仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

拙著の書評④

2013年12月28日 | 日記
少し古い貴寺ですが、拙著の書評です。掲載『仏教タイムス』

http://www.bukkyo-times.co.jp/cn28/pg127.html

西原祐治
『苦しみは成長のとびら―仏教者からの処方箋』
太陽出版

 都市における現代人への開教は、どうあるべきか。浄土真宗東京ビハーラ会長を務め、自らの都市開教寺院を18年前に立ち上げた著者が、そのアプローチの手法として苦しみに寄り添うという仏教本来の伝道の原点を示したのが本書だ。

 様々な時事を通して、仏教的視点から苦しみの原因とは何か、苦しみの底に見える光とは何か。仏教者から現代人へのメッセージとなっている。

 苦しみの底にある、もっと深い領域に横たわっている苦しみの原因が、仏さまや聖者の言葉にふれることによって、自身の中にある闇として洞察されていく。ここに根本的な苦しみから解放されていく糸口がある。一般に難解な仏教用語を解説するのではなく、あくまでも仏教の視点から苦の原因を解き明かすことに主眼が置かれている。

 自分の闇が明らかになることで和らげることができる。「苦しみを通して洞察される無力体験こそ、自己超越のターニングポイントとなる」と説く著者。苦を契機に、自分の中の闇と光を見つめ直すことが、苦から解放される仏の道であることに気づかされる。

 本書では、個人の悩みや苦しみにいかに答えていくか、人生相談形式の思考実験も試みられている。自分ならばどう答えるか。短い相談の文面であっても、そこから仏教的視点でこれ程の洞察が得られるのか、と教えの応用とも言える回答に頷くばかりだ。
(四六判・204頁・価1365円)
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