超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

春と幽霊

2009-06-15 11:31:00 | 田中ユタカ
今日は会社で大規模な研修があるため久々に平日にお休み。
最近はずっと深夜に更新していた為(昨日のブラフマンも一日の境目だった)、
この時間帯に更新するのは中々珍しいです。

これの他にも今日は更新したい記事があるので、
色々と考えつつもコツコツ書いていきます。

まずは田中ユタカのことについて。



個人的にかなり気に入っていた漫画、「愛しのかな」が今月で最終回を迎えました。
じっくりと噛み締めて読みました。

前回の引きでは、彼の連載作品では珍しく日常描写のままだったので
最終回にドラマチックな出来事が待ち受けているのでは?と思っていて。
それこそかなの身に何かが起こるんじゃないか、と。

が、それは先月の時点でもう済んでいたんですね。
世界の終わりのような日であっても、いつ何時であっても、もうかなが消えたりすることはない。
二人の絆は本物だった。
ある意味先月が実質的な最終回だったと言ってもいいのかと。


じゃあ今月の最終回は?というと、昔のかなと同じく部屋で一人で自ら命を絶った人が発見されて。

それによる対比によって、この作品が描いてきたテーマが浮き彫りになった良い最終回だったと思います。
個人的には不安もあったけど、この最終回なら文句はないです。
欲を言えば10巻くらいまで続けて欲しかったですけどね。ちなみに行為のシーンはありませんでした。

詩子さんもしっかり登場。こうして考えてみると登場人物の少ない作品だったんですね。
かなと大吉という二人の生活にいかに焦点を絞っていたかが分かります。
この最終回の内容も、いつも通りの二人を、対比を交えつつ、いつも通りに描くという
彼の連載作品の中では一番シンプルな終わり方だったんじゃないか、と思います。
モノローグの使い方も流石の冴え方、効果を発揮していますね!

でも今回の陰の主役は矢口さんでしょう。
まさか彼女の・・・だったなんて。
これは予想外中の予想外!
いきなり彼女にスポットが当たって驚きましたが、
その後の店長のフォローが素晴らしかったですね。
きっとかなとの一回きりのデートで確信に近い何かを得られたのではないかと。
あの自信満々の、それでいて優しい表情。
この漫画は店長の成長物語でもあったのかもしれませんね。


にしても、最終回で春が来るって「愛人[AI-REN]」と同じじゃん!
ある意味、愛人の日常版だったのかな、この漫画って。


一度きりの人生を自ら棒に振ってしまった彼女。
それはあまりにも悲しすぎる結末でしたが、
今は彼女を愛してくれる、必要としてくれる人がいて。
幽霊であろうとなかろうと、誰からも必要とされず、ずっと一人で居ればそれはもう死んでいるのと同じ。
存在していないのと同じ。
側にいる、ここにいる。
そんなことを言ってくれる人間がいてくれることが、どれだけ幸せで大切で切なくて温かいことなのか。
今のかなは、もはや生きているのと変わらない。
いや、確かに生きている、必要とされている。
読者の私はもうそれを知っている、いや、ずっと前から知ってたのです。

改めて、田中ユタカの才能に感謝です。
自分も誰かに必要とされたい。そんなことを強く思わせてくれる漫画でした。
大吉くんも、最終的に「この世は悪くない」と言えるようになってましたね。
彼もまた、かなによって「生きる」ことが出来たんだろうな。
個人的には名作です。




という訳でコミックスの発売が楽しみです!6月に最終回となると、発売は秋ぐらいになりそうかな?

その前にミミア姫の最終巻かな?


そして新作を待つ!待つ日々が始まる。