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超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

甘々と稲妻 1巻/雨隠ギド

2013-09-16 18:11:41 | 漫画(新作)




















雨隠ギド「甘々と稲妻」1巻読了。















ん~なんでしょう、
この漫画を読んでると無性に飯を食いたくなりますね
いや、どころかこの漫画を読んでるだけである程度の空腹が満たされるような感覚すらあります
理由はいくつかあるけれど、まず登場人物が物凄く美味そうに幸せそうに飯を食うんです
ほっぺた膨らましてガッツいて、いかにも堪らない!って表情で色々なものを食している
そのプリミティブなご飯への向き合い方に
自分もこのくらい幸せそうにガツガツとご飯を食いたくなる
そして肝心の料理描写が凄く秀逸で素朴な描き方と湯気等の食欲をそそるリアルな演出が非常に好感触
この漫画で出てくる料理は別に突飛なものはなく基本普通の料理ばっかりなんですけど
登場人物たちが一生懸命料理して楽しそうに食事をしてるからこそ
普通の料理だってたちまち特別な食事に変わっていく
そういうアプローチの仕方もまたほっこり出来るし素直に日常の飯を楽しみたくなる印象で
最初から最後まで読んでて温かく楽しい気分になれる漫画だったと思います
そして誰かと一緒に作って食べる食事はこんなにも優しく満たされるものなんだなあ・・・って
そういう感情を疑似体験出来るような構成と演出にも優れていますね
「食」の根源的な楽しさが詰まってる漫画だと思います。

また、食のシーンだけでなくそこに辿り着くまでのドラマがイイんですよね
父子家庭故にコンビニ弁当だけでいっつも質素で一人きりの食事をさせていた先生が
娘の物足りなさそうな表情を見て行動する熱さだったり、
久々に一緒に真の意味で温かい食事を食べさせて思わず涙するシーン
自分の手作りの料理を初めて「美味しい」と言ってもらえた時の喜びの表現
看病の為にいつもよりも時間を掛けておいしい料理を作ってあげる気持ち
一つ一つの話の調理描写にしっかりと手間と愛情が込められているのがまた読んでてカタルシスがあります
特に奇抜な料理を作ってるわけじゃないのに料理漫画としての面白さをしっかり感じられるのは
そういうキャラの心情だったりドラマがしっかりしているからなのかも・・・とも思いました
喧嘩して落ち込んだ後にあったかいご飯を食べて涙する娘だったり
ピクニックのお弁当をみんなで楽しみながら作る描写だったり
シチュエーションの作り方も中々上手くて安定感があるなあ、と
元々の土台がしっかりしているので、あとはオートマティックに気持ち良さそうな食事描写を楽しめば良い
そういうきちんと読者に感情移入を促してくれる「親切さ」もまた印象に残った漫画でした
いかにも「おいしいです!」っていう気持ちが伝わって来る食事表現に
手間暇かけてしっかりと作ってます、という過程
そしてそれに付随する登場人物たちの切実なドラマ・・・と
「食」を扱う漫画としてはかなりの出来なんじゃないかって個人的には思います
食べるだけでなく、自分も料理頑張ってみようかな?って思える塩梅もまた素敵な作品
素朴である事の素晴らしさが表現されている漫画でしたね。素直に食の楽しさが伝わって来ました。


んで、もう一つ個人的に好みなポイントは
基本的に妻を亡くした先生の為に、そして残された子供の為に
有名料理店の娘で先生の生徒でもある小鳥さんが料理を教える~ってパターンなんですけど
その過程でどんどん小鳥さんが頑張ってる先生を意識していくというか
要するに教師と生徒のほにゃらら的なアプローチもあったりして
「教師と生徒」ってシチュエーションが好みな自分としてはそういう恋愛的描写も良かったですね(笑
家まで押しかけるのとか先生は意識してなかったけど、大分甘々な感じもあってニヤニヤ出来ました
この先の展開的にどうなるのかは分からないですけど、
そんな健気な小鳥さんの恋心がどうなっていくのか
そして先生が意識する事はあり得るのか・・・にも注目して行きたいと思ってます

タイトルの意味が最初は分からなかったんですが
そう考えると大分辻褄が合う気もしてくるのが中々に不思議です 絶妙でもあるというか。
最初に食事描写や料理描写を褒めましたけど、基盤となるキャラの時点でイイ作品でもあるんですよね
みんな健気で一生懸命で、しっかりと今を生きようとしている。その姿勢もまた心打つ漫画でした。
おまけ漫画のラーメンを熱そうに食ってる描写も雰囲気あって良かったなあ(笑














取り合えず、食べたくても食べれない時はこの漫画読むことにします。
いつの間にか忘れていた初心に気付かせてくれるお話です。




クロス・マネジ 4巻/KAITO

2013-09-04 21:32:10 | 漫画(新作)


















KAITO「クロス・マネジ」4巻読了。
















まず表紙が素晴らしいですね
色合いといい必死さが伝わって来る雰囲気といい、深空の真剣な表情といい
非常にクロマネらしさが出ている出色の表紙だと思います
でも中身も正にこのまんま、
どこまでもシリアスに足掻き続けている面々の格好良さが伝わって来る内容になっていて
「胸熱」という言葉がしっくり来るような、今まででも随一に白熱した新刊に仕上がっていました。

前半は蝶蘭に勝つ為の布石、後半にも繋がる作戦の為の練習に励む訳ですが
この練習がいつもとはちょっと違くて
それまでは上手く行かない事に嘆いたり諦めそうになる面子もいたりと
最初期は順調というよりは何とか頑張って取り持って~って印象が強かったと思うんです
でもこの巻の練習は全員曇りなく一丸となって全力で取り組んでいる
それは勿論成長とか経験が作用してる部分もありますが
何より櫻井の伝えた希望的観測と作戦の明確さが彼女らのモチベーションに繋がったと感じるんですね。

強豪と戦う、というプレッシャーの前で弱小が勝った事例を出して気分を持ち上げ
具体的で分かりやすい作戦を教授して役割をはっきりとさせる
本人はその頑張りに驚いてますけど、
期待された分
やるべきことがはっきりと定まった分
練習にも勢が入るし以前と違って闇雲にやる不安は全くなくなっている
櫻井の考えや指示が部活全体に明確な「やる気」や「動機」を生んでいる、
彼が藤丘ラクロス部をはっきりと間接的に活気付けているのがしっかりと伝わって来る描写の数々は
やっぱり読み手としても嬉しかったし本気で強豪に勝つ気満々の雰囲気が頼もしく感じられました
初期は何をしていいかも分からなかった深空が櫻井のお陰で全力で練習を楽しめている様
「楽しい」という台詞と共に感慨深くグッと来てしまいましたが、
同時に櫻井もまたそんな部員達の様子を観て勇気をもらっていたりお互い良い関係性だなあ、と。
櫻井が持ち前の頭脳と経験で部員を強くしていく~という方向性としてはベストな流れだったと思います
部員達だけでなく応援してくれる友人達も一緒になっての確かな一体感の表現は
この後の蝶蘭戦に向けてのワクワクや弾みになってたと感じました
また上手く課題をこなせた時の深空のクシャッとした喜びの表情がすっげえ素敵なんですよね
ああいう繊細な感情を美しく表現出来る才能は是非これからも磨いていって欲しいなと思いました
この漫画は既に終了してますから次回作とかで、ね。


そんで、その成果を発揮するべき試合がまた面白いんですよね
青春もの、恋愛ものとしての旨味を存分に振りまいて来た本作が
いよいよスポーツものとして覚醒する長期戦です
まず相手の強豪の蝶蘭がただの強固でシビアな雰囲気の部ではなく
割とラフで賑やかな一面が目立つって言うのが意外で面白くてユニークでした(笑
普通こういう強豪はもっと厳しいオーラを出してるものですがパターンを外してきたのがイイですね
或いは同じ高校生なんだからそこまで見た目や考えに差異はない、って感じなんでしょうか
そういう蝶蘭面子の顔ぶれや濃ゆい言動を眺めるのも単純に楽しかったです
勿論試合になれば強豪のオーラをぷんぷんに振りまくんですが。

試合に関しては、すっごく現実主義で
主人公達が必死に考えた作戦が早々に頓挫したり
想定以上の強さによって序盤で負けムードに陥ったりと
かなりリアルに作られてると感じるんですよね
所謂漫画っぽい都合の良い展開が少ないっちゅうか、いやまあそれは「華」には繋がらないんですが
でもその現実感が他の漫画には少ない臨場感を与えてたのも事実で先が読めないドキドキがありました
また時折「決まりそう」ってなるのが個人的にニクいんですよね
決まりそうで決まらないシーンが多いので
実際の試合を観ているかのような楽しさがあると思います
よくスポーツ中継で自分が応援しているチームに限って決まらなかったり決められたりしますけど
そういう「ああっ もう!」って感覚を味わえるスポーツ漫画っていうのも味があってイイです

トントン拍子には行かないけれど、
弱小は弱小なりに作戦を練り込んで強豪突破に向かって諦めずに粘り続ける
その作戦が功を奏してようやく反撃のチャンスが・・・!という風に良い所で区切りが付いてます
本誌で毎週追ってた感想でも書きましたがやっぱここで終わると堪らないですね(笑
それも一度失敗してるだけあって確実に決まる保証もないから
余計にドキドキします
それもまたリアリティがあっていいなあ、と
改めて試合描写の秀逸さや理屈が通っている気持ち良さを存分に感じる事が出来ました
なっちんの渾身のロングパス、櫻井の知恵の炸裂、じゅん先輩の試合の中での成長―、と
劣勢の中でも藤丘の格好良いポイントを作り出せるのもまたいいんだよなあ
実際の試合でも優勢の方だけが格好良いか?って言われると違うしね。
蝶蘭の強さや凄味もしっかりと描けてますし、
最終巻に向けての助走はバッチリ!って印象の4巻目
是非ここまで読んでもらってクロマネのもう一つの真価を感じてもらえれば幸いです。
連載が終わっても本当に好き過ぎる作品、NEXTで完結編も載るので併せて同志の方はチェックして行きましょう。

後もう一つ、ラクロスが攻撃有利なスポーツという事実を描く事によって
何故守り中心の作戦が苦戦してたかも描けてますね
マンツーマンだと実力経験共に苦しいから一人に二人つけると攻撃・守備人数がイーブンの為に
必ずスキが生まれてしまう、だからこそ早々に上手く行く作戦ではない、と
そういうキャラを甘やかさない姿勢はやっぱり好みです。
最終巻、楽しみに待っています。その前にNEXTの感想書くだろうけど。














おまけページ解説:

①26話後の4コマ:和峯さん素敵過ぎる(笑 これかなりニヤニヤしました。
②27話後の1コマ:まあ、櫻井それくらいはすべきだよね(笑 素人にクロス作らせたんだから。若本の表情が◎。
③プロフィールは主に蝶蘭中心 なんだかんだモモリは好き バキ先輩も好き。本名椿だからか。

最後のおまけ4コマ(全体的にヒット率高し)
①龍兄ちゃんも苦労人ですな・・・
②小松がゴーリーに固執してたのはルール覚えなくて良いから!?ドヤ顔が腹立つ(笑
③怒ってるうなさなが可愛い
④龍兄ちゃん・・・(憐れみの目)
⑤モモリー!
⑥安定の変態(笑)。やっぱ蝶蘭のメンバーも憎めないなあ。各々の好みが面白い。
 和峯さんにSM服って確かに似合いそうだわ。キャラ的には違うのにね。
⑦じゅえりさんはデフォルメだと意外に可愛い事が判明。ガールズトーク漫画描いてもイケそうだ。
⑧照樹、ショック受け過ぎ(笑


本編でカラーがほぼなかった分、沢城さんや加藤さん能登さん
蝶蘭のじゅえりモモリ凡人先輩キャプテンのカラーが拝めたのも嬉しかったです
総じて今回も満足度の高い新刊に相成りました。「グッと来るシーン」を作る事に対して秀逸過ぎる漫画です。



食戟のソーマ 4巻/附田祐斗・佐伯俊

2013-09-04 15:38:47 | 漫画(新作)
















附田祐斗・佐伯俊「食戟のソーマ」4巻読了。

















前巻の熱い引きから本誌でも大人気だった四宮シェフとの食戟編なワケですけど
このエピソードの一番良い部分はこのお話を通して誰もが株を上げた、ってところなんですよね
今までずっと創真に助けてもらってばかりだった田所ちゃんの懸命な姿だったり
実は裏事情があって非情にならざるを得なかった四宮の本音と前進
そしてサポート役に徹してるだけなのに要所要所でその確かな技術で存在感をアピールした創真、
更に過去のエピソードで実は深い絆があることが分かった卒業生の面々に
元々は単なる衝突だったはずの今回の出来事を
最終的には見事なお互いの前進に変えてしまったある意味本当の魔術師堂島さん
少年漫画でここまで後腐れのない爽快感と意義のあるエピソードを読めたのが嬉しかったです

そもそも「食戟のソーマ」は最初期は創真の実力は凄いんです!と彼の力をアピールする事で
カタルシスを生み出し人気に繋げる類の漫画だったはず
だけどこの4巻はそれだけでなく
しっかりとキャラの成長だったり一皮剥ける姿を描写出来ていて
純粋にキャラクターの成長・進化を伝える物語として読めるのが良いですね
創真の腰巾着状態だった田所ちゃんが自分なりに考えて今の答えを出し、伝わる様は
2巻でのポテンシャル提示の描写を読んだ事もありようやく一人立ちを果たせたようで感慨深かった
そして、その元々無敵状態だった創真もここで初めて敗北を喫するワケですが
自身が直接調理した食戟でないことから
彼自身の株は下がらず、
だけどそれでも勝つつもりだった向上心とプライドを垣間見せてポイントが上がりました
そうやってキャラ自身をスケールダウンさせないまま展開にメリハリを付けるのが上手いなあ、と
こと構成に関しては神懸かってるなあ、と思わず感じてしまった最新刊でした。
ちなみにこの後も創真の株を下げずにピンチを作り出すので
その辺のネームの上手さも期待していて欲しいです


そういった「その場の勢いでごまかさない良さ」は四宮の処遇にも表れています
ここで安易に勝たせるほど四宮の実力を軽視しない一方で
彼が初心を忘れ、
新しさに触れる事なく停滞している現状の事情を描き
だからこそ他の審査員には四宮の料理ほど響かなかった田所ちゃんの料理が沁みてしまったという顛末
彼自身の料理の腕前の表現にブレはない上にその先を目指すからこその欠陥を提示して
最終的にはその影響のお陰で認められ退学がなくなった・・・という見事なオチ
それもまた腰巾着を卒業して自分の全力を尽くしたからこそ得られた成果、
こういうネームの練りこみの上手さが遺憾なく発揮されてたのが素晴らしかったな、と

何より3巻までは印象最悪だった四宮がちゃんと読者から感情移入をされる
漂白されて好感を持てるキャラになったのは大きいですね
子供の時のエピソードや
元々は純粋で真っ直ぐだったあの日のまなざし
だけどトラブルがあって歪んでしまった思想、だからある程度は同情出来るし
だからこそここで矯正される事も必然的だし今後の為にも良かったな、と思えるし。
それに日向子との絡みも夫婦漫才みたいで面白いですしね(笑)。
無双主義の作品ではなく様々なキャラの成長を各々の形で描いてくれるのが爽快で読み心地良いなと
少なくとも創真を持ち上げるだけの作品・・・というイメージはこの巻を読めば消えてくれると思います
田所ちゃんの健気な成長に、四宮の頂からの前進、そして創真の初めて覚えた悔しさ―
後の展開にも繋がってくれるだろう成長要素が多くてワクワクもありましたね。
後半では田所ちゃんがしっかりと成長の成果を発揮してたり
清く正しい少年漫画へと作品自体も進化している印象です
その上水原さんのちょいエロリアクションがあったりマジカルキャベツがあったり初心も忘れてはいない
演出力、画力の凄味も合わさってかなり高品質の少年漫画を読んでいる感覚でした
本誌では表紙巻頭カラーを飾ったり人気路線驀進中でもあるので
何の心配もなく風呂敷が少しずつ畳まれていく様子を楽しんでいけるのが嬉しいですね


しっかしまあ、4巻の引きも相当気になる話を最後に持って来てますね
勿論これには理由があるんですけど、引きの鋭さに関して言えばかなりのものがあるなと
実際田所がメインで料理作れ、とかコインが一つも入らなかった回とかは本誌で相当の威力発揮してましたから
そういった先の展開を煽るセンスと「どうなるんだ?」ってドキドキを演出するセンスは高いですね
その上煽っただけではなくきちんと納得の行く展開をこなせる地力の高さもお気に入りです。
絵柄は最先端でネタ要素も多々ありますが、中身は古き良き少年漫画をしっかりと再現出来てる印象です。













あと、創真とえりなの絡みは相変わらずえりなの反応が面白くてクスクスしてしまいます
そんなえりなの実力もまたブレずに描かれています
えりなもまたそこから一歩前進するエピソードがいずれ描かれるんだろうな、と
作家に対して信頼が置けるようになった内容だったと思います。カバー裏の二人も笑った(笑)。




マンけん。 1巻/加瀬大輝

2013-08-28 02:00:36 | 漫画(新作)















雑誌で表紙になってたのを見かけてなんとなく購入。漫画家漫画ですね。















主人公の倖は天才系と言えば天才系なんですけど、
その力でどんどん無双していく・・・っていうよりは元々の純粋な気持ちを取り戻していく方向性だったり
自分の疎い分野に触れて知識を蓄えたり、現状に甘えずどんどんと上を目指す姿勢だったりと
ある程度才能を見せ付けながらもそれだけじゃない切り口からも描かれてるので
飽きずに読めますし
様々なテーマ性が垣間見れて面白いです
こういう非情な天才女子が主人公の漫画というのも珍しいですが
その冷徹なキャラ性を貫き通したまま他のキャラの純粋さに心動かされる展開が実にイイですね
非情に思えて非情になりきれない根底に眠ってる優しさに心打たれるというか・・・。
こういうキャラが主人公っていうのは結構チャレンジングだと思ったんですけど
上昇志向が高い性格から熱血要素も生まれてますし、
倖のようなキャラが優しさや情を見せる事でさり気に好感度が上がりやすい構成にもなっている
まずは倖の主人公としてのポテンシャルと物語を引っ張っていけるエネルギーに魅了された、っていうのが
初めに抱いた印象ですかね
不慣れな分野(ゲーム)にも頑張って挑んでいたり、
冷静に徹してるようでも根は熱い人物だなあっていうのが伝わって来るのが絶妙でしたね
1巻の時点ではまだまだ非情な一面も残ってますが、そんな彼女がどう変化していくのかに期待です
純粋さを失念しているように思える彼女がマン研と出会ってどんどんと成長していく過程を楽しみたいですね。

1話の下手ながらも頑張って漫画を描いてるアリスを全力で庇ったシーンも良かったんですが
6話の甘い考えで漫画家になろうとしているアリスを突き放したシーンとその後のフォローはもっと良かった
突き放しのシーンは一見冷徹に見えますけど
その前にアリスの甘ちゃん過ぎる考えを描いているからこそ
多少キツくてもそれがアリスにとっては正解なんじゃないかな、と思える
だけど、そのキツさを多少気にしてアリスを気に掛けてしまう倖の心情、
これによってキツさ自体も感情移入に効果的に働いてくれる
その完璧に近いネームの流れは個人的に最高でした
ただ突き放すだけじゃなく突き放した分後に教授してくれたり何だかんだ言って凄い良い人ですよね、倖って。
そんな倖のキャラクター性と無邪気に純粋に彼女を慕って生きてるアリスの可愛さに魅せられた6話
倖は更なる躍進を遂げられるのか、アリスの漫画家志望としての顛末はどうなるのか?と
初めに大きな最終目標、展望を提示されるのも読んでてワクワクして来ます
単行本は4巻まで出てますが続巻を読むのも楽しみですね
取り合えず1巻はキャラ良し、展開良し、お話も適度に熱くなれる・・・と中々のクオリティだったかなと
非常識だけど水面下では優しさいっぱいの部長に関してのエピソードもまた好感触でした
青春部活モノとしても中々に面白い私的には結構にツボな一作でしたね。


また、絵柄は非常に可愛く画力も達者と絵的にも実に良い感じです
でもただ単に上手いだけじゃなくてキャラがワクワクしてる時の表情は
技術以上に理屈じゃない楽しさが伝わって来る印象で
そういうメリハリに関しても優れているなあ、と
小奇麗なだけの絵ではなく時には迫力満点の作画が観れたり時にはガムシャラな場面も観れたりと
そういった観点から考えても魅力的で読んでいて気持ちが良い作画に仕上がってるかな、と。
キャラの成長だったり関わりによる変化も読んでいて楽しい上に
加えて作画的にも見所満載と
隙がなく、それでいて突き抜けた情熱の表現も印象に残る作品になっています
主人公は基本天才系でその上で冷徹・非情という属性を持っているキャラクターですが
その割には読んでて熱い、温かい気持ちになれるシーンが多いのでその点でも個人的に推しですね
むしろ普段冷徹だからこそ時折垣間見せる純粋さに感情移入してしまうんでしょうね
個性的で奥が深いキャラが勢揃いしている漫画家漫画の1巻目
抜群の滑り出しだったと思います
2巻目以降を読んでいくのもまた楽しみですね。

この漫画のテーマ性としてはいつの間にか忘れていた初心だったり純粋さを取り戻す、というのがあるかと
完璧に拘りすぎて実質的に孤立していた倖が「仲間達」と出会って変化する様だったり
技術やソツのなさに捉われすぎて楽しく描く事を失念していた倖、
そんな彼女がアリスの様子を見て感化されていく様だったり
そういう風に倖の行く末や得るべきものが最初から示唆されてるので読みやすい節はあるかも
例えそれが醜く、滑稽に思えてもそこには何よりも大事なものが眠っていたりする
それに気付かせてくれる内容と作風になってるのも好みでした
自分が自分が、だけじゃなく他人の思想や未知の領域に触れることで得られるものも描いていたり
想像していたよりも大分多面的な作りになっていたのも嬉しかったポイントですね
割とそうやって読み手に投げかけるものも多い漫画だったように思う
主人公の倖だけが変化していくんじゃなくて倖によって変化していく人物がいるのもいいな、と
お互いに変化を与える関係、っていうのが一方的じゃなくて読んでて気持ち良いなって。













時には少年漫画に近いテンションのお話もあったりと
美少女の漫画家漫画という前情報だけでは判断出来ない多角的面白さがある作品
コメディセンスも高いのでこれ一作で色々な方向性を補えるようなオールマイティさも感じます。
だけど、一番はやっぱり高い向上心と柔軟な変化、優しさも垣間見せる倖のキャラ性が気に入りました。
続巻もチェックします。





佐渡川準に捧げる「お礼」

2013-08-14 16:41:18 | 漫画(新作)
↑「無敵看板娘」が表紙のチャンピオン。あと「あまね」の巻頭カラーのスクラップ。










当時・・・っていうか今も大好きだけど「ななか6/17」の本誌での展開が気になって
チャンピオンを立ち読みしてたら「無敵看板娘」がセンターカラーになってて、
それが気に入ったのでそのまま購入した記憶があるんですが
あれからもう10年以上経ちます
間違いなく私の学生時代の漫画ライフを彩ってくれた作家の一人なだけにここでのリタイアはかなり切ない
まだまだ若かった、まだまだこれからの人だった事を思うと辛いものがありますね

今思うと毎週チャンピオンを購入してハマっていたきっかけの漫画だったのかなあ、と
まだ1巻が出たばっかの頃だったと思うし、少年誌でここまで破天荒なガールズコメディというのも中々なかった
何より人を惹き付ける「華」みたいなものが確かにあって、正直この漫画の世代の人も結構居ると思う
自分にとっては生粋のチャンピオン生え抜きっ子として
チャンピオン漫画の自由さや面白さを教えてくれたような存在だったのかもしれない。
事実そのセンターカラーとその週の出来が良くて衝動的に購入したお陰で他の漫画の良さも知れた訳だし
後続の作品に興味を持ちやすくなったきっかけでもあるし何気に影響を与えてもらった作家の一人で。

この方がガールズコメディで主力級の人気を博してくれたから
後続のガールズコメディが成功しやすい土壌が出来た節もあるんじゃないかと
元アシの安部真弘も師匠と同じ「~娘」ってタイトルで飲食店を舞台にして成功した訳だし。
いつでも元気一杯に誌面を駆けずり回るキャラクター達に何度も笑わせてもらったし
時にはジーンと来る良い話も作れてたり、
幅も広い方だったと思う
少なくも訃報を聞いてショックに陥る程度には自分にとって大きい作家の一人だということ。
わざわざ作品の中から理由を推測したり考察するのは野暮なのでやめておきますが
私自身はまだまだ「あまねあたためる」の続きが読みたかったですね。


でも、今まで素敵な漫画をどうもありがとうございました。
それだけは佐渡川準の漫画で楽しませてもらった身としてはお礼として言いたかったのでした。
あまねちゃんは愛されるキャラだっただけに惜しいけど、佐渡川準自体もまた生真面目な人って印象でした。
コミックスのあとがきとか見てるとね。惜しまれるだけの作家だったんだよ。

彼の漫画をこれからも私は読みます。
おしとやかな美輝はやっぱり天使だった。