のら猫の三文小説

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香奈とコシロの子供たち No.211

2014-01-05 00:00:13 | 香奈とコシロの子供たち
スイスカナコインの
実態が明かされる



香奈は特に競争させるつもりで非公式役員懇談会を設定したのではなかった。みんなで取引内容や業務内容を検討して、協力できる所は協力していこうとした積もりだったが、成績が順序になって出てくるとやはり競走するのは避けられなかった。セールスマンの利益競争のような側面も出てきた。





ただジブスイスの人は、参考までにスイスカナコインの成績を言った。その利益がどんどん増えてきた。香奈のプライベート会社とは云え、会長の会社なので、非公式役員懇談会で説明してもらえないかと香奈に言った。



香奈は簡単にいいよ、連絡しておくわ。次には出てもらうわと言った。この当時は、リトルキャット運用会社は、設立当時だったし、利益もたいした事はなかった。この程度では、もはやこの当時のジブシラストにとっては、ゴミとは云わないまでも、まだ小さい規模だった。




スイスカナコインは香奈から言われ、業績発表と取引内容説明を行う事になった。コッソリートの証券会社を買収してからの報告は、メールでは報告しているものの、香奈には詳細に説明していなかった。



香奈は、私もみんなと一緒に、ゆっくり聞くわと言ったので、香奈に説明するつもりで、各部門毎に綿密に報告した。各部門は独立していたので、それぞれチーフが説明し、当然細かい説明になった。噂のスイスカナコインの報告なので、非公式役員懇談会は出席希望が多かった。広い会議室も大分埋まった。そして報告が始まった。





神之助は、加代子のチーム以外、適当に聞き流していた。加代子のグループは、もうアメリカ最大の運用会社だったので、それはマークしていた。他のチームはものの数ではなかった。



取引内容も、神元や神帥のチームの事は良く知っているし、連絡も取っていた。神之助は報告を聞いて椅子から落ちそうになった。合計利益は、神之助のチームより利益が出ていた。ジブスイスの報告は表面的な理解だった。スイスカナコインはいくつものポケットがあった。



証券会社グループとスイスカナコイン本体そして出資している各会社の利益であった。確かに証券会社や各会社は、配当も出していたが、計算しながら、配当を出していた。実質的な総合利益は、はるかに多かった。それにほとんど非公開だったので、ジブスイスも正確には把握できなかった。




神子のチームも吃驚した。調整売買も複雑だった。デリバティブも多用し、先物もオプションだ、なんだかんだと色々考え出していた。スイスカナコインは取引なら、何でもしていたが、短期、中期、長期そして超長期で投資していた。あれはここのチームと限定してはいなかった。精々運用部門とか企業部門とかに分かれていただけだった。それに証券研究所は、儲かる事はなんでも研究していた。




陽一も吃驚した。ジブの研究センターも実務的になったとは云え、スイスカナコインは、コッソリートが色々質問して、いわば、ディラー直結の研究所だった。あらゆるデリバティブも取引して、考え出していた。



神太朗も影響を受けた。スイスカナコインの企業部門は、なんだかんだと協力しながら進めていた。ジブトラストは、あれはこれと、連絡は取っているものの、並立して運営されているので、協力とまではいえなかった。例えば、ジブトレーディング、岡崎交易、快適交易そして商会と経緯も違い、目的も違うといいながら、並立して事業を進めていた。それは仕方ないと神太郎は考えていた。もっと効率的な運営そしてお互いに、協力しながら発展していけるのではないかと考えて始めていた。



神二郎も影響を受けた。神二郎は取引利益がどうだこうだにはあまり何も感じなかったが、スイス総合企画の説明には吃驚した。神二郎は信念の人だったし、不動総合も信念の人の同志的な結合の要素が強かった。それだけに陽太の融通無碍の路線には、距離を置いた。



スイス総合は一人の人の信念で出来た会社ではなかった。ジブスイス財団での実態に合わせて、みんなで考えて作った会社だった。不動総合は、信念はいいけど独断的な側面があるのではないかと神二郎はスイスカナコインの報告をききながら考えていた。



聡美は単純に株先物以外のディリバテイブに興味をもった。




加代子のグループは、純然たる取引中心のグループだったが、スイスカナコインの取引手法や多様な取引に注目した。





みんなそれぞれ異なる点で興味があった。そのため、スイスカナコインへの質問は多かった。ナンダカンダと質問が続いた。



一方聞かれたスイスカナコインの連中も、香奈に報告した手前もあり、その取引手法や企業の運営方針などの異論には、逆に色々実務的な逆質問もした事もあった。質疑応答は熱が入ってきた。



ただスイスカナコインは、これで当分発表はないと考えていたが、やっぱり次回もお願いと言われてしまった。香奈はあっさり、みんなの報告の中には役に立つ事もあるかもしれない。みんなの報告も聞いて参考するために、参加してみたらと軽くいった。




次回の非公式役員懇談会は大入り満員となった。研究センターは幹部まで出たし、神之助もチームの幹部も出した。神太朗は証券会社の社長や各地のジブトラストの幹部まで出した。神二郎は不動総合の社長や新宿の各チームの幹部もつれてきた。正人も香奈の関係者とか言って出席したし、神一もカミカミ関係者とか言って出席した。加代子は、アメリカの責任者や研究担当、そして取引のチーフたちも出席させた。聡美なんかは、自分が考えるのが邪魔さく、各国のチーフを出席させて、検討してもらった。



各グループの幹部が一杯集まった。スイスカナコインはこの間の質疑応答も細部に渡ったので、各部門毎に、何人のサブまで連れてきた。そうなると、各部門毎の発表になり、質問も細かく実務的になり、取引部門や企業部門などの分科会まで作ってアーダコーダと議論した。分科会などの時は香奈はゆっくり、猫と遊んだ。



会議の時間は長くなり、途中で食事したり、一服したりと、非公式役員懇談会は、単なる成績発表会ではなく、みんなで検討する会議になった。遅くなったら、宿泊できる高層マンションもあった。



「ジブの会議に出る人は増えたね。冶部ホームホテルどころかジブシティーのニコニコホテルまで満員だよ。高層マンションもホテルみたいな使われ方をしているよ。朝知らないおっさんに会ったよ。財団でもジブスイス財団と協議する回数も増えて、社会福祉研究所が、関係する財団の連絡会議を計画しているよ。」

香奈「あれでも制限しているのよ。あの人も幹部、この人も幹部とか言って、一杯出てくるのよ。正人や神一君も立場上なんだかんだと言っていたくせに、カミカミや香奈の関係者とか言って出てきて、質問までするのよ。

「まあいい事だよ。みんなで討議して進めていくのは。」

香奈
「そうだね。それはそう思うよ。単にセールスマンなんかの販売成績の比べごっこの場にする積もりじゃなかったのに、みんな競争するんだよ、でもちゃんと討議するようになって、良かったよ。」

益々元気になる香奈、そしてチャもココも元気だった。



香奈もチャもココも、自分がいなくなった後の事を考えて、体制も整えたが、新しい家にきてから、逆にどんどん若くなり、元気になるような気がしていた。チャとココは、香奈が家にいる時は寄ってきたが、それ以外はチビ助に任せた。なにしろ取引のチーフ猫だった。


猫軍団の未来が懸かっていた取引の監督をする必要があった。チャとココは、チビ助が香奈と遊ぶのを見て喜んでいた。香奈の元気を喜んでいた。猫軍団の基盤を固めるまで元気でと祈っていた。