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仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

鏡に映った顔

2013年11月25日 | 日記
ゆるキャラの、人気投票発表がありました。ゆるキャラには、悪意も興味もありませんが、ふと“ゆるキャラの流行の理由”に思いが及びました。

分析するほど、現代社会をよく見ているわけではありませんが、格差社会や展望の見えない未来への、ぎすぎす感が、アットホームなゆるキャラを生み出しているようにも思われます。

しかし、ゆるキャラ流行の理由については、議論があるところでしょう。ゆるキャラ流行の背後に、現代の何を見ていくか。そこに、何者かを見出していくその人の現代に対する考えや価値観があります。

今朝、昭和56年録音の「宗教の時間」“鈴木大拙の日常生活”について、晩年(昭和41年7月12日死亡)、82歳の大拙に ニューヨークで出会って大拙が死ぬまで10数年間寄り添った岡村美穂子さんと、聖路加病院の日野原先生との対談を聴いて歩きました。

岡村美穂子さんは、14.5歳の折に、大拙師に出会った時のことを話されていました。

青年期の反抗期で、そうした悩みを抱えて、大拙師を訪ねた。師は涙を流して、岡村少女の手のひらを広げられて、美しい手ではありませんかと告げ、エマニュエル スウェーデンボルグのある12歳くらいの少女との話を紹介された。

 少女はスウェーデンボルグに対して「神さま神さま、というけど、神さまは、どのような顔をしているのでしょうか。」と訊ねた。スウェーデンボルグは、少女を椅子に座らせ、ちょっと待ってなさいよと言う。カーテンを開いたらそこに神さまがいます、神さまの顔をよく見てごらんないさいといってカーテンを開く。そこには鏡があり、その鏡には少女の顔が写っていた。スウェーデンボルグは少女に「これが神様の顔です」と言った。(以上)

大拙師は、おそらく“あなたはかけがえのない存在である”ということを告げたかったのかも知れません。

ゆるキャラの話に続いて、この話を持ち出したのは、ゆるキャラ流行の上に何を見るかという点と、鏡に映った自分の顔の上に何を見出すかという共通点があるからです。この鏡の話、真宗だったら、鬼に合わせてあげようと、鏡を見せることもあります。自分の上に何を見出すか。それは仏教的に言えば「仏の眼に映っている私は何者か」ということでしょう。
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知的文化と情緒的文化

2013年11月24日 | 日記
産経新聞(25.11.24)に「論説委員 日曜日に書く 福島敏雄」に“「法」にふらなければいいのか”という題で、松下幸之助さんの言葉を引用していました。

「欲望の善悪は、それを満たそうとする行いが、お互いの繁栄、平和、幸福を進めるかによってきまします」(松下幸之助の哲学から)

しかし現代のように価値観が,多様化すると“お互いの繁栄、平和、幸福”とは何か、から論義しなければならない時代になっています。それとともに価値観が多様化して行くと、法律万能社会になりやすい傾向があります。こうした時代は“本当に大切なものは何か”と問うことでしょう。

今朝ウオーキング時、昭和50年台に録音した京大総長をつとめた平澤 興(ひらさわ こう、1900明治33年~1989平成元年)氏の話を聞いていました。師は潟県生まれの門徒の方です。

話しの中でバートランド・ラッセル(1872~1970)が、当時のイギリスにたいして警告した「知的な文化は発展しているが情緒的な文化は、昔に比べて衰退している」を紹介していました。日本の学校教育も道徳を見直す方向にありますが、情緒的な文化をどう育てるか、難しいことですが大切なことです。
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実家の報恩講

2013年11月23日 | 日記
実家の天真寺報恩講(千葉県松戸市)、午前中は入門式、昼過ぎに境内で舞楽と雅楽の演奏会、そして法要でした。首都圏の新しい寺では、毎年、門信徒会への新入会者がいるので、入門式が開かれます。私の寺では省略ですが、毎月の法話会への初参加者には、拙著(脱常識のすすめ)をさしあげています。毎月2~4冊出ます。

先の天真寺の報恩講、境内には福島から来た野菜店等、出店が7店舗くらい出ていて、にぎにぎしく勤まりました。
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苦しみには意味がある

2013年11月22日 | 仏教とは?
今朝のウオーキング、玉城康四郎先生(昭和51.2.28、文化講演会)の「目覚めの原型」の講演録を聴きながら歩きました。

ご講演の最後にコーサラ国のアングリマーラの話をされました。

アングリマーラは残忍にして殺戮を事とし、人々を殺しては、指をとって首飾りとしていた男です。のちに釈尊に帰依します。

釈尊の弟子となったある日、アングリマーラは町に行乞にでかけた。

はたして、町の人はあの悪名高きアングリマーラを見つけると、ある者は土塊を投げつけ、ある者は石を投げつけ、又ある者は棒を投げつけ彼を傷つけます。
アングリマーラは血を流し、鉢をこわされ、衣をひきさかれてブッダのもとへ帰ってきた。
その姿を見て、釈尊は説法とします。

「アングリマーラよ、忍び受けるがよい。なんじは、なんじの行為の報いによって、幾とせも幾とせも、他生において受けねばならぬ業果を、いま現在においてうけているのである。」(以上)

釈尊の「未来で地獄に落ちて受ける苦しみを今受けているのだ」、これは何を語っているのかと、歩きながら考えました。

1つの味わいとしては、たとえば昨日の精子提供による出産の話とすれば、子どもを産まないことによって受ける苦しみは、将来、精子提供によって、そのことが原因で子供が受ける苦しみを今受けている。

あるいは原子力発電を断念してもたらされる苦しみは、原子力発電稼働によって将来の人が受ける苦しみを今受けている。

もう少し味わいを深める必要がありますが、その時の苦しみには、そのとき苦しむ意味があるということでしょう。
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出自を知る権利

2013年11月21日 | 日記
読売新聞(25.11.21)に「私の出自教えて」“仏、情報開示訴訟相次ぐ”―精子提供で生まれた子―という記事が掲載されていました。

情報として興味があるので転載します。(以下新聞より転載)

提供精子で生まれた子の「出自を知る権利」法制化が進んでいる

スエーデンー1984年制定の人工授精法で、「十分な年齢に達した」子供に情報開示を認める。
スイスー18歳でドナーの情報請求可能
オーストリアー14歳で情報請求可能
英国―18歳で情報請求可能、結婚を控えた場合、16歳でも可、ドナー側に「結果を知る権利」も。
フランスードナーは完全匿名。子どもの治療に必要な場合に限り、医師に情報開示。


フランスで提供精子によって生まれた子どもたちが、相次いで「出自を知る権利」を求めて訴訟を起こしている。仏はドナー(提供者)の匿名を法律で定めるが、欧州各国で情報開示の動きが進んでいるためだ。
     
 パリ郊外の大学生、クレマンールシアルさん(24)は今月、自分が生まれた病院に「生物学上の父親の情報開示」を求め、パリの裁判所に提訴した。
 ルシアルさんはI人っ子。彫りの深い顔立ちで、丸顔の両親と似ていないのが幼少時から不思議だった。11歳の時、父親に「私は本当の父ではない」と第三者の提供精子で生まれた事実を告げられた。母と共に病院や政府機関を訪れて 「ドナーは誰」と尋ね歩いたが、門前払いだった。「自分の根っこが見えず、どんな遺伝病があるのか、きようだいがいるのかも分からない。不安を抱えて生きるのはつらい」と訴える。
 仏では1973年以来、公的機関が精子バンクを管理しており現在、国内に約20か所の拠点がある。政府統計によると2011年提供精子で1099人、卵子で208人の子どもが誕生した。1994年制定の生命倫理法は「ドナーは匿名、無報酬」と明記。情報漏えいは禁錮2年、罰金3万キ以下の処罰対象となる。
 だが、84年にスウェーデンが子どもの「出自を知る権利」を法制化し、オーストリアや英国が続いた。「子どもの権利条約」で「できる限り父母を知る権利」が明記され、子どもの人権重視の傾向が強まった。匿名精子による遺伝疾患への懸念もある。ドナー情報について明確な法がないドイツでも今年2月、ノルトラインーウェストファーレン州の地裁が、生物学上の父親の情報開示を求めた女性(22)の訴えを認めた。
 仏では2004年、提供精子で生まれた3人と支援する医師らが情報開示を求めて「匿名生殖医療の会」を結成。現在、会員は約300人に達した。オドレイーゴバン会長によると、これまでにルシアルさんら5人が開示請求訴訟を起こしたが、法廷は「国内法で禁じている」ことを理由に退けてきた。
 仏世論調査では、精子提供者の6割が「情報開示されるなら提供はしない」と回答。提供者が年々減少する中、法見直しに慎重論は根強いが、ゴバン会長は「我々は仏法は人権侵害だとして、欧州人権裁判所で争う覚語だ」と話している。

日本では厚生労働省の厚生科学審議会生殖補助医療部会が03年、提供精子の情報については、15歳以上であれば「氏名、住所等(精子・卵子・胚の)提供者を特定できる内容を含め、開示請求することができる」と報告書で明記した。だが、法制化には至っていない。(以上)

難しい問題ですが

“「親が子どもに知らせる覚悟もないままに選択した治療は間違っている」(精子提供により生まれた30代女性)”
http://blog.goo.ne.jp/aijyou-kun/e/72737d327300c775f4e619785f714fa3
と言われるように、生む側も、ただ子供が欲しいというだけではなく何らかの覚語がいるのだと思います。
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