日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

第6回フォスコ・マライーニ賞授賞式に行ってきました(2024.6.12)@イタリア文化会館

2024年06月17日 | イタリアの本・絵本・雑誌
第6回フォスコ・マライーニ賞(Premio Fosco Maraini 6a edizione)授賞式に行ってきました(2024.6.12)@イタリア文化会館


フォスコ・マライーニ/Fosco Maraini(1912-2004)は民族学者、写真家、登山家、詩人、作家として、さまざまな分野に関心をもつ、他に類をみない日本研究者でした
伊日両国をつなぐ大きな役割を果たしたマライーニの名前を冠した本賞は、1978年から2007年まで続いた「マルコ・ポーロ賞」を継承するもので、日本におけるイタリア文化への理解と関心を促進することを目的として、2013年に創設されました

第6回授賞作は 2021年7月から2023年12月の間に出版された日本語によるイタリアに関する優れた著作の中から 川合真木子氏の『アルテミジア・ジェンティレスキ 女性画家の生きたナポリ(Artemisia Gentileschi in Naples)』 (晃洋書房 2023年2月) が選出されました

 授賞式
  
授賞式には特別ゲストとしてダーチャ・マライーニ(Dacia Maraini)氏をお招きし 来賓の祝辞を賜りました

      *     *     *

この日は  2014年にダーチャ・マライーニ氏に「ダーチャ・マライーニ講演会「書くこと、生きること」に鳴りやまぬ拍手(2014.5.23)@イタリア文化会館」の講演会でお会いしてから ゆうに10年ぶりの再会となりました 

この表彰式のための来日で とてもお元気そうでした 
旅を愛した祖母と 父フォスコ・マライーニ氏のこと 終戦までの2年間の名古屋の強制収容所のこと 文学のこと等を話されました 
今は エルサ・モランテ賞等の様々な文学賞の審査員もされていらっしゃいます

 歓迎会も開かれました

「宮澤・レーン事件“生き証人”イタリア人女性が来日」(NHK北海道/2024.7.11)
 は こちら

そして第6回の受賞作について 審査員長より講評・審査の経緯についてお話がありました

歴史画家としてのアルテミジア・ジェンティレスキ(Artemisia Gentileschi)の とりわけ後年のナポリ時代に焦点を当てて 一次資料も充実したこの著書が受賞に至った審査経緯もご紹介いただきました

対象期間中に出版された105冊のうち審査対象外の41冊を除いた64冊が選考対象となり 5人の選考委員で3冊ずつ選び11冊が残り 第2次審査では9冊そして4冊と絞り込み 多面的に検討した結果 この著作が受賞作品に選ばれました

私個人としては 日本でまだ専門書の出ていないジェンティレスキを取り上げたことが決め手となったのではないかと感じます

 受賞作品の紹介

そして 授賞式に続き 受賞された河合真木子氏による受賞の言葉が述べられました

ジェンティレスキの絵「ホロフェルネスの首を斬るユディト』(Giuditta decapita Oloferne ) 」にウフィツィ美術館で出会ったのは 美術史を専攻するかどうかも決めていなかった20年前 卒論で取り上げ 日本には資料も乏しく ローマに留学し研究を続け とりわけジェンティレスキが職業画家として自立して生き抜いたナポリでの晩年に焦点を当てて一次資料を探しまわり 古文書館やポッツォーリの噴火口までも行ったこと そしてようやく日本でジェンティレスキの専門書が出たことで これからは彼女と同様の当時いたはずの他の女性画家にも目を向けてゆきたいとの言葉でした

 ホワイエには受賞作や ジェンティレスキの画集・絵本 マライーニ親子の関連の本が


 授賞式のあとのビュッフェ🍷


フォスコ・マライーニ賞(Premio Fosco Maraini)は こちら

受賞作『アルテミジア・ジェンティレスキ―女性画家が生きたナポリ(Artemisia Gentileschi in Naples/Artemisia Gentileschi - La vita a Napoli di una pittrice)』は こちら 

開催のお知らせは こちら

『「アルテミジア・ジェンティレスキ ~バロック絵画における女性の解放 ~」に参加しました(2020.12.13)@高円寺ピアッツアイタリア』は こちら ← 4年前にジェンティレスキのセミナーに参加しました

素晴らしい授賞式を開催してくださいましたイタリア文化会館様に 心よりお礼申し上げます


 

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「イタリア語の世界を読む(Leggiamo il mondo dell'italiano!)」(白水社刊)を読みました

2024年05月31日 | イタリアの本・絵本・雑誌

「イタリア語の世界を読む(Leggiamo il mondo dell'italiano!)」(白水社刊)を読みました


 イタリア語のみならず イタリアを知るのに最適の1冊です📖

今の自分にぴったりのレベルで 好きな項目からどんどん読んでいきました📖

一番最初にまず読んだのが「医療ドラマ」 そう あのDOCの項目です😊

これはシーズン2のビデオを一気に観てしまいましたね~📼 何人かのメインキャラがコロナ禍で亡くなられてショック...  ←でも主役は死なない😲

この本には こなれた和訳を作るコツ等 貴重な情報が満載でした 

ただ辞書をひいて訳語を並べて日本語として調整するのではなく 述語動詞を押さえて そこからひもといてゆくことが確実とのこと 
どんな日本語にしたらよいのか迷いつつ 訳例を読んでみると なるほど...と唸ることしきりでした😊

 特に気になったテーマは...

6. イタリアのファッション 
19世紀以前は衣服は貴重品とされており 財産として遺言書に記される程でした😲 生地や染料がとても高価だったからとのこと

14 いじめ、それは人権侵害
bullismoは 日本語では子供の乱暴、暴力ですが 「いじめ」と訳されることもあります 伊伊辞典で引くとよりわかりやすいです 子どものおふざけではなく 人権の冒涜ですね😲

23. 誕生:  アレッサンドラという名前の奇跡
子宮を提供してくれた女性の名前を新生児につけた というエピソードです👶

25. 教育:  マリア・モンテッソーリ
イタリアの「子どもの家(Casa dei bambini)は日本にはまだ少ないそうです
自己制御(セルフコントロール)のない自由(libertà)は存在せず...

以前星美学園短大で聞いたモンテッソーリのセミナーを思い出します

30. 年金
イタリアの年金支給開始年齢は 2022年現在で67才なのですね😲
古い資料ですが イタリアの年金については こちら

35. イタリア共和国憲法
1947年に成立したイタリア共和国憲法 これをイタリア語で読めるとは😲
イタリアは 労働に基礎を置く民主的共和国家である。」
(L'iItalia è ua repubblica democratica, fondata sul lavoro.)
意義深いですね...

38.  気候
伊伊辞典は こちら
De Mauroの伊伊辞典は こちら

39. 性に中立な婚姻

2016年に成立した「チリンナ法について述べられています
この中で 同性婚(シビル・ユニオン)では 養子を迎えることが基本的に認められず 家裁にかけなければ祖父母は孫に会うことがかなわないとあり ショックでした😲

40. 離婚
離婚の難しいイタリアで それを避けるためのエクササイズが紹介されていて興味深かったです😊

43.グイード・ダレッツォ: ドレミの起源
五線譜ではなく 元は四線譜だったのですね😲

古代ローマ帝国の偉人で 約束を必ず守る将軍の逸話が イタリアの学校で読まれているそうです

57. 新造語(neologismo) 
新造語(ネオロジズム)は若者言葉などですが 語源はギリシャ語(néosとlogos)とのこと まさに言葉は生き物ですね😲

イタリア語の世界を読む(Leggiamo il mondo dell'italiano!)」は こちら

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燃えるファン魂 Anima ardente di fan

2024年05月19日 | イタリアの本・絵本・雑誌
燃えるファン魂 Anima ardente di fan

2024.5.18(土) 近所の図書館に 初来日されたアイルランドの児童文学作家のセミナーを聞きに行った (ここの図書館の企画運営委員なので毎回参加している)
Ieri (18 maggio 2024) ho partecipato allo seminario di una scrittrice irlandese nella biblioteca vicino a casa mia (ci partecipo sempre anche perché sono membro di comitato.)

作家のファンが質問するや 作家は驚き 「やっとここ日本で会えましたね! 」と叫んだ 日頃からTwitterでやり取りしているファンと ここ日本でようやく会えたのだ
Un fan ha fatto una domanda, la scrittorice era sorpresa e gridato: “Finalmente ho potuto incontrarLa qui in Giappone!” Si, tramite twitter loro si hanno scambiato i messagi.

そしてこう言った 「もしイルランドに来たらどうかこの私に教えてください 会いましょう!  ドイツやイギリスのファンの方達はちゃんと 今度アイルランドに行くよ!って教えてくれるから会っているのに 日本のファンは奥ゆかしくて今まで一人も教えてくれないのよ!」と...もうびっくり😲
Lei ha detto:  “Se venga in Irlanda, fammi sapere, ci incontriamo lí!  I fan tedeschi o inglesi sempre mi fanno sapere di andare a Irlando, così ci possiamo sempre incontrare, ma i fan giapponesi sono troppo timidi, non mi hanno mai avvertito!」 Che sorpresa😲

今はネットで世界中のファンがアーティストとつながることができて いい時代だね😊
Adesso gli artisti possono essere legati con fan nel mondo tramite internet, che meraviglia😊

    *    *    * 

そして思い出した 「海と山のオムレツ」作者のカルミネ・アバーテの出版記念オンラインイベントのこと(2020年イタリア文化会館)
Mi ricordo dell’evento di festeggiare la pubblicazione del suo romanzo “frittata mare e monte” di autore Carmine Abate nel IIC nel 2020 on-line. 

ある若い女性のファンがこう言った: 「自分はあなたの作品が好きですべて読んだ 数年前のイベントであなたのイタリア語がわからなかったのがくやしくて あれからイタリア語を学び そして行ってきたのです あなたの故郷カラブリア州のアルバレシュに... そしてあなたの小説の背景となるその土地を肌で感じてきました」と
Una donna giovane, Suo fan giapponese ha detto così:  “Mi piacciono i Suoi romanzi, già ho letto tutti.  Nell’evento qualche anno fa non ho capito cosa ha parlato in italiano, molto spiacente, così, dopo ho cominciato a studiare l’italiano, e sono andata finalmente al Suo paese, arbëreshë in Calabria, ne ho sentito l’atmosfera della terra a sfondo dei Suoi romanzi.”

衝撃を受けた 聖地巡礼で遠いイタリアまで...  作家は感激のあまり 地元の貴重なワイン🍷をその場で開けた😲 こんなに嬉しいことはないと言って...
Sono emozionata, quella donna ha fatto cosidetto un pellegrinaggio in Italia lontano lontano...   L’autore anche molto emozionato ha aperto immediatamente il vino locale molto prezioso, dicendo “Ě un giorno più felice...”🍷  

            *    *    * 

私が2019年スピーチコンテストで受賞した時にその着想を得たイタリア絵本「La macchinina numero 1(ぼくの くるまは だい1ごう)」の絵本作家に スピーチの映像とお礼のメールを送ったこともあった (Facebookのおかげです💕) 
Nel 2019, dopo aver preso il premio nel concorso d’oratoria italiana, ho mandato un’e-meil allegato il video del mio sppech all’illustratrice dei libri illustrati “La macchinina numero 1”, a cui mi ero ispirata il tema di speech (grazie a Facebook💕). 

絵本作家は 「自分が昔創った絵本が遠い国にわたり それぞれの読者のもとで新しい人生を歩んでゆくのは なんと幸せなことでしょうか」と書いてくださった...  ほんとに嬉しかった 悔いはない
Lei mi ha scritto: “Che piacere ricevere questo suo messagio, specialmente per un libro che ho scritto e illustrato tanti anni fa.  I libri hanno una loro vita fuori e lontano da noi, dicono cose diverse ad ogni lettore. Che felicità!”  Ero molto molto felice, senza rimpianti.

          *    *    * 

1990年 ベルリンの壁崩壊の翌年に ドレスデンの友人が初来日した際には 友人のコネを使って女優の栗原小巻に逢わせてあげて通訳もしてあげた😲 旧東ドイツで上映されていた彼女のすべての映画を観てファンだった彼は 「人生最高の日だ!」と叫んだ💐 私もほんとに嬉しかった
Nel 1990, dopo della caduta del muro berlino 1989, un amico dresda fu arrivato in Giappone per la prima volta.  Io e le mie amiche che aveva delle aderenze hanno accompagnato a incontrare l’attrice famosa Komaki KURIHARA e tradotto.  Lui che aveva visto tutti i Suoi filmi rappresentati in Germania Est, era molto commoso e gridato: “Un giorno più felice nella vita mia💐”  Ero anche felice.  


燃えるファン魂 Anima ardente di fan

ちゃんとアーティストに 自分はこんなファンでこれだけの思いを持っているってことを伝えよう きっと通じるよ きっと...
Avvertiamo all’artista che ci sono io, fan con tanta passione, forse lui si accorgerà, forse...


Foto ポーランドフェスティバルのおみやげ(夫が行った、私はアイルランドのセミナー)
 i souvenir alla festa di Polania (mio marito è andato, invece io, all seminario di Irlanda)


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講演会シリーズ「世界の書棚から」21回「知られざるアルゼンチンの絵本の魅力 part-2」に行ってきました(2024.2.10)@板橋区立中央図書館

2024年05月14日 | イタリアの本・絵本・雑誌

講演会シリーズ「世界の書棚から」第21回「知られざるアルゼンチンの絵本の魅力 part-2」に行ってきました(2024.2.10)@板橋区立中央図書館

 

2022年7月のアルゼンチンの第1回に続き 第21回「世界の書棚から」は ふたたびアルゼンチンでした! 

 マテ茶のセット

この日は スペイン語の絵本の読み聞かせに適した絵本が何冊か見つかり その場にいらしたアルゼンチン大使館の方に いきなりスペイン語で自己紹介したり😲 ←イタリア語混じりで(笑) 

アルゼンチンのインフレ率200%を越えるそうです😲 そんな中 出版業界も大変です コロナ禍もあり電子ブックも増えてきているそうです

生活防衛の点でも お金は貯めていてもどんどん価値が下がるのでモノや体験にどんどん使って生き延びるしかないというお話に 考えさせられました...

まずは アルゼンチンの紹介から 

1810年スペインから独立したアルゼンチンは 移民が作った多様性の国です

 

書店について:

2023年3月4日は「書店の日(día de las Llibrerías)」で 民政移管40周年記念イベントも行われました 書籍を一定価格で販売する書籍取引保護法の廃止に対する反対運動もあるとのこと

また 英ガーディアン紙の「世界で最も美しい書店」で第2位になったというEl Ateneo という書店もご紹介いただきました 

また libreria del Avira は 1785年に創立された南米最古の書店のひとつで 当時フランスから届いたフランス革命の本を読んだ人々に アルゼンチン独立運動に対する影響を与えたのだそうです😲

Eterna Cadencia  ここは2008年にできた ブティックのような本屋さんです

Te llamaré viernesは  2023年にできた 本📚とワイン🍷のコンビネーションがステキな本屋さんです

Verne Libros     世界の本の初版等貴重なものがあり アートの様に本を扱うお店です

  アルゼンチンの児童書

 

2024年のボローニャ絵本原画展に入賞されたアルゼンチンのイラストレーターは Diego Bianchi   Joaquin Camp     Yael Frankel  Mariana Ruiz Johnson4名です

 

アルゼンチンの出版社について:

pequeño editor  ここは日本の浦島太郎や ロシア カナダの同様のテーマの民話を収めたCuentos del Globoという本を出しています ちょっと不気味な絵がなんともいえないです😊

Editorial Limonero 2014年にできました 

上記のYael Frankel の「Todo lo que pasó antes de que llegaras(君が生まれる前に起きたすべてのこと)」を出しています これは 子どもの視点とタッチで 生まれてくる赤ん坊についての気持ちを表した本です 

 

イラストレーターについて:  

Nico Lassalle の『Una  niña  con un Lápiz(鉛筆をもった少女) 』

Claudia Legnazziの 『Una casa bien abierta(ひらかれた家)』 この立体的な表紙がなんとも💕

Nicolás Schuff と Martina Trachの 『vida de un lápiz(鉛筆の一生)』 鉛筆画の魅力満載ですね

Nela Gatica の 『Yanay(シャナイ)』は ボリビアの移民とみられる7歳の少女のお話です 

また 宇野和美さんが再話された 『Relato wichi(火をぬすんだウサギ)』は Pablo Picykがイラストを描かれた ウィチ族のお話です 

 

   アルゼンチンの児童書

 

アルゼンチンのブックフェアについて:

ブエノスアイレス国際ブックフェア(La Feria Internacional del Libro de Buenos Aires) 2024.4.25~5.13に第48回が開催されます ラテンアメリカ最大級のブックフェアとのこと 

第1回は1975年に開かれました(1976~1983年は軍事政権下) それ以前は広場や公園に本屋さんがスタンドを出していました  

児童書ブックフェア(La Feria del Libro Infantil y Juvenil)

7月に第32回が開かれます 入場無料 Kirchner文化センターで開催され  アルゼンチンホールでは子供たちのためのイベントが開かれます 

     *     *     *

出版統計について

出版部数が減っているので 出版点数は同じでも単価が高くなってしまうのですね  なので古本業界が活況を帯びているとのこと😲

本の値段は他の品目より上がっているそうです これは 宅配等のため段ボールにパルプが使われ 紙の値段が上がり アルゼンチンの製紙工場も2社しかなく どんどん絵本が高くなってゆくとのお話に切なくなってしまいました ←すみません...

 

2023年のボローニャ絵本原画展のアルゼンチンの入賞者 6名:

Maria José de Telleria   『El señor Waldemar(ワルデマールさん)』

María Elina Méndez  『Mi tortugo(わたしのカメくん)』 これは字がないサイレント絵本で 家にカメがやってきますが 少女と猫のどちらが主人公で語っているのかわからないという本です (翻訳する時に悩みますね?!)

Joacquin Camp 『Una noche sin dormir(眠れない夜)』 赤ちゃんが夜泣きをして大変! 原因はおなら?😲 ← 氏のイラストは2021年のボローニャ国際絵本原画展のポスターにも使われましたね😊

 

他にも最新作やインタビューなど色々ご紹介いただき 最後に

アルゼンチンの翻訳助成プログラムPrograma Sur

そして アルゼンチンの本の検索サイト Argentina Key Titlesについて伺いました 

 

素晴らしいアルゼンチンの絵本や児童書との出会いがあり 世界が広がりました

素晴らしいイベントを開催してくださいました板橋区立中央図書館 板橋区立美術館 そして講師としていらしてくださいましたアルゼンチン大使館の皆様に心よりお礼申し上げます

 

世界の書棚からは こちら

次は スゥエーデンです

 

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「誤読のイタリア」(光文社新書)を読み イタリア語で感想を話しました

2024年02月21日 | イタリアの本・絵本・雑誌

「誤読のイタリア」(光文社新書)を読み イタリア語で感想を話しました

 

ディエゴ・マルティーナ氏の著書『誤読のイタリア』を読んで感想をイタリア語で話すという宿題をいただきました😊

プーリア出身のディエゴ氏は イタリア文化会館で開催されたタランテッラのイベントでゲスト出演されてらしたので お見かけしたことがあります 流ちょうな日本語を話されていらっしゃいました😲

    *      *      *

『誤読のイタリア』が描写する「イタリア人像」には、皆に知られている部分と、まったく知られていない部分のどちらもあると思う。すでに知られているところでは、イタリア人の行動。あまり知られていないところでは、その言動の理由。

本書では、イタリア文化の「形」で止まらずに、その「神髄」まで遡って説明しようとした。イタリア人の目を借りると、イタリア人への理解を深められる。そうすることで、「いつものイタリア人」でありながらまったく「新しいイタリア人」像が見えてくるのだろう。
(「まえがき」より)

    

『まえがき』

情報だけでは上っ面だけを捉えることはできても  深い理解は得られないし 神髄までにはたどりつくまい。 神髄までたどりつきたいならば 「目線」を変えなくてはいけない

       神髄 essenza

  目線を変える  cambiare il punto di vista 

この目線を変えることができるか?について問われました 相手の立場に立って考えることができるか?

 

第1章 『誤読のイタリア人』より

『イタリア人男性はナンパ好きと思われているが 女性に親切にすることは自国の文化であり 誤解である 無口なイタリア人だっているのだ』

それはそうですよ~ 😊

     誤読 giudizio sbagliato, interpretazione sbagliato

     ナンパ fare la corte a ~ 

  誤解 equivoco, malinteso 

 

『陽気にならないといい仕事はできない なので仕事中に歌を歌ったり会話もする 仕事は余裕をもってするものであり いいお金になる仕事でも無理なら断る』

      陽気になる  essere allegro/a

      余裕をもって  con calma

      いいお金になる  buoni guardagni

感想:  過労死が問題になる日本人にとっては イタリア人の働き方は違って見える 最後はちゃんと納期に間に合わせるが 間に合うかどうかハラハラさせられたり...  無理しても高額な仕事にありつこうとする日本人とは違うのかも...  しかし仕事を断らないイタリア人も中にはいるそうです😲 

働きすぎについては 江戸時代等でも日本人は働きすぎだったのか?と聞かれました 

   過労死 Karoshi, morte da superlavoro

           納期     termine

            ハラハラさせる  inquietare 

 

『自由を愛するイタリア人が苦手なのは 縛られること

時間を守るのが苦手 訪問は少し遅れて着くし イタリアの大学には

"Quarto d'ora accademico"という  開始を15分遅らせる慣習もある』

         縛る  legare 

         守る  mantenere

感想:  日本人にも遅刻する人はいます イタリア人は遅刻することが多いと聞きますが 日本で働くイタリア人はほとんど遅刻はしません(# ゚Д゚) 

 

第2章 『誤読の人間関係』より

『日本では「出会いがない」というが イタリア語にはそういう表現も感覚もない😲 イタリア人はおしゃべりが好きで 距離感ゼロ スキンシップが多い 敬語を(あまり)使わない   建前と嘘(約束を守れば友情は長続きする)  ひとりでいるよりグループが好き 等々...』

   人間関係  relazione umane

           出会い   l'incontro

           距離感  senso di distanza 

           スキンシップ  contatto fisico

           敬語      parole formale

            建前      principio 

            ジェスチャー  i gesti

 

感想:  距離感ゼロはなんとなくわかります😊ジェスチャーも多用しますし👍 すぐに仲良くなれるイタリア人💕

先生の故郷での スキンシップの濃いエピソードにびっくり😲

 

第3章 『誤読の恋愛関係』

ディエゴ氏は日本で初めて「ナンパ」「口説く」という言葉を聞いたとのことecc...😲 (中略) イタリア人の恋愛は濃くて いつも連絡を取り合っていて... 📱

    口説く  convincere

              連絡を取り合う essere in contatto

 

第4章 『誤読の家族』

イタリア人男性はみなマザコン?   また家族は唯一無二の大切なものですね 親戚もひっくるめて家族という感覚とのこと 

感想:    マンモーネ(mammone)という言葉があります  イタリア人は家族を大切にするというのもよくわかります 

日本では 離れて住む家族に あまり頻繁には連絡しないことが多く 週末の家族でのランチもあまりしないので 自分の時間の方が大切かもしれません  親戚も家族にひっくるめる感覚もないと思います

 

第5章 『誤読のイタリア料理』

海外でもイタリア料理しか食べないイタリア人 ネットによるとイタリア料理は世界一人気なので そうかも... 

アルデンテについて パスタの意味について 量の多さ エスプレッソへのこだわりecc... うーんわかります😊 

 

イタリア人にもいろいろな人がいるのです ステレオタイプでとらえるのではなく いろんな側面があることを知ってゆきたいですね💕

   ステレオタイプ lo stereotipo 

 

「誤読のイタリア」は こちら

 

   *   *   *

 

また もうひとり アブルッツォ出身のPeppeという漫画家も 「ミンゴ イタリア人がみんなモテると思うなよ」という 似たようなテーマの漫画を描かれていますね 彼はモデルでもあります

Peppe氏のインタビューは こちら ←ステレオタイプのイタリア人ではなく...

今 氏はフォスコ・マライーニの物語を描かれているそうです (NHKテレビでイタリア語で知りました)  ENDO というタイトルです

イタリア文化会館でのイベント「ダーチャ・マライーニ講演会「書くこと、生きること」に鳴りやまぬ拍手(2014.5.23)@イタリア文化会館」で 娘である作家ダーチャ・マライーニ氏の当時の貴重なお話を聞きました 

こちらも読むのが楽しみです📖

 

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「世界の書棚から」第20回『 イタリアの絵本&児童書ブックトーク2023 ―Libri per bambini 2023―』に行ってきました (2023.12.16)@板橋区立中央図書館

2024年02月16日 | イタリアの本・絵本・雑誌

「世界の書棚から」第20回『 イタリアの絵本&児童書ブックトーク2023 ―Libri per bambini 2023―』に行ってきました (2023.12.16)@板橋区立中央図書館

 

第19回のブルガリアに続き 第20回「世界の書棚から」は 3回目となるイタリアです😊

2023年はイタロ・カルヴィーノの生誕100年にあたり 2024年もイタリア文化会館ではカルヴィーノ関連イベントが開催されるそうです

  イタロ・カルヴィーノ関連書籍📖

 

  展示された数々の児童書・絵本

 

まずは Pippini   ナポリ在住のGiovanni Colaneri 作 ボローニャ展入選作品からご紹介いただきました📖

作者の実体験にもとづくお話で ある時から定期的にベランダに蜂が訪れるようになったことがきっかけで 街のあちこちに蜂が現れ...  どのページにも蜂が そして様々なキャラクターが(海外出版を前提に 分かりやすい名前で)現れるというものです📖

 

        Pippini  そして Una strana orchestr

またサイレント絵本がイタリアで増えつつあるのは 移民の増加等も影響しており 「読み手の力を信じる」ことが前提となっているとのこと

    *     *     *

Una strana orchestra   へんてこ楽団  Janna Carioli 作 Andrea Antinolli  絵

タイトルのstrの色が違っているのは理由があり 発音しずらい子音を選んでいるのだそうです   このシリーズGli sbaglianò では 子音の続くイタリア語の発音や綴りを自然に覚えられるように わざとそういった子音を取り入れた絵本を作っているそうです😲 

    *     *     *

Jole ヨーレ Silvia Vecchini 作  Arianna Vairo 絵 ストレーガ賞の児童部門賞受賞作

祖母と孫娘の日常の中の非日常を描いた本で 印刷工房を設立したそうですが 最近は一人で出版社等を立ち上げる動きも増えているそうです😲

    *     *     *

L'incanto del buio  暗闇に浮かぶ夢  Francesca Scotti  作  Claudia Parmarucci 絵

クリスマスプレゼントを待つ間 暗闇の中で遊ぶ子供たちは... 🎄

油絵を特殊な手法でスキャンしており 小さい頃に聞いて読んだ「くるみ割り人形」の情景がもとになっているとのこと

          L'incanto del buio 

    *     *     *

C'è un'albero in Giappone    ある一本の木     Chiara Bazzoli  作  Anton Gionata Ferrari 絵

長崎の町中にある一本の柿の木 原爆投下後に再生した柿の木の絵本です 日本的な画風ですね

世界の国々に 柿の苗木や種を広める「時の蘇生・柿の木プロジェクトというのがあるそうです

      C'è un'albero in Giappone

   *     *     *

その後 2023年にイタリア語から日本語に翻訳出版された児童書の紹介をしていただきました: 

 Part 1

   Part 2

 

     Part 3

 

イタリア人は日本人よりも読書量は少ないのですが それでも今は日本の書籍が普通に買えるようになり 日本を訪れるのがトレンドとなり 日本語版の小説なども普及しているそうです😲

   *     *     *

最後に イタリア外務省国際協力省主催の翻訳出版助成金のご案内をしていただき(字幕翻訳等もあり)今年ラストのイベントも無事終了となりました🎄 

また とてもしっかりした作りのイタリア文化会館のロゴ入り布袋も全員にプレゼントしていただきました💕 

さらには じゃんけんで勝った方にイタリア語・英語版の書籍をプレゼントしていただきました とてもステキなクリスマスプレゼントです🎁🎄 

世界の書棚から」は こちら

次回は アルゼンチンです

 

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I.シローネの「vino e pane」邦訳の「葡萄酒とパン」そして翻訳者の若き日の著書「風は国境を知らない」を読みました

2024年02月11日 | イタリアの本・絵本・雑誌

I.シローネの「vino e pane」邦訳の「葡萄酒とパン」そして翻訳者の若き日の著書「風は国境を知らない」を読みました

 

第5回須賀敦子翻訳賞受賞者の斎藤ゆかり氏の訳された「フォンタマ―ラ(Fontamara)」をイニャツィオ・シローネ(Ignazio Sirone)の原作との対訳で読み ネットで映画🎥も観ました

引き続き シローネの「vino e paneと 斎藤ゆかり訳の「葡萄酒とパン」を対訳で読みました こちらもとても面白く 最後はページをめくるのもドキドキしながら読了しました📖

この先 主人公のピエトロ・スピーナ(Pietro Spina)はどうなってしまうのだろう? それは続編である『雪の下の種(il seme sotto la neve)』にあるとのこと ただこちらは原書のみなのです😥 なのでざっとwikipediaであらすじを読んだのですが またまた苦難の道が... 

 

葡萄酒とパン」について...

神学校の生徒時代にアブルッツォの地震で両親を亡くした彼は 共産党の党員となり海外に移住するも非合法にイタリアに戻り潜伏する その時は素性がばれないように人相まで変えており 30代の若さには見えなかった

療養中の神父に変装して生まれ故郷アブルッツォ州のピエトラセッカに滞在する  

神父として村の宿に滞在する中 2人の村の娘と出会う また学生時代の旧友 恩師 恩師から委ねられた同じ境遇の青年との関わりが描かれるも その青年の獄死と 素性がばれて追っ手から逃げるために山に逃げ あとを追う娘はとうとう...  

この小説はシローネがスイスに亡命し療養中に書かれた第2作で 主人公に作者自身の若き頃を重ねているため 神学校 親の職業 イタリアのエチオピア戦争(1935~36)勃発当時のイタリアの状況等が反映されている 

1938年に書かれたあと 大幅な改定を経て 1955年に決定版が出た 

作者は改定に次ぐ改定を施すため ある時列車の中で向かいに座った女性が 自分の著書を読んでいるのを偶然見てしまい 緊張のひとときを過ごしたという冒頭の「読者へ」のくだりが なんとも興味深かった📖

 

イニャツィオ.シローネの「vino e pane」は こちら

 ちなみに表紙の絵は主人公ではなく 主人公と親しくなる女性の顔でした

(私が読んだのは1987年版です)

あらすじ(イタリア語)は こちら 

邦訳の「葡萄酒とパン」(斎藤ゆかり訳/2000年発行)は こちら

      *   *   *

続いて 翻訳者で2023年第5回須賀敦子翻訳賞を受賞された斎藤ゆかり氏の 20代の頃に書かれたデビュー作「風は国境を知らないを読みました:

第5回須賀敦子翻訳賞受賞式に出たことをきっかけに 斎藤ゆかり氏が翻訳されたものを対訳で次々に読み始め この本にたどり着きましたが 著者が のちに須賀敦子翻訳賞を受賞されるに至った若き日の萌芽を この本の中に見つけることができました

私とほぼ同い年の著者が 若き頃にイタリアに留学し みずみずしい感性で様々なことがらを母親に書き送り生まれたこの本は 80年代当時のイタリアで様々な国籍の学生たちと学ぶ中で得た経験と出会い それまで考え続けてきた平和運動についての法王との謁見等の展開 また携帯電話すらない80年代の海外旅行の苦労(私も経験してきました)等が綴られておりました
 
後年翻訳者となり やがてイニャツィオ・シローネの本と出会い 須賀敦子翻訳賞受賞に至る経緯を知ってから読んだため その萌芽を著者が20代で書かれたこの本の中に見つけることができて とても嬉しく読ませていただきました 
 

風は国境を知らない」(斎藤ゆかり著)は こちら

 

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「イタリアの小さな町 暮らしと風景 ー 地方が元気になるまちづくり」(井口勝文著/水曜社)を読みました

2024年01月10日 | イタリアの本・絵本・雑誌

「イタリアの小さな町 暮らしと風景 ー 地方が元気になるまちづくり」(井口勝文著/水曜社)を読みました

 

メルカテッロという町の名は この本で知りました

トスカーナに住もうと考えていたものの 最終的にメルカテッロ・スル・メタウロというマルケ州の小さな町に 古い石造りの家を買った建築家である著者の この町への愛情あふれる思いの伝わる本でした 

また町の人々へのインタビューからも メルカテッロ名誉市民の称号を得た著者の 町の人々への思いが伝わってきました 

読んでいる間ずうっと 大好きな番組『小さな村の物語 イタリア』のあのメロディー 「L'Appuntamento」(Ornella VANONI)が響いてきて 幸せな時間を過ごしました😊

 

観光客に媚びない美しい生活風景が見られる町 メルカテッロ・スル・メタウロ(Mercatello sul Metauro  メタウロ川のほとりのメルカテッロ

その地名の由来は 756年にローマ教皇の保護下に入った際に 大きな市(メルカート)を作り栄えたからとのこと 

成長を続け疲弊してゆく大都市にはない魅力は何か 

旧市街の外に無料の駐車場があり 不便だが景観を大切にしており 便利さ最優先ではない

人口は約1,400人で まるでひとつの家族のようだ 

スクールバスで生まれる恋 週1回やってくる移動魚屋 土曜午前の中央広場の市場のにぎわい 

イタリアなどヨーロッパでは 道路などの公共空間の使用が市民の権利として認識されており 様々な使い方ができて町が賑わう 日本はハードルが高い

7月には一番大きな祭り パリオ・デル・ソマーロ(地区対抗ロバの競馬)が3日間行われる そしてまた音楽祭やパスタ打ち競争 ステーキ祭りなどが繰り広げられる

 

メルカテッロの地域経済について  

それぞれの生活圏で成り立つ地域経済と グローバル経済の両方で成り立っているのがイタリアだ 

日本はグローバル経済を中心に 例外的に町おこし・村おこしの地域経済(ソーシャル・エコノミー)があるが 補助金頼みのイベント型町おこしであり 自立した地域型経済圏を目指していない 

大都市の豊かさは地方を搾取することで成り立つという構造を変えなければ 地方再生には限界がある との言葉に頷いた 

また イタリアは大量生産・大量消費型の社会ではなく ものを大切に長く使う社会であり それが地域に密着した中小企業を支えており 町の人々は必ず町のファーレニャーメ(指物師)とかムラトーリ(大工)に仕事を頼んでいるとのこと

辺鄙なメルカテッロには大きなホテルも観光資源も特にないが そのことこそが観光資源であり イタリア観光協会から「オレンジ・フラッグの町(Bandiera arancione)」の称号を得て また2018年には「イタリアで一番美しい町協会 (l’Associazione de I Borghi più belli d’Italia)」へも参加となった

家族経営型のアグリツーリズムが盛んで 有機農業も大変盛ん...というよりほぼ100%だという (イタリアの有機農業は約15% 日本は約0.2%)

戦後のイタリアでは 伝統的なメッツァドゥーリア(折半小作農業)という形態が続いていたことも この本で初めて知った

 

イタリア共和国憲法第9条には 「国の風景そして歴史的 芸術的な資産を守る」という条文が書かれている それを守ることは大変だが それはイタリア人の生活の基本的な価値観なのだという

日本に比べて 人口5千人未満の自治体に住む人がイタリアでは多く18% それらの小さな町は自立している 

1985年に定められた「ガラッソ法(legge Galasso)」により 景観計画(都市基本計画)ができない限り開発は行えないとのこと

日本の景観法は 景観への考慮を促しているのみで 2018年に「イタリア景観憲章」を制定したイタリアとは大きく異なる ここメルカテッロにも「メルカテッロ憲章」がある

地方分権を選んだイタリア人は グローバリズムよりもカンパニリスモ(郷土愛)を選んだ マンミズモ(母親主義)という言葉もある 

 

最後は 著者の買った古いメルカテッロの石造りの大きな歴史的な家を修復する様子が克明に綴られており圧巻!!

16年がかりで 530年余り前に作られた家を修復して住んでいるという 町に住む職人さんに仕事を頼み みんなで作り上げたその執念と愛と情熱に感服しました!

著者の メルカテッロ愛のこもったすばらしい一冊を堪能させていただきました

 

本は こちら

 


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「パヴァロッティとぼく(Pavarotti ed io. Vita di Big Luciano raccontata dal suo assistente personale)」を読みました

2023年12月25日 | イタリアの本・絵本・雑誌

「パヴァロッティとぼく(Pavarotti ed io. Vita di Big Luciano raccontata dal suo assistente personale)」を読みました

 

ようやく読むことができました エドウィン・ティノコ(Edwin Tinoco)作の「パヴァロッティとぼく アシスタント「ティノ」が語る マエストロ最後の日々」📕

パヴァロッティ 太陽のテノール(原題:Pavarotti)」の公開(2020.9.4~)に合わせて 「パヴァロッティとぼく(Pavarotti ed io. Vita di Big Luciano raccontata dal suo assistente personale )の本の日本語版が 2020年9月に発売されました

パヴァロッティの晩年に最後まで付き添ったをパーソナル・アシスタントのEdwin Tinoco氏が語った本ですが 翻訳者はなんと この時取っていた日伊協会の購読クラスのクラスメートの楢林さんです!(^^)!

   *    *    *

なんとも幸せな本でした💕 パヴァロッティの公演先のホテルで働くペルーの若者(通称ティノ)が パヴァロッティに気に入られ あっという間にパーソナル・アシスタントになるというシンデレラ・ストーリーです

1週間のうちにすっかり準備をして僕についておいで... まだ半信半疑で何も準備していなかった彼は パヴァロッティからの電話でそれが本当の話だと知り 幼い息子や両親にも話す時間すらないままに その話を受けてリオに飛び立つのですね 人生何が起きるかわかりませんね😊

古いバッグひとつで VIPの乗るような車に乗り込み 滞在先のホテルから両親に 自分が突然世界的に有名なテノール歌手パヴァロッティの付き人になったことを電話で伝える彼

彼の働いていたホテルも そのために一躍有名になるからと 快く送り出してくれました 

その歌声で世界を魅了したパヴァロッティの プライベートな一面の見られた そしてまた抱えていた病や苦しみを受け止めた付き人ティノの パヴァロッティが亡くなるまでの13年の日々が綴られていた本でした

オペラのことを何も知らずに飛び込んだ彼は 様々な有名人と会うことになるのですね あるとき フランクという男からの電話を取り次ぐのですが 「どちらのフランク様ですか?」「フランク・シナトラだ」 とのくだりにはビックリ!!  

他にも超有名な方達が続々登場しますが ダイアナ妃が亡くなられた時のパヴァロッティの落ち込みぶりや 名も知らぬ難病の女性とその恋人を助けてあげたり 実に愛と慈愛に溢れたパワフルで超人的な存在でもあったのですね...

舞台衣装のままホテルに戻る習慣だったのですね 役になり切っていたので クールダウンするためにブリスコラ(トランプゲーム)を何回も続けてからようやく眠りにつき...  また喉を守るために様々な工夫をされていたことも知りました

ツアーの時にはなんと50個ものスーツケースを飛行機に乗せ  (パヴァロッティは特別な存在だったのですね!) 自分仕様のキッチンと食材を買い込み 周りの人たちにも色々とプレゼントし パーティーを開いて客やスタッフをもてなし 病を押してでも様々な努力を続けてきたのですね 

チッチョと呼ばれていたこのティノコが 舞台上でのマエストロの喉を守るという使命のために 突然舞台に上がることになった時 衣装を取りに行けという突然の命令に最初は半信半疑だったというエピソード そしてそれが翌日の新聞にも載って...  普通の人生ではなかなかない体験ですね

読み進むうちにだんだんと止まらなくなり 最後は手術や闘病のシーンに胸がしめつけられてしまいました 孫や遅く生まれた愛する娘 元妻や友人たちに囲まれて亡くなった彼は国葬で弔われます パパラッチから守るのも大変なことでした 

ラスト近くに マエストロは彼に 自分が若い頃に戻れるならすべてを投げ出してもかまわない と呟くのですね...  健康で元気だった若い頃に戻れるならば 数えることすらできない程得た巨万の富などはいらないと... 切ないです

   *    *    *

今 このティノコ氏は インターナショナル・オペラ・マネジメントの代表を務めています パヴァロッティとの突然の出会いでもって マエストロに人生を捧げた彼の マエストロの心の内側を描き出したこの一冊 とても心に残りました

パヴァロッティが亡くなった時は 私も泣きました...

そしてこの本を 流れるように読みやすい日本語に訳された 私の(オンラインだけど)元クラスメートの楢林さんに あらためて敬意を表します オペラを愛し 50才からイタリア語を始めて こうして翻訳本を出されたのですね...

 出版のお知らせは こちら

 本は こちら

 


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「古代ローマ ごくふつうの50人の歴史 無名の人々の暮らしの物語」(河島思朗/さくら舎」を読みました(2023年9月)

2023年12月03日 | イタリアの本・絵本・雑誌

「古代ローマ ごくふつうの50人の歴史 無名の人々の暮らしの物語」(河島思朗/さくら舎」を読みました(2023年9月)

 

本の紹介:   

古代ローマの人々は、どのような生活を送っていたのでしょうか。本書ではローマが大きく発展した共和政末期から帝政初期に生きていた50人の人々(ときどき神様や伝説上の人物、動物も含む)に焦点を当て、彼らの碑文などの資料から当時の庶民の暮らしをひもといていきます。

彼らはカエサルやアウグストゥスといった、ローマの統治によって歴史を彩った有名人物ではありません。しかしその暮らし・人生を一片一片集めることで、巨大なモザイク画のように古代ローマがリアリティをもってよみがえってきます。

第1章:ローマのはじまりの歴史
第2章:衣・食・住事情
第3章:日常生活をのぞき見る
第4章:働く人たち
第5章:学術・技術の担い手 

        *     *     *

今まで古代ローマの歴史や皇帝について等の本を読んだり ローマ歴史セミナーを受けてきましたが この本はローマ時代の市井の人々に焦点をあてた一冊で とても身近に感じつつ読みました

お墓に刻まれた碑文をひもといて ローマ市民が生きてきたその暮らしぶりや職業のことを詳細に再現しており とても興味深かったです 

写真等も多く 説得力のある一次資料を参考にしつつ読み進めました 

ポンペイ展」 「永遠の都ローマ展」で見てきたものもあります

 

第1章:「ローマのはじまりの歴史」

ロムルスとレムスの母 レア・シルヴィア ローマを裏切ったサビーニ人の娘タルペイアが 特に印象に残りました

第2章:「衣・食・住事情」

クリーニング店 (当時は尿を用いてクリーニングをしていたのですよね!)    靴職人(解放奴隷が主人の名前をつけていたことも知りました)    居酒屋  (ポンペイで発掘された遺跡のように 台所がないため外食がメインでした)       パン屋 美食家(客によってもてなす部屋を変えていたとは😲)     商人       マンションの管理人 質屋 レンガ造り 家と家庭の守り神ラレス(土地・家と家庭の守り神で ララリウムという神棚のようなものが各家庭に祀られていた) 交通事故で亡くなった少年等...

 

第3章:「日常生活をのぞき見る」 

神や奴隷 美容師 香油店の経営者 戦車競走の賞金王 剣闘士 エトルリア人等が紹介されています 解放奴隷が主人の職業での片腕となったり等興味深いですね

 

第4章:働く人たち

皇帝と王の主治医 小売り業者 宝石デザイナー モザイク職人(主に奴隷で 天井のモザイクは作る際に危険を伴った等)  フレスコ画家 ガラス職人 縫製や銅細工職人 鍛冶屋 配管工等 今の暮らしにも直結する職業が紹介されていて興味深かったです😊

第5章:学術・技術の担い手 

Gを発明した小学校の先生(当時はラテン語のCは「ク」と「グ」と発音されており、子供たちのためにGを作ったそうです😲)  カエサルの家庭教師 女性詩人 (ポンペイ展で見たあのサッフォーのモザイク💕)

 

     女性詩人サッフォー(ナポリ考古学博物館) 

速記者 本屋 図書館司書 助産婦(当時の死産・乳幼児死亡率の高さ!)   建築家 犬(ポンペイ展で見たモザイク🐶) 等...

古代ローマの無名の人々の暮らしぶりが見えてきて ローマ帝国がとても身近に感じられる一冊でした📖

本は こちら

 

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「世界の書棚から」第19回『 ブルガリアの児童文学の不思議な世界』に行ってきました (2023.11.11)@板橋区立中央図書館

2023年11月27日 | イタリアの本・絵本・雑誌

「世界の書棚から」第19回『 ブルガリアの児童文学の不思議な世界』に行ってきました (2023.11.11)@板橋区立中央図書館

 

第18回のドイツに続き 第19回「世界の書棚から」ブルガリアです😊

ブルガリア共和国大使館職員のお二人 またブルガリアの児童文学を出版されている福音館書店の方が講師を務めてくださいました 

まずは ブルガリアの国の簡単な紹介から... EUで唯一キリル文字を使い 通貨はレフです 

5月24日は「キリル文字とブルガリアの教育・文化の日」です

2007年にEUに加盟しました  国花は薔薇🌹 ヨーグルトが有名ですね😊

ちなみに 1989年の板橋区立美術館のボローニャ展でもブルガリアの特別展示が行われたとのこと

      *    *    *

ブルガリア人なら誰でも知っている児童文学について

昔話の主な登場人物をご紹介いただきました:   りこうなペタルは 16~17世紀に登場した頓智で権力者をやりこめる賢い人物です(日本の一休さんのようなキャラクターでしょうか)  2005年に「ペタルとんち話」が出版されました

動物の登場人物では  🐻(知恵があり人間と友達)   🦊(賢くて嘘つき) 🐺(勇気があるが賢くない)   🐰(イケメンで威張っている) 針鼠🦔(謙虚で働き者)などが有名です

       *    *    *

ブルガリア人が大好きな児童文学作家と俳人について

レダ・ミレヴァ(1920~2013) :  児童詩の本の著者で 英語圏の詩人の翻訳も手がけていました

エリン・ぺリン(1877~1949): ブルガリアの豊かな自然 村人の生活について語りました

ラン・ボシレック(1886~1958):   法学博士号を持ち弁護士でしたが 子どもが大好きで児童文学に専念しました 

   *    *    *

ブルガリアの文芸フェスティバルについて

ソフィア国際文芸フェスティバルが 最大のイベントです

VarnaLit  2017年にブルガリアの海の首都ともいわれるヴァルナ市で初めて開催されました

ヴァルナ文学ナイト 2013年から始まった伝統的なEUNIC(The European Union National Institutes for Culture)のイベントです

 

    *    *    *

ブルガリアの文学コンクールについて

国民賞 「フリスト・G・ダノフ」 5/24が授賞式です

国民児童文学賞「ビセルチェ・ヴァルシェブノ」 2013年に始まり 3~16才の子供たちが審査員となるそうです😲

国民賞「コンスタンチン・コンスタンチノフ」賞

    *    *    *

ブルガリアの児童出版社について

トップの一つ「フュット」社  民間で初の「パン」社(1990年創立)  国民賞を受賞した「ロベルティノ」社  2013年にできた小さな出版社「リブカ」等があります

          *    *    *

現代のブルガリア児童文学のハイライトについて

砂糖壺のフェアリー」(カティア・マトノヴァ作)は 600万人の人口のブルガリアで 現在まで11万冊が売れた本で 初版の5,000冊は24時間で完売したそうです😲  ソフィア劇場で劇化され 映画化の話も進んでいるとのこと🎥

 

 左端が「砂糖壺のフェアリー」まだ日本語訳は出ていません

     *    *    *

次に ブルガリアの児童文学を発行してくださっている福音館書店の方が 「イワンカとマリイカ」(「こどものとも」2022年11月号)のラフスケッチと実際の出版物を比較しながら 制作過程をご紹介くださいました📖📖

これは日本のこぶとりじいさんに似ているお話ですね😊

この昔話を再話されたのは八百坂洋子氏で ブルガリア語の翻訳はほぼこの方が手がけていらっしゃるとのこと📕

絵は大畑いくの氏で ラフスケッチでの登場人物の方向と 本になった時の登場人物の方向が違うものがあるのは 登場人物の動く方向と本をめくる方向を合わせるためとのことでした 暖炉等の参考写真もご紹介くださいました 

    右端(右の机のいちばん左)が「イワンカとマリイカ」

 

昔話は 耳で聞く文化で 長く語り継がれてきたものであり その長年伝わるお話を 目で見る「絵」に起こしてゆく大変さ またブルガリアの森は 平地での生活とかかわりが深く また妖精や熊 小人などの異界の入り口でもあるのですね 

ブルガリアの昔話には ヨーロッパの広い地域に伝わるものと(「金の鳥」「金の魚」等グリム童話にも似ているもの「いのちの水」など)  ブルガリアの中で伝わるもの(「イワンカとマリイカ」など)の2種類があるそうです

私には初めての ブルガリアの児童文学の世界でした😊

 

次回は またまたイタリアです

 

  「世界の書棚からは こちら

 

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ヨーロッパ文芸フェスティバル初日の「ギリシャ・ポーランド」に行ってきました(2023.11.21)@板橋区立中央図書館

2023年11月21日 | イタリアの本・絵本・雑誌

ヨーロッパ文芸フェスティバル初日の「ギリシャ・ポーランド」に行ってきました(2023.11.21)@板橋区立中央図書館

 

地元板橋の中央図書館で開催された ヨーロッパ文芸フェスティバルの初日に行ってきました!! 

板橋区立中央図書館が2021年春にリニューアルなって ビッグイベントがぞくぞく開催されて嬉しい限りです😊 

といってもギリシャ文学はまったく知らないのですが...あまりに近所なもので(*ノωノ)

     *     *     *

 

  ギリシャ大使館主催

 

ギリシャ:   『ギリシャは詩人の国:  2人のノーベル賞詩人、セフェリスとエリティスの紹介』 講師:  茂木政俊(現代ギリシャ詩研究家)

 

ギリシャ文学は 古代ギリシャ文学がともかく有名だが 今のギリシャ文学がギリシャにとって重要であること 現代ギリシア文学の流れについて アテネ派ではなくイオニア派が残った経緯 1901年の福音書事件について等

特定の過去の栄光にギリシャ性を求めるのではなく ギリシャ史全体に延々と流れる伝統をギリシャ性とすること 純粋化から複合化への変化について等を伺いました

コンスタンディノス・カヴァフィス(Κωνσταντίνος Π. Καβάφης, )についての外からの評価についての私見 

外交官でもあったイオルゴス・セフェリスΓιώργος Σεφέρης)が大戦中に亡命し キプロスの問題とかかわり 1963年ノーベル文学賞を受賞したのち 1967年に軍事クーデターが発生し その後BBCで軍事政権を批判する声明を発表したこと 当時文化人の最高位であった人物の声明が大きな影響力を及ぼしたこと 1971年に死去

オディッセアス・エリティス ( Οδυσσέας Ελύτης)は 大戦中にアルバニア戦線で腸チフスにかかりアテネに帰還 終戦後に沈黙しパリに移住 アテネに帰還したのち『アクシオン・エスティ』を刊行 やはり軍事クーデター(1967)でパリに亡命し のちにアテネに帰還 執筆を続け1979年ノーベル文学賞を受賞 1996年に死去

両作家の作品は残部僅かですが古書店で入手できるそうです📖

 

     *     *     *

 

ポーランド:  『ヴィスワヴァ・シンボルスカ茨木のり子、ポーランドと日本』 講師: 池澤夏樹(芥川賞受賞作家)

 

  ギリシャ・ポーランド両国の様々な本が展示されていました

 

講師の池澤夏樹氏は ギリシャ文学を翻訳され 前半のギリシャのお話をなつかしく聞いていらしたとのこと ポーランド文学はかの工藤幸男氏に手ほどきを受けたそうです😊 世界文学全集にリシャルト・カプシチンスキ Ryszard Kapuściński)(ルポルタージュ文学作家)の『黒炭』を収録されたそうです

ルポルタージュ文学のユリシーズ賞(ベルリン)に審査員で参加されたお話も伺いました チェチェン問題を扱ったアンナ・ステパーノヴナ・ポリトコフスカヤА́нна Степа́новна Политко́вская)が受賞した授賞式で カプシンスキーに会ったエピソード等...

また 日本とポーランドの地理的条件の差による歴史の違い (地続きで他国に占領され続けたポーランド 島国で占領の過去を持たなかった日本) 3.11でシンボルスカの詩を身近に感じ 同じテーマの茨木のり子の詩とともに いくつかの詩をご紹介いただきました 文体が平易で難しい表現を使わず テクストがなくとも十分わかる詩です

3.11のあとのがれきの山 原発が偶然で大きな被害を免れたこと そしてまたそろそろ戦争を...と考えている輩がどの国にもいる 小説はエンジンがついているが 詩は自分で歩かなければならない等の言葉が 印象に残りました

 

次は 11月24日(金)のイタリア「動物奇譚における現実と幻想ー文学的探究」(イタリア文化会館)に行く予定です😊

ヨーロッパ文芸フェスティバル2023(2023.11.21~26)は こちら 

ポーランド映画祭2023は こちら

 

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今年度最後の3か国語絵本の読み聞かせボランティアをやりました(2023.11.19)@いたばしボローニャ絵本館

2023年11月19日 | イタリアの本・絵本・雑誌

今年度最後の3か国語絵本の読み聞かせボランティアをやりました(2023.11.19)@いたばしボローニャ絵本館

 

今年度最後の3か国語絵本の読み聞かせを いたばしボローニャ絵本館でやりました この日は日曜日で天気もよく  ドーム状のおはなしの部屋が満杯になる程の方達が聞きに来てくださいました💕

 

1.  Insieme くっついた    イタリア語 

Taro Miura 文/絵    Sognalibri  Fatatrac  

日本語版イタリア語版の表紙の絵が違っていますね😲 イタリア語版はボードブックで分厚いです 

 

2. Ahab y la ballena blanca  エイハブ船長と 白いクジラ    スペイン語 

Manuel Marsol 文 絵  美馬しょうこ 訳  Edelvives 

2014年エーデルビーベス国際絵本賞受賞   

中央図書館の「世界の書棚」からのスペインの回(2023.1.13)でご紹介いただき 選びました 

『モビー・ディック それが あいつのほんとうの名前だ

ハーマン・メルヴィルの小説「白鯨」をもとに描かれた作品です』

 

3. Lulu in der Mitte  まん中のルル ドイツ語

Micha Fiiemel 文 Jacky Gleich 絵  Hanser社 2020年   

2021年のブックフェアで抄訳を作成させていただき 今回のために翻訳して読みました

Sandwichkinder(サンドイッチのこどもたち)という言葉がドイツ語にあります まん中の子ども 大きくもないし小さくもない...私っていったいなに? との問いかけが迫ってきます

『ルルのお兄ちゃんのカスパーは ヘリコプターも お乳しぼりの器具も作れるの。 ノーベル賞ものだって、おばあちゃん。 レオノールはまだ小さくて、 泣けば みんなおおよろこび、 なんにもしなくてもね。 

それじゃあルルは? その間にいるのよ。 まだ何も発明してないし、もう かわいらしく泣くこともできない。 小さくも 大きくもないの。 そう、でも それじゃルルはなんなの? 家族の中の すばらしいまん中のルル - それだけははっきりしてるわよね!』

  読みきかせの絵本

 

4.Sembra questo sembra quello… これにも にている あれにも にている…  イタリア語

 Maria Enrica Agostinelli文・ 絵  Emme Edizioni     

読み聞かせビデオ(イタリア語)は こちら

イタリア文化会館図書室から借りました  

これは 1969年に発行された絵本です (このあと 2018年にも新版が出ました)  当時はまだ€ではなく リラが使われていたのですね 古い絵本です

 

今回は 知人が聞きに来てくださったので いつもよりボリュームも多くなり頑張りました😊

終わるとほっとして まったり...☕ 

 

これで 2023年度の私の外国語絵本読み聞かせボランティアも 無事終わりました😊

もう来年度の1年分の絵本を探して練習を始めています📖

 

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世界の書棚から第17回「チェコの絵本 昔と今」に行ってきました(2023.8.5)@いたばしボローニャ絵本館 

2023年10月18日 | イタリアの本・絵本・雑誌

世界の書棚から第17回「チェコの絵本 昔と今」に行ってきました(2023.8.5)@いたばしボローニャ絵本館 

 

アメリカ」に引き続き 第17回「世界の書棚から」は チェコでした:

 

チェコの絵本や児童書について 歴史の流れとともに丁寧にご説明いただきました

またそれに先立つ チェコの絵本のおはなし会では 作曲家スメタナがモルダウのインスピレーションを得たというチェコの童謡を歌っていただき またミューシャ展(2017年新国立美術館)で国外初の展示となった ミューシャの「スラブ叙事詩」の作品のことにも触れてくださり 私も当時観に行きましたのでその感動がよみがえりました💕 

 

 チェコの絵本の数々

 

チェコの挿絵入り子どもの本の物語 1900-2000年』(2010年) をもとに 時代ごとのチェコの絵本の変遷をご紹介いただきました: 

 

1. 歴史への一瞥 19世紀以前の子供向けの本

1620年 白山の戦い

世界初の絵本といわれる 1658年ニュルンベルクで出版された コメニウス(ヤン・アモス・コメンスキー)の『世界図絵』 

チェコでは1744年に普通教育が始まったそうです

民族のおとぎ話や 昔話の収集 『チェコの伝説と歴史』等があります 

19世紀に学校は国の管理下に置かれていました 

 

2.  チェコの近代絵本の始まり 第一次世界大戦までの子どもの本

アールヌーボーが入ります

ヴォイチェフ・プライスィックおうちがいっけんあったとさ』等 ようやくカラー印刷が始まります

 

3.  二つの大戦間のチェコの子どもの本 

1918年 第一次世界大戦が終結し チェコスロヴァキア共和国(1918~1992)が成立します

ヨゼフ・ラダ ヨゼフ・チャペック オンドジェイ・セコラ等の3人の作家が新聞社で連載していたものが 絵本になります

ズデ二ェック・ブリアンは子ども時代に古生物を描くように勧められて恐竜等を描くようになり 先般開催されていた上野の「恐竜博2023」でも その作品が展示されていたそうです

日本でも有名なカレル・チャペックの『ダーシェンカ』(犬の意味) 等

 

このあとファシズムが台頭してゆきます...

アントニーン・ストゥルナデルの『チェコの古代年代記』(1940)そして アニメ好きだった私も大変懐かしさを覚える人形アニメ監督・絵本作家の イジー・トルンカの『チェコの昔話』 等...

 

4. 戦後の新しい道の模索 

1945年の第二次世界大戦終結から 1950年代の子どもの本

1948年チェコスロヴァキアが 社会主義体制に入ります 

民間の出版社は閉鎖され 国に管理された出版社が生き残ります 

また のちにアルバトロスとなる国立図書出版局(SNDK)が設立されます 

トルンカ画『アンデルセン童話』は アンデルセン協会から20世紀前半の最も美しい絵本に採用されます

1953年にチェコ作家協会の指導のもとで 「子どもの本の友だちの輪」「青年のための本の友好協会」が設立され 1957年に雑誌『金色の五月』を発刊します

 

5. 60年代の黄金期 ー 新しい波 

1958年 ブリュッセル博が開催されます 

1968年にプラハの春が起こり 検閲が廃止されます これは同時に質の低下をももたらしました 

中国絵画を学んだ作家 ミルコ・ハナークも現れました 

2023年2月に亡くなったクヴィエタ・パツォフスカーは 日本でも有名でした

風刺画の得意なヴラジミール・フカは ユーモラスな絵の先駆者でもありました

 

6. チェコのグロテスカ/コメディー 

1968年8月のチェコ事件(プラハの春)をはさみ、1989年までの子どもの本 

グロテスカとは 奇怪な 滑稽な おどけたという意味で 1968年の軍事侵攻で社会主義となり 「正常化」とされる動きが始まり それが1970年から厳しくなり 子どもの本の方が危険は少ないとされ 民話や伝説等の出版に流れてゆきました 

1965年に 夕方の子ども番組「ヴェチェルニーチェク」が放送開始されます (私は旧東ドイツの同様の子ども向け夕方アニメSandmänchenがあったのを覚えています)

1957年にテレビ放映が開始され 「クルテク」というもぐらくんシリーズも人気となり チェコのドラえもんと言われているそうです

 

  チェコの絵本の数々

 

7. 1989年以降に失ったもの、得たもの、そして展望 (1989年~2005年までの本)

1989年11月に起きたビロード革命 これは社会主義の終焉でもありました

出版社はつぶれてゆき アルバトロスは民営化され 外国の本が増えてゆきます やがてテレビゲームが流行し 本の出版は減ってゆきます 

1993年にチェコとスロヴァキアに分離します 2004年にチェコはEUに加盟します

33才で米国に移住したピーター・シスをはじめ 国外で活躍する作家も増えてゆきました

講師の先生おすすめのペトル・ニクルは遊び心豊かで 音楽家・役者でもあり 日本にも来たことがあるそうです

 

8. 近年の作品

パヴェル・チェフ エヴァ・ヴォルフォヴァー その他 チェコ在住等の日本人作家等が紹介されました

 

絵本の未来を決めるのは 主に読者です」との講師の先生の言葉が 

心に残りました...

 

世界の書棚から」は こちら 

次回はいよいよ ドイツです

 

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「世界の書棚から」第16回『多様性とコミュニティを描く ~アメリカの絵本の絵と言葉~』に行ってきました (2023.6.10)@板橋区立中央図書館

2023年09月02日 | イタリアの本・絵本・雑誌

「世界の書棚から」第16回『多様性とコミュニティを描く ~アメリカの絵本の絵と言葉~』に行ってきました (2023.6.10)@板橋区立中央図書館

 

第15回の台湾に続いて 第16回は アメリカです

 

子どもたちが自分や他者を理解するためには 多様性を認めることが重要です 

人種や思想 ルーツなどの異なった様々な人々が暮らすアメリカでは 絵本を使った多様性理解促進が見られます 

アメリカの絵本の絵と言葉が 子どもたちの多様性やコミュニティへの理解をどのように導いているのか アメリカで育ち 美術そして絵本に精通した講師お二人にお話いただきました:

 

Diversity in Childrens Books 2018 という アメリカの児童図書センターの統計によると 絵本の主人公の割合は 約半分が白人であり 1/4が動物等 そしてまだまだアフリカ・アジア・ラテン等は少ないとのこと

絵本は (自らのアイデンティティーを見る)  そして(他の物語を知る) そしてドア(他の世界に入ってゆく)なのですね 

アメリカには 様々な絵本の賞(Awards for Childrens Books)があります

障害 LGBT  他民族など diversity(多様性)を扱った絵本は増えているとのこと 外国からイラストレーターがアメリカに来て 出版にチャレンジしてゆくのですね そのための様々な賞が多くあります 

    *      *      *

次に4冊の 多様性を扱った絵本をご紹介いただきました:

1. Thany You, OMU!  Oge Mora 作/絵 

ナイジェリア系米国人の描いた絵本 Omuはナイジェリアの言葉で女王という意味で 祖母をOmuと呼んでいます 

色々な材料が混ざり合って よりおいしくなる大鍋のシチューはインクルージョン(包括・包含)の象徴で たくさんの人たちが招かれます 

やがてシチューのいい匂いは街にあふれ... 最後はお鍋は空になりますが  みんながコミュニティの一員になるという  わかちあいのメッセージのラストですね 

また コラージュや チャイナマーカー等の様々な画法をご紹介いただきました

日本語版 『ありがとう、アーモ!』は こちら

 

2.  Julian is A Mermaid   Jessica Love 作/絵

自分を世界に伝える勇気と 受け入れられる希望がテーマです

NYの地下鉄で 少年Julianは3人の人魚を見かけます 一緒にいたabuela

スペイン語で祖母という意味 そこからラテン系の子とわかります

Julianは空想の中で海に潜り 人魚になってゆきます そして 祖母と一緒にConey Island Mermaid Paradeという人魚のパレードに行くのですね

水色のグアッシュ 水彩が淡い色で描かれ 水中で次第に解き放たれ人魚になってゆくシーンが実に美しい絵本でした

2019 Stonewall Book Award 受賞作品

日本語版 『ジュリアンは マーメイド』は こちら

 

3. BarbedWire Baseball  Marissa Moss 作 Yuko Shimuzu 絵

有刺鉄線野球」 という意味のこの絵本は まだ日本語版はありませんが 銭村ケンイチという実在の野球選手と 日系人の収容所(アリゾナの乾燥地帯にある)の悲惨な歴史を描いています ラストの ホームランが有刺鉄線を超えてゆき 青い空に飛ぶように走り出す選手の姿がとても印象的です

 

4. How to Solve a Problem:  The Rise (and Falls) of a Rock-Climbing Champion 

Ashima Shiraishi(白石阿島)作/ Yao Xiao 絵

実在の21才のロッククライマーの物語です 失敗から学べば どんな課題も解決できる というテーマが 実際に彼女が岩から落下したエピソードとともに語られます 

4歳で岩登りを始めた主人公が10代で描いた絵本で 考えるプロセスをビジュアル化して描かれています

世界で最も若くてスキルのあるクライマーのひとりである主人公の 誰でも最初から成功はしないというメッセージとともに ガールパワーが炸裂する絵本です 父親もプロの舞踏家とのこと 

 

 ご紹介いただいた4冊の絵本

 

質疑応答に移り 会場からとても心に残る質問がなされました 

多様性を扱った絵本が 日本はアメリカよりも まだまだずっと少ないこと 

また 障害や病気 LGBT等のテーマの絵本のコンテストは 日本にはまだありませんが アメリカには Schneider Family Book Award そして Stonewall Book Awards  というコンテストがあるそうです

 

私も 海外の絵本の翻訳ボランティアをしている中で 離婚や障害 難民等のテーマの絵本が年々増えてきていることを感じています 

日本ではどうなのでしょうか... ためしに「絵本ナビ」で検索してみましたが それほど多くはなかったです😢  

 

次回は チェコです

 

世界の書棚から」は こちら 

 

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