日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

日伊協会主催「ワード・サーフィン ― 言葉の海を航海する」に行ってきました(2013.9.14)

2013年09月15日 | イタリア語
日伊協会主催「ワード・サーフィン ― 言葉の海を航海する」に行ってきました(2013.9.14)


2013年9月14日(土)午後 日伊協会主催の特別セミナー ワード・サーフィン ― 言葉の海を航海するに行ってきました 
3月30日のセミナー「イタリアと日本の出会い マルコポーロからハイジまで」に続き 今回も満席でした


今回私たちは 日伊協会でイタリア語史の講座を担当されていらっしゃるリヴィオ・トゥッチ先生による イタリア語の「大海」へのショート・クルーズに案内されたというわけで このクルーズは 時代ごとに選ばれたキーワードを経由しながら言葉の海を進む形式です

古代にまでさかのぼる歴史を持ちながら たった50年前に生まれたばかりとも言われる不思議な言語の海の航海...一時間ではとても網羅しきれない深いそして広範囲にわたる興味深い画像を含めてのこのクルーズには 日伊協会の同時通訳養成クラスの受講生の皆様による同時通訳が入り 実習の機会を兼ねた貴重なものとなっています (日伊協会には同時通訳専門ラボがあります):


Il mare della lingua ...最初に ローマのカタコンベで見つかったフレスコ画に書かれた最初の「l'italiano scritto/書かれたイタリア語」の画像 そこには 「non dire i segreti a voce/秘密は口に出すな」とありました 


ダンテ・アリギエーリの神曲(Divina Commedia/1321) ボッカチオのデカメロン(Decamerone/1349~51) ペトラルカの カンツォニエーレ(Il Canzoniere/1470)等により トスカーナ地方の方言が標準イタリア語となってゆきます

それでも 1861年のイタリア統一の時ですら 標準イタリア語を「parlare/話す」人はわずか2.5%にすぎず 「わかる/capire」人は10% そして残りの87.5%の人々は「その土地の方言/dialetto」を話していたのだそうです

セミナーでは古代ローマ帝国時代 エトルリア人が侵入した時代 インドヨーロッパ語の影響を受けた時代  蛮族(barbaro)が侵入し 社会制度を変えたことにより間接的に言葉も変えたこと そして50年程前になりようやくテレビや新聞等の普及により標準イタリア語が普及していったこと テクノロジーがイタリア語に及ぼした変化(コンピュータ用語は変化せずに入ってきたことなど) 等を様々な単語を例にとり その語源(ギリシャ語やラテン語 インドヨーロッパ語等)を示しながら非常に豊富な知識を分かりやすく示してくださいました 
(イタリア語の歴史は こちら)

インドヨーロッパ語のKwuon(犬)から cane(伊) chien(仏) Hound(英) Hund(独) Ken(日) Gou(中)等が派生したこと
ギリシャ語のKama'ra から camera(部屋)そして(video)camera(暗箱という意味のカメラ)が派生していったこと その他数多くの例を挙げてくださいましたが 私が一番興味深かったのは 実は 「l'uovo とle uova」(たまご)についての説明でした

イタリア語には男性名詞 女性名詞しかないのですが ラテン語には中性名詞もあり その痕跡が残っているため 変則的な語尾になっているのだそうです ← そのため今の私たちが覚えるのに苦労しているわけで(笑) 
l'uovoは男性名詞 le uovaは 女性名詞ですが ラテン語ではovum は中性名詞でした 
単数形ではl'ovoとなり イタリア語の男性名詞の語尾oと同じになり 複数形ではle ova で イタリア語の女性名詞の語尾aと同じになり 自動的にそれぞれイタリア語の男性名詞 女性名詞となっていったとのこと (まぁ~ラテン語のレッスンまで受けた気分!!)

帰宅後調べてみると 他にもたとえば 「腕」を意味するil braccio, le braccia (意味によってはi bracciとなる) とか 「指」を意味するil ditoとle ditaとか (i ditiもあり) それから 「唇」を意味する il labbroと le labbra など... なぜ変則的なのか今まで明確な理由が分からず丸暗記で苦労していた私は目からウロコでした!!

あとは「トマト」pomodoro は 1492年のコロンブスによるアメリカ大陸発見により じゃがいもやチョコ等と共に入ってきた食べ物ですが frutto maturo(熟したフルーツ)から取って「tomato」という単語が生まれたとも聞きました 

また@(アットマーク/chiocciola カタツムリと同じ単語)は15世紀にできたそうです
大文字と小文字も中世にできたとのこと 

    * * *

今も イタリアの高校ではダンテの「神曲」を原語で読んでいますが これは日本でたとえれば 源氏物語等を古語辞典を使って読んでいるのに対し イタリアでは普通のイタリア語の辞書を使って神曲を読んでいるわけです 

セミナーの最後に P.パゾリーニの1968年のインタビュー映像を見ながら質疑応答を経て終了となりました フィレンツェ文学の権威により文学でもってイタリア語が統一されていったこと テクノロジー用語によっても統一されたことを現実として受け止めることなどが語られました

そしてまた 同時通訳講座のブースの中の皆様の日々の絶え間ない努力と 時間超過にも関わらず全力で通訳を続けてくださいましたことに心より敬意を表します 簡単な部分は同時通訳レシーバーなしでもわかりましたが 難解な部分は日本語通訳を必死で聴いておりました 

このあとの懇親会は参加できずに残念でしたが頭の中はイタリア語でいっぱいいっぱいで 聞くだけでもこれだけ大変なのに 同時通訳はどれ程のエネルギーを使う大変な仕事かとお察しします この場を借りまして心よりエールを送らせていただきます (親戚に通訳がおり苦労はよく聞いています)

リヴィオ先生は 実は今年の初めにScritturaの短期講座でお世話になりましたが ラテン語やイタリア語の歴史を網羅した先生のこのセミナーは本当に素晴らしかったです!! いつかイタリア語でわかるようになりたいです(#^^#)


開催のお知らせは こちら

この場を借りまして公益財団法人日伊協会様にあらためてお礼申し上げます



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