チビ助は、香奈の側にいつもいた。
香奈は、折角香奈専用のプライベートラインもあるのに、雨でもふらない限り、のんびり歩いて、ジブトラストに通った。
分岐状の水とリング状の水が霧のように、いつも辺りに漂う不思議な空間だった。一歩、歩く度に元気になり、頭も冴える魔法のような空間でもあった。
いつの間にか、チビ助は香奈と一緒にジブトラストに通い、会長室にもいるようになった。会長室には猫のトイレも復活した。
香奈がジブトラストに行く時には、昔と違い、連いて歩く人数が増えていた。研究所や大学院大学に通う子供たちや子猫の子猫たち、そして子猫の子猫の子猫たち、時には子猫の子猫の子猫の子猫たちも一緒についていった。
切人は、自分の子供たちにジブトラスト本体前までは歩いて、香奈を見届けるように言っていた。チビ助は、コシロと違い、人がきても逃げる事もなく、香奈の近くにいた。沙織や青不動さんとも友達になった。ただ、チビ助は、コシロと違い香奈に取引や経済についての話は出来なかった。
チビ助
「僕は、コシロさんのように香奈さんのお仕事の手助けは出来ません。」
青不動さん
「そんな事はもう必要ないんだよ。チビ助は、香奈の横にいて、元気づけるだけで、十分なんだよ。みんな、自分の役割は違うんだよ。香奈は、まだまだ役割が続いているんだよ。」
沙織は、時には席をあける事もあった。香奈は書類を読んでいるとチビ助が覗きこんでくる事もあった。チビ助は、ガードしている積もりだったので、香奈の側に大体いた。それにチビ助は段々コシロに似てきた。
香奈はそんな光景をみて、ふと思った。昔と一緒だ。