる方言である。でも随兵を見て「ツームシ」と言う人は今ほとんどいないだろう。それでは「かさぶた」のことをなぜ「ツ」というのだろうか。以下はあくまでも僕の推測にすぎないが、「ト」が訛って「ツ」になったのではないか。この「ト」というのは「兜(と)=かぶり物のこと」もしくは「鍍(と)=メッキのこと」のいずれかではないか。そう考えると雑兵を「ツームシ」と呼ぶのも納得がいくような気がする。
▼昨年の「城下町くまもと時代絵巻」の風景より
▼昨年の「城下町くまもと時代絵巻」の風景より