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仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

死後事務委任

2025年01月18日 | セレモニー
『図解入門業界研究 最新 葬儀業界の動向と仕組みがよ~くわかる本』(2024/11/9・吉川美津子著)、業界の動向全般が、よく理解できる本でした。

死後事務委任は家族からそれ以外へ
結婚しない人や子どもがいない人が増え、納骨や役所の手続きなどの死後事務を担うのは家族という常識が揺らいでいます。死後事務を寺院が引き受ける動きがあります。

単身世帯の増加により
 各種手続きの代行が課題
 一人暮らしが増え続けています。核家族は子どもが独立した後、夫婦のどちらかが亡くなると大半が一人暮らしになりますし、子どもを持たない選択をする人、生涯未婚の人も増えています。そのため2050年には全5261万世帯の44・3%に当たる2330万世帯が一人暮らしになると推計されています(国立社会保障・人口問題研究所推計)。このうち65歳以上は1084万世帯で全体の20・6%を占めます。一人暮らし男性高齢者のうち未婚者の割合は59・7%、女性もその割合は30・2%になるとみられています。「おひとり様社会」です。
 人が亡くなった後には、火葬や納骨、役所での手続き、様々な契約の解除といった死後事務が発生します。以前なら当然家族が担うものと考えられていましたが、おひとり様社会では必ずしもそうはいきません。亡くなる前でも、認知症になった際の成年後見を誰が担うのか、入院や介護施設入居時の保証人をどうするかも同様です。
 そこで、NPOや法律事務所、社会福祉法人、社会福祉協議会などが、身元保証や死後事務委任の契約を結んで後の事務を請け負う動きが広かっています。「高齢者等終身サポート事業」「身元保証等高齢者サポート事業」「生前契約」「エンディングサポート」などと呼ばれます。登場した90年代頃は画期的な取り組みでした。

寺院と専門家で共同サポート体制を
 もともと、付き合いが長く信頼する僧侶に「菩提の弔いはこれでよろしく」とお金を渡し、弔いだけでなく死後事務を頼るケースはありましたが、お金が絡む問題は訴状リスクなどの難しさがあります。そのため、今ではきちんと契約を結んで体系化することで檀信徒、寺院双方の安心につなげることが求められています。寺院単独で請け負うのではなく、法律などの専門家と協力するケースが多くみられます。
 山梨県では宗派を超えた複数の寺院が共同で「ソーシャルテンプル」という一般社団法人を設立。県内の行政書士らの協力を得て「ゆくすえサポート」という名称でエンディングサポートを担っています。寺院は檀信徒らの相談窓口であると同時に、仏事や供養を担います。成年後見や相続、死後事務委任契約などは専門家に委ねることで樞信徒の生前から死後を支えるのです。法律家や葬儀社などが寺院ごとの実情に応じてこうしたエンディングサポートを構築するビジネスもあり、利用する寺院も増えています。
 社会の変化に応じた寺院の新たな役割として期待、注目される死後事務委任ですが、樞信徒との関係性が薄ければそもそも寺院に頼ろうとは思わないでしょう。いわば、寺院が信頼されていることの結果です。裏を返せば、こうしたことを依頼してもらえるだけの信頼関係が檀信徒ときちんとできているのかということが、多くの寺院にいま問われているのではないでしょうか。
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樹木葬墓地

2025年01月17日 | セレモニー
『図解入門業界研究 最新 葬儀業界の動向と仕組みがよ~くわかる本』(2024/11/9・吉川美津子著)、業界の動向全般が、よく理解できる本でした。


新規購入者の約4割が樹木葬墓地を選択
墓石の代わりに樹木をシンボルとする樹木葬墓地。里山型から提唱された樹木葬墓地ですが、現在都市部で多く販売されているのは、コンパクトな庭園型です。

樹木葬墓地開発ラッシュ到来
 樹木葬墓地とは、墓石の代わりに樹木をシンボルとした墓地のこと。1999年に岩手県一関の祥雲寺(現在は知勝院)で誕生しました。公営では2006年に横浜市がかつて遊園地であった横浜ドリームランドの跡地を墓地として整備する際、樹木葬墓地を造成したことで話題に。さらに東京都でも小平霊園内に樹林墓地を造成しました。民間では2003年に町田いずみ浄苑(1989年開苑)の一角に、NPO法人エンディングセンターが、芝生地の中央に桜の木をシンボルとして配置した桜葬墓地をオープン。
いずれも契約者が殺到したため、都市型の樹木葬墓地が次々と造成されるようになりました。
 都市部においてはよりコンパクトな墓域でも造成できる墓地が標準になりつつあります。現在、新規で墓地を購入する人の約4割が樹木葬墓地を選んでいると言われていま
す。
 樹木葬墓地は、承継を必要としない永代管理(供養)夕イプが多く、また墓石を使用しない分、リーズナブルということもあって、需要が急速に拡大。墓地の未使用地に樹木葬墓地エリアを造成し、販売する墓地・霊園が増加しました。
樹木葬墓地も多様化し、目印も「木札」「石板」などプレート状だけではなく「石塔」もありさまざま。納骨方法も「個別」「合葬」コ定期問個別で後に合葬」などがあり、墓地の一角にどのようなタイプであっても1本でも木が植えてあれば「樹木葬」が提唱されているのが実情です。
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都市部を中心に増えている納骨堂

2025年01月16日 | セレモニー
『図解入門業界研究 最新 葬儀業界の動向と仕組みがよ~くわかる本』(2024/11/9・吉川美津子著)、業界の動向全般が、よく理解できる本でした。

管理納骨堂承継者不要タイプも増加
都市部を中心に増えている納骨堂。コンパクトで安価、承継者不要のタイプも多く、ニーズが高まっています。しかし、中には多額の投資が経営を圧迫しているケースも。

・都市部を中心にビル型納骨堂が増加
 都市部を中心に増加しているのが納骨堂です。納骨堂とは遺骨を納める屋内施設のこと。かつて納骨堂といえば、遺骨を墓石に納めるまでの一時預かり施設という意味で寺院の一角に設けられていましたが、現在続々と建てられている納骨堂は、遺骨を永続的に納める施設として一般墓と同様の役割を担っています。墓石タイプのお墓を購入するより安価なうえ、草むしりなどのメンテナンスも不要、交通至便な場所が多いことから、2000年代に入って納骨堂に対するニーズが高まりました。
 納骨堂には納め方や参拝方法により「棚型」「ロッカー型」「自動搬送型」「墓石型」などがあり、参拝方法も直接骨壷を目の前に参拝できる「直接参拝」と、位牌や本尊(仏像等)などに向かって参拝する「間接参拝」があります。髷23区内は自動搬送式納骨堂の供給過多 2010年~2020年にかけて急速に増えたのが自動搬送式納骨堂です。専用のIc力-ドをセンサーにタッチすると、バックヤードに納められた遺骨が目の前に運ばれ、直接参拝できるというシステムを採用したものです。物流システム倉庫で利用されているタイプの流用で、2006年にニチリョクが横浜の寺院と共同で収蔵スペース約8500基の自動搬送式納骨堂をオープンしました。
 10坪ほどの土地だと、石のお墓は20~60区画の造成がやっと。ロッカー型でも30~150区画ですが、自動搬送型だと500~1000区画程度まで設置が可能です。自動搬送式納骨堂は、多額の資金を必要とすることから、民間企業と共同開発・販売をする事業モデルがほとんどです。
 現在23区内に自動搬送型の納骨堂は25力所以上あります


が、2020年以降建設ラッシュは一段落しました。一般墓所に比べて立地以外の個性が出しにくく、ロッカー型納骨堂のように選べる区画の差も少なく、さらに自動搬送型が登場して20年近く経過しているため目新しさもなくなつています。多額の投資が経営を圧迫し、業績悪化に陥ってしまったケースもあります。こうした経緯もあり、棚型やロッカー型など投資額を抑えた納骨堂開発が主流になっています。
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「おひとり様」の終活と死後のサポート

2025年01月15日 | セレモニー
『図解入門業界研究 最新 葬儀業界の動向と仕組みがよ~くわかる本』(2024/11/9・吉川美津子著)、業界の動向全般が、よく理解できる本でした。

「おひとり様」の終活と死後のサポート

未婚者の増加、単独世帯の増加
 国立社会保障・人口問題研究所の統計によると、日本人の「生涯未婚率」は年々上昇を続け、2020年には男性の28・25%、女性の17・71%が、50歳までに一度も結婚したことがないという調査結果が出ています。
 2020~2050年の間では、高齢者の単独世帯に占める未婚者の割合について、男性は33・7%から59・7%に、女性は11・9%から30・2%に上昇すると見られ、特に男性の未婚者の急増が推測されています。
 また、未婚・死別・離別など理由を問わす、65歳以上で一人暮らしをしている人の割合については、2020年の22・1%から24・5%(男性)、15・o%から20・8%(女性)と、緩やかな上昇力-ブを描いています。
 ひと向井「片前だと、高齢者の一人暮らしに対して「かわいそう」というイメージを持つ人も少なくありませんでしたが、
今では積極的に一人暮らしをしている高齢者が多くなっています。

一「おひとり様」死後は第三者に託す
 身近に頼れる縁者がいない「おひとり様」の場合、病院の入院や介護サービスの利用など、民間の身元保証サービスなどを利用せざるを得ないケースが多々あります。
 入院する際、医療機関では65%が身元保証人を必要とし(2012年厚生労働省調査)、介護施設については、95・8%の事業所が本人以外の署名を求めている(2017年みずほ情報総研調査)という結果がありました。死後の手続きなども同様で、自分以外の誰かに託す必要があります。
 死後は「死亡届」をはじめとして、「健康保険の資格喪失届」「国民年金の資格喪失届」などの行政手続きのほか、債務の弁済や片付けを行う必要があります。また、私たちは日常生活の中で、電気・ガス・水道・電話・NHK・新聞など多くの契約をしています。定期契約や自動引き落としなどを利用していた場合、これらの契約を止めないと、債務として残ってしまうこともあります。
 こうした一連の手続きを行う事業のことを「高齢者等終身サポート事業」といい、「身元保証」「日常生活サポート」「死後事務」をパッケージ化してサービスを展開する事業者が増えています。
「高齢者等終身サポート」銀行の取り組み
 三井住友信託銀行では、一人暮らしの高齢者を対象に「おひとりさま信託」という信託商品を扱っています。契約者は専用のエンディングノートに死後事務を記入、これが電子媒体として保管され、契約者が死亡した場合の死後事務の指示書となる仕組みです。
 死後事務を受託するのはグループ会社の「一般社団法人安心サポート」で、契約者の死亡が確認されると、生前の契約内容に沿った形で死後事務が実行されます。

横須賀市の「おひとり様」支援
 「おひとり様」や「生活に余裕のない高齢者」に対する終活サポートをいち早く手掛けてきたのが神奈川県横須賀市の終活支援事業です。サービスの柱は「わたしの終活登録」と「エンディングプランーサポート事業」の2本立てです。
 「わたしの終活登録」は、緊急連絡先やかかりつけ医、葬儀・納骨・遺品整理などの生前契約先、遺言書の保管場所などを記載したものを市に登録しておくというもの。エンディングノートを市に預けるという感覚で利用できます。
 「エンディングプランーサポート事業」(ES事業)は、対象者を「墓地埋葬等に関する法律9条対象者」(死体の埋葬又は火葬を行う者がいない時又は判明しない時は、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない)に限った送支援事業です。
 原則として月収18万円以下、預貯金等が250万円以下程度で、固定資産評価額500万円以下程度の不動産しかない高齢者の市民を対象とし、生前に地元の協力葬儀社と納骨まで含めた死後事務を契約、その契約時にも市が立ち会うという仕組みです。
 横須賀市の終活支援事業は、全国の自治体や社会福祉協議会など公的機関のモデルケースとなり注目されています。
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中国資本傘下の火葬企業が「葬儀事業」参入

2024年12月24日 | セレモニー
『産経新聞』(2024.12.23)からの転載です。

葬送業界に激震、中国資本傘下の火葬企業が「葬儀事業」参入 暗黙ルール破り「利益偏重」
「侵食」~火葬(下)
2024/12/23 08:00


令和4年2月、葬送関係者の間に「衝撃」が走った。《新規事業の開始に関するお知らせ》。東京23区の火葬場シェアをほぼ独占する民間の「東京博善」を完全子会社化する「広済堂ホールディングス(HD)」が、ある発表を行った。
葬祭事業を行う「燦HD」と業務提携し合弁会社を設立。「火葬事業」に加え「葬儀事業」に本格的に乗り出すことを決定したというものだ。これにより、葬儀から火葬までを一挙に担う「オールインワン」のサービス展開が始まった。
葬送業界には「葬儀」と「火葬」は別々の業者らが担うとする暗黙のルールがあったという。日本は、特別な許可などがない限り火葬で、葬儀業とは分け、公共的な非営利事業として行われるべきだと考えられてきた。
だが、広済堂は切り込んだ。「利益重視であまりにも公益性に欠けている」。都葬祭業協同組合の鳥居充副理事長は危ぶむ。
民間任せ「容認」
全国の火葬場の約97%は、市区町村などの運営だ。ただ東京23区は「異質」で、全9施設中7施設を民営が占め、東京博善は、6施設とシェアをほぼ独占する。
都によると、昭和初期には、複数の公営火葬場建設が都市計画に盛り込まれたが、実現したのは瑞江葬儀所(江戸川区)だけだった。都は「記録は残っていないが民間がやっていたので任せた形になった」と推察する。
ただ、そうした昭和期の状況は、大きく変容した。まず変わったのが東京博善だ。長く社長には宗教家が就き、半ば公共性が担保されてきたが、今は、その手を離れ「中国資本」が入る広済堂の傘下に入った。そして火葬料は値上げに次ぐ値上げで、他の自治体と比べて著しい高値となった。
都は、23区の火葬料は他の自治体のように直接税金を投入して補助しているのではなく、利用者それぞれが応分の料金を支払う受益者負担を敷いているとの認識だ。東京博善の利益追求にも理解を示し「火葬料は妥当な範囲だ」とする。
ただ、火葬に関する著書がある葬祭会社代表の佐藤信顕氏は「東京では焼骨での埋葬しか認められておらず、火葬を強制されている。新規参入がないことをいいことにした好き放題の値上げは権力の乱用だ」とみる。
「ドル箱」事業に
高齢化の進展で、多死社会を迎えたことも昭和期と変わった点だ。年間の死者は昭和30年代は70万人程度だったが、令和5年は約157万人と倍増。葬送の「ニーズ」は高まる。



こうした状況は、民間からみれば、「ドル箱」だ。東京博善は中国資本が入り値上げを続けるほか、関係者によると、自治体の火葬場が1日に扱うのは1炉当たり2件程度が多い中で、約10件とフル稼働させているという。さらに葬儀とセットでのサービス展開を加速させ、営利追求を隠さない。
これに対し、都の反応は鈍い。昭和23年施行の墓地埋葬法では、火葬場の監督許可はあくまでも市区町村だとし「もし火葬拒否という事態になれば区が許可取り消しなどの措置を取るだろう」とするだけだ。
佐藤氏には、こうした都の姿勢がもどかしく映る。「東京博善に中国資本が入り制御不能に陥った。問題は23区にまたがるが、都は無関係を装い方向性を導き出そうとしない」と語る。
その結果、死に関わる極めて公共性の高い「インフラ」が外国資本に委ねられ、「搾取」されているという見方もできる。しかも、その外資は、平時有事を問わず国民に国家への協力義務を課す中国だ。「明治から火葬を民間任せにしてきたツケが今、回ってきた。手遅れになる前に手を打つべきだ」。佐藤氏は警鐘を鳴らしている。(大渡美咲、宇都木渉)

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