読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

『朝鮮史』

2015年06月03日 | 人文科学系
『朝鮮史』(朝鮮青年社、1976年)

最近テレビドラマで『善徳女王』を見ていると、三国時代が描かれている。今はまだ善徳女王になる前の徳曼が自分の出自を発見するというところで、キム・ユシンは出てくるが、キム・チュンチュはまったく出てこない。

少し前に見ていた『大王の夢』では主人公がキム・チュンチュとキム・ユシンで、善徳女王は彼らの三国統一の夢を支える存在として描かれていたので、どうなっているのだろうかと、その辺りの事情を知りたいと思い、この本を読んでみたのだが、もちろんそんなことまでは書いてない。

むしろマルクス主義的歴史観による、原始共産制から封建国家へ、封建国家内の支配者たちの争い、事大主義などという記述の仕方がされているだけ。ただ660年にキム・チュンチュとキム・ユシンが三国統一の戦いに打って出たということは明記してあるので、その辺りのことは分かった。

良くも悪くも、地理的な関係から、朝鮮半島は中国との関係が切っても切れない。この本を読むと、中国に新しい国家が誕生するたびに、その膨張主義によって、侵略の憂き目にあっているのが朝鮮半島である。

また日本との関係は、日本に多くの朝鮮人が渡ってきたという意味で、とくに奈良時代あたりまでは切っても切れない関係にあった。多くの神社や土地の名前にその名残が残っているとはいえ、はっきりしたことが分からないので、もともと日本人というものが住んでいたところに朝鮮から渡来人がやってきて、居住圏を形成したくらいにしか思われていないようだが、そうだろうか。

金達寿の『日本の中の朝鮮文化』を読むと、九州から関東までのほぼ全域にそうした名残があるということは、ほぼ彼らの国と言ってもいいような状態が奈良時代までは続いていたのではないかと思われる。そしてそれはその後駆逐されたというよりも、定着して固有化していったと考えるべきだろう。

古い本だし、大雑把な概略が分かる程度のものなので、それはそれでよかった。日本の歴史も読みなおしてみたいものだ。

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