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超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

サクラサクラ 3巻/もりしげ

2013-11-09 05:00:03 | 漫画(新作)

















表紙の桜子さんが可憐過ぎる。
















私、この漫画に惹かれたのは桜子の凛とした美しさからだったんですけど
そんな自分からすると面白くニヤニヤ出来つつも桜子派から考えて微妙に辛い展開にもなってましたねえ
これが作者の手の平の上で踊らされるって事なのか、とにかく無性に桜子を応援したくなりました。

桜子は素直になれない性格な分積極的にも行動出来なくて
新ヒロインかつ明確に春と結ばれる事を願ってるコレットさんに引けを取ってしまいますが
その様子が桜子好きからすると結構に歯痒くて、まるで読んでる最中も半分は桜子のような表情で(笑
でもその様子に戸惑ってたり自意識と葛藤している桜子もまた可愛いは可愛かったんですけど
一番は自身の積極性の無さ、コレットさんと比べて目標に邁進出来ない揺れがちな意識を指摘されて
彼女に春の相手役として完全敗北を喫してしまった後に
それでも春がいつだって桜子に出会えて良かったと思ってる、と宣言してくれた時の表情が良かった。
ああいう描写の積み重ねではっきりと桜子の恋心を浮き彫りにしていくのが目的と言えば目的なのかと
そんな彼女の切実で悩める乙女っぷりは素直に可愛く面白くもあったので
その秘めた気持ちが花開いていくのを待つとしますかね
これまで春が桜子に尽くしていた分、
これからは桜子が一生懸命裸やスッポンの力ではなく自分自身の力で振り向かせる段階なんでしょう
その過程と結末をこれからもワクワクドキドキしつつも見守っていきたいですね
結局大事なのは相互的な関係、お互いがお互いをしっかりと意識し思い遣るべきって事なのかもしれない
桜子が積極性や勇気を出す事で彼女自身の成長物語としても機能してきそうですし
後々の展開が楽しみになってくる巻でもありましたね
今はまだ試練、ある種の挫折を味わって殻を破る前の段階だと思うので
これはこれで桜子の悲哀だったり春への強い気持ちの表れを楽しむのが吉ですね
とにかく、心から「頑張れ桜子」って彼女にエールを送りたい、感情移入せざるを得ない3巻でした

この漫画は「上の世代が犯した過ち」を描いている漫画だとも思っていますが
同時に「下の世代にやる気がなければ批判の価値もない」という
今度は桜子側に対する批評性を持ち出して来たような気がします
実際にちゃんと動いているのは春とコレットさんで桜子は受け身と言えば受け身ですし
ちゃんと自分の意思ではっきりとした気持ちで「変えていく」マインドが必要だっていう
そういうメッセージ・・・というかテーマ性を個人的に勝手に感じています
そう考えるとラブコメでありながら現代批評のような漫画にもなり得ている、という
そのバランス感覚がやっぱり絶妙で面白いですね。

桜子派としてはコレットさんの怒涛の攻めにタジタジになりつつも
そんな批評性やそれによって浮き彫りになった桜子の確かな気持ちと想いの強さ
あとはコレットさん掻き乱し役かと思ったら意外と良い人、真面目な人でもあって
そんな彼女との絡みも何だかんだでニヤニヤ出来ましたし(笑
ラブコメとしてはやっぱり最高に面白い
その上先の展開は非常に気になるしで今回も今回でクオリティが高く沁みる内容でしたね
そしていじらしい考えを悶々と繰り広げたり真摯に春を想う桜子が本当に好きなんだなとも確認出来た
桜子は不器用だけど、そんな中でも秘めた素直さが最高に可愛いキャラなので
是非反撃、そして幸せになって欲しいです
春は取り合えずコレットさんとの結びを断り、まずは互いを知るという選択肢を選びましたけど
その上でしっかりと桜子の想いに応えてあげて欲しいな、って思っています
うむ、益々目を離せない一作になって来ましたね。


で、そんなラブコメとしての進展と共に前半は桜子とのイチャラブ模様が中心に描かれていました
この辺のシーンはね、もうオートマティックに読んでムラムラ&ニヤニヤしちゃって下さい、という感じ
ただ単にサービスカットが多いだけでなく桜子の乙女ちっくな描写も多くて本当に最高でした
後半からは二人の間に試練が訪れる構成になっているので
その前に一度ピークを刻みたかったんだと勝手に思っています
桜花と桜子の熱烈なちちくり合戦に関してはホント突き抜けてて良かったですね
この漫画のサービスシーンの中でも特に本気で特に笑えるものだったんじゃないか、と
いやはや野郎的に素晴らしいと思えるシーンの連発で凄かったです。

こういう正しいドキドキ、そして後半の葛藤の描写の数々こそ少年誌のラブコメとしてはド真ん中
最近はコメディ過多でサービスカットも葛藤も少なめなのに物足りなさを感じていたので
その点だとこの「サクラサクラ」3巻を読んで随分とその不満が解消された気がしました
ストーリー性があり、お色気もあり、コメディも盛り過ぎない
ラブコメ職人としての矜持が発揮された巻でもありましたね
なんかもうオートマティックにニヤつけるシーンの連発で物凄く充実した甘々描写を楽しませてもらいました
互いに意識の気があるのは分かっているので、後はもうちょっと桜子の素直さが必要ですかね
橘先生の行動やサービスカットもまた面白く可愛く確かに満足度に貢献していた前半でありました。
取り合えず、もりしげさんに感謝(笑)。















前半でサービス大盛り、ラブコメ度大盛りのシーンを連発
後半は新ヒロイン導入に批評性、そして応援したくなる内心健気な桜子の描写
最後に桜花の心境の変化と実に読み応えのある新刊になっていました
コレットさんが春の誠実さに照れるシーンも何気に良かったです(笑
正直、ラブコメとしては今自分の中でトップクラスに感情移入してる漫画ですね。

4巻が早く読みたい!





3LDKの花子さん 1巻/丸山哲弘

2013-11-08 20:43:09 | 漫画(新作)




















丸山哲弘「3LDKの花子さん」1巻読了。

















単行本の目次ページの出典元を見ると2話ほど未収録の話があります
その話はやみ子さんの再登場の話と花子さんがこけしと一緒に学校に行くお話です

本誌では今週センターカラー、今までの登場キャラ勢揃いの紹介的なエピソードだったので
単行本もそれに倣ってみぞれさん、ぬらりひょん初登場のエピを前倒しで入れたんでしょう
その抜かされたやみ子さんのエピも傑作なので是非2巻に収録して欲しいですね

チャンピオンのオンラインサイトで初のグッズ化、そして掲載順上昇傾向にカラーでのプッシュと
何気にいい風が吹いてるのがファンとして嬉しいですね
この漫画は段々ハマっていった感覚の作品です。


何で好きになったんだろう?って振り返ってみるとやっぱり主役の花子さんのキャラ、
というか性格が自分的にストライクで恐らくそこからなんでしょうね
花子さんは元トイレの花子さんで、
住んでいたトイレがリフォームされ個人部屋になった影響でざしきわらしへと変化
その恩とざしきわらしとしての役割を果たす為に部屋の主の信やその一家を幸せにしようと頑張る
そういう流れのお話が大体なんですが
そんな花子さんの見事なまでのスレてなさ・・・
限りなく純粋で、優しくて、他人想いな、要するに突き抜けて「良い子」な姿に感情移入しちゃったんでしょう
多少ズレてるが故に空回りはするんですけど(笑 でも本当に心から他人を心配し尽くしてくれる
そんな「献身精神」を見事に体現している頑張り屋っぷりが個人的に大好きなキャラ
素直な言動や見方の数々もスレた心には沁みる感じで最高です
見た目も勿論可愛くあいくるしく、それでいて表情豊かで素敵なんですが
そういう可愛い見た目に性格がちゃんと比例している「真っ当さ」が何よりお気に入りのキャラですね
彼女の様子や頑張ろうとする姿、賢いけどどこか抜けている言動を眺めるだけでも楽しくニヤニヤ出来る
主人公の存在感が際立っていて応援したくなる時点で個人的には良い漫画だと感じました。

花子さんはある意味信にとって親代わりのキャラクターなんですけど、
そういう配置には「おせっかい」「説教臭くなる」という危険性も含んでいます
だけどそれを一切感じさせないのはズバり信が回を増す毎にダメ人間化してるからですね(笑
初期はまだ「普通の少年」「時折頼れる」と危険性を現実のものにするポテンシャルがあったんですが
途中から一応初期から匂わされていたダメ人間の素養が一気に花開いてむしろもっと心配してやって!と
益々花子さんを応援したい気分になっていきます
そういう風に徐々に主役に感情移入が出来るようになっていく流れも上手いと思います
本誌で読んでた時は段々花子さんがツッコミも兼任するようになってきたなー、って不思議だったんですが
これはこれで物語の目的がはっきりして来て良かったのかもしれません
そんな訳で、信の存在が花子さんの人の良さを際立たせ、
かつ花子さんが完璧に振舞えない事で信にも同情の余地を残している
そういう主人公の花子さんと相手役の信の関係性がはっきりしてる漫画でもあるので
割とシンプルに、オートマティックに楽しめる漫画だとも思います ほのぼの美少女コメディですが
話の根幹や目的意識はしっかりと考えて展開されていくのが好印象でもありました
心配性=おせっかいだとは結びつかない、
本当に信を心配されて然るべき人間に描いているので「おせっかい」「説教」という印象は多分持たない
そういう不愉快な要素を排除出来ている手さばきもまた私個人的には評価していますね。
素直に花子さんを応援したくなるというか。信も、ですけど(笑


ただ、この漫画は花子さんのワンマンショーではなく他のサブキャラも良い味出してるんですよね
花子さんの頼れるお姉さん的な雰囲気を出しているこっくりさんも実は寂しがりだったり
美人でおしとやかななめ子さん(垢舐め)も見た目と本性とのギャップが凄い
クズ認定(笑)受けてる詩ちゃんも何だかんだで憎めない優しさのあるキャラですし
健康優良美少女の信の妹・瑞もポイント高し
ダメ人間好きの大久保さんも面白く、
実は構って欲しい?みぞれさんもナイスキャラって事で他のヒロインも各々の方向性で実に可愛い
この手の美少女コメディとしては恐らくは及第点に達するレベルなんじゃないですかね
花子さんが純真無垢な分その他の要素を他キャラが引き受けてる感じ
特にぶっきらぼうに見えて内心繊細なこっくりさんのキャラクター造詣は本当に好みです
初登場の話から既に花子に対する親愛が垣間見れたりと愉快かつほっこりする可愛げのあるキャラですね
現時点では花子視点の話が圧倒的に多いけど、いつかこっくりさん視点のお話も読んでみたい。
って事でキャラのポテンシャルに関しては中々に示せていると思います
大久保さんと花子さんとの絡みでちょっとラブコメっぽくなるのも面白かったです(笑

個人的には花子さんを選べば自分を鍛えてくれる相手
大久保さんを選べばそのままの自分を好いてくれる相手、
というメタファーにもなっているなあ、とか思いつつまあそこまで描かれるかどうかは未知数ですね
でも花子さんと信の少しラヴを匂わせる描写が個人的に大好きなのでこれからもたまにあると嬉しいな
四郎さまが花子たぶらかそうとしてちょっと苛ついた描写だったり、
パンツ脱がされそうになって照れる描写、
勿論初回の勘違いされたサービスカットも含めて(笑
恋愛には行かないだろうけど、そこも期待したくなる側面の作品ですね。

で、ただ単に美少女キャラが可愛いだけでもなく(ただ単に美少女キャラが可愛いだけの作品も好きですが)
さり気に野郎の存在感や面白味も高いのがまたイイですね
前述のようにダメダメ少年の信、
時折格好良い発言をするギャップもまた素敵です
どう考えても内田裕也にしか見えないぬらりひょんや
全人類を見境なく愛する変態的神様・端稲四郎さまの存在もまた強烈
それ以外にもネタ自体トイレ我慢大会やみんながダメダメになっちゃうお話等
ゆるかわ路線だけではなくギャグとしてもしっかり笑えるものになってるバランスも好きです
女の子の可愛さが売りの一つだとは感じますが、それ以外の面白さも付随してると思うので
チャンピオンの今までの美少女コメディが好きな方ならば恐らくは
それと頑張ってる女の子が好きな方も気に入ってもらえるかと
ギャグは安全牌狙いではないので好みの差異はあると思いますが個人的には昔ながらの少年誌ギャグの匂い、
またファミリー感もあったりするので今とても懐かしくまた新鮮な気持ちで読んでいる漫画ですね。
こんな可愛いトイレの花子さんは初めて見たのでその意味でも良かったです(笑















表紙のイラストも無添加な感じでとても良いですね
う~ん、とにかく人懐っこく純粋、スレてなくて頑張り屋で健気で献身的
そして場合によっては間接的に矯正の役割も担ってくれる花子さんの存在が大好きです
回を増す毎に表情豊かに、かわいくなっていくのでその点でも注目ですね
まったりしたお話も荒唐無稽なお話も両方詰まってるので好きな方は是非。

おまけページでも花子さんのスレてなさは健在でした
カバー下のイラストも良い感じで比較して楽しめるのがグッドですね
裏表紙に関しても花子さん以外のカラーを拝めて大変よろしかった。
各話感想も書いてますし、
個人的には応援したい漫画ですね。

今巻のベストカットは花子さんのトイレの花子さんバージョンの姿のシーン全般(ああいうの好き)と
水着の見開きのスク水花子さん、そして「スキですよ!」のシーンかな
実際に花子さんがいたら凄く幸せそうですねえ。



クロス・マネジ 5巻(最終巻)/KAITO

2013-11-01 15:37:50 | 漫画(新作)


















KAITO「クロス・マネジ」5巻読了。

















言いたい事は本誌最終回の感想で全部言い尽くしてるんですが、
敢えて単行本でまとめ読みした上での印象を書き綴るとですね
藤丘高校と蝶蘭高校の関係性ってwin-winの関係性だったような気もして
藤丘高校は当初話にもならなかった惨敗、何一つ成果を上げる事の出来なかった悔しさから
きちんと頑張れば、がむしゃらに這いつくばれば何とか通用する部分もある、という自信を得て
そして「1点」「和峯を抜き去る」という「成果」をきちんと上げる事が出来た
あの辛い練習や葛藤の日々が「無駄」ではなかった
また上を目指せる、という手応えを嬉しさと涙と共に獲得する事が出来たワケです

一方で、蝶蘭高校、特に和峯は現女子高生最強プレイヤーとして名を馳せ
長い間無敵状態が続いていたんだけれど
「無敵」って事は文字通り「敵がいない」という事でもあって、そこに「楽しさ」は付随しないワケです
だって「敵」じゃないのなら単なる引導を渡すだけの相手という事ですからね
でも、何度も何度も諦めずに立ち向かってくる
死んだと思っても生き返ってくる
そんな藤丘メンバーの姿を見て蝶蘭高校の象徴でもある和峯が嬉しそうに微笑む―
藤丘高校との対戦は藤丘だけが負けても尚価値を見い出すだけの戦いだったのではなく
蝶蘭に取っても自分達に存在していた「驕り」を払拭出来た、ねじ伏せる楽しさを思い出す事が出来た
文字通りの「対戦」を楽しむ事の出来た得るものも多い試合だったんだと思います
この漫画は基本的に深空の挫折からの立ち上がりと、
櫻井の失ってしまった「情熱」という穴を埋める事が軸となって構成されていた物語でしたが
こうやってまとめて読んで流れを確かめていると実は蝶蘭の物語でもあったのかなー、なんて思ってしまいました
蝶蘭というよりは和峯さん、かな。彼女もまた「強すぎる」故に熱くなれる衝動を「探してた」人で
味方にとっても、相手にとっても「探し物は」見つかった状態で終わる事が出来た
そこまで辿り着く事が出来た
その時点でもう既に傑作だったのだと思います
少なくとも目的も果たせずラスボスと戦う事も出来ずに終わる短期作品が多いジャンプ作品の中で
ここまで美しく着地出来た作品も稀ですし、作品としてはしっかりと地に足を付けて終われたと思います
だから、もっと見たかった
続きが読みたかった
終わるのが寂しくて堪らなかった、という気持ちが今まで残っていましたが
こうやって単行本でまとめて読んで、目的や成果の果たしっぷりをまじまじと確認したら
意外なくらいスッキリしている自分もいてね、やっぱりある意味幸せな作品だったんだなあ、と感じましたね
「ある意味」というのは別の意味(商業的)だと幸せではなかったと思うので使いましたけど
ファンにとっては「作品として」幸せに終わる方が嬉しいものですから
これはこれで一つの美しい形なんだと思います
まとめてよんだら強がりでなくはっきりとそう感じる事が出来たので本誌派だった方も是非
おまけページや感謝の言葉も満載なのでその点でも浸りきる事が出来る秀逸な最終巻だったと思います
満を持して、堂々と大傑作でしたと言い切りたいと思いますね。
紛う事なき目的意識に満ちた素晴らしい構成力の短期の名作でした。
これからもずっと読み続けると思いますし、
登場人物のひたむきな姿に励まされ続けると思います
自身の未熟さ、無様さ、格好の付かなさを認めつつもお構いなしに必死に頑張るキャラの姿は
同じようにルサンチマンに塗れつつ頑張り切れない人にとって勇気に変わってくれるエネルギーがあると思う
そういう意味では現実に叩きのめされた大人向けの漫画だったかなあ、と感じる部分もありつつ
ここまでシリアスでシビアなドラマをジャンプで繰り広げてくれた事に心から感謝します
きっとこの漫画に助けられていた人も大勢いるでしょう
私も勿論その内の一人として、
最後にこの漫画が好きだったし、これからも好きだろうし、いっぱい元気やメッセージをもらったよと
意思表示して最終巻の全体的なレビューを終えたいと思います 改めて読んでくれた皆様にも感謝、ですね
この一年以上もの間相当楽しませてくれて色々な豊かさをもらえた作品でした
好きな人はとことん好きになる漫画だと思うので
青春だったりリアリティの追求だったり、繊細な心情描写だったり
その手のキーワードに反応する人は是非是非ってところですね 作品としては過不足なく終わっているので、ね。


個人的に、和峯さんの笑顔がすっごいこの漫画に於いて象徴的だったというか
この漫画は各々が各々の考えで必死に動いて相互影響を何度も繰り返す
誰もが誰も成長や変化を遂げる漫画だったと思うのです
少なくとも、
連載当初から何も変わらず成長もせず最後まで来ました~、ってキャラは一人もいない
その抜け目のなさだったり登場人物を大切にしている姿勢が好みだったんですけど
大事なのは「誠実さ」だったり「前に進もうとする想い」だったり、「誰かを信じる気持ち」だったり
要するに「頑張る」事が、実際に行動に移す事が他人に最も良い影響を及ぼす
自分が変わっていくことが誰かを変える一番の近道
そういうテーマが根底にはあったと感じてるんですね
そこから考えると、あの和峯さんの表情こそがある種の集大成というか
櫻井にとっても、深空にとっても、そして藤丘のメンバーにとっても
「変わる事が出来た」ことの作中最大の証拠になっていたんじゃないかなと
改めて最終巻を読んでいて深く感じてしまいました
腐って達観したまんまじゃ何も変わらないし、ただ頑張るだけで頑張り方を学ばない姿勢は時間を無駄にするだけ
櫻井も、深空も、藤丘のみんなもそこから一歩進む事が紆余曲折あって(←ここ重要)出来たからこそ
他人の心を動かせる、そんな存在になれたんだなあって気がして
不意に涙が出そうになりましたが
そういう涙が「出そう」になる感覚もまたこの漫画らしい、この漫画の長所なんだとはっきりと思いました
最後の櫻井の情熱が再び戻って来た、空っぽだった心が満たされた~って描写も
それまでの苦難や葛藤がなければ感慨深さもなかったでしょうし
そもそも2巻程度で終わっていれば説得力すらなかったと思う
その点から考えても蝶蘭戦で話数をめいっぱい使った上で終われたこと
和峯さんにあの表情を引き出させて終われた事というのはこの作品に於いて会心の一撃だったと思う
元々「クロス・マネジ」という作品自体読切時から素晴らしいとここまで感じ続けて来ましたが
和峯さんの存在が更にこの作品に付加価値を与えてたんだなー、って
そんな事もこの最終巻を読んでつくづく感じましたね
改めて偉大で素敵なキャラでした
その和峯さんが微笑むシーンは正に最高の作画という言葉が相応しいものに仕上がってます
あれもまたこの漫画を読み続けていて良かった、とはっきりと感じ取れたシーンの一つでしたね。
最後の最後で相手にすら感情移入をさせるような作品に到達した感覚で。

先日書きましたけど(これ)、最後におまけの完結エピソード(31P)で恋愛方面にも決着を付けてます
これはただ単に櫻井と深空の思春期学生っぷりにニヤニヤすればいいだけの話なので(笑
気楽に読んでオートマティックに満たされてくれれば、
そしてそんな中でも早見先輩の繊細な心情を描く抜け目の無さもイイですね
サービスもコメディも充実しているのでこれは是非本誌だけの人にも触れてみて欲しいです
唯一恋愛の行方だけが放置されてたままだったのでこれを以って本当にピースがハマった感じですね
この番外編はギャグ作家だった頃のKAITOさんの地力が出ている印象でかなりクスクス出来ました。

















最後に、おまけページ
今回は完結編の収録もあり描き下ろし漫画は4巻と比べると少ないですが
最後に2ページでその後の面々の様子が描かれています
それが良い感じだったのと
あとがきでは当初の予想よりも長く連載が続けられた、という旨も語られていますし
感謝の言葉も要所要所から伝わってくるので(作者コメントの時点でちょっと感動 笑)
その点でもじっくりと楽しんでほしいな、と思いました
またいつか、再び深空たちと会える時を願いつつ、情熱の行く先に想いを馳せつつ。
美しい物語をどうもありがとうございました
「新作」について書くのは当分これが最後だとは思いますがまた時間が経ったら語りたいと思います
今はただただ満たされた気分のまま書き終えたい気持ちです。

この漫画の後、KAITOさんがどういう物語を紡いでいくのか、にも注目したいですね
ある程度固定ファンは掴んだと思うので、KAITOさんが信じる物語を曲げずに描いていって欲しい
その時が来るのが今から楽しみです。
心から、ね!





私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 5巻/谷川ニコ

2013-09-21 15:29:05 | 漫画(新作)


















谷川ニコ「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」5巻読了。



















この巻で1年生から2年生に進級する訳ですが
進級した後の展開がこれまたすっごい面白くて今回もクオリティに関しては抜群の巻に仕上がってました
多分今までと比べても遜色ないどころか新鮮さと言う点では今まで以上の面白さだったかと

まず、新任の先生の存在がいいですね
そりゃ人が真剣に話をしてる最中にあんな画像見てたらキレるわ、っていう(笑
なんでしょうね、1年の時の担任の先生はもこっちは「そういう生徒」と完全に認識していて
彼女の領域には踏み込んで来なかった良くも悪くも距離感のある教師だったんですが
今度の担任の先生はそういうのを許さないというか、
距離感が近くバシバシ踏み込んでくる先生なんですよね
その学年によって過ごしやすさが変わる感じもリアルだなあ・・・と思いつつ
1年の時には許されていた声の小ささを矯正されたり、友達がいないことを責められたり
これは流石にもこっち悲惨だなあ、と思いましたが
でもそんな風に辱めを受けて堪らなさそうにしている彼女を見るのも悪くない、っていう。
或いはだからこそ心の中で「頑張れ」って思っちゃうような感覚があってこれはこれで面白いと思います
そういうぼっちだからこその「踏み込まれる辛さ」を表現出来ているのは新しい進化だと感じました
あの何とも言えない辛さは分かる人は分かるはずなので
きっと感情移入も出来ると思います
そして「負けるな」って気持ちも同時に付いて来るのは言うまでもなく。

そんな新担任との絡みも面白かったんですが、自己紹介のエピソードも実に面白かったです
一瞬だけ救われたけど、その後増長によって地獄へ叩き落されると言う
でも根元さんみたいな人種は本当にいるんだってば・・・。
本人に悪気ゼロなのがまた泣かせますけど
流石にあの痛々しいとも言えないただただ滑ってるだけの痛恨の自己紹介のシーンは
初めにページを開いた時思わず閉じてしまったほどにいたたまれないものでした
また担任のフォローが益々惨めさを煽ってるんだけど
最終的に「黒木さん状態」と揶揄されるところまで行ったのは可哀想だけど笑ってしまった
しかしまあよくあれだけだだ滑ってるシーンを描けるもんだ、と逆に感心もしましたけどね(笑
人気雑誌を読んでれば誰かが・・・ってエピソードも
冷静に考えれば甘いけど
でも本気で信じて頑張ってる姿が切実にも感じて気持ちいとおしくもなります
そんな風にもこっちを「ほっとけない」と思わせるエピソードが多々詰まっており
新展開の滑り出しとしては個人的にはかなり良いスタートを切れたんじゃないかな、と
これまで読んできたファンにもオススメ出来る内容になっていると思います
総じてしっかりと笑ったり感情移入出来る新刊だったかと。


表紙にはもこっちと弟の智貴が描かれてますが
この二人の関係性も相変わらず良い感じに面白いです
寂しくて弟に嘘を付く姉と、
茶番だと分かってても一応付き合ってやる弟
そのいびつだけど、どこかで最低限の繋がりや思い遣りを持ってる関係性っていうのが
絶妙に思えてなんかいいなあ、って気持ちになりますね
もこっちも食べ終わるまで待ってて、と何気に弟の存在を頼りにしてるしね

それと、もこっちも逆に弟が高校の新生活でぼっちになってるんじゃないか、と
彼女なりに心配をしているエピソードなんかもあったりして
そういう、
全くベタベタはしてないけど、全く気にしていない訳でもない腐れ縁的な関係性
それはそれで個人的には良い具合に想像も出来ていいものだなって。

一番グッと来たのは互いの裸を見せ合うことを提案する話(言葉におこすと凄い 笑)で
智貴がもこっちに近づいて来た時に思わずビクッと怖がるもこっちの姿ですね
あれ一瞬想像しちゃったのかな?って思うと
なんか彼女が可愛く思えてきます
口では下ネタ平気そうに話してても実際はウブそのものっていうか(笑
その前の「○○○○見せて」「消えろ」っていう一連のやりとりも笑えましたし
(「こっちも見せろっていうんだろ?」て・・・笑)
オチも含めてこの話はかなりの出来栄えでしたね
「○○○○○ことで頭一杯で全然集中出来なかった」のコマとかなんか込み上げるものがありましたねえ・・・

花粉症の話は、凄い笑ったけど気持ち的には「ドンマイ」って感じですね(笑)。
ここまで不幸が似合っていて、似合ってても不快感がなくむしろ頑張れって気持ちにさせられる主人公もいない。
だからこそもこっちの存在ってエポックメイキングだったんだなあ、と個人的には強く感じました
先生に叱られて涙目で縮こまってる姿も、
人気雑誌を読んで話し掛けられるのを待つ話の奮えながら待っている姿も
弟の行動にドキッとする姿も、
弟の前で弁当をもちゃもちゃ食う姿も
クラスメイトに堂々と揶揄されて机に突っ伏す姿も
自分より貧乳な生徒のデータを見て思わず喜ぶ姿も
辱めを受けていたたまれなさそうにしている姿もどれもが人間くさくていじらしくて、
彼女ならではのリアルな可愛さがあるなあとつくづく思いました
やっぱりもこっちは大好きなキャラクターですね
それはかつての自分自身と重ね合わせている部分があるのかもしれないですけど
それでもここまで人間くさくて、ある種健気で、地道に頑張っているキャラも早々いないと思う
2年生になって初めて「時々話すだけのクラスメイト」も出来おせっかいな先生との出会いもあったりで
後々変化も生まれそうですし、ちょっとぐらいの幸せも表現されてる塩梅もまた好きでした
最後には意味深な引きもあったりでそれも含めて今後の変遷を見届けるのも楽しみです
2年生になってももこっちはもこっちのままでした
それもまた嬉しく、そしてこの漫画「らしさ」を貫けてて良かったと思う。
あと根元さんといい今江さん、ゆうちゃん、きーちゃんとこの作者の描く女性って何気に可愛いキャラ多いですよね。
根元さんもいつかもこっちに良い影響を与えてくれるといいなあ・・・と個人的には期待してます。
小宮山さんはどうなるか分からないけど(笑)。
















振り返るとやっぱ新担任絡みのエピソードが一番ツボだったかな
正直少年誌のようないかにもな悪い人が全く出てこないんですよね
誰もが誰もの尺度で正しい、
他人の所為に出来ないからこそ辛い・・・そういう心情を上手く表現出来てると思います
そしてそんな中でも自分なりの幸せや希望を探して彼女なりに頑張って生活してるもこっちがいとおしい。
そんな風に思える漫画とキャラクターですね。5巻目に突入しても普通に笑えるテンションに拍手。





姉ログ 2巻/田口ケンジ

2013-09-18 14:55:56 | 漫画(新作)


















田口ケンジ「姉ログ」2巻読了。
















今回もすっごい面白かったですね
ある意味ショートコメディのお手本と言ってもいいくらいのクオリティなんですけど
まず基本モヤ姉が弟絡みで妄想する~というのが常套なのにも関わらず、
あんまりマンネリ感がないんです
それには二つ理由があると思っていてまずモヤ姉の描き方に良い具合に緩急が付いている点
1巻では全く無知だったのにいきなりサッカー通になってたのは個人的にかなり笑いましたが(笑
そういう積み重ね的な面白さがあったのが個人的にプラスで、
それと彼女の幼少時のエピソードも描かれてるんですがそれがまた実直にニヤニヤ出来るんですよね
思考の中では弟を変態扱いしてますけど、ただ単純にモヤ姉が弟大好きで悩んでるだけなんだろうな、っていう
そうやってモヤ姉の変化だったり根源となるエピを挿入する事で見事に飽きが防止されています
定番のネタも緩急によって安定して楽しめている節もあるし、
この辺りのバランスの良さは2巻のが磨かれてるなあって感じましたね

もう一つの理由としてはやっぱり魅力的なサブキャラの台頭ですね
これは非常に大きいです
「姉ログ」はモヤ姉の行動に笑って意識過剰にニヤニヤする類の漫画だとは思いますが
それ一辺倒ではなく別のテイストも楽しめるようになってきてるのは間違いなくプラスだと感じます
香澄とのほんのりラブコメも相変わらず面白く
加えてモヤ姉の斜め上の思考に付いていける体力を持っているブリサの登場はデカいです
これによってモヤ姉が活き活きと弟が私大好きなんですトークを出来るようになりました(笑
彼女自身も魅力的なキャラですしね。オタクだからこそ理解を示す、っていう。
 あとは個人的に大好きになったのは今巻で存在を現し始めた教師陣です
この二人は個々がどうこう、というよりは二人のやりとりが非常に面白いですね
東雲先生は残念イケメンですがそうのたまいつつ意識しちゃってる渚先生の態度にニヤニヤ出来ます
なんかもうこの二人のスピンオフ作ってもイケそうなくらい完成されている(笑)。
作者の本気度を感じてますが、
モヤ姉のライバルとなる(?)新キャラの雪乃もまた案外良いキャラにすぐ育ちました
所謂お嬢様キャラで主人公のモヤ姉を過剰意識している・・・というかなり王道のキャラですが
本当は尊敬してるのにプライドが邪魔して中々近づけない、
だから近づきたい、、、っていう実は健気な性格が非常にツボでした
この手のキャラはどこか傲慢だったりしますが雪乃に関しては、なんか切実に感じていいんですよね(笑
ライバル視とは言うものの、内心モヤ姉とすっごく仲良くなりたいのが伝わって来ますから。
と、こんな具合に出来の良いサブキャラが次々と台頭して来るので必然的に飽きは来ず。

同時に、新キャラ勢を眺めていると(ブリサなんかは1巻末初登場ですが一応活躍はこの巻からという事で)
ある共通項が浮かんできて、それはどのキャラも妄想甚だしい、
要するに非常にこの漫画らしいキャラなんですね(笑
どいつもこいつも意識斜め上というか
色々な観点からの妄想っぷりを楽しむ事が出来るという利点
で、そのラッシュが浮かび上がらせるのが「それこそが姉ログらしさ」という揺ぎ無い事実
ただただ新キャラを増やしただけではなくどのキャラもこの漫画に相応しい思考の持ち主であって
そういうキャラを一同に集める事でこの漫画の個性を深く印象付けられる・・・という
非常に抜け目がなく分かりやすい構成になっているのが
冒頭で書いた「ショートコメディのお手本~」という記述をするに至った要因であります
またブリサも雪乃も基本的にモヤ姉の新しい面白さを生み出すキャラとして出てきているので
それも含めてやっぱりショートコメディとしては磐石の仕上がりだなあ、と
つくづく私的には感じました
突飛なギャグに笑うもよし、
ちょっといい話に和むもよし、
モヤ姉含めてほのかなラブコメを楽しむもよし・・・と
益々オールマイティになっている感覚がファンとして頼もしさを感じる新刊でしたね
今回はドラマCD付きの限定版が早くも同時発売、なので順当に人気になっていって欲しいです
それくらいのポテンシャルは十分に受ける事が出来た尽力の跡が伺える内容になってたのが好印象で。


個人的に好きなエピソードを挙げるなら、
やっぱり子供時代のモヤ姉が可愛すぎる第36話が筆頭ですかね
これ観るにどう考えても姉のが本気になってるとしか思えないんですけど(笑
でも、結果的にその発言が輝を成長させたんですからやっぱり良いお姉ちゃんだよな
きっと将来的にも輝の面倒を見る事が生き甲斐になっていきそうな予感
「自分が働く」宣言までしてますからね
でも輝自身も適度に格好良い頼れる弟でもあるのでその意味じゃ似合いの二人でもあるよなあ。

そしてサッカーの話は前述したように詳しくなりすぎだろ!っていう爆笑ポイントに加えて
オチが斜め上のようである意味正論とも取れる塩梅が可笑しかった
非常にモヤ姉らしい考え方ではあるんですが(笑

雪乃の話は基本的にどれもクオリティ高めに感じました
この子も妄想もモヤ姉と種類は違うけれどどれも都合良すぎで読んでるとつい笑ってしまうんですよね
そんな中で勝手に輝をコンプレックス持ち扱いにした妄想は今巻でもトップクラスの面白さ
その後のモヤ姉下げされて怒る様も彼女の良い人っぷりを証明していてベターでした。

ラブコメ的には第47話の渚先生が至高でした
田口ケンジさんは世話焼きな女性が好みなんでしょうか(笑
口では貶してるのに内心まんざらでもなさそうな態度が非常に可愛らしかったです
この二人の関係性も掘り下げていって欲しいですね。切実に!

今巻もサービスカット有りな話があったのも良かったです
そういうのがない回でも弟の生着替えにドキドキしてたり、
ママと呼ばれて赤面したり弟本当は大好きオーラが出てるのがある意味サービスではあるんですけどね。
でも部屋水着回のグラマー&触られっぷりは完璧に目の保養になりました。ありがとうござ(略


そんなこんなで、今回もキレの良いお話ばかりで終始気分良く読めました
おまけ4コマや描き下ろしカット、カバー裏の1コマ漫画集とおまけに関しても良好でしたね
特に雪乃の描き下ろしカットは彼女の不敵さと可愛さが上手く混じってて良かったなと。
最早モヤ姉だけが売りの漫画じゃない、そういう形容しても許される程多様性の高い良作になっています。

















ちなみにドラマCD付きの限定版を購入しました
聴きましたが、思ってた以上に小清水さんモヤ姉にハマってた・・・(笑
いや、なんつーか、もうこの人しかいないんじゃないの?ってくらいのハマりようで凄かった
多分原作好きなんじゃないかな?って思う位の好演を見せてくれてるのでファンなら購入の価値ありです
お話自体は原作のエピソードを忠実に再現していく内容なので安心して聴けると思う
それも15本以上ボイスドラマ化してるので聴き応えも十分ですね。
おまけ等は特になし。

やっぱり、1巻のサッカーの話が至高でしたかね
小清水さんの声で「タマなし野郎」とか最高過ぎました(笑)。
通して聴いてると本当にモヤ姉の異常さが良く分かる作りになってるんですけど
そんなモヤ姉は異常でありつつもどこか可愛げがあって実にイイです
途中のあえぎ声も必聴です!
ちなみに約1時間のボリュームでした。これも含めて満足。