課題絵本は英語とイタリア語の絵本です。あなたの言葉で、海外絵本の魅力を表現してみませんか。
作:Troy Wilson, 絵:Eve Coy
作:Loredana Baldinucci, 絵:Melinda Berti
「ホロコースト 最年少生存者たち」(レベッカ・クリフォード作/2021)を読み 「ホロコースト 戦争と家族」(1978)を思い出しました
「ホロコースト 最年少生存者たち(Survivors children's lives after the Holocaust)」を 「アウシュビッツの小さな姉妹」(タチアナ&アンドラ・ブッチ著)のあとに読みました
ホロコーストを生き延びた子供たちの本当の戦争は 1945年に始まったのですね...
子どもの頃に強制収容所にいた記憶をほとんど失い 保護してくれるべき親もおらず 兄弟も親戚もおぼろげな記憶しかなく 自分の名前さえ思い出せない状況にあった子供たちがいたことに衝撃を受けました 名前なしでは家族を探すこともできないのですから
あるいは 親が遠くにいることを隠して 里親のもとに引き取られることもあったとのこと
ホロコーストを生き延びた親には子供を養育する経済的・精神的余裕がないことも多く 経済的・精神的余裕のある里親のもとで暮らす方が 子供にとってもよいのではないかとのことから とありました
また暗い記憶を語らせる方が子供にとってよいのか 語らずに過去を封印して忘れさせる方がよいのかについての葛藤もありました
里親は必死に子供が強制収容所にいたことを隠そうとしますが 子どもは知ろうとしてぶつかり合ったり...
次の預け先に移るとその国の言葉を一から学ばなければならず 前に話していた言葉を忘れてしまったり 里親と言葉が通じなくて苦労したり それでもホロコーストを生き延びた親元で苦痛を受けながら暮らすよりも 同じ境遇の子どもたちとともに施設で暮らしていた時の方がよい思い出となった というくだりには色々考えさせられました
その施設もやがて閉鎖されると 自分の還るところがなくなってしまうのですが...
またやがて子供たちが長じて ホロコーストの生き残り「幼年時生存者」としてインタビューに応じるようになった時の様々な問題についても触れていました
長じては自分の体験を語る時に困難が伴い 質問の仕方によって答え方も答える方の感情も様々に変化するのに 画一的な質問で神経を逆なでされたり インタビュアーの要望を察して過去を捏造したり 答えようにも親の名前も記憶もないので非常に戸惑ったりと...
そういった様々な最年少生存者たちの告白に衝撃を受けました
やがてトラウマの概念や影響の長期化も明らかになってゆき(ベトナム戦争などで) 1978年にアメリカで放映された「ホロコースト 戦争と家族(Holocaust)」(これは私も日本で放映された時に観て 本も買って何度も読みました)や「ショア/Shoah 」の上映などで 次第にホロコーストの実情が社会に明るみに出てくるようになってきました
それまではホロコーストのことはあまり知られていなかったのですね...
重い本でしたが 貴重な歴史の一角を知ることができ 本当によかったです
本は こちら
追記:
イタリア映画「Tre fratelli(3兄弟)」(1981年Francesco Rosi監督作品)のDVDを見ました
1981年 Francesco Rosi監督作品 「Tre fratelli」のdvdをイタリア語字幕で見ました
テロ事件の起きる「鉛の時代(anni di piombo)」のイタリアに生きる3人の兄弟たちに 母親の訃報が届き 南イタリアの故郷に集います
職業も年齢も様々な3兄弟を待っていたのは 母の死とともに それよりもつらい 20年もの間離れて暮らしていた兄弟との確執でした
長男Raffaelleは ローマの判事(giudice) テロリストの裁判に関わる50代 妻はテロリストからの脅迫におびえて過ごす
二男Nicolaは ナポリの少年院の助手(assistente in un riformatorio)
三男Roccoは トリノの工員(l'operaio) 離婚した妻との間の まだ幼い娘マルタ(Marta)を一人で育てている
このマルタがなんとも可愛らしい💕 田舎を知らない北イタリア暮らしの孫マルタと 南イタリアの農家暮らしのおじいちゃんとのシーンが印象的でした
この3人が故郷で母の葬式のために集うのですが 長男と三男の政治にまつわる討論シーンが圧巻...といってもイタリア語字幕なので 実はあまり把握できませんでしたが...
長男が村の酒場に行き "condoglianza"とお悔やみの挨拶言葉をかけられながらも 村人たちの もしテロリストが自分のそばにいたらどうするか との問いかけに応えるのですね
そして年老いた父は 孫である三男の娘マルタと数日間をともに過ごします
妻の遺体を寝かせた部屋では黒衣の女たちが弔いの歌を歌う中で...
回想シーンでは 三男Roccoがまだ子供の頃に戦争が終わり 米軍の戦車に両手を挙げたまま歩み寄る一家...
「おじいちゃん 目覚ましをかけないの?」と孫に聞かれて 「田舎では鶏の鳴き声とともに起きるから目覚ましは必要ないんだよ」と答えるおじいちゃん
そのおじいちゃんが若い頃 新婚の妻と海に出かけた際に 結婚指輪を砂の中に落としてしまった妻とともに ようやく指輪を探し当てた彼は今 亡き妻の結婚指輪を 自分の指輪と重ねてはめるシーンで終わるのです...
母親の訃報を受け取るシーンで 離れ離れの家族が集うというのは「ニュー・シネマ・パラダイス(Nuovo Cinema Paradiso)」と似ているな~と思ったのですが 色々調べてみたら ありました~
同じG.トルナトーレ監督の 「シチリア!シチリア(Baarìa)」の 主人公ペッビーノが息子を駅に付き添うシーンで この映画のチラシ(locandine)がちらりと写っていたとのこと💕
場所は Altamura(プーリア州) Cassano delle Murge Gravina in Puglia Murgia (いずれもプーリア州) Matera(バジリカータ州)で撮影されたそうです
南イタリアのなんともいえない古びた田舎町... 風情がありましたね~
"Tre fratelli"は こちら
trailerは こちら