THE NOVEMBERS全曲レビュー通算20曲目「Gilmore guilt more」です。
7.Gilmore guilt more
歌詞カードはまるで呪文のように綴られた不可思議な文字が並び
歌自体も呪文のように繰り返しフレーズがつぶやかれる、この作品の中でもかなりの個性派楽曲。
だがしかし、よくよく確認しないまでも
その言葉は日本語と英語を織り交ぜたオーソドックスなものだという事に気付きます。
この発想こそ正にオルタナティヴ的な発想だと個人的には強く感じますね。
途中までは前述のように、
呪文をつぶやいているかのように割としとやかに歌われているのですが
途中からトチ狂ったかのように絶叫するパートがあって
その構成もまた
ある意味リアルというか、
普段は真面目だからこそ突然そのタガを外したくなる、そんな人間らしさが表現されていて
フェイクではなく現実性を帯びて受け取る事の出来る楽曲になっています。
そんな不穏さがめいっぱい表現されてるこの曲は
何かの儀式に使えそうなくらい
エキゾチックかつ妖艶なムードを途中から大きく放出し、
その非日常的な雰囲気に浸るのが面白いくらい快感、そんな抜けの良いじっくり聴けるオルタナ・ソングと同時に
このアルバムの中でも一つの軸として後半に繋げる役割があるような
そんな重要な楽曲だと個人的には感じます。
【次から次に損なわれていく】
楽観も無責任も存在しない、現状に対しての警報を鳴らすような一曲。
だからこそ聴き手の胸に本気で突き刺さるような痛みと包容力がある、そんな曲。
本気で生きていても、結局は開かないドアばかりで
そんな中で自分を見失い
何度も嘘付いて
その度に大事な何かがこぼれ落ちて・・・そんな現状と過去に対する懺悔や抵抗の意味合いがあるような
そんな曲にも感じています。その現状を受け入れたならば
待っているのはただ損なうだけの日々。
失うだけの日々。
だからこそ、開かないドアばかりの現状を嘆く事は許されても
その現状に慣れる事だけは許しちゃいけない。
それだけは受け入れるな。
一見ネガティヴにも思える曲ですが、その根底は本心からのサイレンのような気がする。
そんな音も歌詞の伝え方もノベンバ随一にユニークだなあ、と思える
だけどそれがむちゃくちゃ格好良くも感じる、そんな一曲です。
リリースツアーの時1回だけライブでも聴きましたが
小林祐介のテンションが面白くて、
スピーカーの上に登って猿みたいに叫び倒すっていう
今から考えても非常に破天荒なものでした(笑)。でもその光景は絶対に忘れる事は出来ないな。