のら猫の三文小説

のら猫が書いている、小説です。
質問があれば
gmailのnaosukikan
まで連絡ください

香奈とコシロの子供たち No.218

2014-01-12 00:05:37 | 香奈とコシロの子供たち
意外な展開




スイスカナコインと香奈オフィスとの合弁の資源開発会社では、ヨーロッパでも、このレアメタルの鉱脈をいくつか見つけていた。



牧場の下はともかく、金の廃坑の奥は、金以外にこのレアメタルが大量に取れる事も判った。ただ金を食う、例の細菌の増殖も、ここの廃坑とは、他の廃坑とは違っていた。


そして表面に出来る金の純度が違う事も気になった。スイスの例の金の廃坑では、金を食う細菌の増殖は盛んで、ほとんど純金に近く、層も厚いのに、他の廃坑では表面だけとか純度も低かったりしていた。



精製方法を検討して、香奈オフィスからかなりの技術指導料も貰い、その後の金の採掘にも協力してきた実績もあった。金の採掘もあるだけ掘ってしまうものでもなかった。金の価格は結構変動していた。第一、スイスカナコイン自身が金も保有しているので、そこは慎重だったので、結局ほとんど金は採掘していなかった。



この金の廃坑には、金とあのレアメタルとがあった。あの金を食べる細菌はもう勝手に繁殖していき、廃坑どころか金が高純度で厚い層になっていた。このレアメタルもその下の層に蓄積され、純度も高くなっていた。



何かこのレアメタルそのものと、微生物との関係があると思い、微生物研究所が独自に研究していた。微生物研究所は、このレアメタルは細胞の生育促進因子であると報告した。



細胞は分裂していくが、ある段階から分裂した細胞は劣化していくが、このレアメタルがあれば、その分裂した細胞は劣化ではなく進化し、遺伝子の複製エラー頻度も極端に低下していた。それに病原性微生物の病原性部分は分裂する度に、病原性がなくなって行く事も判った。



微生物以外にも医学的な研究が必要だ、ただしこのレアメタルの機能は、一定の自由水濃度以上になった時に加速すると報告してきた。



一方、スイスカナコインは、以前からジブスイス財団から自前の病院も必要との要望に応えて、市内に病院を建設中だった。香奈には既に病院と付属する研究所の建設許可はとっくに貰っていた。



香奈は日本の財団の事を考えていたので、無理せずに維持できる程度にしなさいよ。維持費もいるしねと言いながら、許可していた。もうすぐ建設は終わるので、医師とか研究員の人選を既に終わっていた。



就任予定の薬理研究者は、微生物研究所の報告を見て、研究計画を練っていた。レアメタルの効果を分子的に検証したいとまだ高価だった可視化分子顕微鏡の最新モデルも購入していた。最新モデルは、今や静的な分子構造を見るだけでなく、反応時の動的分子構造の変化をモニタリングして、再生できる事が可能となっていたのが、魅力だった。薬理研究者は建物が建ったら、直ぐにでも研究したいと考えていた。



スイスカナコインの部門連絡会議もこの報告書を見て、研究所は、単に病院の付属組織ではなく、スイスカナコインの医学研究所として作り、微生物研究所とも協力して、ジブトラストと製薬の合弁の安部製薬フランスとも連絡を取って、新しい新薬の開発研究も進められるとの結論に達し、香奈への申請書類を作成中だった。



安部製薬フランスは、資本的にはジブトラストの方が安部製薬よりずっと多い会社だった。それだけにスイスカナコインには、香奈の関係会社との意識があり、共同して研究しないかの事前の打診をしていた。その結果を踏まえて、香奈に提案したいと考えていたのだった。



安部製薬フランスは、可視化分子顕微鏡の最新モデルは既に購入していた。スイスカナコインの提案を受けて、独自に簡単な所見を加えた。このレアメタルは、本質的には水に溶解なんぞはしないが、それでも極々微量は溶解して、このレアメタルが極々微量溶解するだけで、分岐状の水とリング状の水を発生させるが、リング状の水の動的な分子構造が今までのリング状の水と異なり、何故か安定な状況を維持しているようだとの所見を得ていた。分岐状の水も活性が違うような気がする。ひょっとしたら細胞活性化と云うレベルを超え、生体の若返りや脳細胞の維持、成長を促すかもしれない、まだまだ新しく測定機器なので、断言できないがと云う所見を得ていた。



研究開発部門は、人類の歴史を変えるような、人の寿命を長くし、各種の細胞レベルでの機能維持ができる可能性もあると云って、共同研究を受諾する方向で意見をまとめ、多額の投資も提案し、役員会でも承認された。



安部製薬からの派遣役員も日本に連絡しようとしていたし、ジブフランスからの派遣役員もジブトラストの神太朗に報告し、ジブトラストからの増資まで進言しようとしていた。



神太朗は、ヨーロッパ域内連絡会議を開き、協力できる事は推進して、お互いの情報交換は密にするように指示していた。ジブドイツそしてその関連会社でもあるオーストラリアの鉱山会社、そしてそのオーストラリアの鉱山会社に役員を派遣して、鉱山の運営をしている香奈オフィスへと、情報が流れるのも時間の問題だった。



製薬が秘密にしていこうとしても、既にジブ関係ネットワークで、製薬の知らない事まで、流れ出す寸前であった。