超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

マンけん。 1巻/加瀬大輝

2013-08-28 02:00:36 | 漫画(新作)















雑誌で表紙になってたのを見かけてなんとなく購入。漫画家漫画ですね。















主人公の倖は天才系と言えば天才系なんですけど、
その力でどんどん無双していく・・・っていうよりは元々の純粋な気持ちを取り戻していく方向性だったり
自分の疎い分野に触れて知識を蓄えたり、現状に甘えずどんどんと上を目指す姿勢だったりと
ある程度才能を見せ付けながらもそれだけじゃない切り口からも描かれてるので
飽きずに読めますし
様々なテーマ性が垣間見れて面白いです
こういう非情な天才女子が主人公の漫画というのも珍しいですが
その冷徹なキャラ性を貫き通したまま他のキャラの純粋さに心動かされる展開が実にイイですね
非情に思えて非情になりきれない根底に眠ってる優しさに心打たれるというか・・・。
こういうキャラが主人公っていうのは結構チャレンジングだと思ったんですけど
上昇志向が高い性格から熱血要素も生まれてますし、
倖のようなキャラが優しさや情を見せる事でさり気に好感度が上がりやすい構成にもなっている
まずは倖の主人公としてのポテンシャルと物語を引っ張っていけるエネルギーに魅了された、っていうのが
初めに抱いた印象ですかね
不慣れな分野(ゲーム)にも頑張って挑んでいたり、
冷静に徹してるようでも根は熱い人物だなあっていうのが伝わって来るのが絶妙でしたね
1巻の時点ではまだまだ非情な一面も残ってますが、そんな彼女がどう変化していくのかに期待です
純粋さを失念しているように思える彼女がマン研と出会ってどんどんと成長していく過程を楽しみたいですね。

1話の下手ながらも頑張って漫画を描いてるアリスを全力で庇ったシーンも良かったんですが
6話の甘い考えで漫画家になろうとしているアリスを突き放したシーンとその後のフォローはもっと良かった
突き放しのシーンは一見冷徹に見えますけど
その前にアリスの甘ちゃん過ぎる考えを描いているからこそ
多少キツくてもそれがアリスにとっては正解なんじゃないかな、と思える
だけど、そのキツさを多少気にしてアリスを気に掛けてしまう倖の心情、
これによってキツさ自体も感情移入に効果的に働いてくれる
その完璧に近いネームの流れは個人的に最高でした
ただ突き放すだけじゃなく突き放した分後に教授してくれたり何だかんだ言って凄い良い人ですよね、倖って。
そんな倖のキャラクター性と無邪気に純粋に彼女を慕って生きてるアリスの可愛さに魅せられた6話
倖は更なる躍進を遂げられるのか、アリスの漫画家志望としての顛末はどうなるのか?と
初めに大きな最終目標、展望を提示されるのも読んでてワクワクして来ます
単行本は4巻まで出てますが続巻を読むのも楽しみですね
取り合えず1巻はキャラ良し、展開良し、お話も適度に熱くなれる・・・と中々のクオリティだったかなと
非常識だけど水面下では優しさいっぱいの部長に関してのエピソードもまた好感触でした
青春部活モノとしても中々に面白い私的には結構にツボな一作でしたね。


また、絵柄は非常に可愛く画力も達者と絵的にも実に良い感じです
でもただ単に上手いだけじゃなくてキャラがワクワクしてる時の表情は
技術以上に理屈じゃない楽しさが伝わって来る印象で
そういうメリハリに関しても優れているなあ、と
小奇麗なだけの絵ではなく時には迫力満点の作画が観れたり時にはガムシャラな場面も観れたりと
そういった観点から考えても魅力的で読んでいて気持ちが良い作画に仕上がってるかな、と。
キャラの成長だったり関わりによる変化も読んでいて楽しい上に
加えて作画的にも見所満載と
隙がなく、それでいて突き抜けた情熱の表現も印象に残る作品になっています
主人公は基本天才系でその上で冷徹・非情という属性を持っているキャラクターですが
その割には読んでて熱い、温かい気持ちになれるシーンが多いのでその点でも個人的に推しですね
むしろ普段冷徹だからこそ時折垣間見せる純粋さに感情移入してしまうんでしょうね
個性的で奥が深いキャラが勢揃いしている漫画家漫画の1巻目
抜群の滑り出しだったと思います
2巻目以降を読んでいくのもまた楽しみですね。

この漫画のテーマ性としてはいつの間にか忘れていた初心だったり純粋さを取り戻す、というのがあるかと
完璧に拘りすぎて実質的に孤立していた倖が「仲間達」と出会って変化する様だったり
技術やソツのなさに捉われすぎて楽しく描く事を失念していた倖、
そんな彼女がアリスの様子を見て感化されていく様だったり
そういう風に倖の行く末や得るべきものが最初から示唆されてるので読みやすい節はあるかも
例えそれが醜く、滑稽に思えてもそこには何よりも大事なものが眠っていたりする
それに気付かせてくれる内容と作風になってるのも好みでした
自分が自分が、だけじゃなく他人の思想や未知の領域に触れることで得られるものも描いていたり
想像していたよりも大分多面的な作りになっていたのも嬉しかったポイントですね
割とそうやって読み手に投げかけるものも多い漫画だったように思う
主人公の倖だけが変化していくんじゃなくて倖によって変化していく人物がいるのもいいな、と
お互いに変化を与える関係、っていうのが一方的じゃなくて読んでて気持ち良いなって。













時には少年漫画に近いテンションのお話もあったりと
美少女の漫画家漫画という前情報だけでは判断出来ない多角的面白さがある作品
コメディセンスも高いのでこれ一作で色々な方向性を補えるようなオールマイティさも感じます。
だけど、一番はやっぱり高い向上心と柔軟な変化、優しさも垣間見せる倖のキャラ性が気に入りました。
続巻もチェックします。






最新の画像もっと見る

コメントを投稿