のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.1907

2021-07-07 00:33:05 | 新しい子猫たち 
洋太郎 も 史上最年少 プロ棋士に あの男の子をする事に興味もあったが、その後 あの子のプロ入りには消極的になった。タイトルを取ったのは偶然、幾つかの偶然が重なっただけと猫の先生は言っていた。あの子はまだそれ程強くはない。初めは 猫の先生が 考えていた研究がピタリピタリと当たった。猫の先生も途中ではこれではイカンと思って、あの子自身の研究に変えた。これでタイトルは取れない筈だったし、挑戦者すらなれない筈だった。


それがみんな意識しすぎて、あの子の研究に 自ら飛び込んでしまった。


あの子が史上最年少でタイトルは取ったが、益々 あの子を追い込んだのではないか と洋太郎は思ったのだ。饅頭事件は洋太郎の心理にも影響を与えた。あの子があの子らしく生きていける事が大前提なのだ。それにあの子は頑張りすぎる。もっと自由にさせないと、あの子のためにもならないし、逆に あの子の才能を伸ばす事にはならないと悟ったのだ。


ジブシティーの将棋道場のジイサン達の間では あの子はプロ棋士にならない方が 幸せでは。父親のように理数系の研究者となり、趣味で将棋を指した方がむしろ幸せではないか と云う議論があった。あの子は将棋は強いが、指している時にそんなに嬉しそうではない。難行苦行をしている修行僧みたいに将棋を指している姿をいつも見ていたジイサンたちの意見だった。洋太郎もふっと聞いて そうかもねと思ったのだ。