のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.2

2014-01-15 00:00:06 | 新しい子猫たち 
新しい展開



しかし、株・先物グループのリーダー猫だったチャタロウは、途端に大きな運用委託金を預かる事になり、驚異的な儲けをしないとリトルチャは稼ぎが少ないと文句を言う事が判っていた。


チャタロウは、売買差益だけを目的とするのではなく、長期的な視点での株式保有をスイス組でも取り入れようとして、研究担当や国内組担当とも話し合い、リトルキャット運用会社としてのポートフォリオを再構築する事を提案した。


ナンダカンダと猫たちは議論していた。取引なんぞは知らないチビ助であったが、たまたま香奈が例の非公式会議に出席していた事もあり、家でのんびりしていた。



これは、非公式会議も出席する人がやたらと増え、ジブトラスト系列では香奈の猫好きは知らない者はいないので、口には出さないものの、嫌な顔をする人も増えてきた。



香奈は、気に入った問題でもなければ、グチャグチャした会議なんぞは、元々性に合わず、冒頭の会議と総括の会議程度しか出ないようになり、直ぐに家に帰り、のんびりするので、チビ助も家でのんびりするようになっていた。



チビ助は、ジブトラストの内部事情にも詳しく、ジブトラストでの議論をみんなに話した。そこで猫たちは議論した。



ジブトラストと同様に、現金と長期保有株そして金を含む不動産に三分割を手本としようと云う事になった。元々キャッシュポジョンが、50%取っているが、表向きのお金は、準備金として、正人の管理下に入っていた。運用以外に、猫たちの自由に使えるお金も必要と云う結論に達し、リトルチャのグループから運用委託される筈の金を三等分して、予備費、長期保有の株、そして貴金属と不動産に分割する事にした。



予備費としての半分は、為替取引きと云うよりは、最も経済的な観点から保有する通貨の選択を、リトルチャグループの為替チームの猫たちに任せ、半分は日本円として保管する事にした。



三分の一は、株式と株先物グループが運用するが、その半分程度は株式として長期的に株式を保有するための原資として、海外組が長期保有する株式を研究担当や国内組とも協議して、保有する事にした。



残りの三分の一は、貴金属や不動産に投資しようとジブトラストのやり方を猫真似する事にした。株式・株先物グループとしては、六分の一程度だけを、従来の自分たちの運用枠拡大に使う事にした。



株・先物グループのリーダー猫のチャタロウは温厚な性格だったが、あれこれと言われる事は嫌っていた。チャタロウは、リトルチャのような神を恐れぬ儲け方はしないものの、普通の意味では取引の天才猫で、自由に自分たちのポートフォリオに基づいて、運用をしたかった。



単なる売買差益だけに拘っていては、神をも恐れないような儲け方をするリトルチャと競争する事は無理だと気付いて、成長を期待できる会社を、長期的に保有する企業に投資する事に考え方を変えてきた。このようにすれば儲けが少ないとリトルチャがゴネルのを防ぐ事が出来ると考えたのだった。それに六分の一は、長期目的での株式保有をすれば、自分たちの取引にも幅が出来ると考えていた。


猫たちは、人間のように貴金属特に金なんぞに執着もなかったが、商品相場担当の猫たちは相談した。商品相場担当の猫たちは、貴金属会社そのものを買う事にしようと言った。金や銀そしてプラチナなんぞを一々保有するのは面倒くさいし、保管場所も必要になるといった。



ジブトラストでも、本体として二つの貴金属会社、神帥が二つ、神元が一つ、そしてスイスカナコインは貴金属相場を行う会社を持ち、ジブスイス貴金属に金を預けているとチビ助は説明していた。



猫たちは、人間と違い、不動産なんぞに執着もなかったが、少しはリトルキャット運用会社でも保有しようと云う結論になった。猫たちは多くの不動産を所有している貴金属会社を買収したら、一挙に二つを達成できると安易に考えた、猫たちだけでは、株式を買うだけなので、正人と相談する事にした。



正人は、猫たちから、協議の結果を聞いた。本来リトルチャの運用枠拡大を止めようといったのは正人でもあり、猫たちからの依頼に応じ、そんな会社を探し、それまでそのお金を別途預かる事にした。


毛利貴金属は大きくなったものの、やはり、毛利貴金属以外にも、古くからの貴金属会社もあった。その会社は、やたらと有効利用していない僻地の不動産も沢山持っていた。



元々不動産を持つ事が好きな創業者一族だった。その会社は今更、毛利貴金属グループの傘下に入りたくはなかった。しかし海外でも成長する毛利貴金属に対抗しようとして、多量の資金を借りて、海外に子会社を買収したのはいいが、大量の資金を借りたので、その返済の為、又お金を借りると云う負のスパイラルに入り、もう一つの大きな銀行に融資を頼んでいた。



借金返済のための貸し出しなんぞには、銀行は慎重な姿勢を示し、ジブの新宿の監視と指導を条件として、香奈オーバーシーズに協調融資を頼んでいた。正人は、流石に真理への配慮から、香奈オーバーシーズからの融資には応じにくいと考え、正人はその協調融資の事は、香奈にも言わなかった。



株式会社リトルキャットの設立の時に、神二郎と正人はそれなりに話が出来ていたので、新宿からの監視や指導を頼むのは問題なかったが、毛利貴金属との関係が問題だった。



正人は真理にそれとなく、この会社について、話をした。真理は毛利貴金属とは今までの経緯もあったが、本来良い会社なのよと云っていた。ただ国際化の波に乗ろうとして、無理に海外の貴金属会社を買収したのがたたり、有利子負債が多すぎるのよ。あんなに無理をするから、負債を返済する必要が出来、経営が苦しくなるのよ、貴金属はじっくり寝かせないと儲かる商売ではないのよ。出資して、有利子負債分を出資に切り替えれば、楽に運営できると思うわよ。毛利貴金属としてはライバルがある事はそんなに気にしないわよ、あの会社は、細かい細工も得意だし、競争は成長の源なのよ。足の引っ張り合いは困るけど、ライバルが頑張れば、毛利貴金属にも逆に刺激になって良い事だよと云った。



それでも、正人は尚も躊躇していたが、リトルチャの儲けは続き、正人が貴金属や不動産を購入するための原資として預かる資金は七千億に達していた。あの貴金属会社は借金返済に窮して、やいのやいのと泣きついてきた。



貴金属相場は上昇に次ぐ、上昇をしていたが、やはり調整のためか、一時的に、急激に落ち込み、調子に乗って貴金属の保有を増やしていたこの貴金属会社の含み資産は急激に落ち込み、含み資産の低下の為、資金繰りが極度に悪化していた。