ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

ビルボードツアー2022おまけ1

2022-06-27 22:20:00 | ツアー
ビルボードツアーが終わり、そのファイナルステージの配信アーカイブ期間も終了しましたが
今年のツアーにまつわるアレコレを整理しておきたいと思います
まずは、甲斐さんがその表紙も飾られた
「bbl MAGAZINE」6月号のインタビュー記事から…

「2015年にスタートして8年目を迎える甲斐よしひろのビルボードライブのステージ
ソロ35周年を迎えたレジェンドは、そのライブを『チャレンジの場』だと語る
ロック・ミュージシャンとして彼は『時代』とどう向き合ってきたのか
そして『いま』をどう感じているのだろうか」…という前置きに続き

「ソロとしての甲斐よしひろは、今年4月でデビュー35周年を迎えました
甲斐バンドは2024年に50周年
小学3年生の頃に、ビートルズやローリング・ストーンズに出会って以来
ずっとロック、音楽と共に生きてきました
その中で感じてきたのは『時代』というのは常に動いているということ

ここ約20年でも、同時多発テロ、東日本大震災、コロナ禍
そしてロシアのウクライナ侵攻と大きな出来事が5年、10年に一度は起きてしまう
音楽の世界でも新しいサウンド、メッセージが現れる
だからこそ、そうやって変化する時代を感じて、時代の空気の中で表現すること
その衝動を失ってはいけないと思うんです」と甲斐さん

この言葉に関しては、予てより「ロックとお笑いは『今を切り取る』」とか
「ジョン・レノンが『インスタント・カーマ』を書いた時に
『新聞のように毎日、曲を届けられたらいいのに』って言ったっていうのと同じで
ジャーナリスティックじゃないと、ロックじゃないんじゃないかと思う」とおっしゃってますし

阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件が起きた、1995年のインタビュー記事では…
「今は色んな音楽が混合してるから面白いですよね
10代の子は70年代を一生懸命聴いているし、良い意味のワイザツ状況だし
ロスやNY、ロンドンより東京が一番すごい
クラブにも出かけて遊んでますし、居心地は良くなってますよね

その今のテンションで20年を切り取った『少年の蒼』は
僕の中の『ハートブレイク・ソング』を集めたという一面もあるし
『GUTS』は、時代の今の空気を映したアルバムです」…と同年にリリースなさった
ベストアルバムとオリジナルアルバムについて語っていらしたし

今回のソロ35周年記念ベスト「FLASH BACK」のリリースにあたられても
「今の時代を感じさせる音」を心がけたとおっしゃっていて
「ロック」と「時代」は切っても切れない…
イヤ、切り離しては考えられないものなんだとの思いは、ずっとブレることがなく
表現のためのモチベーションを持ち続けておられるんじゃないかと…?

ともあれ…「『時代を感じる』ということにも、いくつかの意味があると思います
音楽的なことでいえば、サウンドやメッセージ自体の変化、進化もそうですし
聴いてもらう方法も変わりました
レコーディングのデジタル化やSNSやクラウドでの発信というと
テクニカルな面での変化だと思われがちですけど
それは時代感覚、気持ちの部分と常にリンクしているんですよ

ビリー・アイリッシュが象徴的ですけど、いま何を感じているのか
そのスタイル、流儀、つまりは個性をベッドルームから世界に発信することができる
いま『こういう時代』だからこそ、世界に向かって時代とリンクした表現が求められるし
インターネットによって、それができる環境にいる

僕の例でいえば、湾岸戦争の時に書いた『レッドスター』というナンバーがあるんですが
先日、その曲にウクライナへのメッセージを加えた字幕を付けた動画をアップしました
大袈裟に旗を振らなくても、キャッチしてくれる誰かが存在する時代になった、そう感じています」
…と話されてますが「レコーディングのデジタル化」はさておき

Kainatsuさんが、お父様にショートメールを送られたあと
返信はともかく「せめて気づいてくれ(笑)」とツイートなさるような(笑)
いわゆる「デジタル難民」の甲斐さん(失礼!)が
そうした時代の流れに注目なさっていたからこそ
YouTubeやLINEを発信手段にするという発想が生まれたんだと思われますし

コロナ禍になって以来「破れたハートを売り物に」や「嵐の季節」の動画をアップなさったり
ある意味「ライブ」に対する「背信行為(笑)」と嫌がっていらした「ライブ配信」も
当初の「緊急措置」といったものから「新たな形態」として、すっかり定着した感がありますが
「僕はそれが60年代に似ているなと思うんです」と甲斐さん

「当時、何かを変えたい、何かを伝えたいと思った世界の若者が
夢中で歌い始め、新しい映画を撮り始めた
これまでにないものを生み出したい、既定路線じゃ満足できない、でもお金がない
だったらライブハウスやストリートで始めればいいし
映画だったらオールロケのロード・ムービーで撮ればいい
その初期衝動を世界がキャッチして『ロック』『ヌーベルバーグ』という新しい原型になっていった

当時の彼らが『これまでの世界』という得体の知れないものに立ち向かったように
今も得体の知れないものと闘っている時代じゃないですか
技術やツールは違っても『越えていく』表現をしなくちゃいけない
きっとTikTokでもいいんですよ。短かろうが長かろうが人の心を揺さぶる表現
それを僕もチャレンジし続けていくと思います」と説明なさってますが

「音楽の聴き方 激変の20年」という記事に…
スマホが広まったことによるサブスクの普及が原因で、オンキョーが自己破産したことについて
「ある程度、市場の変化に対応しようとしていたものの
やはり『良いモノさえ作っていれば売れる』という
モノづくり信仰が色濃かったことも失敗の要因だった
過去の成功体験は、次の時代の硬直性になる」との指摘があった一方で

「自分の持つ音楽をすべて持ち運べる」ほどの大容量を誇ったiPodも
最終機種では、電話以外の機能の多くがiPhoneと共通していて
生産終了となったことを伝える記事には
「ウォークマンの進化版だったiPodは、人々が音楽を聴く場所や機会を更に広げた
そして、シャッフル機能などによって、アルバム1枚単位で聴く文化の崩壊が始まった
様々な意味で、音楽界や音楽の聴き方を変えた機器だった」との記述があり

時代の変化に伴って変われない会社も、時代の要求に応えて進化したモノも
新たなツールに吸収されて、共に淘汰されて行くという皮肉に、ナンとも言えない気分でした
まあ、奥さんは、甲斐さんのリリースされたアルバムの「コンセプト」を味わうため
A面の1曲目からB面のラスト曲まで、その順序通りにしか聴かないので
アルバムがCD化されてからも、シャッフル機能は1度も使ったことがないし(笑)

若者の間で広がっているという「倍速視聴」は
「少しでも多く食べて元を取ろうとする食べ放題バイキングのようなもの」との記事に
「うん!うん!」と頷いたりしてますけど(笑)
CDやDVD、ケータイにPC、スマホに配信など
我が家のデジタル化は、すべて甲斐さん発祥なんですよねぇ(笑)

更に甲斐さんは…「あらためて振り返ってみると、甲斐バンドのデビューは1974年
60年代末から70年代初めに登場したはっぴいえんどやサディスティック・ミカ・バンドを
日本のロックの第1世代だとすれば、僕たちは第2世代
ロックが認められはじめた、でもまだメイン・ストリームではない
そんな時期に求められたのがシングル・ヒットという存在証明

当時は1年に3~4枚のシングルをリリースしなければならなかったんだけど
個人的にはビートルズやストーンズからスタートしてますから
チャート上位にロック・バンドがいることも当たり前で、特に抵抗はなかった
幸運なことに甲斐バンドはセカンド・シングルの『裏切りの街角』がヒットしたことで
名前を知ってもらえるようになって、そこから今度はアルバムも売れるようになっていく

いわゆる歌謡曲が並ぶチャートの上位に入るということは
言ってみれば阿久悠さんもライバルということでしたね(笑)
僕たちだけではなく、色々なロック・バンドが
そうやって市民権を獲得して道を拓いていった、そんな時代です」…と話されてますが
1枚のアルバムにつき、2枚のシングルがカットされるのが通例だった当時
例えば、10曲収録のアルバムなら、AB面あわせて4曲がリリースされた訳で

限りある小遣いの中からレコード代を捻出していた、ある小学生(笑)は
先行シングルを買いたい衝動がナカナカ抑えられず
「あと少し我慢すれば、アルバムが出て思いっきり聴くことが出来る!」と
何度も何度も自分に言い聞かせていたらしい(笑)
もっとも、あまりにも我慢を重ねた反動で、アルバムを聴き倒し過ぎて
早々にアルバムを買い替える羽目になったこともあったみたいだけど…(笑)

それはさておき…「そこから約半世紀が経った今
甲斐バンドとソロの甲斐よしひろというふたつのスタイルでステージに立っていますが
そこには違ったモチベーションがあります
まず、甲斐バンドにはヒット曲、代表曲がありますから
当然そのナンバーを聴きたいと思うオーディエンスが足を運んでくれる
じゃあ、いつも同じライブなのかと言えば、それは違う

これまで『誰もライブをやっていない会場でやろう』というテーマを持って
日本で初めてのスタジアム・ライブだった花園ラグビー場
都庁ができる前の西新宿の高層ビル街でのイベント
日本初のオールスタンディングだった品川プリンスゴールドホール
最近では奈良の薬師寺でライブを行ってきたのも、甲斐バンドのモチベーションのひとつです

その一方で、ソロの活動を続けるモチベーションは『時代と向き合うチャレンジ』
レコーディングでいえば、ソロの最初の2作はNY、そこからロンドン、LAと場を移しながら
ボブ・クリアマウンテン、ニール・ドーフスマン、ジェイソン・カーサロといった
その時代時代の音を生み出してきた世界的エンジニアと組ませてもらいました

今回リリースしたソロ35周年のベスト盤も
ロンドンのジョン・デイヴィスにデジタル・リマスタリングをお願いして
何曲かは時代のクオリティを意識したリミックスも行っています
そして、ビルボードライブでのライブ・シリーズを重ねているのも
そうやって『新しい時代の自分』にチャレンジする場だからなんです

このライブは、ドラムレスでフィドルが入った
ネオカントリー・スタイルの編成でやりたいと思ったのがきっかけ
トラッド、フォーク、カントリー、ブルースという、いわばロックの根幹にある編成で
根源的でシンプルだからこそ、いろいろな切り口の表現ができる

ありがたいことに好評をいただくことができて、今回で8年目
これまでのライブをまとめたDVD BOXもリリースすることができましたし
自分で言うのもなんですけど、凄いことを重ねてきたなと実感してますね
1年目のビルボードライブでは『客席が近いな』っていう戸惑いもあったんですけど
今では堂々とホームと呼べる場所になりました

特にコロナ禍を経たこの2年は、音楽も含め、自分にとって大切なことと向き合い
さらに進化していくというそんな時代感覚が芽生えたように思います
そういう意味でもビルボードライブは、その選ばれた場所になり得る、そんな空間だと思うし
これからもそうあってほしいですね」と結ばれてますが

「今夜はフォークです!(笑)」という衝撃の宣言(笑)から始まったこのシリーズも
奥さんにとっては、今や「春の風物詩」であり
甲斐さんにとっても、ソロ活動の大きな柱の1本…「ライフワーク」といった
おもむきが感じられるシリーズとなり、この先の展開が楽しみな反面
今年のツアー内容があまりに素晴らしかっただけに
来年は、どうやって「今年」を越えるんだろうと心配しているみたいです(笑)
コメント
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