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超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

そんな未来はウソである 3巻/桜場コハル

2013-08-06 20:59:18 | 漫画(新作)
















約2年ぶりの新刊!














素直にラブコメッちゃってるなあ、っていうのが全体的な印象ですね
「今日の5の2」も「みなみけ」もそういう要素はあるけど基本日常ものな訳で
ここまで恋愛成就主体のコハル作品も珍しいな、と
多分この感想は2巻の時も抱いたと思うんだけど新刊は2年ぶり、その間にみなみけは結構出てるから
改めてガッツリ読んでみるとかなり新鮮で面白いなあ・・・というのが素直な感想。
男1人に女4人という構成はともすればハーレムになりがちですけど
これはあくまで高山くんとミツキしか進展はさせない構成になってるので純朴って印象も抱けます
そんな二人が織り成す良い感じの恋愛模様・・・って言ってもミツキは無自覚ですけど(笑
今回も今回でしっかりと楽しませて頂く事が出来ました。面白かった。

なんでしょうね、「今日の5の2」や「みなみけ」に比べても随分少年誌にキャッチーな場面が増えたような
まずアカネとのラッキースケベのシーンはコハル漫画的にはかなり新鮮で
間接的なラッキースケベはあれど、
あそこまで分かりやすいラッキースケベは中々なかったような気がします
それも設定上理屈の通ったラッキースケべになってるので(!)都合の良い感じもしませんし
結構少年向けに元々のコハル作品らしさを少し変えてアプローチしている感覚がありますね
パンツを忘れていった話なんかまず「みなみけ」ではやらないだろうし・・・
元々のコハル作品らしい淡々としてる良さと読み易さとセンスに加えて
もう少し入り口の広い少年心をくすぐるシチュを増やして良い具合にミックスさせてる印象なんですね
だから私もう10年以上もこの方の漫画読んでるんですけど、不思議といつもと同じ感覚でもなくて
しっかりと読めばちゃんとコハル作品的な新境地も垣間見れる
勿論作者のファンでなくとも
少年誌的なキャッチーなシーンが多いので独特の雰囲気を受け入れられれば普通に面白いと思われます
あくまで個人的な印象ですけどいよいよコハル的少年漫画を展開出来ている感触があったりして
その意味でも長年の読者的には嬉しい3巻目だったなあ、と
洗練された絵柄も上々
キャラの可愛さ的にも抜群の出来栄えになっていて熱中して読む事が出来ました
日常漫画に恋愛要素を上手い具合に被せる事が出来てる質の良いブレンド作品になってるので
日常漫画にそこまで興味のない方も楽しめる作風になってると思う。
まあ、個人的にはこの作者独特の台詞回しの時点で一線を画してるとは思ってるんですが。
今回もまた小気味良い台詞回しの連発だったのもまた読み心地的にグッドでした。


「みなみけ」では基本的に大人サイドのキャラ、特に親キャラに関してはゼロなんですけど
この漫画では高山くんの父親が出ています
この父親が非常に面白くて、
息子の恋愛事情をいちいち探ったり余計な気を回したり
親キャラとしての良さが最大限に発揮されているキャラクターになっていて
この辺もまたある種の新境地、いや、漫画的には新境地でもなんでもないんですが(笑
でもコハル作品的にはめっちゃ新鮮で面白かったです
女性の親で恋愛事情に首を突っ込むというのは多々あるんですけど
男親でいちいち気を回してくるっていうのは中々観ないのでそれもあって面白かった
メイン三人だけではなくそういった脇キャラもちょいちょい楽しさに貢献してくれてるので
その意味でも安定して楽しめる順当な内容になってると思う
今回出てきたアカネの昔の友人は本当にワープ使いだったりするんでしょうか
そうだったらまたシチュエーションに幅が出そうで楽しみですけどね。
取り合えずミツキとのちょいラブシチュは次巻でも続くので徐々に進展って方向性に間違いはない
なんだかんだいいつつ気持ち仲良くなっていく二人の様子にニマニマ出来た上に
アカネとのラブコメ的シチュも不自然にならない形で導入、と
読んでいて中々気分の良い巻になっていました
ミツキもただ言う事を聞くだけの人形でなく結構自発的な一面も見せるのがいじらしくていいですね
それがメリハリにも繋がったりと良い具合にキャラが動けてたのもまたプラスでした。
ただ、江口さんはともかくマドカちゃんの活躍は少なめかな。
まあ、それによって一途さは際立っているので、結果的には大丈夫か。

一番好きなお話はやはり忘れ物の話ですかね
まずパンツの忘れ物って時点で中々にマニアックで想像を掻き立てられました
父親の申告のタイミングも面白かったし、ミツキの反応もまた女の子らしくて可愛かった
各々のキャラの反応も「らしい」ものでしたし何気に上手さが光る回でした
こういう良い意味で俗的なお話を描いてくれたのは嬉しかったですね
しかも下品にもなってないのが尚良いです。
それとカレーが結果的にシチューになるお話も高山くんとミツキの雰囲気が良くてほっこり出来ました
その後もラーメンを二人で食べにいったり親密度は一歩一歩確実に増していってます

その一方でアカネが自業自得(?)でラッキースケベに見舞われる話もやっぱりお気に入り
ミツキは未然に防ごうと考えてたのにアカネの能力によって惨事になるって流れは
この漫画の特性を活かしてて非常によろしかったです
アカネもお泊り会のあと途中で家に帰って起きた時にセクシーショットを披露してたり
キャラに色気があるのがやっぱりいいですね ミツキの妄想男性ものシャツ姿も良い具合だったり
そういった少しドキッとするシーンをちょくちょく入れてくれる事で刺激になるのがいいです
恋愛対象としてはあくまで1人ですけど可愛さは均等に楽しむ事が出来る
そのバランスもまた絶妙に感じる事が出来ました。

関係ないけど、高山くんの男友達の内の一人はちょっと女の子に見えますね。また出番も希望。














という訳で約2年ぶりの新刊、ラブコメ的シチュの表現が絵的にも台詞的にも多くて満足でした。
ある意味桜場コハルの別の顔が垣間見れる内容でもあるのでみなみけ読者の方も、是非。
それと表紙のミツキは素晴らしく可愛いですね。



食戟のソーマ 3巻/附田祐斗・佐伯俊

2013-08-02 15:28:10 | 漫画(新作)
















附田祐斗・佐伯俊「食戟のソーマ」3巻読了。















この巻から好評を博し、
本誌の掲載順で初めて2番手(1番手は記念巻頭だから実質トップ)をもぎ取った合宿編です
いや、なんかこう、自分の好きなWJ作品は大体ニッチな作品が多いのでここまで人気が出ると嬉しいですね
ただ内容的にはやっぱり真っ当に面白くて、だからこそ高順位連発が素直に嬉しいんですけど。

これまでは大体創真の凄さを見せ付ける内容といいますか
彼の無双っぷりを楽しむ漫画として取り合えず序盤は構成/展開されてたと思うんですね
勿論越えるべき父親の存在とか実力を抑えていた曲者の先輩等はいたんですけど
基本的に創真は何があっても自分の実力を疑う事はなかった
それがこの巻で初登場した新キャラ兼ライバルのタクミによって考え方がちょっとずつ変わっていくんです
自分と同じ幼い頃から現場で長年切磋琢磨してきた「同業者」でもあるタクミという存在
その手さばきや創真にも劣らない持ち上げられっぷりは、ここまで割と彼一辺倒で来ていた今作にとっては
とっても新鮮でしたし、単なる噛ませにはならないであろう雰囲気とオーラがありました
事実ここで初めて同世代の相手と「引き分け」という事態に陥る訳ですが、
最初はこの学園を多少舐めて掛かっていた創真が少しずつこの学園の重みと深さを知っていく
自分以外にもしっかりとした理念とプライドを持って料理に励んでいる相手を認め一目を置いていく。
今後もこの表現を多用すると思いますが正に、
「井の中の蛙、大海を知る。」的な流れになっていくのが非常に面白くてワクワクしますね
最初はやっぱり少年読者の為に分かりやすく無双展開にしたんでしょうけど、
そこで人気を掴む段階を終えてより漫画として真っ当になっていく構成はこれはこれで正解だなあ、と
また相手が創真と同じような境遇の人物っていうのも展開に無理がなくて良いんですよね
各々のスタイルの対比だったり、
定食屋の息子だからこその発想の描写に
イタリアンで育って来たからこその創作料理の描写と
作られる料理もそのキャラだからこそ、の個性が効いてるのがまた面白いんですよね
しかも今回もやっぱり凄く旨そうで、1巻と比べると料理描写の上達具合が手に取るように分かります
王道と言えば王道なんだけど、地に足が付いた設定と展開になってるから素直に楽しめるのが利点ですね
タクミが創真をライバル視する理由付けも上手かったですし、今後もこの二人の絡みには期待しておきたい
いつか挑むであろう食戟が十二分に楽しみになる好感触のシリーズでした。

また、リアクションも意外とよく読むと地に足が付いてるんですよ
まずは「この鴨になら抱かれたい」ですが日向子さん意外と恋愛脳で驚きました(笑)。
のほほんキャラに思えてそこかしこからエロスが漂ってくるのが何とも素敵ではありますが
鴨の顔がダンディー過ぎなのもまた笑いに拍車を掛けてくれてます
「柿の種との愛に溺れてしまう」も相当斜め上の発想なのに加えて意外と表現力あるんですよね。
こっちもまた初見で大笑いしてしまった好リアクションの一つではありますけど
共通してるのは両方とも女を任せて構わないと思っている事、
要するに明確な差異は存在しないっていうのを暗に提示してると思うんですね
そういう部分も個人的にはよく考えられているなあと勝手に感心してしまいましたし、
両方ともしっかり立てて実力伯仲!というオチにしたのもお話にメリハリが出ていて良い感じです
この後の展開は更に話題になって好評だったので忘れていましたが、
タクミとの展開もまたきたるべき対決の展開に向けて素直に燃えられる流れになっていて
王道少年漫画と称されるだけの実力をまじまじと感じられた合宿序盤だったんだなと再確認。
細かい小ネタだったり、創真の普段は不敵でマイペースだけど認めるべき部分は認める格好良さなど
そういうシンプルなだけではない深みや賑やかさもまた面白さに貢献していたと思います。

また、合間の小休止的な回ではえりなとのニヤニヤ出来るやりとりがあったり
その後で彼女の実力の凄さを知る描写があったり本当に抜け目のない構成にもなってます
こうやってその後の展開に向けてワクワクを煽る描写の上手さは今のWJでもピカイチですね


さて、後半では思わぬ事態が発生しますが
個人的に凄く絶妙だな、と思ったのは変に回想だったり台詞だったりで創真の怒りを表すのではなく
田所ちゃんの健気でいじらしい涙を見せる事によって理屈でなく怒りが爆発するという
その演出の上手さ・・・がやっぱり素晴らしかったと思います
不可抗力に負けずに頑張った田所ちゃんと
そんな彼女をなんだかんだで認めているからこそ真剣に抗議した創真
ある程度筋は通っているけど、それでも理不尽さは拭えない四宮シェフとの熱いぶつかり合い。
これまで創真は友情云々で激昂することは一度もなかったように思えたんですけど
(でもさり気に丼研の部長を思い遣った発言は出てましたが)
田所ちゃんが田所ちゃんなりに一生懸命頑張ってたところを見てきたからこその創真の激昂―
って事で少年漫画的には正に100点満点の引きと熱さだったと思われます
この勢いと熱さは一切死なず逃さず持続したまま最高のクライマックスを迎えるので
単行本派の方は是非4巻をめちゃくちゃ楽しみにして欲しいですね
斯く言う私も早く単行本でまとめ読みするのが今から楽しみであります
少年誌らしいハッタリ描写と勢いよく威勢の良い不敵な主人公の格好良さ、に加えて
メリハリが付いた展開に、頑張ってるからこその感動、そして熱血的な興奮が生まれた豊かな3巻目
上手い具合に段階を踏んでヒートアップしている印象なのでこれからの展開にも期待です。
明確なライバルの出現にヒロインの為に激昂する展開等王道を真っ直ぐ貫く描写が非常に気持ち良かった
読切時の評価通りに真っ当に面白い作品になっていて個人的には満足ですね。
各々のキャラの成長もしっかり楽しめる作風にもなってるので
ただ単に無双展開を楽しむだけの物語じゃなくなってきてるのもまた嬉しいです。
佐伯俊のセンスある作画と凄味の効いたキメゴマもまたこの漫画に確かな色を付けてると思う。

それにしても田所ちゃんは本当に可愛いね!
不器用でネガティブだけど一生懸命で健気に頑張っていて
泣きながら「私の事はもういいから」と懇願するシーンはそりゃ男なら守ってあげたくなるよなあ・・・って
またその前に何気に彼女が自分ひとりでもしっかり乗り越えようと頑張るシーンがあるのもね
後の感情移入に繋がっていて抜け目ないなあって思うのですよ。
しかも創真のアシストをしっかりこなせた経験がその気持ちに繋がってる訳だし。
うん、やっぱりこの作品も縦(その場)の面白さ優先でなく横(繋がる)の面白さがある作品だなと
こうやってまとめ読みしてはっきりと思ったのでした。流れが美しいですからね。


最後に、tosh・・・いや、佐伯俊単独の読切「キミと私の恋愛相談」が収録されてるのですが
これが全く嫌味のない爽やかな恋愛ストーリーに仕上がっていてオススメです
というか、むしろtoshファンにオススメです(何
そこまでお色気路線じゃありませんけど、でも女の子の可愛さは磐石ですし
お話も自然な流れで無理がなく、また安易にライバルを嫌な女の子にしてない点も好印象
主人公の誠実さも純朴で印象に残りますし素直に傑作短編と形容してもいいんじゃないかと思われます
少年誌のラブコメ好きには是非読んで欲しい一品ですね 台詞の流れも滑らかで読みやすいので。

主人公は最初はへタレで嘘をついちゃう流れになってるんですが
後半ではへタレたままじゃなくてしっかり自分の気持ちに素直になってるのが
短い中でも成長と一途さを感じさせてくれて素敵だなあ、と思いました
それに対する女の子の反応もいちいち可愛いですし
画力が高いので素直にドキドキ出来る。何より表情の描き方が上手いですわ、抜群に。
元々本編の展開がどんどんと熱くなってるのに加えて素敵短編も収録といたれりつくせりという感触ですね
今回この作品を収録してくれた事には個人的に大きく感謝したいです。ありがとうございました。

ま、それにしても今は絵が更に上手くなってるのであれですが
この頃の絵を見るともう疑いようもなくtoshでしょう。またいつか恋愛モノの読切等も期待したいです。
おまけページにはタクミの掘り下げ話が高クオリティ作画で4ページ載ってるのでそれも是非。
色々とトピックが多くて語り甲斐のある新刊でしたね。















四宮シェフはこの巻だけの印象だと物凄い俺様キャラとして描かれてますけど
4巻ではそれだけではない一面も多々描かれるので嫌いにならないで下さいね
斯く言う私は週刊で読んでた時はもう相当印象悪かったんですが(笑 でも、結末まで読むと分かるので。

この辺のお話は本当に引きが上手くて毎週読むのが凄い楽しみだった事を思い出します
特に20~21話は週刊漫画のドライブ感に満ちていて非常に面白かったですね
週刊で読んでも最大限に楽しめる上に、
コミックで読んでもその地に足の付いた流れを楽しむ事が出来る
そういう練り込まれた構成の上手さと良さ・・・みたいなものをつくづく感じました。


最後に、卒業生の乾日向子さんのキャラが大好きです(笑)。







大室家 1巻/なもり

2013-08-01 20:08:19 | 漫画(新作)

















なもり「大室家」1巻読了。















うん、まあ、櫻子が主人公のスピンオフって時点で磐石だろうなあって思ってたんですけど
見事にその通りでやっぱりなもりって漫画家は今脂が乗ってるなあ、と
こうして改めて読んでいると櫻子は割と主人公に相応しいキャラクターでもあって
京子の悪ふざけはある種意図的に行われている節があるんだけども
櫻子のは本当に天然というか、考えなしに突っ走って生きてるようなイメージなので微笑ましく映るし
姉も妹もしっかりと彼女を叱ってくれるので存外に気持ち良く読む事が出来るんですね
要するに櫻子は良い意味で子供っぽいというか、他意がないというか。
そんな彼女のおてんばな行動の数々を読むのは楽しかったし
昔ながらのファミリーギャグ漫画・・・って感触で中々に手応えを感じたスピンオフでした。

ただ、個人的にあかりんや京子が出ないと若干物足りなく感じる可能性も考慮してたので
そこから考えるとその意味では予想以上に面白かったとも言える作品でしたね
「ゆるゆり」本編では楽しい学生生活、友情を描いてるけど
これは文字通り「家族」「姉妹」を描いているので読み心地も結構違う部分はあって
その新鮮さだったり家族ならではのネタが面白かったのもあって、前述の櫻子の魅力も合わせて
個人的に物凄く面白いなあって思うことが出来たのかもしれません

「ゆるゆり」に「みなみけ」のテイストを足した感じというか・・・
内容的には「ゆるゆり」とそこまで違う突飛な事をやっている訳ではないけれど
そういった若干の本編との差異が発生してるのである意味作品として独立してますし
これはこれで新しいなもりワールドの一環として楽しめる感じかなあ、と


舞台が家族/姉妹に移った事からゆる~い百合模様という本編のテーマからは結構逸脱してますけど
そんな中で長女の撫子ねーちゃんの淡い恋愛模様を入れてくるセンスは流石だなと思いました
完全にファミリーギャグになっちゃったらやっぱり物足りないと思いますからね
またそれらのネタに対する妹達の反応も面白いんですよね(笑
撫子のささやかな恋愛描写に於ける雰囲気は「ゆりゆり」を髣髴とさせる叙情感のあるものに仕上がってるので
その意味でも普段の話とは違った深みが出ていて読んでいてグッと来たし感情移入もしてしまいました。
時折挿入されるからこそ余計にニヤニヤしてしまう絶妙なバランス感覚がいいですね。

んで、そういうバランス感覚で言えばもう一つ、さり気に家族の絆というか
良い風味のエピソードもしっかり入ってるあたりも抜け目がなくメリハリが効いていて良いな、と
普段は好き勝手やってる櫻子でも妹の花子が風邪を引いた時は何気にお粥作って元気になる事を祈ってたり
彼女の真っ直ぐな部分が良い方向に振り切れているエピソードも挿入されてるのが尚素敵な部分で。
ただ単に櫻子がおてんばに振舞ってるだけ~っていう内容じゃなく
しっかりと姉妹ものだからこその優しさやいたわりを感じさせるお話も盛り込んでいる
なんで読み終えた後に結構残るものがあるのが個人的にいいなあ、と
期待通りの櫻子の面白ソロプレーも存分に楽しめて
ゆるゆりスピンオフだからこそのちょっとニヤニヤ出来る恋愛模様も楽しめる
その上で家族/姉妹ものだからこその「良い話」も堪能出来る・・・と振り返ってみるとやはり磐石
様々なタイプのエピソードが安定して時に飛びぬけたクオリティで描かれている傑作スピンオフだと思うので
本編のファンにも是非手に取ってもらいたい一作だな~と私的には素直に感じました。

また、なんだろう・・・そういう思春期・幼年期時代のやり取りが結構リアルでいいんですよね
シールの見せあいっことか、ヨーグルト食った食わないのいさかいだとか、おさがりの描写だとか
3人も子供がいると必ず1人は調子に乗って冗談言う子供がいてそれに対してツッコむ子供の存在とか
割と記号的にならずに微笑ましくなるような家族模様を描けていると思います
そういう分かりやすく笑いやすい方向性の中で確かに光っている生っぽさもまた魅力的な一冊
全編通して非常に面白くニヤニヤ出来て特に外れのない中身のように感じたので
やはりなもりさんは信頼の於ける作家さんだなあと
再確認出来た新刊にもなってました。本編と比べても全然負けてないように思えるのがお見事ですね。


そして、長女撫子三女花子の友人達のキャラクター性もまた面白いですね
花子のライバルみさきちは意地っ張りで対抗しいだけど憎めなくて可愛らしいキャラ
これから勝つだの身長の調子が悪い、等ギャグ的にも頑張ってますね(笑
撫子は友人達の中でもクールポジション・・・かと思いきや
意外といじられてたりとその辺もまた面白い
撫子は割と恋愛方面をいじられると過剰に反応するのがギャップ的にたまらないですね
そういったサブキャラ勢との絡みもまたしっかりと楽しめた地に足の付いたコメディっぷりを堪能させてもらった。
個人的にみさきちは凄くお気に入りのキャラなので本編に出しても面白いかも・・・って思いました。
新キャラ勢に関しても楽しめる辺りもまた本格的に新作っぽくて良かったのかもしれません。
こっちもまた、オススメですって事で。










で、初回版には花子の夏休みの絵日記も付いてるんですがこれがまた面白いですね(笑
本当に夏休みが始まって終わるまでしっかりと記されている上にエピソードの一つ一つが面白く
子供視点ならではのシュールさと良い意味での幼さがよく出ていてお気に入りです
7月21日のスカート摩擦の日記と
8月2日の名前に騙されました日記と
その翌日のみさきちとの会話、8月12日のいかにも子供っぽい日記とかが好きで
中でも8月16日の日記は大人向けのシュールな笑いになってて一番好きですね(笑)。
そして夏休みの宿題を何気に7月中に終わらせてるあたりもまた花子らしくて良かったです
割とどの日を読んでもほっこり出来たりある意味シュールだったりするので個人的には初回版推しかな。
みさきちはここでも強烈なキャラ性を発揮していて、やっぱポテンシャル高え!と(笑)。

スピンオフ作品ですが、本編と同等と言ってもいいくらいしっかりした作品になっていました。
櫻子の可愛さや面白さは主人公に出来るくらい優れたものだった、というのがこれ読んでるとよく分かります。
正直櫻子ファンになりそうなくらい無邪気で無添加で可愛いって思ってしまいました。
続巻も出るようなので今から2巻を読むのも楽しみです。




はねバド! 第2話「が・・・外国人だ―・・・!!!」 感想

2013-07-07 02:06:08 | 漫画(新作)


















狭い世界で。












連載開始直後から大人気、という煽りが付いてますけど
月刊誌なので半分は信じていいんですかね?(笑 というか信じさせてって感じですけど。むしろ。
私もアンケート出しましたし今月も読み終えてから早速出しに行きました
評判が良ければ表紙や巻頭も飾れるかもしれないので
good!アフタヌーン読者の方は善意でよろしくお願いします。

で、今回も凄く良かったですねえ
前回は主人公である綾乃の視点が少なめに感じたんですけど
2話目でようやく綾乃が主人公らしくなってきた感覚が強くあります
彼女の弱さというか、
内に抱えるダウナーな気持ちというか・・・
私が濱田浩輔に求める一番のセンスとして「アンニュイさ」というものがあるので
その意味では早速期待に応えてもらった印象で読んでて中々に気分が良かったですね
最初がまだまだ未成熟な分この後の成長もまた楽しみになる感じで。

綾乃の性格や本質を推測も含めて分析すると
過去に色々あって自分だけの世界に閉じこもるようになってしまった
自分を出したり誰かと一緒に何かを目指す事が苦手になってしまった現状があって
そういう狭い世界からの脱却が当面の目標なのかなって。

恐らく苗字が違う=離婚した?とは予想が付きますけど
そんな彼女がトラウマを克服して立派に成長出来れば今の憂鬱もきっとカタルシスに変わるはず
そういった後々の結実を示唆させるような流れになってたのが個人的には秀逸かな、と


でも、綾乃が悪いって訳じゃないんですよね
正直ほっといて欲しいのにほっといてくれない~って邪険な顔で言うセリフは良く分かります
本当は誰だって一人になりたい、誰からも干渉されたくない欲望があるはず
その小さなプライドを乗り越えて誰かと一緒に「合わさった何か」になることが出来るのならば
それはそれで素晴らしい事なんじゃないか、って・・・。

1話はキャラ見せの側面が強かった分、2話でしっかりと小さな一歩を踏み出してくれた綾乃
でもまだまだ助っ人気分である事は変わりないのでこれからの描かれ方に注目ですね
早くも強豪と強敵を出すテンポの速さも含めて面白い2話目でした
これを機に情熱が再燃すればいいな、って思います。

それと、綾乃が助っ人を引き受けた理由の一つとしてコーチの「引き」にもあると思います
人間の心理上、謝られて引かれると逆にやりたくなってしまうんですよね(笑
ちゃんと反省して謝ってくれたことも大きいんじゃないかと

加えて、その時のシーンが青春っぽさを感じさせる空気に満ちていて
ああ、濱田漫画のこういう部分好きだったな~って如実に思い返す事も出来ました
アンニュイな感情の掘り下げ、そしてそこからの一歩
最後にお得意の青春描写・・・と
さり気にポテンシャルがジワジワ発揮されていた第2回だった気がします
綾乃も主人公らしくなってきたので次回を読むのが早くも楽しみですね。期待しています。


最後に、バドミントン描写に関して。
あまりハッタリに頼らずリアル描写を貫くみたいですね
実力者なはずの綾乃が早くも翻弄されてたりと揺さぶる描写が中々に凄いです
多分負けるんじゃないか・・・と思いつつ、でもこの試合は勝つ/負けるよりも
綾乃の意識変化が目的だと感じてますから
終わった時にどういう心境になっているか、に着目したいと思います。
スポーツ描写に関しても手応えは相応に感じているので次回以降の激化も往々にして楽しみです。

まだまだ掘り下げられていないキャラが多く、
しかも掘り下げたら結構に面白くなりそうな潜在能力を秘めてそうなキャラが多いので
これから先も安定してワクワク出来そうで嬉しいですね。恋愛に関しては未知数な段階ですけど
濱田浩輔ならばきっとそこも見逃さずに描いてくれる事を信じて・・・
取り敢えずは綾乃の行動に期待です。










コニーは綾乃の「妹」?
いや、多分昔の知り合いとかだとは思うんだけれど
でも彼女を揺さぶって闘志に火を付けさせるには十分なキャラクターですね
強豪高の女子キャプテンの志波姫さんも存在感上々ですし
順当に盛り上がって欲しいです
これからも毎月応援を続けたいと思います。頑張れ、濱田さん。

それにしても綾乃は本当に小動物みたいで、笑顔に他意が感じられなくて可愛いな~!
こういう天真爛漫なヒロインを描かせたら相当のものがありますよね。
まくらに引き続き綾乃にも夢中な今日この頃です。

荒垣なぎさの成長もまた読みたいな。




クロス・マネジ 3巻/KAITO

2013-07-04 17:53:08 | 漫画(新作)











 




KAITO「クロス・マネジ」3巻読了。
















この3巻を読んで改めて思ったのはなっちん(斎賀)の話が素晴らしいという事ですね(笑
この話は・・・凄く沁みると思うんですよ
今までガムシャラに頑張って来た人間が他者から実直に認められるというお話
別に目新しいエピソードという訳でもないのにすっごく感動してしまったのは何故だろう?と考えるんですが
それはやっぱり3話あたりのエピソードを先に読んでるのでキャラの言ってる事がよく理解出来る
確かに櫻井は不遇ではあるけど器用さは抜群で
逆になっちんはとことんまで不器用なんですよね
結局深空の為に頑張ってても櫻井よりも貢献は出来てない訳ですから
ある意味コンプレックスを感じるのも道理っちゃあ道理なんですよね
というか、自分より卒なくこなせる人間にお世辞を言われても素直に喜べないのがリアルな話で。

だけど、自己評価がいくら低くてもコンプレックスがあったとしても
ぶっちゃけ他人にとってはそんなもの関係ないに等しいんですよね
その人が自分をダメだとか不器用だとか思ってても
周りから見れば実は助けられていたり、凄いって思う部分があったり、尊敬するポイントがあったり
そこを櫻井は本当に純真な気持ちで表現してくれたわけでそれが嬉しくないはずはない、という
ここまで美しく人一人が報われるお話を読むこともあんまりないなあ、というか
それは単行本で読んでも変わらない感動がありました
また、櫻井のセリフがお世辞とかじゃなく
読者から見ても「その通りだなあ」って思えるのも大きいんですよ
確かに一番足掻いて部のムードに貢献してくれてたのは彼女だって気がしますし
その点でもそれまでの積み重ねが目に見える形で結実したみたいで凄く嬉しい気分になった
重ね重ね本当に心に残るお話だなー、と
改めて思ったわけです。


この巻はそういう他人に関しての感謝だったり、ねぎらう感情がよく表現されている巻で
予選リーグを勝ち抜いたからこそのご褒美的な内容にもなっている巻ですね
そのリーグ自体もどの試合にもしっかりと「勝てた理由」が付随してるのが素晴らしいと思います
1回戦はワンマンチームだったからみんなのコンビネーションで勝てた
2回戦は櫻井の配置と策が上手くハマって勝利
3回戦は小松さんの特訓が効いて勝利・・・と何気に勝利に対して説得力があるので
そこまで都合良くも感じないのがミソですね
後もう一つ、予選をポンポンと勝ち抜ける力をハードワークで得たからこそ蝶蘭に挑戦出来る今がある
つまりはこの辺で既に苦戦してるようじゃ蝶蘭と善戦出来るのが嘘臭くなっちゃう訳で
その意味でも個人的にはテンポも良く理由もある良い進行だな、と
ラクロスの面白さも徐々に描かれつつあるので
段々とエンジンが更に掛かって来る前兆のような巻でもありますね
チームワークの勝利、深空のラクロス向きの性質の示唆、そして小松さんの覚醒と
非常に濃厚な内容に仕上がった前半

そして後半はそんな苦節を乗り越えて来たからこその部員同士のやりとりが中心
割と息抜き要素の強い内容になってますけど、深空の櫻井への深い感謝の気持ちが表現されてたり
櫻井もまた深空たちのお陰でここまで連れて来てもらった事に感謝の意を表したり
凄く基本的な行為ではあるんですけど、
だからこそ丁寧で印象に残る構成に仕上がってると思います
他にも試合終わりには他の部員も櫻井に強い感謝の気持ちを伝えたり
強くなって調子に乗る描写もありますが(笑 一方ではみんな謙虚な気持ちも持っていたり
そういうバランスがなんとも素敵だなあ、と思えるとっても人間くさい内容に仕上がってて満足でしたね
小松さんと櫻井のお話も健気に励まし合って頑張る姿が印象的な傑作回でした
要するに今回も鉄板的に面白いです、っていうそういう感想ですね(笑
この後、ラクロス模様もドラマ模様も加速度的に増していくので続巻も是非期待して欲しいです
ポテンシャルを存分に発揮しまくる展開になっていくのでね。4巻が早くも楽しみですね。


最後の方には、蝶蘭のエースである和峯さんとの出会いのお話もあります
これがまた個性的な出会いで改めて読み返すとなんだかクスクス笑えてきますね(笑
きっと和峯さんは自分の実力を知って諦める人よりも
最後まで全力で勝負してくれる人が好き、
そういう気持ちが根底にあるからこそさっと諦めずに頑張って探してくれた櫻井が気になったのでは、と
そう考えると益々合理的に感じられたりするのがまたこの漫画の良い部分ですね(笑)。

その和峯さんは初登場時から只者ではないオーラと宣戦布告の言葉を投げかけてくるので
いかにも壮絶な戦いになりそうでワクワクしていた記憶がこの辺ではあります
まあその言葉どおりに壮絶な戦いになるんですけど(笑
そういう少年誌的なワクワク感を演出出来てるあたりもまた抜け目がなくていいなあって思うのです
チートでなくギリギリから這い上がる戦い方は確かにジャンプ的じゃないので
その意味じゃジャンプ読者的には賛否分かれると思いますけどね。
ただ、そういう風にガムシャラにしがみつく姿もそれはそれで格好良いものです。
例え劣勢でも、絶望的な状況下でも最後まで「勝ち」を目指して諦めない姿にもらえる力は大きいかと
部員達の細かな成長やクスクス出来るコメディ描写も含めて読み応えのある新刊でした
巻末にはNEXTの番外編も収録されてるので未読の方は是非。
鳥海のキャラはある意味立ちまくっています(笑











ジャンプコミックスに必ず挟まっているチラシで何と初めてクロス・マネジがピックアップされてます
1巻と2巻は無反応だっただけに嬉しかったんですがこれでこの後終わったら意味ないので
是非是非存続させて欲しいですなあ。
本誌でカラーがない分折り返しと裏表紙で和峯さん、なっちん、小松さんのカラー初お披露目です
まあ和峯さんは本誌のライバル表紙で一回小さくカラーで描かれましたがね(笑
おまけも本編を補完するような内容になってて楽しかったです
早見先輩も関も良いキャラですね(笑)。

そして、今にも騒ぎ声や水の音が聴こえてきそうな表紙イラストもまた素晴らしい。
内容以外の部分でも往々にして満足出来た3巻目でした。引き続き、本誌でも応援します。