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超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

俺の妹がこんなに可愛いわけがない 10巻/伏見つかさ

2012-04-10 20:44:28 | 俺の妹がこんなに可愛いわけがない





伏見つかさ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」10巻読了。ネタバレ込み感想なので注意ですよ。








今回、我らが(?)桐乃ちゃんは割と出番少なめでした。表紙が新妻みたいだったので
割と期待した部分もあったんですが冒頭にかなりの量のニヤニヤを振り撒いて、後は裏方に徹した感じ。
しかし、それでも不思議と満足度っていうか興奮した度合いは相当高いんですよね。
最早群雄割拠になってきた感覚もある京介という存在の取り合い
その布石であると同時に、
桐乃が決めた判断も、行動もどれもが勇気に溢れたもので
ここまで読んで来た者からするとその成長っぷりが嬉しかったりもするんですけど
それでも桐乃の出番は少ない訳で
桐乃大好き人間からすると要所要所にしか登場しない構成を憂いてもまた仕方ない・・・とか思ってたんだけど
結局は最後までワクワクしながら読ませられっちゃったんだよねえ(笑)。
基本ラノベ読まない人間なのに
ここまで前のめりに読んでしまうものなのか・・・?っていう。
それもまた悔しくはあるんだけど。
やっぱり最後は桐乃ちゃんを目立たせて欲しいんだけど。
でも、今回の内容って絶対に「俺妹」って物語に於いて必要だとも思うからさ。
じゃなければ、なんで彼女に好意持たせたの?って話になるし
破綻しちゃいますからね。

その描き方がいかにもなハーレムものだったらきっと不満足だったんでしょうけど
でも何気に良く分かるっていうのか、、、
なんだろう、京介だったら仕方ないよね、っていう(笑)。
それ考えると桐乃って本当は最初から京介の本質なんてとっくに見抜いてたのかもしれないですね。
ある種過剰にも思えた妨害だったり嫉妬は、彼の本当の格好良さを知ってるから
それはもう幼い頃から見てきてる分余計なんだろうな。
そんな桐乃が思い描いてたであろう理想の兄がその姿を取り戻し始めた頃合から既に危険を察知し
自分の友達に近づくのを嫌がってた訳ですけど、あやせも骨抜きにされちゃったからね。
それも本人の知らない所でね。

これは完全に自分の予想になるんですが、きっと桐乃はその感情も見抜いてて
本当のところ彼女に気持ちを曝け出させる為に
自分を気遣って苦しい思いをさせない為に
自分の気持ちを犠牲にしてまであやせの想いを優先させたんじゃないですかね?あの嫉妬深い桐乃が
ここまでするだなんて普通に考えて有り得ないと思いますもん。
件のラスボス前に装備整えて~っていう発言も
個人的には対等に勝負する為って意味合いに思えるんですけどね。あやせの事も考えてるだろうし。
そう考えると桐乃って、元々なんですが本当に良い子なんですよね。
そういう他人の事を考えられる部分は
おせっかいな部分は
きっと京介に似た部分もあるのだろうけど、それでも彼女の成長や思い遣りを如実に感じられるシーンで。
確かに妹と云う特権を生かす事は彼女ならばいくらでも出来ただろうけど
そこで周りの人物の気持ちも殺さないあたりは
本当に立派だな、っていうか。
それに、京介自身の事も真面目に考えた上での提案ですからね。
確かに交代制だとか、ケンカだとか、そんな状況下で京介が勉強に打ち込める筈はないし
明らかに気が散ってた可能性の方が絶対に高いと思うんですよね。
あやせのモヤモヤも結果的に晴らして、
京介が真に打ち込める環境も作ってしまうっていうそのあまりの手さばきに感動した。
そんな桐乃の思惑が感じ取れる想像したくなってしまったからこそ
特に不満もなく最後まで読めてしまったのかもしれません。

個人的に、巻数を重ねる毎に桐乃の好感度が上がりっぱなしです(笑)。
だって本当に一番京介を想って行動出来てるの彼女ですし。
なんかもう、本当に好きですね桐乃。
夢オチとは言え、同棲生活の場面では最大限にニヤニヤ出来ました。
同時にあれが夢オチで半分安心もしたけども!まあ一番のニヤニヤは勿論冒頭なんですがね。



で、肝心のあやせの話。
なるほど、安易なハーレム展開に思えて
その実彼女がどれだけ京介に救われて来たのかはよく伝わる描き方でしたね。
同時に、なんで京介がこんなにモテるのかも伝わってくる内容で。
彼の場合、ちょっと優しくしてくれました~とか
気にかけてくれました~とか
そんなレベルではないんですよね。そのキャラの人生や価値観に本気で作用するほど
ガッツリとその人自身を救ってあげてるんですよね。それが読んでてよく分かって嬉しかった。
確かに、こんなに格好の良い男なんてそうそういないとは思える。
それに顔も微妙にイケメンだしね(笑)。
あやせにとっては自分の立場を犠牲にしてまで桐乃との不仲を解消してくれた恩人で
その後も何度も親身になって相談してくれて、
困った時は全力で力になって全力で怒ってくれる、そんな相手。
ヒロインズの中では沙織さんにだけ特に惚れ的な好意が無いのもよく分かりますね。
ハーレムに大した理由がなかったり、都合もまた全然悪くは無いけれど
その点この作品ってすっごく真面目なんでしょうね。
そこもまた好感が持てるっていうか。

今回、桐乃ファンである自分が満足出来ましたって内容の文章を書けるのは
そんなあやせの描かれ方も相応に良かったからなんですよね。
彼女が最後涙流したのは
恐らくは桐乃に対する罪悪感があるから、それでも溢れ出る気持ちを抑えられなかった、から。
作中のセリフでなんで桐乃が妹もののゲームやアニメ云々~ってセリフあったけど
本当は自分の願望を託してるって事実も
きっと彼女は見抜いた上でああいう質問をしたんでしょうな。
それもまた鈍感な京介を試したのかもしれないけれど。
ただ、そこで最後のストーカー事件の京介の活躍によってタガが外れてしまったというか
例の京介の嘘発言に対する真意も知ってしまった事で
抑えられない気持ちが溢れ出てきてしまった
その結果がラストシーンに繋がってるのかな・・・と。そうやって色々想像して考えたら
本当名作じゃね?っていうか、微妙に嬉しいのに切ないっていうか。
まったく罪な男だよ京介って奴は。
でも、そんなあやせの覚悟も、決意も、気持ちも、如実に伝わって来ちゃって
あやせファンでもないのに何故か妙に感動しちゃってる自分も居たりなんかして。
う~んやはり「俺妹」って作品は凄い!と断言せざるを得ないな。
最終的には納得させられてしまう。
多分結果は、正直それでも桐乃を選ぶような気はするんですが、そうだとしてもこの引きは最高ですよね。
あやせってキャラクターの可愛さが全部ワンシーンに凝縮されているような感覚でした。
そう思わせられるっていうのもこの作品が真面目である一つの証拠なんだろうな。


さて、まだちょっと続きますよ(長くて申し訳ない)。
なんか今回語りたい事が多すぎる!
当然無視出来ない事柄として沙也佳ってストーカー小学生の件がある訳ですが・・・。
かつてのあやせみたい、或いは本人そのもののような女の子で。
自分の理想を押し付ける類の女の子。
個人的には私が大好きな漫画「明稜帝梧桐勢十郎」のこんなセリフを思い出しました。

「ふざけるな オレは生まれた時からずっとこうだ
 おまえが勝手に自分の理想を押しつけたのだろう」

これまた、主人公の勢十郎をストーカーしてた女の子に言い放つセリフなんですが
正にこの通りだと思うんですよね。人間は人形ではないから決して自分の思い通りには動かない
自分が好きなように行動してる分、相手も好きなように行動してるんです。
その帳尻が合うなんて事は絶対にないし
事情も知らずに相手を否定して攻撃するのは無知だし傲慢な行為でしかない。
まだ小学生だからこそ京介も甘い判断に出たんだろうけど、
それ以上に
まだここからだったら引き返せるって考えもまたあったんでしょうね。
子供を叱ってあげられるのは大人でしかないですから。

京介が言った通り、誰にだって変な部分や嫌な部分は確実に存在する。
自分の理想通りの人間なんて
それこそ画面の中でしか存在し得ないですよ。
でも現実はそうじゃないから、重ならない部分のが逆に多い訳だから、で、それはきっと
相手だけではなくその子自身もまた傍から見たら変な人間なんですよね。
だから、結局はみんな変なんだよ
変わんないんだよ、っていう。
一方的に説教する訳でもなく、かといって叱るだけの怖い大人でもない
実に絶妙な方法で説得して来たなっていうか・・・。確かに甘いのは事実ですけど
はっきり分かってもらうのと分からないまま叱られるのとじゃ
その後の生き方もまた違ってくるとは思いますからねえ。
ある種、あやせの為に、彼女が純粋に大好きだからこそ行動する沙也佳ちゃんだからこそ
彼女の想いも汲んだ上で事件の解決を京介は図ったんでしょう。
それって考えてみれば最も凄い事ですよね。
傷は出来たけど
この先めいっぱい叱られるだろうけど、少なくとも彼女の人生がダメになる予感はしないですからね。
それもまた京介が京介である所以の一つなんだろうなあ。また一人の人生を救った訳だ。
これで後々彼女にも惚れられたりしたら怖いとは思いますけど(笑)。
まあ正直この男がモテるのは仕方がないって感じですよね。
自分が女でもこんな出来る男がいたら普通に惚れちゃってたかもしれないな。
そんな京介も今や普通に親に期待されたり、頑張る気持ちを取り戻せたり、桐乃様様って感じはする(笑)。
最終的には謝罪も処罰もこなして、また雪解けが出来る日も個人的には楽しみです。


で、個人的に触れたいのがいよいよクライマックスも近いんじゃないかな?って事。
ラブコメでライバルキャラが告白するって展開は
ある意味畳むフラグでもありますし
ちゃんと面白い展開のままにきちんと畳んでくれる予感も往々にして伝わったり
遂に麻奈実と桐乃の真剣勝負の段取りもついてたりして(笑)。その辺も今からすっごく楽しみです。
麻奈実ってある意味京介にとっては一番自然にくっ付く可能性が高いキャラだから
それもあって昔から毛嫌いしてたと思うんですけど
ここで本当に決着付ける時が来るのかと思うと・・・ゾクゾクしますね。
内容的にはあやせの巻ではあるものの、
桐乃の約束の件だったり、その麻奈実と桐乃の仲直り(という名のぶつかり合い)の件だったり
今後の展開や最高潮を匂わせる複線や発言もぞくぞくと登場して
終盤を盛り上げていく気合は十分に伝わったりしてね。それ妄想するだけでもちょっとニヤニヤします。

黒猫さんの発言通り、本当に桐乃と京介が■■■■する展開があればいいのにな(笑)。
その発言を読んで真剣に実現を願ってしまった自分がいます。
結ばれて欲しいっていうか。
だからこそ、桐乃の本音の本音の告白を先延ばしにしてるんじゃないか、って思いますし。
何にせよそんな今後の展開を示唆させる発言も出来来て、そういう観点でも楽しめた新刊でした。
この先は結構辛い展開等も待ち受けてるだろうけど、
それ含めて11巻以降を読むのが楽しみで仕方ない。
今や自分にとってすっごく大きな存在になってます。「俺妹」。心から大好きって言える作品ですから。

最後に、冒頭の家族会議のシーンは過去最高潮レベルでニヤニヤ出来ました(笑)。
桐乃の反応が可愛くて可愛くて!
いちいち動揺しちゃってる幼さが最高ですね。
冷蔵庫のプレゼントだったり、ちゃんと過去のピアスの分とかも返してくれてるじゃん。
出番は少なかったけど、そんな要所要所の輝きは何気に凄いとも思ったので結果的にはやっぱ満足。
一番欲しいタイミングで「がんばれ」メールを送ってきたのも良い美談でした。
そんな今巻最大の功労者である桐乃ちゃんに乾杯!って〆で。







今まで一度もラノベに手を出さなかった自分がここまでこの作品にハマれてる事が驚き。
大抵は主人公の説明口調とか、まどろっこしい展開や表現で途中挫折するのが常套だったんですが
「俺妹」の場合はキャラに持たせてる含みや、その裏の感情を探るのが個人的にいちいち面白いので
つい夢中になって読んじゃうんだよなあ・・・。あんまり無駄がないように感じるんですよね。
本当にアニメ化してくれて出会えて良かったなってしみじみ思います。
あのアニメがなかったら原作読まなかったと思いますから。
その意味でもやっぱ桐乃ってキャラは偉大です。こんなキャラを待ってた!って感じですね。次巻の活躍も期待。


今までの感想はこちら
俺妹 1巻感想
俺妹 2巻感想
俺妹 3巻感想
俺妹 4巻感想
俺妹 8巻感想
俺妹 9巻感想



俺の妹がこんなに可愛いわけがない 4巻/伏見つかさ

2011-12-12 08:53:28 | 俺の妹がこんなに可愛いわけがない






「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」4巻読了。




この巻は色々面白かった。まずは冒頭のあやせの話ですね。
このお話は普通に笑えて普通にオチてるんですけど
それ以上にあやせがどれだけ友達思いで、真面目な子なのか?っていうのがよく分かるエピソードになっています。
かつてあやせは桐乃に対して自分の価値観と合わないからって拒絶してしまった、という
痛々しいエピソードがあるんですけど
それに関しての贖罪とも言えるお話になってるんですよね。
オタク関連で傷つけた過去があったからこそ、
その関連自体で埋め合わせをしたい、っていうあやせのある種の精神的成長を描いている訳です。
でもこの話の更に面白い部分は、
桐乃だけではなく加奈子に対しても同様に信頼している一面を見せるんですよね。
間近でずっと観てきたからこそ分かる彼女の才能や立ち振る舞い。
例の京介がぶっ飛ばされるシーンはごちです!って感じだったんですが、同時に
そこでこのアイディアを思いついて実行出来る位、
あやせにとって加奈子っていうのは高い評価を置いている人物なんだと。
若干腹黒さも垣間見えましたが(笑)。
それでも、やっぱり根は真面目ないい子なんだよな、っていうのが良く分かるエピソードになってました。
その中で必死にレイヤーを応援する桐乃もまた良い味出してたけど(笑)。
加奈子もまた本当は純粋なだけなのかも、と思えるお話でした。


京介が桐乃に対して今までとは別の感情を抱き始めたのは3巻ラストでも示唆されていましたが
この巻では桐乃に感謝された事によってなんと泣いてしまいます。
これには驚きましたが(笑)。
でもやっぱり、心の中では認めて欲しかった、彼もまた構って欲しかったんだなっていうのが
よく分かるような一連のシーンでした。
同時に、今まで水面下でアプローチするだけだった桐乃もここでまた素直な表情を出せて、
お互いに抱えていたものを吐き出すようなお話でもあったんですよね。
桐乃のパーティのお話は。
本当はもっとこういう表情や会話したいんだろうけど、やっぱりまだ心境の面で難しいんだろうな。
だがしかしお互いが本当の表情を出す時こそが「俺妹」の真骨頂でもあるので
これから先の巻の感想を書くのも楽しみですね。

そんな桐乃も、アニメで御馴染みですが陸上がきっかけで留学をすることになります。
その最後の日を、なんと兄である京介と一緒に過ごす、っていう
どう考えてもニヤニヤもんのエピソード(笑)。
でもここで一番ニヤニヤしちゃったのは赤城兄との邂逅かな・・・。
京介の慌てっぷりが尋常じゃなくて
見てるこっちまである意味ヒヤヒヤする(笑)。そんな珠玉のワンシーンでした。
おまけに結局おホモだちと思われちゃったしね・・・正に残念な結末でござる。

その出立の数時間前のエピソードは本当に興味深いですね。あの時何を見せようとしていたのか
陸上を始めたきっかけはやはり京介がらみの事だったのか、
それとも・・・
と言いつつ、最後の日くらいは頑張って笑顔で、表情を隠さずに居たかったんだろうな~って考えると
それもまたいじらしい演出ではありますよね。最後には黒猫さんが同じ高校!?という驚愕の出来事も(笑)。
漫画で言うなら第1部完って感じの4巻ですかね。
桐乃の嫉妬、素直さの表現、そして兄への感謝・・・
それが表現された読み心地の良い4巻目でした。どんどん可愛くなってくから
読み進めるのも面白かったですね。1巻と比べると桐乃も段々本当の顔を出せるようになってるんだなー、と。


個人的に印象に残ったのは、
クリスマスイヴに京介が買ったあのピアスをあやせ達に自慢するシーン。
もしかしなくても、どう考えても
嬉しく思ってるだろ!
大切にしてるだろ!
そう思わざるを得ない描写に何気にニヤリ。こういうのが原作ならではの良さなんですね。
おまけに麻奈実とのシーンでは小姑のような態度にニヤニヤしまくり(笑)。
でもこれって
麻奈実の存在を脅威だと思ってるから、どっからどう考えてもお似合いだと思ってるから
それでいて自分は妹っていう立場だから・・・アレしちゃったんでしょうね。
自宅がそんな空間に染まっていくのが耐えられなかった、と。
そう考えると
あのエロトラップも彼女なりの必死の抵抗だったのかも。
イタズラではなく、抵抗。
そんでもってあれを考えたのが実は黒猫さんだった!というのも何気に衝撃的だ(笑)。
アニメから逆流するとこういう新鮮な驚きがあるから面白いですね。
桐乃の比率が多くて私得な一冊でした。満足♪


俺妹 1巻感想
俺妹 2巻感想
俺妹 3巻感想
俺妹 8巻感想
俺妹 9巻感想


俺の妹がこんなに可愛いわけがない 9巻/伏見つかさ

2011-09-10 17:12:54 | 俺の妹がこんなに可愛いわけがない






まだ4巻以降の感想を書いてないのですが・・・先に新刊読んでしまいました。
ってな訳でネタバレ注意な「俺妹」9巻の感想です。






ええと、とはいっても直接的な進展はないです。
ほぼ短編のみっていうか
軽く読める話が殆どですね。8巻後のアフターストーリー的な内容には仕上がってますけど
だからといって今後のストーリー展開を示唆するようなものではなく
むしろ振り返って思い返す・・・的な。
しかし、この巻の特徴、っていうか良い部分としてはほぼ全部の話が京介以外の人物の視点なんです。
 要は、京介の視点だけではカバー出来ない女心なんかも読めちゃう訳で・・・。
そう考えるとすっごく面白かったんですが
同時に、キャラのバックボーンを知れるって意味では
実はただ楽しいだけではなくて得るものもすごく大きかったような気がします。
沙織の知られざる思い、だとか
黒猫さんの「当時」の日常だとか、
舞台裏を覗き見してる感覚っていうか、まあ最終的には「桐乃可愛い」て落ち着くんですけど(笑)。
でも、よりキャラを好きになれるっていうか
肉付けの巻ではありましたね。
特に沙織と桐乃に関してはちょっと見方も変わるんじゃないかなあ。
 な~んかその辺がめちゃくちゃ興味深くてね
一気に読みにも適してたんですけど。
でも短編集なのは間違いなので、気が向いたときにサクッと読み進めるのも良し
自分のようにキャラの心情目当てで一気に読むも良し・・・
と結構に良作揃いの巻になってますね。
今現在、っていうかずっと「俺妹」ブームであり「桐乃」ブームである私にとっては
ある意味でありがたい巻でもありました。
桐乃のウェディング姿も見れたしね!(結局そこかい)。

にしてもねえ・・・本当似たもの同士っていうか
本心見せねえなあ、って思いつつ
桐乃は桐乃で相当のブラコンで
京介も京介で危ないくらいシスコンで・・・参ってしまいますよね。
だってどっちも妹自慢したり兄自慢したり
行動が一緒なんですもの。
どれだけ想い合ってんの!と作中にツッコミ足したいくらいに。
そんな中で瀬菜は瀬菜で真性のブラコンだしね・・・冷静に考えるとどう考えてもおかしいよ!(笑)。
でもやっぱり、
一番遠回りをしてきたのは桐乃ですし
そんな想いを京介も受け取ってる訳ですから、是非今後の展開も、ね・・・。
表紙の方向性で行っては欲しいんですけどね。何か色々と期待も想像もしちゃいますよ。
桐乃ってば赤城兄にすら嫉妬?飛ばすくらいですからね。
どれだけ心配してるんだか。
京介も京介で免疫なくなってきて、ますます大胆になって。最後のカットがなんだか頼もしい。
短編って事で最初は「ふーん」って感じで読んでたら
沙織の辺りからだんだんのめり込んできて、最後はすっかり夢中に、ってこれいつものパターンやな。
相変わらず尻上がりにテンション上げて来るのが俺妹クオリティですな。
今回も、抜群に面白かったです。




ところで、桐乃よ・・・瀬菜へのツッコミは見事だったが
一部完全にブーメランですぞ(笑)。むしろこっちがツッコミたい気分でした。一部だけど。




俺の妹がこんなに可愛いわけがない 3巻/伏見つかさ

2011-09-01 05:27:12 | 俺の妹がこんなに可愛いわけがない






今回ので残すは後4冊分か。感じるところの多い作品なので、新刊までに書き終えれるかどうか、
は分からないけど何とか自分なりに咀嚼して行ければ。
って訳で「俺妹」3巻の感想です!


今回は完全に京介の巻ですね。
彼が抱える妹からの劣等感だったり、そこからの脱却だったり、
新たなる目覚めだったり・・・。それが上手い具合に、分かり易く描かれています。
彼自身の感情の変遷の物語でもあるんですけど
桐乃の真剣さによって
周りの人物も色々と変化していってるようです。というか、巻数を重ねる毎に桐乃のスペック上昇というか
評価の高まり具合が半端ではありません。正に文字通りのスーパーヒロインですね。凄い。

今回は原作とアニメで違う点が多々あるので、これから原作を読まれる方や
逆にこれからアニメを観られる方はネタバレ注意です。
では以下つらつらと。






冒頭の桐乃と黒猫のケンカ騒ぎなんですけど、
お互いにストイックというか何と言うか・・・普通あそこまで真剣に読まないでしょ。
それを読むって事は、そうまでして分かり合いたいって気持ちの表れ。
何だかんだいってお互い好き合ってるんでしょうね。
だって言ってしまえば、両方にとって素の自分を出せる相手って事実には間違いないでしょう。
だからこそ桐乃もマスケラのソフトまで買って・・・
ってこれ自体相当の事なんですけどね。
友達の趣味を理解する為とはいえ、わざわざソフトなんて買うでしょうか。しかも守備範囲外のを。
そこに桐乃の真面目な一面が表れているんですが、
設定資料集を読み込んで
分厚い難解な二次創作の小説を読破する・・・これってもうある程度好きって事になりませんか?
本当にダメならば途中で読むのを止めているハズ。
恐らくですけど、互いに互いの才能を認めた上で
切磋琢磨し合ってるというか
なんとなくそんな雰囲気を感じました。要はどっちが上か競っていると。
それって完全に友達同士が、親友同士でするような行為であって
その時点で多分尊重しあってる面はあるんだと思う。
じゃなきゃ、わざわざ自分の趣味じゃない小説なんて読まないし、逆に読んだからこそ
対抗心が煽られるって言うか、まあ互いを小説の中で酷い目に遭わせてたのはともかく、ね?(笑)。
まあ要するに彼女たちなりに友達付き合いには真剣だっていう証拠なんですよ。
真剣が過ぎて互いにぶつかり合ってるだけの話。

こっからが重要な話になっていくんですけど
桐乃に関して言えば
やってること全てが本気というか、決して片手間でやってる訳じゃないんです。
確かに未経験の駆け出しが注目されるっていうのは
傍目から見てると悔しいもんですけど
モデルの仕事も本気でやって、友達付き合いも大切にして、趣味に対しても本気で取り組んで
かつ長年滞っていた兄貴との関係も自分から動いて結果的に溶かして・・・
と桐乃は自分の身の回りのありとあらゆる事に対して
一切の手抜きも
妥協もしてこなかった訳で、わがままに振舞っているように見えて
ちゃんと自分のやるべきことはやっている
それは今回のケータイ小説云々に関してもそうで、多分桐乃よりも黒猫の方が評価が低いっていうのは
恐らく桐乃自身の人生経験の豊富さがもたらしたものだとも思ったんですね。
だから、取材もビックリするほど真剣にやってて自分を追い込む程の努力を見せてましたが
それ以前に培ってきた経験の違いというか
色々な事を達成して来て、掴んできて感性が豊かになってきている、っていうのかな。
そういう要素も多分あったと思います。だから黒猫さんの作品が面白くなるのはこれからなのでは?とも思う。
ついでに桐乃は個人的予測で、京介に対して抱いてる想いもあるだろうから
それも反映されたのでは、って思ってるんですけどね。
そこの感情が込められたのも大きいと思う。
 私が桐乃の事を大好きっていうのは、そんな何に対しても向き合って取り組む姿勢っていうか
それでいて器用貧乏で回り道をしちゃういじらしさ、っていうか。
勿論時折見せる甘い部分に惹かれてる所もありますが(笑)。
まあ要は逃げてない、って事なんですけど。


京介が何故桐乃から離れていったのか?っていうと
そんな長年のルサンチマンが降り積もった状態、っていうか
桐乃に嫌われていたっていうよりは
自ら避けてたって言うのが恐らく正解なんだと思います。そんな相手に普通優しくはしないでしょ。
その理由が、桐乃が何でも出来てしまう
妹ばっかり褒められる、って
そんなコンプレックスからだったんですけど、京介は桐乃が自らの色々を犠牲にしてまで
楽しみややりたい事を抜きにしてまで頑張ってた
そんなストイックな姿勢に気付くわけです。
何でも出来る、っていうのは半分間違いで、何でも出来るように努力していた、っていうのが
本当のところなんだと思います。
そんな事実に気付いたからか、今まで積極的に関わらなかった妹の、桐乃のピンチに
助け舟を自ら出した・・・それはある種の贖罪だったのかもしれませんが
桐乃っていう存在から逃げ続けていた事は間違いない。
何やかんや理由付けてたけど
彼が本当に嫌いだったのは、桐乃ではなくて、桐乃をみて頑張れない自分自身だった。
ようやっとその事実に気付けた所で、逃げなかった所で
オチが「最後の人生相談」って!
という気になる引きにはなってるんですけど、ようやく自分の気持ちに素直になれたのは大きな収穫ですよね。
っていうか、本音を言うと京介自身も桐乃を大きく意識してる部分はありますよね。
取材のラブホシーンではドキドキしまくりだし
身体が密着すれば過剰に意識
極めつけは桐乃をモデルにした小説で、そのモデルキャラが作中の彼氏とくっつくと
それに対して嫉妬するような感情・・・これはそろそろ極まってくる段階ですね。

ちなみに、桐乃の方は安定して京介の事を気に掛けてると思うんです。
だって、逐一付いてきてもらったり、
取材とは言え擬似デートだったり
ケータイ小説について逐一話すのが京介だったり・・・個人的に一番グッと来たのは
「あたしの場合、恋愛対象になるのはせいぜい高二くらいから」ってセリフ。
これって何気に京介と同じ学年なんですよ。
そう考えると、そういう意味も含まれてるような気がしないでもない。
無意識に兄と同じ年代を口走ってしまった感がある。それもまあ、後々の話って事で。


ここからは、そんな桐乃の為に、
桐乃が見過ごした盗作されたって事実を
京介が許さずに出版社に乗り込んだって話の件について。
これをきっかけに京介が自分の本心に気付いて、いままで劣等感で避けていた妹に
「ごめんな。」ってセリフを話すっていう重大イベントがあるんですけど
これってアニメでは丸々違う話になってるんですね。
っていうのを約1年前アニメの感想を書いてた時に指摘された訳ですが(笑)。
これは、はっきりいって面白かったです。
あのキャラがああいう事すんのかー、とか
構造とか目的は同じで
全然違う事やってる訳だから、色々と器用なもんだな、とも感じた訳なんですけど。
これに関してはね、
やっぱりフェイトさんが悪いと言わざるを得ない。だってそれは盗作って事実以上に
それより先のお話を書く能力がないって時点で
更に自分の身を削るって事実に気付いてない。気付いてたとしても
やっぱり刹那的な一時逃れに過ぎないですよね。他人のふんどしで相撲とっても面白くないっていうか
金目当てとか愉快犯じゃなくて、今まで10年も真剣に頑張ってきたからこそ
それまでの自分の頑張りを無駄にすべきじゃない―
そんな話の流れになったのは感心しました。
第一それで嬉しい気分になるかってのも微妙ですよね。だって自分がやった事でもないし
本来自分が書きたかった事でもなんでもない
金目当て愉快犯とは違って、本当に真剣に頑張ってる人な訳ですから。
って考えるとこの出来事って何気にフェイトさん自身も道を誤らずに済んだ、って事で
黒猫さんも京介くんも本当に頑張って掴んだ結末なんだな、って思って嬉しくなる。
それで感謝されないってのは当然の話で
何しろ口に出してないですからね。
この部分、もし事実が伝わってたならどうなってたんだろう・・・?って想像する部分も大きいんですが
結局のところ感謝とか褒めてもらうとか、そういう事よりも
自分の本当の気持ちを確認出来た、っていう事実が彼彼女らにとっては重要だったんでしょうね。
これをきっかけに黒猫さんもまた京介の持つ魅力に気付いてしまったようですが。
この要素もまた今後の展開に於いては重要ですよね。素顔を見せた黒猫さんは確かに魅力的で
ここでもまた気持ちがグラつかされました(笑)。
って事で続きは4巻の感想で。






しっかし、書くことが多すぎて、非常に長いですね。毎回毎回。
小説だと内容詰め込んであるので
これぐらいの分量でないと、書きたい事が書ききれません。でもいっぱい考える事あって
その点では本当に面白い作品ですね。
何より誰よりも必死に頑張ってる桐乃というヒロインの存在感がやはりピカイチです。
そしてマスケラのDVDジャケットの男が京介に激似なのが裏表紙を見る度に気になりました(笑)。
しかしこうして見ると京介ってやっぱ格好良いですね。
という事も中身含めて改めて感じた一冊でした。

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俺の妹がこんなに可愛いわけがない 2巻/伏見つかさ

2011-08-27 05:58:17 | 俺の妹がこんなに可愛いわけがない





前回の続き、「俺の妹」2巻の感想です。



1巻のときにも思ったんですが本当盛り上げ上手な作品ですね。
後半のスピード感が半端じゃない、っていうか
その前にコミケでダラダラやってたのが何なの?ってぐらいに凄まじかった。
んで桐乃の落ち込みっぷりも半端じゃなくて
その様子の描写は正直長けててちょっと泪出てしまった。だってあんなん辛すぎるやん・・・!
といいつつ何だかんでタフでもある桐乃の姿が少し頼もしくもある巻でした。
そんな訳で以下感想。






桐乃は口が悪いせいか誤解されがちなキャラですけど
何気に兄想いなキャラでもある訳ですね。例えば冒頭の話だと桐乃の友達が家に来るエピがあって
そこで桐乃は京介にさんざん念押しして出てこないように仕向けるんですけど
これって来栖加奈子が居た影響が大きくて
どういう事かと言うと、彼女ただでさえ口が悪いから
京介の姿を観たら万が一悪口言われるかもしれない、ただでさえ女子中学生って良くも悪くも正直
故に変に絡ませるのはよくない、と。
個人的には、彼女たちが京介と仲良くするのを防いだっていうか
そういう目的もあったんじゃないか、とか
そんな事も思いますけど。
器用貧乏っていうか、結果的には姿出しちゃって話のネタにはされましたけど
そこで桐乃が黙りこくったのが印象的です。
それがある意味本音って話で。

でも、言い方が悪いから、どっか連れてっても含めて京介は気付かない、っていう(笑)。
これがこの話の面白い所で
京介も京介で自己完結しちゃってる部分があるというか
夏コミの時だって本当は京介と一緒に回りたかったのに、単独行動しちゃうし。
そこで桐乃が怒るって云うのは正にそうだと思うんですけど。
彼女は普通に仲の良い風の兄妹としてじゃれあいたいだけ、その表現の仕方が下手なだけ。
あんだけストイックに何もかもをこなせるのに
こと人間関係になると
途端にへタレ、っていうかボロが出てしまう、っていうか・・・。
でもそこも人間らしいといえばらしい部分なのかもしれないですけど。
そんな想いが伝わるのはまだまだ先の話ですね。

個人的には京介がエロサイト巡りの際に眼鏡もので検索してた事が分かって
露骨に不機嫌になる所がさりげに深層心理を浮き彫りにしてて良かったです(笑)。
そんなある種敵役とも云える彼女の相談に
真摯に乗ってあげる姿は何気に偉いと思ったり。この話ではアニメでやってないかな。


さて、本題とも云えるあやせとのお話ですけど
これは本当に難しい話。
1巻の後半の反復にもなるんですけど、誰もが理想に満ちた生き方を出来る訳じゃない
そこで傷付く心だってある訳なんですけど、誰もが趣味趣向を自分で選べるわけもなく
そこはもう納得してもらうしか術はないって話なんですが
この話で何が間違ってるのかっていうと
偏見云々じゃなく
それで迷惑が掛かってるか、否かですよね。例えば黒光りするGが大好きな超奇特な人間が側にいたとする、
正直言って気持ち的には嫌だし止めて欲しいに決まってますよ。
でもそれを表に出さなければ
押し付けたりしなければ、こっちも何もいう事はないし、ただ単に気持ち悪いなとは思ってしまうけど
あとはそっとしておけばいいだけの話。
桐乃の場合、それを見せるどころか気分を考えて隠してたくらいだし
むしろ殊勝だな、とも感じる訳ですけど
やっぱり都合の悪いものを全部捨てろっていうのはどう考えてもオカシな話。
本当の自分云々っていうけど、同じ場所にずっと立ち止まってる人間なんていやしない
いつ何時に何に夢中になるかなんて本人にも予測はつかない
それがたまたまオタク関係だった、
それだけの話。

エロゲーもあやせもどっちも大事、っていうのはね
自分の生きがいである趣味と、他人が同列、つまりは生きがいも同然って事なんですね。
要は概念の事を言ってるんだと思います。
ただでさえ桐乃は話すのが下手、って作中で言われてますしね。
あれはあれで桐乃なりの最大級の賛辞なのです。
だから、
無理矢理自分の型に相手をハメ込むのではなく
むしろ少しでも重なる部分を見つけて、そこを大事に育てていく。
それはモデル業であったり、ファッションとか流行の話題だったり・・・。
そこに辿り着くまで葛藤は振り切れませんでしたが
京介が道化を演じる事によって最後の一押しに成功しました。きっとキッカケを探してたんだと思うけど。
何気にウソだってバレてたのには笑ったけど、まあやっぱりそういう事だったんでしょうね。
妹が悪役を引き受けたり、兄が悪役を引き受けたり
そういう部分は何気に似通ってるのかもしれないですね。うん、最後まで面白かったです。





でも、あながちそういうオタク関係のアイテムが二人を繋いだ、って間違ってないというか事実ですよね。
桐乃も桐乃で「今までほったらかしに~」って言ってた通り
本当はもっと前からそういう気持ちあったのかも。
前回の記事でも書きましたが、そんな受動的な京介を能動的に変えたのは桐乃のお陰なんですよね。
それがあって麻奈実との一件も普段以上に真剣になれてたのかもしれない。
二人三脚的な作品とも思えてくるから不思議ですね。

最後のウソ告白は、流れ的にフェイクの匂いプンプンだったんで意外と早い段階で気付いた(笑)。
でもそれでドキッとする事自体京介もまんざらではなくなった瞬間だったのかも。将来が楽しみです。


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