仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

健常発達症候群

2023年04月04日 | 現代の病理

『普通という異常 健常発達という病』(講談社現代新書・2023/1/19・兼本浩祐著)からです。

 

「健常発達症候群」

 光岡英棯と福森仰の二人が、ある対談のなかで、アメリカ自閉症協会有志が健常発達の人について作成した興味深い定義を紹介しています。以下のようになります。健常発達は、ここではニューロティピカルジという言葉に当たるのですが、直訳すれば「神経組織として定型的な」とでもなるのでしょうか。「はじめに」で紹介しかように、価値判断から中立的な定型発達に当たる用語が当然ながら用いられています。いずれにしても健常発達的心性を持つ人たちを「健常発達症候群」という障害としてみて、つぎのような健常発達の人の疾病的特性を挙げています。二人の対談記事をもとに紹介してみましょう。

 

(1)ニューロティピカル症候群は遺伝的に発生すると考えられています。

(2)非常に奇妙な方法で世界を見ます。時として自分の都合によって真実をゆがめて嘘をつきます。

(3)社会的地位と認知のために生涯争ったり、自分の欲のために他者を罠にかけたりします。

(4)テレビやコマーシャルなどを称賛し、流行を模倣します。

(5)特徴的なコミュニケーションスタイルを持ち、はっきり伝え合うより暗黙の了解でモノを言う頤向かあります。しかし、それはしばしば伝達不良に終わります。

(6) ニューロティピカル症候群は社会的関心にのめり込み、自分のほうが優れていると妄想し、周りの人間と強迫的に同じになろうとすることに特徴付けられる、神経性生物学上の障害です。

(7)悲劇的にも、発生率は非常に高く、一万人に対して九六二四人と言われます。

(8)治療法は現在のところわかりませんが、多くのニューロティピカル症候群を持つ人は、自らの障害を代償して、正常に自閉症の人と交わることができるようになります。(以上)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする