超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

ブラフマンの10年

2009-06-14 23:41:11 | 音楽
BRAHMANがインディー時代の作品を新しく録音しなおし、
一つのアルバムとしてまとめた「ETERNAL RECURRENCE」をリリース。
音源としては去年の「Antinomy」以来1年4ヶ月ということで
彼らにしては異例の早さでニューアルバムが出たことになります。
とはいっても新曲は入ってないんですが。

で、この作品を聴いた印象としては大まかに二つのトピックがあって、
まず一つに変わってない、という印象を持ちました。
どういうことかというと、確かに新録されて音も良くなっているんですが
雰囲気だとかアレンジとかは見事にそのまんま。
あの時の空気感を完全に再現してるのかのような出来映えです。

細かく聴けば変わっている部分もあるんですが、
基本的にはあの内容を保ったまま、新アルバムに移項したという感触です。
なので、ファンのイメージを裏切らない、アレンジが変わっちゃってガッカリ、ということは一切無い
ある意味ファンを大事にしているアルバムかなと。
「A MAN OF THE WORLD」が改めて良い作品だったなという事も判ります。
ちょっと懐かしいかも。


で、もう一つは時代性のなさ。
後半に入ってる「ARTMAN」「THE SAME」なんかは10年以上前の曲なんですが
驚くほど今となんら変わりない表現をしてるんですよね。
新曲として出しても大丈夫なくらい。
曲が全然色あせてなくて。
それが今作ならではのクリアな音で聴けるわけですから、
確かにこのアルバムを作った甲斐はあったと思います。
「Wait and Wait」はそこまで音は良くなかったんだよな~。迫力不足というか。
「A MAN OF THE WORLD」で改善されてたけど。
でも聴いたの随分前だから今聴けば印象も変わってくるとは思いますが。

最後には隠しトラックも収録。いきなりヘッドフォンから「あ~」って声が聴こえてきてびびった・・・(笑)。


ただやっぱり17曲もあるので、通して聴くとやや重たいかも。
「時の鐘」で区切って2枚組みで出しても良かったのでは?と思わないでもない。
ただやっぱり音の迫力とTOSHI-LOWの歌の深みは半端ないね。
そういえば「CHERRIES WERE MADE FOR EATING」が以前よりもずっと良く聴こえた。
改めてこういう機会をもって聴くとやっぱり新たに好きになる曲とかあって楽しいです。
メロディ的には「SEE OFF」と「TONGFAR」がやっぱりパンク以上の叙情性があって好きだなあ。

BRAHMANの場合、パンクに加え民族音楽的なメロディーセンスも感じられるので
通常のパンクやメロコアが苦手な方でも聴けるんじゃないかな、と思います。


あと初回版には超分厚い楽譜が付いて来ます。全曲載ってます。
写真も少々載ってます。
もちろん歌詞も英訳付きで掲載。



しかし「A MAN OF THE WORLD」からもう10年経つのか・・・。
早いなあ。ってかあの頃いたパンクやメロコアのバンドってほとんど解散してますよね。AIRJAMに出てた面々とか。
HUSKING BEE、POTSHOT、REACH、PENPALS、THUMB、CAPTAIN HEDGE HOG、
KEMURI、そしてHi-STANDARDやSCAFULL KINGは活動休止状態だし。
SNAIL RAMPも当時オリコン1位とったりして盛り上がってたんだけど今やすっかり過去のバンドみたいになってるし。

逆にBEAT CRUSADERSはあの頃はそこまで売れてなかったけど遅咲きで今売れている状態ですね。
あ、でも「FORESIGHTS」はインディーチャートで1位取ってたんだっけ。

それを考えると未だに最前線にたって、多数のライブをこなし、1年に一枚は何らかのアイテムをリリースしている
BRAHMANは凄いなあ、と。
最近じゃホルモンとよく一緒にライブしてますね。
このままパンクシーンの生きる伝説になって行きそうな予感。

あとはシングルの「deep」がオリコン6位になった時はかなり驚いた。
レコード店でもそれについて語ってる人がいたし。
あれは一種の革命だったのかもしれない。


という訳でブラフマンの新作についてだらだら書いてみました。
今週リリースされた4枚のアルバムについてのレビューはこれでコンプリート。
中々濃ゆい感じでした。

journey

2009-06-14 01:33:20 | 音楽
RIP SLYMEの新作「JOURNEY」を聴いた。

前作「FUNFAIR」はそれまでの作品とは一線を画す、
パーティ的な要素を抑えてクラシックな作品に仕上がっていたと思うんだけど(というか大人っぽくなった)、
この新作はそれを更に強めたような、
全体的にシャキッとした仕上がりになっています。

例えばお祭り騒ぎ的な楽曲、今作で言うと「SPLASH」や「Watch out!」も割と
リスナーとの距離感を計っているというか、一歩引いた感じにも聴こえる。
勢いよりもバランスを大事にしている、というような。
地に足が着いているアルバムかと。

ただ、とはいっても微妙にシフトチェンジしている感じなので
そこまで変化したという実感はないですね。
しかしこの方向性はこの方向性でとても良いと思います。
オールディーズの要素を上手く取り込んでいるというか。

それが色濃く現れているのがシングルにもなった「太陽とビキニ」。
この曲のサウンドメイクはとても面白いですね~。
本当に80年代風のサマーチューンという感触だし。
一つ一つの音の再現感が凄いし、歌に関しても懐かしさを敢えて演出している印象が。

他にも音楽的にクラシック感を受ける曲が多く、
往年のロックンロール風の「Good Day」「Rock'n'Roll Radio」や
これまたトータス松本の渋い歌が響きわたる「Here comes the Hero」とか
新しさというよりは音楽の基礎的な要素を強めている、表現している印象。

何が言いたいのかというと、今までの奇抜で練りこまれたトラックとは違い
割とオーソドックスなトラック作りをしているな、と。
それが「地に足が着いている」ということにも繋がると思うんですけど。

しかしこのアルバムで一番の曲は間違いなく「Journey」でしょう!
エレクトロ調の曲なんですが
とにかくトラックが滑らかで流れもスムーズで気持ちが良い。
歌詞の面でもこの曲はリップとは思えぬほどシンプルで、スッと心に入ってくる気がする。
この曲は今だからこそ作れた曲だと思う。


アーティストは年代を重ねるたびにやんちゃ感が薄れてきて、代わりに地に足の着いた安定感が増していく傾向が強いと思うんですが
リップもそのパターンから外れなかったな、と。
でもそれが悪いというわけではなく、
むしろこの方向性で行く方がリップにとっては正しい道のような気がして。
いつまでも「FIVE」みたいな方向性でもいかんだろ、と。
そういう点では今のリップが放つべき音をしっかりと出し切っている、というのが最終的な感想ですかね。
やんちゃな感じもきちんと残ってますしね。


ちなみにトラックの面では割とパキッとした、いい具合に乾いてるサウンドアプローチにもなっているので
格好よさという点では随一かもしれない。
その分ユーモアは薄れたけど、それは好みの問題って事で。


ちなみに私がリップを好きになったのはインディー時代のシングル「マタ逢ウ日マデ」だったりする。
丁度、今は無き「ミュージックスクエア」のEDだったんです。
今でもリップといえばまずこの曲が思い浮かんでしまう私。
あと「白日」なんかも名曲だね。
「Hot Chocolate」もめっちゃ格好良い。
一番好きなのは「JOINT」。