雨隠ギド「甘々と稲妻」1巻読了。
ん~なんでしょう、
この漫画を読んでると無性に飯を食いたくなりますね
いや、どころかこの漫画を読んでるだけである程度の空腹が満たされるような感覚すらあります
理由はいくつかあるけれど、まず登場人物が物凄く美味そうに幸せそうに飯を食うんです
ほっぺた膨らましてガッツいて、いかにも堪らない!って表情で色々なものを食している
そのプリミティブなご飯への向き合い方に
自分もこのくらい幸せそうにガツガツとご飯を食いたくなる
そして肝心の料理描写が凄く秀逸で素朴な描き方と湯気等の食欲をそそるリアルな演出が非常に好感触
この漫画で出てくる料理は別に突飛なものはなく基本普通の料理ばっかりなんですけど
登場人物たちが一生懸命料理して楽しそうに食事をしてるからこそ
普通の料理だってたちまち特別な食事に変わっていく
そういうアプローチの仕方もまたほっこり出来るし素直に日常の飯を楽しみたくなる印象で
最初から最後まで読んでて温かく楽しい気分になれる漫画だったと思います
そして誰かと一緒に作って食べる食事はこんなにも優しく満たされるものなんだなあ・・・って
そういう感情を疑似体験出来るような構成と演出にも優れていますね
「食」の根源的な楽しさが詰まってる漫画だと思います。
また、食のシーンだけでなくそこに辿り着くまでのドラマがイイんですよね
父子家庭故にコンビニ弁当だけでいっつも質素で一人きりの食事をさせていた先生が
娘の物足りなさそうな表情を見て行動する熱さだったり、
久々に一緒に真の意味で温かい食事を食べさせて思わず涙するシーン
自分の手作りの料理を初めて「美味しい」と言ってもらえた時の喜びの表現
看病の為にいつもよりも時間を掛けておいしい料理を作ってあげる気持ち
一つ一つの話の調理描写にしっかりと手間と愛情が込められているのがまた読んでてカタルシスがあります
特に奇抜な料理を作ってるわけじゃないのに料理漫画としての面白さをしっかり感じられるのは
そういうキャラの心情だったりドラマがしっかりしているからなのかも・・・とも思いました
喧嘩して落ち込んだ後にあったかいご飯を食べて涙する娘だったり
ピクニックのお弁当をみんなで楽しみながら作る描写だったり
シチュエーションの作り方も中々上手くて安定感があるなあ、と
元々の土台がしっかりしているので、あとはオートマティックに気持ち良さそうな食事描写を楽しめば良い
そういうきちんと読者に感情移入を促してくれる「親切さ」もまた印象に残った漫画でした
いかにも「おいしいです!」っていう気持ちが伝わって来る食事表現に
手間暇かけてしっかりと作ってます、という過程
そしてそれに付随する登場人物たちの切実なドラマ・・・と
「食」を扱う漫画としてはかなりの出来なんじゃないかって個人的には思います
食べるだけでなく、自分も料理頑張ってみようかな?って思える塩梅もまた素敵な作品
素朴である事の素晴らしさが表現されている漫画でしたね。素直に食の楽しさが伝わって来ました。
んで、もう一つ個人的に好みなポイントは
基本的に妻を亡くした先生の為に、そして残された子供の為に
有名料理店の娘で先生の生徒でもある小鳥さんが料理を教える~ってパターンなんですけど
その過程でどんどん小鳥さんが頑張ってる先生を意識していくというか
要するに教師と生徒のほにゃらら的なアプローチもあったりして
「教師と生徒」ってシチュエーションが好みな自分としてはそういう恋愛的描写も良かったですね(笑
家まで押しかけるのとか先生は意識してなかったけど、大分甘々な感じもあってニヤニヤ出来ました
この先の展開的にどうなるのかは分からないですけど、
そんな健気な小鳥さんの恋心がどうなっていくのか
そして先生が意識する事はあり得るのか・・・にも注目して行きたいと思ってます
タイトルの意味が最初は分からなかったんですが
そう考えると大分辻褄が合う気もしてくるのが中々に不思議です 絶妙でもあるというか。
最初に食事描写や料理描写を褒めましたけど、基盤となるキャラの時点でイイ作品でもあるんですよね
みんな健気で一生懸命で、しっかりと今を生きようとしている。その姿勢もまた心打つ漫画でした。
おまけ漫画のラーメンを熱そうに食ってる描写も雰囲気あって良かったなあ(笑
取り合えず、食べたくても食べれない時はこの漫画読むことにします。
いつの間にか忘れていた初心に気付かせてくれるお話です。