のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.15

2014-01-28 00:00:16 | 新しい子猫たち 



神太朗は


ジブの実業ネットワークと保有する株式の企業分析をして、ジブそして関連グループとの調整に努め、ヨーロッパ内のジブネットワークの構築を進めて、協力しながら、事業展開をして行こうと努力していた。ヨーロッパ内のジブ連絡会議も開き、お互いに刺激しながら、協力できる所は協力して行くようにとの指示を出し、スイスカナコイングループとの協力関係も進みつつあった。



ヨーロッパでは、ジブと香奈海外とは、香奈傘下の同格の組織としての意識しかなかった。スイスカナコインなどは香奈直轄の企業と見なされていた。



香奈は90歳以降は全く海外には行かなかったが、しかしジブの海外と云っても、香奈オフィスの相場部門を前身としている事もあり、所詮香奈グループと云う意識が、ヨーロッパの人には強かった。



ヨーロッパでは、ジブトラストの名前も有名だったが、香奈オフィスそして香奈ファイナンシャルはもっと有名だった。香奈オフィスはアメリカが大きいと云っても、ヨーロッパでは、香奈オフィスが香奈筋と云われ、一世を風靡した仕手筋と知られていた。



その後、瑠璃がハゲタカと陰口を叩かれながらも、金を貯め、資源利権を買い、香奈オフィスを大きくした。その後、奈津美は協調開発路線を打ち出し、買うよりも採掘権の交渉をして、資源探索を進めながら、多くの鉱山を掘り当て、飛躍的に伸びて、資源メジャーの一角にのし上がっていた。



瑠璃も奈津美も結婚して、姓は替わったが、会社の名前は香奈オフィスで替わらなかった。資源ではヨーロッパを仕切っていたような会社だった。



切人が香奈のひ孫だと云う事は決定的だった。香奈も大岩だったし、切人も大岩だった。



神太朗は、証券会社を再建させたように、理想主義者でありながら、実務家としても優れ、指導力のあるリーダーだったが、切人も、香奈直系としての影響力が強く、自分の子供たちや弟子とも云えた人たちが、切人達のマリアホープそして海外香奈が多く保有する企業のみならず、聡美や神元達が過半数近く持っている大きな企業の経営に関与していた。



切人達は、食品事業を中心とするヨーロッパの企業グループを、神元達のグループが保有する商品相場から派生した食品の原料会社、快適農園グループ、神帥の食品会社などと協力しながら、運営して、ヨーロッパの食品産業を幅広く握っていた。



切人自身と云うか、香奈海外とマリアホープそのものは、中クラスの食品会社群、特に裏方に近い食品会社群の株式を多く保有していたに過ぎないが、大手の食品会社を神元や聡美が、過半数に近い程保有していた事もあって、切人グループに、その経営を任されていたので、それらの大きな会社を含めると、ヨーロッパの食品産業そのものを切人が握っていると言ってもいい状態になっていた。



そうすると、利益配分を、切人自身の保有する会社群に、少し多めに配分する事程度は出来た。もはや、食品産業を中核とした、一つの大きなグループを、ヨーロッパに作り上げていたと言っても過言ではなかった。



切人は、景気動向に大きく左右されない食品産業をベースにして、大きな企業グループをまとめていた。切人自身は、そんなに多くの会社の役員になった訳でもなかった。ジブトラストの役員と、香奈海外とマリアホープの社長、そして全ヨーロッパを管轄する食品会社本体の役員になっている程度であったが、その影響力は強かった。



切人自身は、実業だけと云うよりも、相場と実業とをミックスさせたような運営を行っており、ヨーロッパの隠れた大物と言われていた。



正人は、金融を中心とする香奈国内のネットワークを作り上げながら、香奈ハイテクを中心としながら、リトルキャット系列の実質的な責任者とも見られていた。実際は、香奈ハイテクの事業そのものは、正人を子供扱いするような、実際にも親や祖父たちの超高齢者たちが、運営していたし、リトルキャット運用会社系列は、猫たちが直接運営していたし、株式会社リトルキャットは、不動や快適が運営していた。経理ベースの管理を、正人がもう一つの大きな銀行の退職者を派遣して、行っているにすぎないので、正人自身は、お世話係と言っていたが、それをそのまま信じる人は少なかった。



世間は、切人が香奈海外を担当し、正人が香奈国内を担当する、香奈の後継者と考えていた。そして奈津美が香奈オフィスを担当している後継者と考えていた。


神太朗もジブトラスト本体として、食品事業群との協力関係を進めていたが、それでもやはり、食品企業群は、香奈グループの本当の本家だとする意識もあり、一種の独立空間に近い雰囲気はやはり存在していた。切人は表だって神太朗に反論しないものの、香奈の一声がある時とない時では対応が違うような雰囲気があった。