のら猫の三文小説

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香奈とコシロの子供たち No.217

2014-01-11 00:00:31 | 香奈とコシロの子供たち

隠そうとした秘密は、

やはり流れ出るものであった。




奈津美は、瑠璃のようにボッタクリはしないものの、そんなに甘い女ではなかった。例のレアメタルも出荷を制限して、価格を高止まりにした。


香奈オフィスは、ロボットの資源探索だけでなく、この大きな山脈の何箇所にもボーリング調査も行い、地中深くにかなりの鉱脈を見つけていたが、鉱山すら掘らなかった。



学術センターの近くの山にも見つけ、かなりの埋蔵量だった。オーストリアの聡美が株を半数近く保有している鉱山会社の鉱山でも見つけていたが、特に純度が高い、小さい鉱山で細々と採掘するだけだった。



アメリカやブラジルの快適鉱山でも鉱脈が見つかっていた。ジブの里近くも多量にあったのに、鉱山の維持が難しいとか言って、少量ずつしか掘らなかった。それでも今でも残り数年間の需要に対応する事は可能だった。




山の中腹も、実は山頂付近の鉱山の鉱脈は山から広大になったジブの里に流れ込む一大鉱脈である事もその後判った。恵が中腹に保養施設などを既に建てており、この鉱山は、地盤調整をしながら、採掘していたので、鉱山の維持が難しい事は事実であった。



しかし採掘する気になれば、香奈オフィスが採掘の権利を持つ鉱山には一杯あった。ジブシティーで、純度が低下したため、瑠璃が採掘を断念した近くの今は財団ビルが建っている地下には、純品に近い状態で埋蔵していた事はまだ誰も判っていなかった。


沙織がお不動さんの石仏を置いた場所の下は、このレアメタルの層が地上に最も近づいていた場所でもあった。湧き水は、このレアメタル層に一瞬接触しながら、湧いて出てきている事はまだ誰も知らなかった。



ここでの分岐状の水もリング状の水も香奈の家の近くよりは少し濃度は低いものの、極めて高いレベルでもあった。お不動さんの奇跡の水として有名にはなっていたが、製薬は何かを感じてはいたが、その濃度すらまだ誰も知らなかった。


香奈オフィス自身はやたらめったら、このレアメタルが埋蔵している土地を保有したり、運営に関与している鉱山で埋蔵している事は、判っていた。そのため、どこでもあるものだとすら思っていたが、ライバルたちが必死に探しているようだが、見つかっていないようだった。



奈津美は、価格を維持するために出荷量の調整をしていたのだった。表面的には、資源を掘り尽くさないようにとか、新しい鉱脈を探すとか名目をつけた。



スイスカナコインとの合弁の資源開発会社では、更にいくつかの鉱山を見つけた。なんとスイスカナコインの牧場の下付近にも大きな鉱脈があったし、例の金の廃坑の奥にも、金と共にある事がわかった。



奈津美は、今の価格を維持しながら、利益をコンスタントに出す事が必要と瑠璃にも言っていた。前のように多量にマーケットに出すのは、結局損と言っていた。



やたら埋蔵量があるので、奈津美は、今後の事を考えて、ジブ総合研究所の夢野らに、敷地の山で採掘したこのレアメタルを渡して、用途についての研究を夢野に依頼していた。夢野は、このレアメタル以外にも少量存在していた、別のレアメタルも気になったが、とりあえず、このレアメタルについて集中的に研究した。



このレアメタルはそれ自体、高エネルギーを内蔵しており、自由水に触れると、エネルギーを水に与え、水分子がエネルギーを吸収して、水分子がエネルギーを保持するために構造変化を起こし、水の状態を変えているようだと報告し、このエネルギーの取り出し方を開発すれば、このレアメタル自体が貴重なエネルギー資源になる。その方法を今後研究していきたいと報告し、ジブ総合研究所として、とりあえず研究を取りまとめて、近く学会に発表するとも伝えてきた。



夢野は、エネルギー研究所の所長ではあったが、ジブ総合研究所の所長でもあった。陽一はジブの副会長となって、ジブ総合研究所の副理事長と、ジブトラストの一部分となった経済研究所の所長と企業分析研究所の所長だけは兼任していた。



企業分析研究所は、ジブ総合研究所の一部門ではあったか、もう一つの大きな銀行や一族の銀行も出資しているし、独立しているような研究所でもあり、夢野は、経済研究所などには、口を挟まなかった。二つの研究所はジブトラストやその関連団体からの依頼研究も多く、その上、もう一つの大きな銀行や一族の銀行からの依頼研究もあった。その上、企業分析研究所は、ジブトラストの研究センターと協力して、陽一が運営していたので、もはやジブの一部分のようになっていた。



ジブ総合研究所の理事長は香奈だったが、研究所には行かなかったので、実質的には、陽一が理事長みたいなものだった。



夢野は、正統派の学者でもあり、知りえた事は学会に発表して、色々と意見を聞く事が大切と考えていた。本音としては、夢野は、ジブ総合研究所を実質的に作ったような人だったので、この研究所として、センセーショナルな研究を発表して、研究所の名前を売る事も少しは考えていた。



奈津美は、夢野からの報告も踏まえ、売り急ぐ必要はないと考えていた。先にレアメタルの利用方法を開発、研究する事を優先した。電子機器に使用されると言われていたが、電子機器への使用とは、言い難いルートでの購入がある事も気になっていた。