のら猫の三文小説

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香奈とコシロの子供たち No.207

2014-01-01 00:00:02 | 香奈とコシロの子供たち



リトルチャは、スイスの荒事師

と云われる投機筋に!




リトルキャット運用会社はキャッシュポジションだけを重視していたので、運用枠制限はなく、運用額は段々大きくなっていった。リトルキャット運用会社も当然大きくなったが、リトルチャのグループは、子会社をどんどんと作り、子会社の数も総運用額も膨らんでいった。



リトルチャのグループでは、ついに一人、いや一匹の猫に一つの会社が割り振られていた。リトルチャは、時には株式そして株先物グループとも組んで、リトルキャット運用会社でのスイス組の親分みたいになり、大いに儲け、やがては、スイスの投機筋と云われるようになっていった。



実はこれは単にリトルキャット運用会社とその子会社群だけで出来た事ではなかった。この時に、後述するが、実はスイスカナコインの猫基金の体制も変わっていた。運用手数料も一時的に15%に上げ、スイスカナキャットと云う会社に儲けた金を貯めて、それの半分ではあるが、再運用する事も出来るようになった。



スイスカナコインは、チャが全体的に運用の指揮を取り、リスク管理を厳しく取っていたが、実行部隊の指揮は、チャタロウとリトルチャの二人、いや二匹だった。



スイスカナコインの猫たちの運用枠は、もう数千億にも達していた。その中でも、リトルチャチームの運用枠は大きかった。スイスカナコインでは、スイスカナキャットからのお金を一体となって、口座残高に比例して、運用されていたので、リトルチャは、二つの財布を使っていた。



法人的には、スイスカナコインとスイスカナキャットそしてリトルキャット運用会社と云う三つの財布でもあった。リトルチャは、シブトラスト傘下の証券会社系列とスイスカナコインの傘下の証券会社系列を使い分け、多量の売買を一気に動かし、板情報がでる直前の一瞬の間に、大きく乱高下させるなどの荒業もするようになった。



株式と先物そしてデリバィブを使い分ける事から始まって、商品相場でも、銀を安値で仕込み、一挙に吊り上げ、多量の利益確定売りを浴びせる事もし、為替にも出没するようになり、大いに儲けた。



リトルキャット運用子会社は、リトルチャが複雑な経理操作をしていたので、キャッシュポジョンの50%の約束も怪しかった。ここでリトルチャは、謎のスイスの荒事師と云れるような投機筋に成長した。



このスイスの荒事師が、リトルチャと呼ばれる猫だったとは誰も考えなかった。正人もリトルキャット運用会社の財務や税処理などは、もう一つの銀行の退職者たちに見させていたが、運用子会社の数も増えて、経理操作もして、あまりに複雑にしたので、正人自身にもよく判らなくなっていた。



一つ一つの子会社の経理や税務を見ていた人には、全体像なんかは皆目判らなかった。正人は、香奈ファイナンシャルの事務局、香奈オーバーシーズの融資の窓口そしてもう一つの大きな銀行、ジブ上海銀行を介在させて中国との折衝と色々忙しかった。名目的な社長の老人も、猫の世話役みたいになって、子会社を含めた業績なんかには、判らなくなっていた。こうしてみんな知らないうちに、リトルチャのグループの運用利益は、膨れ上がっていくのであった。




日銀の幹部A「神之助さん達の仕業でしょう。スイスの投機筋が、突然2円も円高にし、円高の記録を塗り替えたのは。

神之助「違いますよ。僕たちは何もしてませんよ。その後直ぐに元に戻したでしょう。彼らも逃げ足が速いみたいでしたよ。僕たちと同じように急いで戻したみたいですよ。自作自演ですよ。戻すのには、僕たちも少し絡んでましたが、僕が寝ていたので、我々のチームが懸命に戻したみたいですが、彼らの動きは速く、あんなに勢いよく戻るとは思いませんでした。僕が連絡を受けた時はもう戻ってました。スイスの荒事師の仕業ですよ。株式や商品相場やオプションなんかで、色々仕掛けてくる奴らですよ。」

日銀の幹部A「でも使っている窓口はジブやスイスコインの関係する会社ですよ。本当ですか? 結構資金規模はあるらしいですよ。手口は昔の神之助さんに似ているようですが、やっぱり謎の投機筋なんですかね。」

神之助「僕たちが使っている会社は、結構大きい会社なんですよ、当然他の客もいますよ。スイスの荒事師も我々の窓口を使うだけの事です。解析してみると、世界各地で運用しているようにも見えても、アメリカでは、そんなに大きくありません。ロンドンも絡んでいますが、大半はスイスから流れている資本ですよ。彼らは急に大きくなりました。我々もマークしているんですよ。読みも結構鋭く、研究もしっかりしているようです。さっさと稼いで逃げる手口なんで、巧妙なんですよ。


銀を吊り上げて、暴落させたのも奴らの仕業なんです。為替には、あんまり出てこないんですが、時間帯も日本の深夜で仕掛けられました。彼らは円高の基準点を突破して、その反発力を試しているだけみたいです。今回は本気ではないみたいですよ。自分たちで直ぐに利益確定に動いたみたいです。スイスやヨーロッパの株式もたまに乱高下するでしょう。彼らの仕業ですよ。あれは、アルゴリズム運用なんかじゃありませんよ。相当の意思を持った多量売買ですよ。1秒以下の荒稼ぎとしても有名でしょう。為替も何か狙っているのかもしれません。」

日銀の幹部A「そうでしたか。今後も大変ですね。やっぱり円高基調は変わらないですかね。」

神之助「日本経済の基調が良いのは、いい事ですよ。今はかなり厳しくコントロールしているから、奴らも不自然に感じて、試しているんだと思いますよ。少しずつコントロール範囲を下にずらしていくしかないと思いますよ。激変を避けるためにも有効ですよ。

日銀の幹部A「ゆっくり、少しずつ動くのはやむを得ないのかもしれませんね。上にも相談してみます。人民元もそうしているみたいですしね。あれは、神之助さんが絡んでいるのでしょう。」

神之助「それは否定も肯定も出来ません。相手もある事ですから。それはお判りでしょう。」

日銀の幹部A「それはそうです。そんな事をペラペラ喋っている人とは、誰も組まないですから。まあ激変はしないように、ご協力の程、お願いします。上とも早急に話を詰めます。」



そういう神之助自身も、基準点の設定を下げていたし、多量のオーダーはもっと下に置いていた事は言わなかった。リトルチャはその買いの本気度を見て、神之助たちと一緒に、一挙に戻して行った。1秒のドラマではなく、数時間のドラマで最高の円高記録を塗り替え、直ぐにいつもより、ほんの少し円高程度に落ちついた。



リトルチャは神之助を知っていたし、その手口も熟知していた。銀の吊り上げには、神之助たちも絡んで、大儲けしていた。今回の為替は、神之助の寝ている間なら、そんなに一気に買いあがる度胸はあるまいと思い、神元や神之助チームと競うように先に戻していった。



神之助はリトルチャの手口は知りつつあったが、スイスの荒事師がリトルチャであるとか、スイスカナコインもそれに荷担しているとまでは知らなかった。ただ昔の自分の手口に似ているなとは感じていた。世界は広い、ライバルも多いとファイトを燃やしていた。





リトルチャの主戦場はデリバティブであったが、時には為替にも、商品相場にも、株式相場にも出没した。



リチルチャはスイスの証券研究所の報告は熟知していた。ココのチームからジブトラストの研究センターからの報告も得ていた。猫たちにも研究担当はいた。それらの報告を検討し、狙いやすい所はすべて狙っていた。神太朗の証券会社系列もスイスカナコイン系列にしても、取引所との、コンマ何秒のレスポンス単位を競う直通ラインを用意していたので、それを利用して、1秒以下のドラマを演出しても、儲けを得たいリトルチャであった。



ともかく為替では、日本時間の夜中から早朝にかけての為替ショーが繰り広げられた。何も知らない新聞は、大手投資資本の投機的な動きを説明した。経済新聞などは、スイスの投機筋の横行とか勝手な推測でお茶を濁していた。