ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

シラノ・ド・ベルジュラック3

2018-06-17 14:49:00 | ライブ
「主人公というのは、どこか変人でないと面白くなくて
シラノはヒーローだけど、まさに変人
自分の生き方を貫く羨ましさがある一方で
周りからすれば、大変迷惑な人ですよ(笑)」と吉田鋼太郎さん(笑)

プログラムの解説にも…
「完全無欠の正義のヒーローに憧れるのはお子サマまでで
いいオトナは、不完全で不器用で、時に意固地で
風変わりなヒーローにこそ、心を揺さぶられるのである」…と記されていて

そんな風に、ちょっと人よりも強い何かを放つ
でも、それ以外はきっとどこにでもいるような愛すべき人物がヒーローなら
かつて甲斐さんがおっしゃったみたいに
「どの街角にもヒーローはいる」でしょうね?

一方、この舞台のヒロイン・ロクサーヌは
「ちょいちょいめんどくさい」と演出の鈴木裕美さん(笑)
「とにかく詩が好き、言葉が好き…というオタク気質の絶世の美女」
…って「未解決の女」の「文字フェチ」鈴木京香さんみたいな感じ?(笑)

そのロクサーヌ役の黒木瞳さんは…
最初「空気を読まず、どこか軽い
ちょっと変わってる人」という印象を持たれたそうですが
鈴木さんから「全てにおいて完璧で知的な女性であるにも関わらず
詩、言葉というものに心を奪われているという
ただその1点が、まさに『変わった人』」だと説明されたんだとか…(笑)

吉田さんの「主人公」説が、ヒロインにも当てはまるなら
ロクサーヌも充分面白いんじゃないかと…(笑)

実際、今回の舞台では「大事なお話があるので、ご都合の良い時間と場所を…」と
シラノのもとへ侍女を使いに出すロクサーヌ
「もしかしたら…」「イヤ、まさかそんな…」と舞い上がるシラノ(笑)

約束の時間よりも早く、友人が経営するカフェに到着し
ロクサーヌのために椅子にハンカチを敷き
友人には、10秒おきくらいに「今、何時だ?」と訊ねるなど
そわそわと落ち着かず…(笑)

ロクサーヌが現れると、付き添って来た侍女に
カフェの売り物であるパンやスイーツを山ほど持たせ
「全部食べ終わるまで、入って来てはいけない」と人払いして…
ちなみに、このスイーツの量は、公演を重ねるごとに増えていたらしい(笑)

やっと聴いた「大事なお話」は「クリスチャンへの溢れる愛」
しかも、パーティーで数回見かけただけの全くの一目惚れにも関わらず
「あんなに美しい人なのだから
素晴らしい詩を書くに違いない」と確信していて(笑)
そのくせ、シラノの気持ちには気づかず、グサグサえぐる鈍感さ(苦笑)

最初は、ガスコン青年隊に入ったクリスチャンが
危険な目に合わないように守って欲しい…と謙虚だった態度が
どんどん畳み掛ける調子に変わり
最後は「じゃあ、お願いしますね、さようなら」と
丸投げでシラノに押し付けて帰ってしまうそうで
確かに「めんどくさい」女性かも知れません(笑)

が、そのロクサーヌの想い人・クリスチャンは
「美しい詩を書く」には程遠いタチで
「好きだ!」「大大大大、大好きだ!」と叫ぶのが精一杯(苦笑)
まあ「おっさんずラブ」にドはまりしていた奥さんにとっては
「最終回の『はるたん』みたい♪」とキュンキュンする場面だったようですが(笑)

ロクサーヌは、このストレートな告白には、1ミリも心を動かさず…(苦笑)
「どのように好きなのか、おっしゃって…」と愛の詩をねだられ
両手を広げて「これくらい…イヤ、もっと…」とクリスチャン…って、子供か!?(笑)

「恋をすると100曲書ける」とおっしゃっていた甲斐さん(笑)
でも、当のお相手に「『君のために書いたんだ』とは言えない」みたいですし
お国柄や時代背景が違うとはいえ
「シラノ」よりは「クリスチャン」に近いかなあと…?(笑)

ともあれ、そんな素直で純粋な…というか
ちょっと今どきのちゃっかりした若者風な面もあるからこそ
「詩人というものは、いついかなる時でも己れの技量を試したいと思うものなのだ」

…などというシラノの言葉を鵜呑みにし
自分の代わりにロクサーヌへの詩を書いて貰えることを
「えっ、マジで!?イイんっすか?(笑)」と受け入れることが出来たんじゃないかと…?

かの「ロミオとジュリエット」のバルコニー・シーンに
負けずとも劣らないとされている場面では
シラノから「俺の言う通りにマネをしろ」と言われて
バルコニーに立つロクサーヌに愛の言葉を贈るんだけど

「もうちょっと向こうに行け」と
自分に出された指示も
口移しにロクサーヌへ叫ぶクリスチャン(笑)
「違う!違う!」と慌てるシラノの言葉も「違う!違う!」…という調子(汗)

ちょうど月が移ろい、シラノとクリスチャンのいる木陰を暗くしたのを良いことに
シラノは自分の口で、ロクサーヌに愛の詩を贈り
感激したロクサーヌは、クリスチャンをバルコニーへ誘い
熱い抱擁を交わす2人を陰から見上げるシラノ

その心中を思い、奥さんが切ない気持ちになっていたら
「チッキショーッ!」と「小梅太夫」も真っ青な叫び(笑)
泣いていいのか?笑っていいのか?判らないフクザツな気分と共に
「『黒澤部長』が『牧くん』みたいになってる〜!(笑)」と
ここでも「おっさんずラブ」現象が…(笑)

まあ、この舞台のレビューを拝見すると
奥さんと同じ症状に見舞われた方も少なくなかったようですが…(笑)

それはさておき…シラノの咄嗟の機転で、ド・ギッシュ伯爵を欺き
5分間で結婚式を済ませた2人を引き裂くために
ガスコン青年隊は、危険な戦闘地への出撃を命じられ…

と、つくづく「ゲスの極み」のド・ギッシュ伯爵…(汗)
奥さんは、最初からずっと「この役者さん、誰だっけ?
絶対、見たことあるのに…」とモヤモヤしていたのが
何かの拍子に「ああっ!六角精児さんだ〜!」と気づき
思わず声を上げそうになったらしい(笑)

もっとも、吉田さんも黒木さんとの対談で…
「トレードマークの眼鏡をかけていない扮装姿だけでもおかしい
六角が伯爵を演じること自体、画期的とも言えます」とおっしゃってるし(笑)
稽古場では「ド・ギッシュがツボにハマる者が続出中」だったようです(笑)

そうそう!劇中で六角さんが、ギターの弾き語りをなさる場面があり
稽古の時に清塚信也さんから「バラード系にしましょうか?
ムーディーなジャズは?」と提案されて
「ナゼか、やたらムードたっぷりな雰囲気に」決定したんだとか…(笑)
それは、ちょっと聴いてみたいですねぇ(笑)
コメント
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