日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

エッセイ「誕生日に作った海鮮丼」@東都生協の海づくり

2021年10月09日 | 東都生協関連・海外の生協

エッセイ「誕生日に作った海鮮丼」@東都生協の海づくり

 

2009年12月の東都生協のカタログに 私のエッセイ「誕生日に作った海鮮丼」が掲載されました

この頃は 料理の世界を目指す家族の応援と そしてスローフード運動について学んでいた 

読み返してみると ほんとに真摯な思いだったなぁ...

    *   *   *

エッセイ「誕生日に作った海鮮丼」

(2009年12月1回 東都生協カタログ表紙/写真)

 

二男の誕生日に海鮮丼を作った

生協で 北海道(江刺)産のいくらを頼んだのがあったので 海鮮丼にしようと決めた

隔週で頼んでいる有機野菜のボックスもちょうど来たので 葉つき人参の葉っぱとちりめんでかき揚げを作って 有機かぶでお味噌汁を作った

しそは うちのベランダで採れたもの

 

このいくらは 「魚つきの森」運動を続けている北海道江幸産のものだ

森林の生み出す栄養分が 川から海に流れ込み 海の幸に恵みをもたらすので 森づくりが大切だという

最初はなぜ漁協が植樹運動をしているのかなと思ったけれど...

それを初めて知ったのは 「スローフードな日本」という本を読んだ時だ

(島村奈津著 新潮社刊 第5章「牡蠣が見上げた森」参照)

 

せっかくこうして素晴らしい食材が届いても 日々忙しくて簡単なレシピしか作れず忸怩たる思いなので せめて週末くらいはと せっせと作る

「浜のおっかさん」みたいに 強靭な体力が欲しいよぉ...

それでも隔週で届く有機野菜のボックスには それぞれの野菜の簡単なレシピがちゃんとついているので まだ作ったことのないレシピに次々挑む

限られた時間の中で どれだけのことができるのだろうかと考えながら 毎日作る

作ってくれた人 運んでくれた人 そして食べる人の思いに支えられながら...

 

   *   *   *

浜のおっかさんからは 「ありがとう! 元気の糧をもらいました!」との嬉しい答えが返ってきました

暗いうちから沖にでる秋鮭漁は 家族総出の作業とのことです

 

生協の食材メインで子育てをしてきた 子供の年齢と同じだけ長くいる組合員の私にとって とってもなつかしい自分のエッセイなのでした...💖

この頃は 毎日新しい発見があって きらきらしていたなぁ...(#^.^#)

 

 

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「生協総研レポートNo.76 イタリアの生協の現状について」を読んで@(財)生協総合研究所

2020年12月22日 | 東都生協関連・海外の生協
「生協総研レポートNo.76 イタリアの生協の現状について」を読んで@(財)生協総合研究所




ネットで探し当てた一冊 それは「イタリアの生協の現状について」という(財)生協総合研究所発行の冊子でした 

イタリアの生協について色々知りたくて 「サステイナブルなイタリア」のセミナーで面白いお話を聞いてから 「イタリアの共同組合」(緑風出版発行)と「食農分野で躍動する日欧の社会的企業―イタリア発地域の福祉は協同の力で」(経実Book)という2冊の本を買って読んだあと さらにネットで検索してようやくこの本「イタリアの生協の現状について」を入手して...と興味はつきません♪

この本は一般の方も生協関係の方も買えます

またこの(財)生協総合研究所の公開研究会のテーマには「イタリアの協同組合運動、その歴史的背景および政治との関係」なんていうのもあり 外国の生協やその背景についても学べるのですね!!

     *     *     *


Ⅰ イタリアの生協、その苦難の歴史


この内容は前に読んだ「イタリアの協同組合」というぶ厚い本にも書いてありましたが 簡潔でよくわかりました 
特に 1985年のフランス生協や1989年のドイツの生協の倒産からイタリアの生協が学んだこと それは1979年からイタリア流通業のトップを築いてから一度もその地位を譲っていないことに現れています

1975年に経済悪化のため多くの生協が危機に陥った中 フィレンツェ生協が独自の改革で危機を脱したこと また1986年にANCC傘下の8大生協の「ハイパー設立のためのコンソーシアム」が結成されたくだり 「Iper Coop」ロゴの共有等... さらに驚いたのは「日本の生協がイタリアの生協の発展に少なからぬ影響を与えた」こと 姉妹提携のお話など 興味はつきません 
このあたりについては「サステイナブルなイタリア」のセミナーでもお話伺いました♪



Ⅱ イタリアの生協の現状について


様々な書籍や表を使いながら イタリアの生協の現状を紹介しています 2014年現在 イタリアには8万以上の協同組合があり うち4.3万レーガ・コープ コンフ・コープ AGCIに属しており その合計事業高はGDPの8%に達するといいます

2011年にこの3者によりローマにイタリア協同組合(ACI/ Alleanza delle Cooperative Italiane)が結成されました 組織の統合は2017年を目標とありました *

* ここのHPを見てみると 既に実現されたようです すごい規模ですね!


社会的協同組合
について AタイプとBタイプの紹介もあり 1854年にトリノで初めての協同組合が設立された話 また日本の生協法とイタリアとの違い 一番大きいのは イタリアには生協に特化した法律はなく 「憲法に協同組合の社会的役割が規定されている」ことでしょう 

また 1955年にやはりローマで設立されたイタリア生協連(ANCC/ Associazione Nazionale Cooperative di Consumatori)の傘下には コープイタリア(Coop Italia)というコンソーシアム(事業連合組織) INRES(Istituto Nazionale Consulenza, Progettazione, Ingegneria) そしてなんと生協学校(Scuola Coop)まであったのですね! これも驚きでした 若手職員の育成 生協コンテストなど...

この中にある「日本の生協との比較」の数字は興味深く読ませていただきました♪ イタリアの方が小規模で組合員も日本よりは少ないようですが... ← 少数精鋭ってことかな?

また 生協のガバナンスではフィレンツェ生協が例外として紹介されており 経営陣の代表でつくられる経営委員会のメンバーを 組合員の代表で作られる監視委員会が任命する とありまたまた驚き!! ← フィレンツェすごい(*_*)

そして ウニコープ・フィレンツェの組合員集会の写真を見ると 男性が多い( ゚Д゚) 日本の生協の組合員は殆どが女性ですが イタリアでは男女半々なのですって!! しかも年齢も若めです これにはビックリしました ← イタリアの男性はなんでも積極的? 奥さんまかせにしないのかな? 日本は長時間労働だから...?

イタリアの生協は南部には少なく 不況の影響が深刻な南部には もともと生協の店舗が少なかったため経営悪化を免れた面があるのですね... シチリアが例外と前に読んだ本にはありますがこれは個人組合員がいないのだそうです 

生協の店舗にはガソリンスタンドや図書館まで併設されている写真もありました そして出ましたプライベートブランドPB!! ←東都生協にもありますね♪

安全 おいしい 便利 倫理的 環境の 5つの価値に基づいて開発された商品で ターゲットはミドル階級とのこと さらに 価格について特筆すべきは「便利な価格とは最低限の価格ではなく商品の品質と安全性 倫理性 環境の持続可能性がバランスよく組み合わされた合理的な価格のこと」とのことです

コープイタリアのTVコマーシャルでは 生協の組合員にインタビューをして 低価格と品質どちらを選ぶ?と聞くと「品質」と答えるとのこと

また 「自宅の水」キャンペーンでは ミネラル・ウォーターの 水を瓶詰して輸送することの環境負荷を知らせています 学校での消費者教育活動「Sapere Coop: 生協提供の知識」活動は 9大生協により 30年間も続いているそうです

イタリアのスーパーマーケット・ハイパーマーケット業界のシェアは2013年で Coopが第一位の18.5%とのこと 大手スーパーチェーンのエッセルンガは第3位の11%でした

実に興味深いリポートでした!


Ⅲ ウニコープ・フィレンツェの組合員調査にみるイタリア生協の組合員


これも 自分ならこの組合員アンケートに何と答えるだろうか?と考えながら読ませていただきました
回収率は39%で 特に利用高の高い層とのことですが ウニコープで買う人が99% コープをベースに買う人が65% ただし加入歴は6~15年前後の若い人が多く 日本では半数が20年以上加入している人との記述に納得!! また 生協に求めるものの日伊比較も興味深かったです
 

Ⅳ イタリア協同組合連盟(Alleanza delle cooperative Italiane)の設立と現在


2012年に3大生協合同で ACI(Alleanza delle cooperative Italiane)が設立されました それについて詳しく述べられています
2002年 ベルルスコーニ政権が突然提起した「協同組合法の改正」について等 Coopの128年の対立の歴史を経て 政治と宗教を乗り越えた過程が詳しく綴られていました 


Ⅴ イタリアの協同組合史


イタリア初の1854年にトリノに生まれた生協について詳しく述べられており 当時問題を抱える人々を お金を出し合って支えてゆく SMS(緊急相互扶助協会/Società mutuo soccorso)運動から始まったことが書かれていました 今もこのSMSの施設は中北部に存在しているそうです

この生協の歴史については この前に読んだ「イタリアの協同組合」の本に詳しいのですが ファシズムの暗黒時代を経て 大戦後の1947年に 最初の協同組合法となった「バゼーヴィ法」が制定されました さらにまた1991年には「社会的協同組合法」が成立しました 

イタリアの生協について知りたいという思いが セミナー参加や イタリアブックフェアで出会った2冊 そして今回の生協総研リポートの出会いへとつながり お腹いっぱい読みました( ^^) _U~~

追記: 「生活協同組合研究」2015年4月発行 Vol.471の「コープアドリアティカの社会的活動報告書」によると エミリア・ロマーニャ州にあるこの生協では CSR(企業の社会的責任)にかかわる活動を2002年から続けているとのこと 「持続可能性」が追記されたそうです

ミッションとしては 消費者教育 従業員の労働と業績の評価 組合員への商品とサービスの提供 透明性と公平性に基づいた事業活動 持続可能性 地域の社会的経済の発展への寄与 その他色々...

また イタリアならではの マフィアから没収した南イタリアの土地を使い農業を営む社会的協同組合「リベラ・テッラ」の支援活動など...  

高齢者や障がい者生活支援 これも日本でも色々な生協で 「くらしの助け合い」運動として展開していますよね! 
私もやっていました
昔は生協だけでスーパーにもほとんど行きませんでしたが 今は高くて無理です イタリアの生協は適正価格とのことですが日本の生協はブランド化している気がします

イタリアの生協は意欲的に有機的に活動していることがわかりました イタリアのCoopのこの本に出会えてホントによかったです

「イタリアの生協の現状について
」(生協総研レポートNo.76)は こちら
 

    *     *    *

協同組合はユネスコの無形文化遺産にも登録されています

『協同組合とは、人々が自分たちのねがいを実現するため生み出したしくみ・知恵。7つの協同組合原則が定められており、ユネスコの「無形文化遺産」にも登録されています。協同組合がある国や地域は94か国以上、組合員は世界全体で10億人を超えます。
 日本には全国で約560の生協があり2,820万人の組合員が加入し、事業高は約3.4兆円の規模があります。』

詳しくは 生協と社会論 第1回講義概要「現代社会と協同」(公益財団法人 生協総合研究所)

* 写真はフィレンツェのお店 Coopとは関係ありません



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公開研究会「スイスの二大生協の歴史と現況 ミグロとコープ・スイスを比較しつつ」に参加して(2017.9.12)@(公財)生協総合研究所

2020年11月03日 | 東都生協関連・海外の生協

公開研究会「スイスの二大生協の歴史と現況 ミグロとコープ・スイスを比較しつつ」に参加して(2017.9.12)@(公財)生協総合研究所


イタリアの生協について色々調べているうちに 他の国の生協のことも知りたくなり 生協総合研究所の開催するスイスの二大生協についての公開研究会に行ってきました!!

4名の講演者の方々が スイスという国について スイスの生協の歴史について 資料をもとにお話をされてから スイスに在住された経験からみた協同組合と生協について 写真を交えてご紹介いただき ラストはミグロ(MIGROS)とコープ・スイス(Coop Schweiz)というスイスの二大生協についての 事業概要と評価、現況について詳しく説明していただき 大変興味深く勉強になりました

スイスは九州くらいの大きさの山岳国で 面積は日本の1/9 人口は日本の7%弱(833万人/日本は1憶2700万人) 外国人比率は22%(日本は2%) ちなみにひとり親世帯の貧困率は31.6%(日本は50.8%)  直接民主制で永世中立国です 

そんなスイスでは なんと8人に一人が生協に入っていると聞きビックリ!!
1975年には 組合員が100万人を超えたというのですが スイスの人口が833万人ということは... それだけ生協は信頼されているのだなぁと感じました

また ジュネーブのさまざまな協同組合についても写真入りでご紹介くださいました 酪農協同組合連合会 エクリーブル住宅協同組合 バン・デ・パキ(労働者協同組合)ここは歴史ある公共施設の経営を担っています
ジュネーブでは 物価が高いのと 隣国へのアクセスがよいため 営業時間が長めで価格も安めなフランスまで車でちょいと買い物に行きやすいのですって 
もともとジュネーブでは 空港や駅以外は 平日は夜6~7時には閉まり 日曜も休みですね この営業時間を延長したり年に何回か日曜にも営業するにも住民投票 といったお国柄です 

スイスで生協といえば Migros(ミグロ)と コープ・スイス(Coop Suisse)の二大生協ですね
日本のように 地域によってたくさんの生協があるのとは成り立ちが少し違います 

例: BILANZ 2017年3月号「Beste Feinde Die unheimliche Macht von Migros und Coop」(最高のライバル ミグロとコープのとてつもないパワー) ← MigrosとCoopの両CEOがスーパーマンの恰好で表紙を飾っています

ミグロの方が少し規模が大きく 大型・中型店でチェーン展開をしてるのに対し コープ・スイスの方は小型店が多く 地域ごとの生協の名残が残っています 
その他 PB(プライベートブランド)はミグロの方が多い等 ふたつの特徴を細かく見てゆきました
 
ふたつとも 好立地の大半にすでに出店済みなので 競合の出店の余地はあまりないのだそうです もちろん仏・伊・独等の大手チェーンはありますが コミュニティの権限が高く 出店するにも許可が必要です

ブランド好感度は ミグロが1位 コープ・スイスが3位 
このブランド力の背景には 毎週機関紙を組合員に送付したり 社会貢献度も高く ポイントカードも充実しているとのこと さらにMigipediaという商品情報サイトまであるというのです!

子供がスーパーマーケットごっこで遊べる「ミニミグロ」があり 小さな頃から遊びながら身につけさせる戦略はさらに「食育」にも通じています スイスの農業等の一次産業人口0.7%(日本は1.1%)と少ないのです  
さらには高齢者対応で 「おばあちゃんの革命やお食事会(タボラータ)等もやっています

コープ・スイスは最近「昆虫食品」を売り出し 数が少ないせいかすぐに売り切れたそうですが...こういった開発費も ヨーロッパ一人件費の高い豊かなスイスであればこそです


まとめとしては 生協の国民生活への貢献の最高度の実例がまさにスイスであり あらゆる面で国民経済に配慮した政策(商品、店舗、雇用)が取られており プラスの循環を作る要素として機能しているが 負の循環の引き金にもなりうるとのこと そして 消費者の圧倒的支持が事業の支えとなっていること

この「負の循環の引き金」とは何でしょうか? わかりやすい例をあげると たとえばもしコープがフランスやイタリアの安い牛乳を扱うと スイスの酪農はつぶれてしまう だからスイスのコープも消費者も政府もそれをちゃんと理解し 少々高くともスイスのものを売るのですね それはちゃんと循環しているとのこと
これは経済が好調なのと 国防意識が高いからとのこと また小さな国であり構造が見えやすいから もっと作物は少ないので外国から輸入はしていますが  

スイスは経済的にもとても恵まれており 人件費もヨーロッパ一高く そのため価格の高いものでも購入でき それがスイスの国の経済の循環を支えている 
反対に 国境を越えてすぐのフランス等に買い物に行く人も多く(安いし営業時間が長い) 生協がスイス国産にこだわるのは もし生協が他国の安いものに飛びつけば スイスの生産者がつぶれてしまうことを 生協も組合員もそして国もよくわかっているのですね

なので 経済があまり好調でない国からすれば これは理想の姿だなぁ...と感じました
昔チューリッヒにひとり旅をした時 あまりの物価の高さにビックリしたことを思い出しました 
スイスでは貧困層は少なく 首切りもないし 取引先に公正な契約をすることが義務付けられており 買い叩きもないそうです 「クオリティ・オブ・ライフ」という ルールを敷いて 自分も労働者であり また同時にサービス利用者でもあるという意識が高く そのため営業時間の制限も厳しく守る(日曜は休みなど)のだそうです...( ゚Д゚)ハァ溜息...

それと イタリアではいくつかの巨大コープに加えて GAS(協同購入グループ)などの小規模な協同購入グループが細々と運営されていますが スイスは主に2つの巨大生協がシェアしているようですね ただ今は少しですが 農家の直売形式をネットで展開しているそうですが伸びる余地は少ないそうです

またスイスの生協が始まった70年代の頃は 移動販売車が主だったそうですが 2000年頃にすたれてしまい だんだんと店舗に変わっていったのだそうです
そしてまた 両生協では宅配事業(ネットスーパー)にも力を入れ 山間部でも翌日配達してくれますがコストは高いとのこと (宅配のページもHPで確認しました)

コンビニサイズの小さな個人商店(日用雑貨や基本的な食品)もあり これらは主に移民が経営し 日曜も営業 夜は9時くらいまで ←日本のような24時間営業はありません~ 

それでも 2005年から進出した アルディ(ALDI)や 2009年に進出したリドル(Lidl)などのドイツのディスカウントストアに押されてきており さらに国境を越えての買い物同様 これからどのようになってゆくのかな と思います (ドイツでは"Geiz ist Geil"という「ケチはすごい」というディスカウントストアのスローガンが定着しているのです) コープ・スイスは国外をめざし ミグロは食品・健康分野での存在感を増そうとしているとのこと

今回は行く前に ネットでスイスの2大生協について 店舗等についてざっと調べましたが 当日は貴重な資料もどっさりいただき イタリアやイギリス等 欧州各国の生協についての貴重なリポート集もいただき ほくほくで帰ってきました♪ 

← たくさん資料をいただきました♪

外国の生協について色々知りたい私であります(^O^)/

開催のお知らせは こちら

   *        *        *

研究会の元となった資料「生協総研レポートNo.84 ミグロとコープ・スイス -スイスの二大生協比較」は こちら

内容のピックアップ:

コープ・スイスは伝統的生協として 1890年に生まれたU.S.C.(Union suisse del sociétés de consommation)が 1969年にコープ・スイス(Coop Suisse)となり 2001年には完全に統合して単一生協となっています
 
一方ミグロ(Migros)は 1925年に 「スイスで一番攻撃された人」といわれる創設者ゴットリープ・ドッドワイラー(Gottlieb Duttweiler)が 1925年に「ミグロ(株)」を資本を出して設立し(フランス語の半卸売(mi-gros)から名付けられた) 1941年に生協に転換し 個人的信念から一切の酒類を置かず ナチとの妥協を一切拒んだそうです
(株式会社から協同組合への転換は歴史的にほとんど前例がないとのこと その点で19世紀の伝統的生協とは全く異なります)

ミグロは1970年代に日本では「似非協同組合」と紹介されたのことですが(ワンマン経営) 1980年には世界で最も成功した協同組合のひとつ(ICA/国際協同組合同盟)とも言われる転換点を迎えています  (1980年代には欧州の多くの生協が深刻な危機に見舞われました)
ドイツにも進出してきているとのこと

二つとも圧倒的に国民の信頼を得ており満足度も高く 「あなたはミグロの子?コープの子?」という質問もされることがあるとのこと 
価格は安くはないが もし安く調達し 安い人件費で雇用すれば ただちに国内農業従事者と農業生産の減少を招き 失業者の増加 国民所得(世界最高水準)の低下 という負の連鎖を招くと国民も承知しているのだそうです

さらに 「海外の生協2016 - 世界的な環境変化のなかでの歩み - 」(2016.8 Vol.487)も読んでいます♪

素晴らしい公開講演会を開催してくださいました(公財)生協総合研究所様に 心よりお礼申し上げます

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外出自粛で宅配サービス大忙し 東都生協「注文多過ぎて異常事態です」(2020.4.20)@東都生協のニュース

2020年04月20日 | 東都生協関連・海外の生協
外出自粛で宅配サービス大忙し 東都生協「注文多過ぎて異常事態です」(2020.4.20)@東都生協のニュース


毎日新聞の夕刊(2020.4.20)に 東都生協の記事が載っていました!!
確かにここ数週間 私の生協の注文数はドーン!!! と コロナの状況悪化と比例して増えているのです~(;´∀`)

記事: 食品や日用品を組合員に届ける東都生活協同組合(東京都世田谷区)商品部部長補佐のYさんは「綱渡りの運営だが 必要な人に必要なものが届くよう最善を尽くす」と話す

加入希望者も殺到していて 4月7日に緊急事態宣言が出る直前は電話が鳴りっぱなし
ウェブでの問合せも土日(4、5日)だけで400件ありました
約7000世帯に配達している世田谷センターだけでも配達先が一気に500世帯ほど増えました

東日本大震災や台風 大雪で運べないなど これまでもいろいろな苦境がありました
しかし今回はいつ終息するのか先が見えない リモート出勤するわけにもいかない中
総出でやっても人が足りず 一人の職員も欠けるわけにはいかない 
緊張で落ち着かない日々です

また組合員に案内を出し 玄関先などに商品を「箱置き」するなど 非接触を前提とした配達に切り替えることを4月10日からお願いしています (略)


    *    *    *

いやありがたい... スーパーに行く回数が減らせるし なにより安全だし
でもその分 生協の方々は大変なのですよね... 

3.11の時も お米が出回らない中 ちゃんと「登録米」が届きましたっけ...
ちなみに「岩手ひとめぼれ 天日干し 棒がけ」です 
こちらの生産者の方が 自分が元気なうちは頑張って作り続けるとおっしゃってくださっているそうです

こないだの配送の時は 職員の方と接触せずに 離れての受け渡し~ ということで
双方戸惑いながらでした(笑)
量も増えたので時間が遅くなったり 電話も通じにくくなっているそうです

また 野菜等は裸売りではなく ちゃんとビニールに入っていますので安心ですね!
(ちなみに そのビニールから さらに全く安心な新しい別の袋に入れ替えてから冷蔵庫にしまいます) ←慣れないと大変...


スーパーには買い物に慣れた人がひとりで行き なるべく短時間で済ませ 家族全員で行くのは感染のリスクが高まるので今はやめた方がよいです 
裸売りの野菜などをあれこれ触らずに 目で選ぶそうです 

参考: ビデオ「感染予防方法 買い物編」(アメリカ人医師による)は こちら

まとめは こちら 

あとついでに 「医師が記したコロナ予防法“敵は塗りたてのペンキ”」は こちら

外から帰ったら かばんは部屋には持ち込まず玄関に置く、上着も玄関に置く
服も玄関で下着以外脱いでしまい そのまま洗面所に直行して洗濯機につっこむ
そのままお風呂に直行してシャワーを浴びて髪の毛の“ペンキ”も落とす等...

自粛にもかかわらず今出歩いていると あとで心底後悔することになるのではと危惧しています...

外出自粛で宅配サービス大忙し 東都生協「注文多過ぎて異常事態です」』の記事は こちら

* 写真は 春のランチ会 あぁ~最後の外食になってしもた~(涙)

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「イタリアで設立が進むコミュニティコープ訪問報告&海外の生協2016」を読みました@生協総合研究所「生活協同組合研究」

2020年01月15日 | 東都生協関連・海外の生協
「イタリアで設立が進むコミュニティコープ訪問報告&海外の生協2016」を読みました@生協総合研究所「生活協同組合研究」



公益財団法人 生協総合研究所(CCIJ)主催の公開研究会「スイスの二大生協の歴史と現況 ミグロとコープ・スイスを比較しつつ」の配布資料「生活協同組合研究 (2016.8 Vol.487)」の特集記事「海外の生協2016 世界的な環境変化のなかでの歩み」の中で 「イタリアで設立が進むコミュニティコープ訪問報告」という記事を興味深く読みました:

コミュニティコープは 欧州をはじめとした世界各地で増え続けている 地域社会と密着した事業活動を行う協同組合のことです
とりわけ 公的サービスが行き届かない小規模自治体で設立が増えており 「くらし」にかかわるニーズに応えて住民の満足度を高めることが目的とのこと

なのでこのリポートでは 南イタリアのプーリア州(かかとの部分)のレッチェ(Lecce)とバーリ(Bali)の 二つの村のコミュニティコープが紹介されていました

これらは レガ・コープ(Lega Coop)によって支援されています 
イタリアには協同組合の中央会が5つありますが(コンフコープ レガ・コープ AGCI UNCI Uni.coop)2017年1月に一つに合併し ACI(Alleanza Cooperative Italiane/イタリア協同組合同盟)を設立したとのこと


さてプーリア州バーリとは かのアルベロベッロで有名な街ですね
コムーネ(comune)は基礎自治体で8000以上ありますが そのうち7割が人口5000人未満なのです ← というわけで"Il borgo più bello d'Italia"という「イタリアの美しい村コンテスト」が盛んなのですね♡

2008年のリーマンショック 2010年の経済危機で 小規模自治体は様々な公共サービスが閉鎖・中止されたりしている中にあって 福祉 交通 エネルギー 地産地消 観光 飲料水 教育などのサービスを 地域のニーズに合わせて提供し 組合員以外の非組合員である地域社会の構成員にもサービスが利用できるのだそうです

またイギリス・ウェールズでも 子育て支援や地域のレクリエーション活動 コミュニティセンターを運営等のケースがあるそうです
 
さてプーリア州レッチェ県 メルピニャーノ(Melpignano)村(人口2300人のコムーネ)に2011年に設立されたコミュニティコープの事業とは...?

太陽光発電パネル
を組合員の自宅の屋根に設置することだそうです! ソーラーパネルの地面設置には除草剤を撒くことになるため 屋根に設置することを初めて決めたのが 有志住民たちが作った「メルピニャーノコープ(comunità cooperativa Melpignano)」とのこと 
ここの村長さんは 「イタリアの真の村の協会」(Borghi Autentici d'Italia)の会長でもあります

2014年にプーリア州でコミュニティコープに関する州法が制定されたそうで 州法はアブルッツォやリグーリア州など 他の州にも広がっています 

この報告にある2016年4月現在でのコミュニティコープは イタリア全土で40 1500人の組合員がいるとのこと レガコープのコープフォンド(協同組合基金)の助成を受けています

2013年からは継の環境保護のための水販売事業「水の家プロジェクト(Casa dell'acqua)」が始まりました 
村の中心地に水の販売機が作られ ペットボトル消費を抑えるだけでなく 運搬のCO2も減らし 村人たちの出会いの場ともなり いつしかカップルまで誕生し...♡ ← これがイタリアらしさ!

次に プーリア州バーリ県 アルベロベッロにあるフェイバーシティコープは 2015年に設立され 30代の若者が中心となって 児童の学習サポート 交通手段の改善を行政に要請したり 村の伝統工芸の振興策なども行っています 

まとめには 1970年代に経済危機に見舞われ 公共サービスが行き届かなかった時にも 協同組合が福祉サービスを提供し これが1991年に法制化された社会的協同組合の前身となったとあります

さらにこの「イタリアの社会的協同組合」という本も見つけました♪


   *       *      *


この冊子の特集記事「海外の生協2016」にあった それ以外の国での協同組合の紹介記事をざっと:

欧州6ヵ国
生協の経営状況(イギリス フィンランド スゥエーデン デンマーク スイス スペイン) については 欧州での売り上げベスト10に生協は入っていないが ベスト50にはミグロ コープ・スイス コープ・イタリア コーペラティブ・グループ(CG)5生協(連合会)が名を連ねています

欧州の生協は概してシェアが高く 国外展開するのはフィンランドとスイスのみですが 国内市場で高いシェアを持ち成長の余地がないため 周辺国に進出しているのですね

イギリスのコーペラティブ・グループ(CG)は 2008年にスーパーマーケットチェーンの買収に失敗し 倒産の危機から再建へと 生協内で7割近いシェアを持ちます

スペインのエロスキ(Eroski)生協もやはり2007にチェーンの買収に失敗 2013年に倒産の危機 「Contigo(あなたとともに)」と名付けた生鮮強化の新コンセプトで再建

スゥエーデン生協連(KF)は組織再編 2013年に「コープ・スウェーデン(Coop Sweden)」と再編し 2015年に黒字化...と 事業売却など 事業構造の変化が進んでいます コープのシェアは20.5%ですが ディスカウントストアが急成長 

フィンランドは シェア42%の生協(Sグループ)と 30%のケスコの二者寡占状態ですが リドルがシェアを上げているとのこと

デンマークは 「コープ・デンマーク」が31%とトップだが2位の「ダンスク・スーパーマーケット」と激しく拮抗 
デンマークのコペンハーゲンのCoopのリポート記事をネットで探して読むと カタログもなく 野菜は選べず配給所まで取りに行く 月3時間の労働もあり組合員参加型とのこと すごいですね!

スイスの生協については レポート「スイスの二大生協の歴史と現況 ミグロとコープ・スイスを比較しつつ」を参照 


次の特集記事「ユニークな経営で成功を収める イギリスの労働者協同組合」ですが ユニコーン(Unicorn Grocery Workers'Co-operative)という イギリスでもっとも成功している労働者協同組合の一つを紹介していました

ベジタリアン向けのホールフードを開始し 原則オーガニック 非GMO 
地域コミュニティと協同し さびれた地域にできたが ユニコーンが成功してから環境がよくなったそうです

また面白いのは職員(組合員は職員であり同時にそれぞれ経営者)は3~4種類の複数の仕事をかけもちし 日によって違う仕事をし(マルチ・スキリング) 時給もよいが その時給も組合員自身で決め 賃金は全員同一とのこと


大変興味深い内容でした 日本の 自分の入っている生協と色々比べてみてみました♪

公益財団法人 生協総合研究所は こちら
他にも色々な発行物があり さまざまな活動をしています 

(2016.8)

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イタリアの生協について知ろう!ACI コミュニティコープ GAS 社会的協同組合 イタリアの生協の特徴等-後半

2019年02月23日 | 東都生協関連・海外の生協

イタリアの生協について知ろう!ACI コミュニティコープ GAS 社会的協同組合 イタリアの生協の特徴等-後半



前半は こちら

以下は 後半です:

6. コミュニティコープ(地域社会と密着した 小さな生協)


コミュニティコープ
(la Cooperativa della Comunità)は 欧州をはじめとした世界各地で増え続けている 地域社会と密着した事業活動を行う協同組合のことです
とりわけ公的サービスが行き届かない小規模自治体で 設立が増えており 「くらし」にかかわるニーズに応えて 住民の満足度を高めることが目的とのこと
リポートでは 南イタリアのプーリア州(かかとの部分)のレッチェ(Lecce)と バーリ(Bali)の2つの村のコミュニティコープが紹介され これらはレガ・コープ(Lega Coop)によって支援されています

プーリア州バーリは アルベロベッロで有名な街で コムーネ(comune)は基礎自治体で8,000以上ありますが そのうち7割が人口5,000人未満です

2008年のリーマンショック 2010年の経済危機で 小規模自治体はさまざまな公共サービスが閉鎖・中止される中にあって 福祉 交通 エネルギー 地産地消 観光 飲料水 教育などのサービスを 地域のニーズに合わせて提供し 組合員以外の非組合員である地域社会の構成員にもサービスが利用できるのだそうです

プーリア州レッチェ(Lecce)県 メルピニャーノ(Melpignano)村(人口2,300人のコムーネ)に 2011年に設立されたコミュニティコープの事業とは 太陽光発電パネルを組合員の自宅の屋根に設置することだそうです
ソーラーパネルの地面設置には 除草剤をまくため 屋根に設置することを初めて決めたのが 有志住民たちが作った「メルピニャーノコープ(comunità cooperativa Melpignano)」 

この村長さんは 「イタリアの真の村の協会(Borghi autentici d'Italia)の会長でもあります

2014年にプーリア州でコミュニティコープに関する州法が制定され 州法はアブルッツォ州やリグーリア州など 他の州にも広がっています

この報告にある 2016年4月現在でのコミュニティコープは イタリア全土で40あり 1,500人の組合員がいるとのこと
レーガ・コープのコープフォンド(協同組合基金)の助成を受けています

2013年からは 村の環境保護のための水販売事業「水の家プロジェクト(Casa dell'acuqua)」が始まりました
村の中心地に水の販売機が作られ ペットボトル消費を抑えるだけでなく 運搬のCO2も減らし 村人たちの出会いの場ともなり いつしかカップルが...💛 これがイタリアらしさ!

プーリア州バーリ県 アルベロベッロにあるファイバーシティコープ(Faber city)は2015年に設立され 30代の若者が中心となり児童の学習サポート 交通手段の改善を行政に要請し 村の伝統工芸の振興策なども行っています

まとめには 1970年代に経済危機に見舞われ 公共サービスが行き届かなかった時にも 協同組合が福祉サービスを提供し これが1991年に法制化された社会的協同組合(8.参照)の前身となった とあります
 (「イタリアで設立がすすむコミュニティコープ訪問報告&海外の生協 2016」(2016.8)@生協総合研究所「生活協同組合研究」より)

7. GAS(団結した購買者の連帯グループ)

1994年頃に始まった GAS(Gruppo di acuisto solidale/共同購入グループ)は 「公正、連帯、サスティナブル(equità, solidarietà e sostenibilità)」の原則により 生産者から直接 共同購入をするものです

20人くらいの都市住民の小規模なグループで まとめ役が注文を合計したり 全量引き取り 作業への参加 メンバーが注文品引き取りに行くなどして 安心で品質のよいものが市価より安く買えるので増えているそうです

まるで日本の生協の成り立ちを見ているかのようですね
Coop(生協)とは異なるものですが このGASは 日本が起源と聞いて さらに驚きました!

日本有機農業研究会」による「生産者と消費者の提携」が その起源とのこと
(イタリア文化講座「「サステイナブルなイタリア - 持続可能なイタリアの食と生産の現在 -」を聞きに行ってきました(2017.1.21)@星美学園短期大学日伊総合研究所」より(講師: 学習院女子大学非常勤講師 中野美季先生)


GASは日本でいう「産消連携による農産物購入グループ」のことで レッジョ・エミーリア市にある「レ・ジャーレ」というGASは 生協の班のように配送ポイント(ガレージなど)に置かれた通い箱(ビオケース/cassetta)から小分けにしていますが 何が入っているかを問わないとのことで 「責任購買」というそうです
(「食農分野で躍動する日欧の社会的企業 -イタリア発地域の福祉は協同の力で」2016年7月発行より)

  ← GASの通い箱


8. 社会的協同組合(Cooperativa sociale)


1854年にトリノで初めての協同組合が設立されました
また日本の生協法と イタリアのそれとの違いで一番大きいのは イタリアには生協に特化した法律はなく 「憲法に協同組合の社会的役割が規定されている」ことでしょう
(「生協総研レポートNo.76 イタリアの生協の現状について Ⅱ イタリアの生協の現状について」(2014年11月発行)@(財)生協総合研究所)

「人々による幸福の追求」という 広い意味での「福祉」をキーワードとして 協同組合がその実現のために どのような役割・機能を果たしうるのか ヨーロッパ(イタリア、フランス)と 日本の事例を通じて論じた中で 特に注目するのは 農業・農村に基礎をおいた社会的協同組合です

1991年
に「社会的協同組合法」が成立し 非営利性と その代償措置としての税制上の優遇措置が規定されました
社会的協同組合には2種類あり A型は 社会的ハンディキャップの人々を保護する労働者協同組合 
B型は 障がい者が組合員として労働参加する 労働者協同組合です (有給労働者の30%が障がい者)

レッジョ・エミーリアにある「ストラデッロ(lo stradello)」(小道という意味)という社会的協同組合は A+B型で 農業 直売 貸農園 太陽光発電 デイサービスや 自治体からのさまざまな受託事業を行っています

レッジョ・エミーリアの「ベットリーノ(Bettolino)」という社会的協同組合はB型で 協同組合原則は CSR(企業の社会的責任)そのもの あるいはCSRは協同組合原則から生まれてきたと理解されています
ごみ処理や その熱でハーブや花を育て ごみの減量に取り組んでいます (ここのサイトのビデオを見ました 農業 花の栽培などとてもわかりやすいです)

「バレ・ディ・カバリエーリ(cooperativa valle dei cavalieri)」(騎士団の谷という意味)という社会的協同組合では B型の条件をぎりぎりクリアしており (7名の従業員) 地域おこしや レストラン等 さまざまな活動を担っています

次は 農業協同組合と 社会的協同組合の複合体 SCA(農業の社会的協同組合)が紹介され レッジョ・エミーリアの「ラ・ルチェルナ(Cooperativa La Lucerna)」(オイルランプの意味)では GAS(団結した購買者の連帯グループ)と取引しています

ちなみに 日本の有機農産物の生産者1%以下にとどまっているのに対し イタリアでは5~6%に達しているとのこと (「食農分野で躍動する日欧の社会的企業 - イタリア発地域の福祉は協同の力で」)


日本の取り組み

日本のソーシャルファーム(社会的企業 あるいは社会的農場)が 「農福連携」として 農業の新しい価値を見出した動きとして紹介されています
ソーシャルファームジャパン(農協と労協の連携) 福祉専門の福祉クラブ生協 食事サービスワーコレ(ワーカーズコレクティブ) 社会的農場に取り組む日本の生協等があります
 (「食農分野で躍動する日欧の社会的企業 - イタリア発地域の福祉は協同の力で」)


9. イタリアの生協の特徴 組合員アンケートより


「ただ参加するだけの組合員は 組合員活動を制御する力を持たないし 会計を読み取ることもできない」
「組合員は 主人公でなければならないし 意思決定に関与せねばならない」とあります
(「イタリアの協同組合」(緑風出版発行)第六章 ガバナンス/"大きくなる"戦略)


1975年に 経済悪化のために多くの生協が危機に陥った中 フィレンツェ生協が独自の改革で 危機を脱したこと
また1986年に ANCC傘下の8大生協の「ハイパー設立のためのコンソーシアム」が結成されたこと
Iper Coop」ロゴの共有など...
さらに驚いたのは 「日本の生協が イタリアの生協の発展に 少なからぬ影響を与えた」こと 姉妹提携の話など
(「生協総研レポート No.76 イタリアの生協の現状について」 Ⅰ イタリアの生協、その苦難の歴史 (2014年11月発行) (財)生協総合研究所発行

また 1955年にやはりローマで設立された イタリア生協連(ANCC/Associazione Nazionale Cooperative di Consumatori)の傘下には コープイタリア(Coop Italia)というコンソーシアム(事業連合組織) INRES(Istituto Nazionale Consulenza, Progettazione, Ingegneria) *
そしてなんと生協学校(Scuola Coop)まであるのです  これも驚きでした 
若手職員の育成 生協コンテストなど...

この中の「日本の生協との比較」の数字は 興味深く イタリアの方が小規模で 組合員も日本よりは少ないようです

また 生協のガバナンスでは フィレンツェ生協が例外として紹介されており 経営陣の代表で作られる経営委員会のメンバーを
組合員の代表で作られる監視委員会が任命する とあります

ウニコープ・フィレンツェ(Unicoop Firenze)の 組合員集会の写真を見ると男性が多く 日本の生協の組合員はほとんどが女性ですがイタリアでは男女半々 しかも年齢も若めです (東都生協組合員の平均年齢は61才/2017年時点)

また イタリアの生協は南部には少ないのですが これは 不況の影響が深刻な南部には もともと生協の店舗が少なかったため 経営悪化を免れた面があるのです

シチリアが例外と別の本にはありますが これは個人組合員がいないのだそうです
生協の店舗にはガソリンスタンドや 図書館まで併設されている写真もあり プライベートブランド(PB)もあります
「安全 おいしい 便利 倫理的 環境」の 5つの価値にもとづいて開発された商品で ターゲットはミドル階級とのこと
価格について特筆すべきは 「便利な価格とは 最低限の価格ではなく 商品の品質と安全性 倫理性 環境の持続可能性がバランスよく組み合わされた合理的な価格のこと」です

コープイタリアのTVコマーシャルでは 生協の組合員さんにインタビューをして 「低価格と品質と どちらを選ぶ?」と聞くと 「品質」と答えるとのこと

「自宅の水」キャンペーンでは ミネラルウォーターの水を瓶詰して輸送することの環境負荷を知らせていますし 
学校での消費者教育活動Sapere Coop: 生協提供の知識」活動は 9大生協により 30年間も続いているのだそうです
(「生協総研レポートNo.76 イタリアの生協の現状について Ⅱ イタリアの生協の現状について」(2014年11月発行)@(財)生協総合研究所

イタリア生協ウニコープ(Unicoop)の 組合員アンケートより:

回収率は39%で 特に利用高の高い層とのことですが ウニコープで買う人が99% コープをベースに買う人が65%
ただし加入歴は6~15年前後の若い人が多く 日本では半数が20年以上加入している人との記述に納得!!
また 生協に求めるものの日伊比較もなかなかに興味深いです (回収率が低いので その点割り引いて考えないといけないですが)
(「生協総研レポート No.76 イタリアの生協の現状について Ⅲ ウニコープ・フィレンツェの組合員調査にみるイタリア生協の組合員」(2014年11月発行)@(財)生協総合研究所


エミリア・ロマーニャ州のコープ・アドリアティカ生協(Coop Adriatica )では CSR(企業の社会的責任)にかかわる活動を2002年から続けており 「持続可能性」が追記されたそうです

ミッションとしては消費者教育 従業員の労働と業績の評価 組合員への商品とサービスの提供 透明性と公平性に基づいた事業活動 持続可能性 地域の社会的経済の発展への寄与等...
(「生活協同組合研究」2015年4月発行 Vol.471 「コープアドリアティカの社会的活動報告書」)

10. その他 イタリアならではの特色

エミリア・ロマーニャ州は 協同組合の首都といわれ 左翼系のレーガ・コープの中心地です
(「食農分野で躍動する日欧の社会的企業」)

イタリアならではの マフィアから没収した南イタリアの土地を使い 農業を営む社会的協同組合「リベラ・テッラ(Consorzio Libera Terra)」の支援活動や
高齢者や障がい者生活支援など イタリアのCoopは 実に意欲的に有機的に活動しているのですね
(「イタリアの生協の現状について」(生協総研レポート No.76)

11. 参考記事・リポート・書籍

・「イタリアの協同組合」(緑風出版)は こちら(トレント県の協同組合経済史センター研究員のアルベルト・イァーネス氏 翻訳者は佐藤鉱毅氏)

・「食農分野で躍動する日欧の社会的企業 - イタリア発 地域の福祉は協同の力で」(経日Book)は こちら
(日本協同組合学会長の石田正昭著)

・「イタリアの社会的協同組合」(小磯明著、同時代社)は こちら

・「生協総研レポート No.76 イタリアの生協の現状について」(2014年11月発行)は こちら

・「イタリアで設立が進むコミュニティコープ訪問報告&海外の生協2016」(2016.8) 生協総合研究所(CCIJ)発行 「生活協同組合研究」

・ 「生活協同組合研究」 (2016.8 vol.487)の特集記事「海外の生協2016 世界的な環境変化のなかでの歩み」の「イタリアで設立がすすむコミュニティコープ訪問報告」

イタリア文化講座「イタリア文化講座「サステイナブルなイタリア - 持続可能なイタリアの食と生産の現在 -」を聞きに行ってきました(2017.1.21)@星美学園短期大学日伊総合研究所」は こちら

・ 公開講演会「スイスの二大生協の歴史と現況 ミグロとコープ・スイスを比較しつつ」に行ってきました(2017.9.12)@生協総研は こちら

・「未来のスーパーマーケット コープイタリア事例」(ミラノ万博)は こちら (映像です 音が出ます)


イタリアブックフェアで買った本 生協総研で買った本 参加したセミナー等をまとめてこのレジュメを作りました (データ等は変わる場合があります) もし細かい間違い等がありましたら大変申し訳ありません

私にはなかなか難しいテーマではありましたが 日本の生協がイタリアの生協に影響を与えてきたこと イタリアの生協の歴史や特徴がわかって 本当に勉強してきてよかったです

自分はどんな組合員であったらよいのだろうかと 考えるきっかけともなりました 

この記事を作るきっかけをくださいました 中野美季先生に 心よりお礼申し上げます

* 写真は GASの通い箱(cassetta) 

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イタリアの生協について知ろう!ACI コミュニティコープ GAS 社会的協同組合 イタリアの生協の特徴等-前半

2019年02月18日 | 東都生協関連・海外の生協

イタリアの生協について知ろう!ACI コミュニティコープ GAS 社会的協同組合 イタリアの生協の特徴等-前半



イタリアの生協ってどんなだろう? そんな興味を持ったきっかけは イタリア文化講座「サステイナブルなイタリア - 持続可能なイタリアの食と生産の現在 -」というセミナーで GAS(団結した購買者の連帯グループ)のことを初めて知ったことでした 
まるで日本の生協の成り立ちを見ているかのようなそんなGASの姿を知り 30年前の自分が生協に入った頃を思い出しました

そして 地域社会と密着したコミュニティコープ 福祉の面を持つ社会的協同組合 協同組合・生協の歴史 ヨーロッパ各国の生協 coop対スーパーマーケット... 興味はつきず 1年半くらいかけて 
本を読んだりセミナーに出たりして勉強し この「イタリアの生協について知ろう!」という記事をようやくまとめました

イタリアの生協ってどんなのがあるの? 2017年に合併してできたACI(イタリア協同組合同盟) 地域社会と密着したコミュニティコープ GAS(団結した購買者の連帯グループ)等
日本の生協がイタリアの生協の発展にも影響を与えてきたのです

イタリアの生協について 外国の生協について知ってみませんか?


        *        *        *

もくじ

1. 協同組合のデータ
2. イタリアの協同組合
3. 2017年に合併したACI(イタリア協同組合連盟)
4. 生協vs企業
5. 生協vsスーパーマーケット 各国では

 - 後半 -
6.コミュニティコープ(地域社会と密着した小さな生協)
7.GAS(団結した購買者の連帯グループ)
8.社会的協同組合 日本の取り組み
9. イタリアの生協の特徴 組合員アンケートより
10. その他 イタリアならではの特色
11. 参考記事・書籍


1. 協同組合のデータ


世界のデータ: 国際協同組合連盟(ICA/International Co-operative Alliance)は 91ヶ国で8億人を巻きこみ 242組織を結集しています (「イタリアの共同組合」はじめに/2014年4月発行)

産業革命から始まるヨーロッパでの協同組合誕生の歴史: オウェンと初期社会主義に続き「ロッチデイル公正先駆者」*(イギリス)では 
子どもが買いに行ってもごまかされない(当時としては珍しい)公正な協同組合店舗ができました
割戻金もここから生まれた制度です 
* 協同組合運動の先駆的存在となった生活協同組合 1844年に設立

フランスでは生産・労働共同組合が「社会作業所」を作り ドイツでは「庶民銀行(Volksbank)が誕生し 信用協同組合に発達してゆきました (「イタリアの協同組合」第3章 ヨーロッパにおける起源)

* 協同組合はユネスコの無形文化遺産にも登録されています
 詳しくは 『協同組合』がユネスコの無形文化遺産に登録されました(2016.11.30)&「協同組合ってなに?ユネスコ無形文化遺産登録から考える」に参加しました(2017.6.9)@東都生協

『協同組合とは、人々が自分たちの願いを実現するため生み出したしくみ・知恵。 
7つの協同組合原則が定められており、ユネスコの「無形文化遺産」にも登録されています。
協同組合がある国や地域は94ヶ国以上、組合員は世界全体で10億人を超えます。
日本には全国で約560の生協があり、2,820万人の組合員が加入し、事業高は約3.4兆円の規模があります。』
  (生協と社会論 第1回講義概要「現代社会と協同」@公益財団法人 生協総合研究所)


2. イタリアの協同組合

2011年にはイタリアには79,949件の協同組合が存在し 131万人が働き(2007年に比べて8%増加) 2008年の経済危機にも関わらず雇用が安定しています (「イタリアの共同組合」巻末資料)

組合員数約840万人、イタリア国内に約1,200店舗を展開し、市場規模も事業高訳130憶ユーロ(約1,6兆円/2015年度)で、イタリア国内の小売業で第1位、約19%のマーケットシェアを誇ります (コープイタリアのHP)

日本の生協は宅配が主軸ですが 欧州の生協は店舗スタイルがメイン
欧州では組合員でなくとも利用できる イタリアは生活に密着する存在として 生協の認知度が高い
組合員が経営に積極的に関わり 生協が市民生活に浸透し 認知されているとのこと
(「海外の協同組合。組合員たちの働き方にヒントあり」アグリビジネス最前線

イタリアには5つの* 協同組合ナショナルセンターがあり うち「レーガコープ/Legacoop(共同組合・教唆組合全国連盟)」(赤い協同組合/左翼系)  
「コンフコーペラティーヴェ
/Confcooperative(イタリア協同組合総連合)」(白い協同組合/カトリック系)が 二極として存在していました

イタリアでは(中小企業がほとんど)協同組合の平均規模は イタリアの一般企業の平均規模よりも大きいです
 (「イタリアの協同組合」はじめに)
* 5つの協同組合の中央会: コンフコープ レガ・コープ AGCI UNCi Uni.coop

イタリアの協同組合は サルデーニャ王国の首都トリノで1854年に生まれた「労働者一般協会」が 
消費協同組合を誕生させたのが その始まりです(イタリア統一は1861年)
1886年には「協同組合全国連合」が成立し 社会党の影響が強く 一方ではカトリック運動も独自に協同組合組織を作ります

北イタリアに多く(ヴェネト、エミリア・ロマーニャ、シチリア、ロンバルディア、ピエモンテの順) 南イタリアには(シチリアを除いて)わずかです
文化的・市民的基盤が協同組合の定着のためには必要とのこと

第一次大戦・ファシズム時代は 暗黒の時代であり 協同組合はファシズムの影響も受けました
第二次大戦後に統一が試みられるも失敗し めまぐるしい分裂の動きがあり ナショナルセンターが設立されてゆきます
業種別ではサービス業(第三次産業)が突出しています (「イタリアの共同組合」第四章 イタリアにおける協同組合)

イタリア発の1854年にトリノに生まれた生協は 当時問題を抱える人々に お金を出し合って支えてゆく SOMS(緊急相互扶助協会/Società mutuo soccorso)運動から始まりました
今もこのSOMSの施設は 中北部に存在しているそうです

ファシズムの暗黒時代を経て 大戦後の1947年に 最初の協同組合法となった「バゼーヴィ法 “ legge Basevi”」が制定され 
さらに1991年には 「社会的協同組合法」が成立しました
(「生協総研レポートNo.76 イタリアの生協の現状について」 Ⅴ イタリアの共同組合史)

また イタリア共和国憲法第 45 条に 相互扶助の性格を有し私的投機を目的としない協同組合の重要性と役割が明記されました
 (「イタリア文化事典」の「協同組合」より)



3. 2017年に合併したACI (イタリア協同組合連盟)

イタリアの国旗と同じく「緑」(マッツィーニ*の考え方を反映した「共和主義的息吹」で 今は消え失せている) 
「赤」(左翼系の) 「白」(カトリック系の)の協同組合のそれぞれの立場や 統一の試みが紹介されています 
(「イタリアの協同組合」第七章 協同組合と政治)
*イタリア統一運動時代の政治家、革命家。カヴ―ル、ガリバルディと並ぶ「イタリア統一の三傑」の一人

2014年現在イタリアには8万以上の協同組合があり うち4.3万がレーガ・コープ(Legacoop) コンフ・コープ(Confcooperative)
AGCI(Associazione Generale Cooperative Italiane)に属しており その合計事業高はGDPの8%に達するといいます

2011年にこの3者によりローマにイタリア協同組合連盟(ACI/Alleanza delle cooperative Italiane)が結成され
 組織の統合は2017年1月になされました
 (「生協総研レポート No.76 イタリアの生協の現状について Ⅱ イタリアの生協の現状について」(2014年11月発行) (財)生協総合研究所発行)

4. 生協 vs 企業

『2008年の金融危機のあと 「最大限に利潤をあげる企業こそが最も理想的な企業だ」という考えそのものを問題にしてゆく必要があり 
協同組合のように「利潤目的の所有構造とは異なる所有構造を備える企業」が 経済危機の影響に対抗する機能を果たしたこと 所得の公正な再配分 
および経済の復調に大きな役割を果たしたことは もっと認知される必要がある』
(「イタリアの協同組合」(緑風出版)序文より)


『イタリアの日刊紙「Corriere della Sera」経済担当記者D.ヴィーコ著『小さきもの 憤る人々(Piccoli, La Pancia del Paese) 」には 
「大銀行の経営者たちが貸し渋りを始めた景気後退時に 小規模信用協同組合銀行の経営者たちは 景気促進をはかる働きをした点で賞賛されるべき」とあります
経済危機の中で 協同組合は生き残った数少ない支柱のひとつだと 
(「イタリアの協同組合」はじめに)

信用 消費(生協のこと) 農業 労働 社会協同組合など 営利ではなく相互扶助目的によって作られたさまざまな協同組合は 自由かつ自発的な加入 組合員による民主的管理
 経済的参加 自治と自立 教育・訓練・情報 協同組合間協同その他を原則としています

営利企業との比較: 出資金を拠出する組合員が 営利会社の株主に替わります
いかなる協同組合にも 最大限の利潤追求を究極的目的としない(してはならない) 利潤は目的ではなく 自らの資本形成を強化するためのもの という違い
* 例: トレント県の過疎の山岳地帯での店舗の半数が 消費協同組合のものであり 営利企業が進出を手控える地域で 人々の生活を支えている
(「イタリアの協同組合」第一章 協同組合企業とは何か、その可能性)


5. 生協 vs スーパーマーケット


各国では

イタリアの最初のスーパーマーケットは 1957年に ミラノにできた「エッセ・ルンガ(Esselunga)」の前身の 
「イタリア・スーパーマーケット」こことの熾烈な競争で 後手に回るも遅れを取り戻し 大規模化により協同組合の本質からそれてしまった
イタリア最大のスーパーマーケット・チェーン「エッセルンガ」経営者 ベルナルド・カプロッティのベストセラー『鎌とカート』の挑発的な内容が興味深いです
(「イタリアの協同組合」第四章 イタリアにおける協同組合)

イタリアのスーパーマーケット・ハイパーマーケット業界のシェアは 2013年で Coopが第1位の18.5% 大手スーパーチェーンのエッセルンガは 第3位の11%
  (「生協総研レポートNo.76 イタリアの生協の現状について」(2014年11月発行)

ヨーロッパ各国では

欧州6か国生協の経営状況(イギリス フィンランド スゥエーデン デンマーク スイス スペイン)については 欧州での売り上げベスト10に生協は入っていませんが
 ベスト50にはミグロ(スイス) コープ・スイス コープ・イタリア コーペラティブ・グループ(CG/イギリス)の 5大生協(連合会)が名を連ねています

欧州の生協は概してシェアが高く 国外展開するのはフィンランドとスイスのみですが 国内市場で高いシェアを持ち 成長の余地がないため 周辺国に進出しているのです

イギリスのコーぺラティブ・グループ(CG)は 2008年にスーパーマーケットチェーンの買収に失敗し 倒産の危機から再建へと 生協内で7割近いシェアを持ちます

スペインのエロスキ(Eroski)生協も 2007年にチェーンの買収に失敗 2013年に倒産の危機
「Contigo(あなたとともに)」と名付けた生鮮強化の新コンセプトで再建

スゥエーデン生協連(KF)は組織再編 2013年に「コープ・スゥエーデン(Coop Sweden)」と再編し 2015年に黒字化...
事業売却など事業構造の変化が進んでいます コープのシェアは20.5%ですが ディスカウントストアが急成長

フィンランドは シェア42%の生協(Sグループ)と 30%のケスコ(Kesko)の二者寡占状態ですが リドル(LiDL)がシェアを上げているとのこと


デンマークは「コープ・デンマーク(coop.dk)」が31%とトップですが 2位の「ダンスク・スーパーマーケット」と激しく拮抗
 (「生協協同組合研究 (2016.8 Vol.487)の特集記事「海外の生協2016 世界的な環境変化のなかでの歩み」)

デンマークのコペンハーゲンのCoopのリポート記事をネットで読むと カタログもなく 野菜は選べず配給所まで取りに行き 月3時間の労働もあり 組合員参加型とのこと!


スイスの生協について


  ← スイスのCOOP

スイスでは8人に1人が生協に加入 Migros(ミグロ)と コープ・スイス(Coop Suisse)の二大生協があります

ミグロは大型・中型店で チェーン展開 コープ・スイスは小型店が多く 地域ごとの生協の名残が残っています
ブランド好感度は ミグロが1位 コープ・スイスが3位

子どもがスーパーごっこで遊べる「ミニミグロ」は 「食育」にも通じており 高齢者対応「おばあちゃんの革命」やお食事会(タボラータ)等もあります
コープ・スイスは最近「昆虫食品」を売り出しました (肉にとって代わるたんぱく源として開発中)

生協の国民生活への貢献の最高度の実例がまさにスイスであり 消費者の圧倒的支持が事業の支えとなっています
プラスの循環が機能していますが 負の循環の引き金にもなりうとのこと
つまり もしコープがフランスやイタリアの安い牛乳を扱うと スイスの酪農はつぶれてしまうので コープも消費者も政府も「少々高くともスイスのものを扱い」 ちゃんと循環しています
好調な経済と高い国防意識があり 支持されているのですね

スイスは人件費もヨーロッパ一高く 価格の高いものでも購入できますが 国境を越えてすぐのフランス等に買いに行く人も多いのです
スイスでは貧困層は少なく 首切りもなく 取引先への公正な契約が義務づけられており 買い叩きもないとのこと
「クオリティ・オブ・ライフ」というルールを敷き 自分も労働者であり同時にサービス利用者でもあるという意識が高く 営業時間の制限も厳しく守ります

70年代の移動販売車から 2000年頃に店舗に変わりました 
今はアルディ(ALDI)や リドル(Lidl)などの ドイツのディスカウントストアに押されています
(「スイスの二大生協の歴史と現況 ミグロとコープ・スイスを比較しつつ」(2017.9.12)@生協総合研究所)

公開研究会「スイスの二大生協の歴史と現況 ミグロとコープ・スイスを比較しつつ@生協総合研究所
」)のリポートは こちら

イギリスでは

イギリスでは ユニコーン(Unicorn Grocery Workers'Co-operative)という イギリスで最も成功している労働者社会協同組合の一つを紹介しており ベジタリアン向けのホールフードを開始し 原則オーガニック 非GMO  地域コミュニティと協同しています

さびれた地域にできましたが ユニコーンが成功してから環境がよくなったそうです 
面白いのは 職員(組合員は職員であり 同時にそれぞれ経営者)は 3~4種類の複数の仕事をかけもちし 日によって違う仕事をし(マルチ・スキリング) 時給もよいが その時給も組合員自身で決め
 賃金は全員同一とのこと
(「イタリアで設立が進むコミュニティコープ訪問報告&海外の生協 2016」(2016.8)生協総合研究所「生活協同組合研究」の特集記事「ユニークな経営で成功を収める イギリスの労働者協同組合」)


後半へ つづく





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「イタリアの協同組合」(緑風出版)の本を2冊読みました@イタリアブックフェア2017で見つけた2冊の本♪

2018年06月13日 | 東都生協関連・海外の生協

「イタリアの協同組合」(緑風出版)の本を読みました@イタリアブックフェア2017で見つけた2冊の本♪



イタリアブックフェア2017で 当時ちょうど探していたテーマの本を2冊見つけました(^_-)-☆

サステイナブルなイタリア - 持続可能なイタリアの食と生産の現在 -」という星美学院のイタリア文化講座で イタリアの生協について色々な話を聞いてから興味を持ち始めた イタリアの共同組合...
その歴史等が書かれた本「イタリアの共同組合」(緑風出版発行)がそれです

本は こちら
 (アルベルト・イァーネス著、佐藤鉱毅訳)
 
この本は 2011年にイタリアで刊行された「Le cooperative」を加筆修正して2014年に発行された日本語版です 
著者は イタリアで協同組合が最も発達した県のひとつであるトレント県の協同組合経済史センター研究員のアルベルト・イァーネス氏 翻訳者は佐藤鉱毅氏です

序文にはこうあります:

2008年の金融危機のあと その解決策は新たな枠組みから発するのだと 最大限に利潤をあげる企業こそが最も理想的な企業だという考えそのものを問題にしてゆく必要があり 協同組合のように 利潤目的の所有構造とは異なる所有構造を備える企業が 経済危機の影響に対抗する機能を果たしたこと 所得の公正な再配分および経済の復調に大きな役割を果たしたことは もっと認知される必要がある

イタリアでは7万余協同組合が稼働し GDP7%以上を担い 1200万人組合員を結集し 約110万人雇用を生み出している  と…


はじめに


イタリアの日刊紙「Corriere della Sera」の経済担当記者D.ヴィーコの著作『小さきもの 憤る人々(Piccoli, La Pancia del Paese)』には 「大銀行の経営者たちが貸し渋りを始めた景気後退時に 小規模の信用協同組合銀行の経営者たちは景気促進をはかる働きをした点で賞賛されるべき」とあります 経済危機の中で協同組合企業は生き残った数少ない支柱のひとつであると

国際協同組合連盟(ICA/International Co-operative Alliance
)は91カ国8億人を巻き込み 242組織を結集している

イタリアには5つ協同組合ナショナルセンターが法的に認知され うち「レーガコープ/Legacoop(協同組合・共済組合全国連盟)」(赤い協同組合/左翼系の)が また「コンフコーペラティーヴェ/ Confcooperative(イタリア協同組合総連合)」(白い協同組合/カトリック系の)が 二強として存在している

また イタリアでは(中小企業がほとんどだが) 協同組合の平均規模はイタリアの一般企業の平均規模よりも大きい 



第一章 協同組合企業とは何か、その可能性


ここではさまざまな協同組合について述べられている 信用 消費(生協のこと) 農業 労働 社会協同組合など  
営利ではなく相互扶助目的によって作られたもので 自由かつ自発的な加入 組合員による民主的管理 経済的参加 自治と自立 教育・訓練・情報 協同組合間協同その他を原則としています

営利企業との比較では 出資金を拠出する組合員が 営利会社の株主に替わる
いかなる協同組合も 最大限の利潤追求を究極的目的としない(してはならない) 利潤は目的ではなく自らの資本形成を強化するためのもの という違いが述べられています

例として トレント県の過疎の山岳地帯での店舗の半数が消費協同組合のものであり 営利企業が進出を手控える地域で人々の生活を支えていることが挙げられています


第二章 どのように市場と向かい合うのか


ここでは 税制上の優遇や納税について等が 『スズメバチはどのように飛ぶか』という協同組合の中心人物故イヴァーノ・バルベリーニのインタビュー(スズメバチは羽根がわずかしか開かないのに飛べる)による本が そして一方では イタリア最大のスーパーマーケット・チェーン「エッセ・ルンガ」経営者ベルナルド・カプロッティのベストセラー『鎌とカート』の挑発的な内容についての対比が興味深いです 
一人一票制についても また「協同組合振興相互扶助基金」についても紹介されています


第三章 ヨーロッパにおける起源


ここでは 産業革命から始まるヨーロッパでの協同組合誕生の歴史が綴られています
オウェンと初期社会主義に続き 「ロッチデイル公正先駆者」(イギリス)では 子どもが買いに行ってもごまかされない(当時としては珍しい)公正な協同組合店舗について語られています 割り戻し金もここから生まれた制度ですね

フランスでは生産・労働協同組合が「社会作業所」を作り ドイツでは 庶民銀行(Volksbank)が誕生し 信用協同組合に発達してゆきました 国による特色の違いが面白いです♪


第四章 イタリアにおける協同組合


イタリアの協同組合は サルデーニャ王国の首都トリノで 1854年に生まれた「労働者一般協会」が消費協同組合を誕生させたのがその始まりです
(イタリア統一の少し前なんですね)

1886年
には「協同組合全国連合」が成立しましたが 社会党の影響が強く また一方ではカトリック運動も独自に協同組合組織を作ります 
北イタリアに多く(ヴェネト、エミリア、ロマーニャ、シチリア、ロンバルディア、ピエモンテの順) 南イタリアには(シチリアを除いて)僅かです 文化的・市民的基盤が協同組合の定着のためには必要とのこと

第一次大戦・ファシズム時代は暗黒の時代であり 協同組合はファシズムも影響も受けます 

第二次大戦後に統一が試みられるも失敗し めまぐるしい分裂の動きがあり ナショナルセンターが設立されてゆきます (上記の2大ナショナルセンター)
業種別では サービス業(第三次産業)が突出しています 
イタリアの最初のスーパーマーケットは1957年にミラノにできた「エッセ・ルンガ」の前身の「イタリア・スーパーマーケット」で このスーパーマーケットとの熾烈な競争で後手に回るも遅れを取り戻し その過程で大規模化により協同組合の本質からそれてしまう等とあります ← わかります…


第五章 社会協同組合とフェアトレード

社会協同組合は 1963年に始まった 福祉の危機等の問題を担う組織で 信頼関係を作り出す要請と事業的効率を両立させうる唯一の法人格は協同組合だった とあります

また フェアトレードは 「財布による投票」とされ協同組合とも連携していますが ワールドショップの価格の問題(限られた人しか買いに行けない)にも触れられています


第六章 ガバナンス/〝大きくなる〟戦略


ここではナショナルセンターの役割 資産の脆弱性を乗り越えるための「組合員貸し」制度等について述べられています
印象的なのは「ただ参加するだけの組合員は組合活動を制御する力を持たないし 会計を読み取ることもできない」とのくだり… 組合員は主人公でなければならないし 意思決定に関与せねばならないとあります ← 決して「お客さん」ではないってことですよね…


第七章 協同組合と政治

イタリアの国旗と同じく 「」(マッツィーニの考え方を反映した「共和主義的息吹」で今は消え失せている) 「」(左翼系の) 「」(カトリック系の)の協同組合のそれぞれの立場や 統一の試みが紹介されています 


第八章 イタリアの協同組合を理解するための要点


資本的企業と協同組合企業の区別  産業社会における新しい企業形態 協同組合事業:信頼できるエンジン 協同組合現象を理解するための鍵  協同組合の利点と欠点について述べられています

巻末にある最新の資料では 2011年にはイタリアには79,949件の協同組合が存在し 131万人が働き (2007年に比べて8%増加) 2008年の経済危機にも関わらず雇用が安定していることがわかります
2011年のイタリアの企業総数における協同組合企業は1.5%  従業員総数は7.2%であり それ以外の企業形態のここ10年の成長率を上回っています


イタリアの協同組合について詳しく知ることができてよかったです


      *        *       *

もう一冊は 「食農分野で躍動する日欧の社会的企業―イタリア発地域の福祉は協同の力で」 (経実Book) です

本は こちら
 

こちらの本は 日本協同組合学会長の石田正昭氏による 食農分野で躍動する 主にイタリアの社会的企業を紹介する本です

「人々による幸福の探求」という広い意味での「福祉」をキーワードとして 協同組合がその実現のためにどのような役割・機能を果たしうるのか ヨーロッパ(イタリア、フランス)と日本の事例を通じて論じたものです
特に注目するのは 農業・農村に基礎をおいた社会的協同組合です

1991年
に「社会的協同組合法」が成立し 非営利性と その代償措置としての税制上の優遇措置が規定されたこと 

エミリア・ロマーニャ州
は協同組合の首都と言われるそうです 左翼系のレーガ・コープの中心地ですね コンソルツィオ(事業連合組織)についても触れられています

社会的協同組合には2種類あり A型は社会的ハンディキャップの人々を保護する労働者協同組合  B型は障がい者が組合員として労働参加する労働者協同組合です(有給労働者の30%が障がい者)

レッジョ・エミーリアにある「ストラデッロ」(小道と言う意味)という社会的協同組合についても紹介されてます
ここはA+B型で 農業 直売 貸農園 太陽光発電 デイサービス 自治体からのさまざまな受託事業を担っています

同じくレッジョ・エミーリアにある「ベットリーノ」という社会的協同組合はB型ですが 協同組合原則は CSR(企業の社会的責任)そのもの あるいはCSRは協同組合原則から生まれてきたと理解されています ゴミ処理やその熱でハーブや花を育て ゴミの減量に取り組んでいます

また同様に「バレ・ディ・カバリエーリ」(騎士団の谷と言う意味)という社会協同組合では B型の条件をぎりぎりクリアしており(7名の従業員) 地域おこしやレストラン等様々な活動を担っています

次には農業協同組合と 社会的協同組合の複合体 SCA(農業の社会的協同組合)が紹介されています レッジョ・エミーリアの「ラ・ルチェルナ」(オイルランプの意味)では GAS(団結した購買者の連帯グループ)と取引しています ← このGASについては 先述の「サステイナブルなイタリア」のセミナーで初めて知り驚きました! もっと詳しく知りたいです♪

日本の有機農産物の生産者が1%以下にとどまっているのに対して イタリアでは5~6%に達しているとのこと 

さてそのGASですが 日本でいう「産消連携による農産物購入グループ」のことで レッジョ・エミーリア市にある「レ・ジャーレ」というGASについて紹介されていました
これが面白い! 生協の班のように 配送ポイント(ガレージなど)に置かれた通い箱(ビオケース)から小分けにしていますが 何が入っているかを問わないとのこと 「責任購買」というそうです (全量買い取りもそうですね)

その他 ボローニャの社会的協同組合 アグリツーリズモについても紹介されています

さてフランスでは SCOP(参加型協同組合)というのがあります イタリアの協同組合に相当するものはSCIC(社会的共通益協同組合)というそうで2001年に導入されたそうです 

最後は日本のソーシャルファーム(社会的企業 あるいは社会的農場)が紹介されていました  「農福連携」として 農業の新しい価値を見出した動きですね 
NHKの番組でも 農福連携をテーマに自然栽培でコメを作っている団体が紹介されていました 肥料もやらないと根が広く張るのですね)

社会的企業としては「ソーシャルファームジャパン」が紹介されていました 農協と労協の連携とのこと 福祉専門の福祉クラブ生協の取り組み 食事サービスワーコレ(ワーカーズコレクティブ)などが紹介されています 
最後に 社会的農場に取り組む日本の生協が紹介されていました

様々な協同組合の姿を知ることができて とても興味深い一冊でした

日本語なので イタリア語勉強してなくとも読めるのがありがたいです♡

イタリアの深い話が知りたい...




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「持続可能な開発目標(SDGs)に関する学習会」に行ってきました(2018.3.13)@東都生協+気候変動のニュース(Deutsce Welle)

2018年05月10日 | 東都生協関連・海外の生協
「持続可能な開発目標(SDGs)に関する学習会」に行ってきました(2018.3.13)@東都生協+気候変動のニュース(Deutsce Welle)


今年に入ってからよく行きました~上北沢のさんぼんすぎセンター 今日はSDGs(エスディージーズ)の学習会 今まで野菜 畜産の学習会(水産は行かれず)に出て これでようやく一区切りです!!
昨年は産地交流や援農に行きましたが 今年は学習会がメインです!(^^)!

2015年に国連でSDGs(持続可能な開発目標)が採択されました 17の目標からなるSDGsは 過去20年の国際的な環境政策の到達点とも評されます もはや看過できないほどの地球の危機的状況を背景に 広く取り組みが期待されます

「SDGsの達成に向けて 生協ができること 誰一人取り残さない ~ No one will be left behind ~」と書かれたレジュメを見て はっとなりました 世界のごく一握りの人たちが 全世界の富の約半分を手にしているのが現状なのですから...

今のこの「持続可能でない世界」は 経済と開発(貧困・飢餓・健康/衛生) 社会・人権(働き方・不平等) 地球環境(温暖化・気候変動 海・陸の豊かさの損失)のキーワードで表されます
 
昔はひとつの問題を解決すればよかったのですが 今は様々な問題が複雑に絡み合い解決が難しくなってきています エコロジカル・フットプリント/地球2.3個分の暮らしをしている今の日本(1960年代半ばまでは地球1個分だった) そして水産資源の危機 クロマグロは4%に減り ズワイガニ・マイワシ・スケトウダラは赤信号 ウナギも絶滅危惧種のレッドデータです(でも売っていますよね...)

もはや統合的解決しかない ということで考え出されたのが「持続可能な開発目標(SDGs/Sustainable Development Goals)」なのです 今学校でもマスコミでもあちこちで広まってきていますね

「持続可能な開発のための2030アジェンダ
」の前文では5つのP(人間、豊かさ、地球、平和、パートナーシップ)が謳われ 宣言では ビジョンを描きバックキャスティング とありますが これはムーンショットといって(ケネディ大統領が1961年に月に到達を掲げたことに由来する) 最初にドーンと到達点を打ち上げてあとから修正するやり方 そうしないといつまでたっても利害関係で前進できないとのこと 共通だが差異ある責任は 持てるものの大小によって異なる責任を担うこと 

このSDGsは 2015年MDGs (ミレニアム開発目標/Millennium Development Goals)の達成期限が 一部達成されないままに終了したことを受けて統合されたもので 1948年世界人権宣言(第3回国連総会)にさかのぼります


SDGs(Sustainable Development Goals)
は 女性 子ども・若者 少数民族が参加して作り 2015年国連総会で採択されました もっとも脆弱な立場の人びとに焦点をあてています (先進国の出したCO2で開発途上国が海面上昇で水没の危機など) 進捗評価が求められています すべての国とすべての人による行動が必要であり 協同組合を含めてすべてのステイクホルダーに対して貢献が期待されています

「つくる責任 つかう責任」(No.12)は 2030年までに食糧廃棄を半減させる等の指標
また 再生可能エネルギーを拡大させる(日本はまだ13%と大きな遅れ) 
"まずは経済が先"と言っていては地球はもうもたないのです

ちなみに日本の達成状況は 149か国中18位で 達成した目標はまだ3つ 日本政府は2016年にSDGs推進本部を設置して アクションプランを作成して取り組んでいますが まだまだですね

ここで海外の協同組合の取り組みが紹介されました イギリスのCo-operativeが世界でトップの取り組みとのこと 日本では協同組合よりも企業の方が進んでいるようですが 地方自治体や大学 NPO等も取り組み始めています パルシステムがSDGs推進副本部長賞を受賞しました 実はSGDsは協同組合の理念と重なっているのですね 

大量生産・大量消費の次の時代は エシカル消費(Ethical/倫理的な)の時代です 
生協は最大の消費者組織でありながら事業者でもあるというユニークな形態で 営利を目的とせず 人と人との結びつきでよりよい暮らしの実現を目指していて 世帯加入率も38%と高く 様々な事業を展開しておりポテンシャルが高いため 期待されているとのことです

ということでマッピング(紐づけ)の例を見せていただきました! 貢献できる分野を優先して とのこと そして個人でもできることに取り組むことが大切ですね
また 達成度の評価を社会に発信してゆくことが大切で 発信していないとやっていないと捕えられる時代なのだそうです

質疑に移り 認証商品(エコラベル)を買う(認証コストを担う)  マッピングで矛盾する課題同士の優先順位をつける ムーンショットで大きな目標を掲げることの大切さ 等について話しました そして最後に エシカル協会代表理事のDVDを見て フェアトレードやエシカル等 日々の買い物の中で社会に貢献しよう!というメッセージをいただきました

毎日新聞記事で読んだ記事「SDGs エコラベルで水産資源保護」は こちら

SDGs(持続可能な開発目標)は こちら

学習会のお知らせは こちら


* 貴重な学習会を開催してくださいました東都生協様に心よりお礼申し上げます


   *       *       *

追記: ここで取り上げられていた「海面上昇により環境難民が大量に生まれる」というニュースを 2018.3.20のDeutche Welleで取り上げていたので 追記しておきます:

20.03.2018
– Deutsche Welle/Langsam gesprochene Nachrichten

Weltbank: Klimawandel könnte Millionen Menschen vertreiben:
Der Klimawandel könnte nach Schätzung der Weltbank mehr als 140 Millionen Menschen innerhalb ihrer Heimatländer zur Flucht zwingen.  Durch Dürren, Missernten, Sturmfluten und steigende Meeresspiegel könnten Menschen in Afrika südlich der Sahara, Lateinamerika und Südasien bis 2050 ihr Zuhause verlieren.

世銀: 気候変動は数百万の人びとを追いやる: 気候変動は世銀の見積もりによると1憶4,000万人の人々を祖国から追いやるかもしれない。干ばつの、凶作の、高潮そして海面上昇により、南サハラのアフリカ諸国、ラテンアメリカそして南アジアの人びとが、2050年までに故郷を失うかもしれないのだ。

Damit drohe eine humanitäre Krise, heißt es in einem Weltbank-Bericht, der in Washington veröffentlicht wurde. Vorbeugende Maßnahmen und weltweiter Klimaschutz könnte die Zahl der Binnen-Klimaflüchtlinge nach Ansicht von Experten um bis zu 80 Prozent reduzieren.

それにより人道的な危機が迫る、ワシントンで開かれた世銀の報告ではそう述べられている。予防措置と世界的な気候保全対策が、専門家の見解によると 国内の気候変動による難民80%まで減らせるかもしれない。

Die Studie sei ein Weckruf, sagte Weltbank-Geschäftsführerin Kristalina Georgiewa.

研究論文はひとつの目覚まし音であると、世銀幹部のクリスタリーナ・ゲオルギェヴァは言った。

Deutsche Welle
は こちら 




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枝幸漁協の「浜の母さん 海の幸の料理教室」で魚つきの森のお話を聞いて ホタテカレーに舌鼓♪(2018.2.7)@東都生協

2018年03月28日 | 東都生協関連・海外の生協

枝幸漁協の「浜の母さん 海の幸の料理教室」で魚つきの森のお話を聞いて ホタテカレーに舌鼓♪(2018.2.7)@東都生協


やっと やっと3回目で当たりました~ 北海道の枝幸(えさし)漁協の「浜の母さん 海の幸の料理教室」!!

魚つきの森」運動で 豊かな海産物を届けてくださっている枝幸漁協から 5人の「浜のおっかさん」たちがやってきました!!
(「魚つきの森」 スローフードの本で読んだ「森は海の恋人」運動とつながっていることもあり 注目していたのです)

まずは「枝幸の漁業」についてのお話を聞き そのあと調理室に移動してカニの足を一人1本ずつさばいてから(写真) 三平汁の作り方を教わり 試食しながら懇談しました

北海道の北東にあるオホーツク海に面する枝幸漁協 ここの海水濃度は他よりも少し薄く アムール川や島々等に囲まれて海水などが加わるためとのこと 最北端の神威(カムイ)岬 2月の今頃は-30度だそうです 
流氷が接岸するとともにプランクトンが流れてきます 8つの漁港があり冬は漁はお休み 流氷が来ると蓋をしたようになり 海がしけないとのこと

なんとクリオネを持ってきてくださいました!! ほんとにちっちゃくて泳ぐさまはカワイイ~( *´艸`) ← ちっちゃすぎて写真に写せない(笑)

昔はニシン漁で栄えて 今はほたて 鮭 毛ガニが水揚げの7割を占めるとのこと 
漁場は それぞれホタテが4か所 ホタテの赤ちゃんを育てる区域 毛ガニ 毛ガニ保護区域等に分かれており 「資源をつくり 育て 獲る」漁業なのです 

まず3~5月にホタテ場づくり ヒトデの駆除等をしてから 6月にホタテの稚貝を放流します ホタテの大きさの見本も見せていただき 横に入った線で年数がわかるとのこと
 
ホタテのひもは実は目だそうで80個あります! 2014年爆弾低気圧でホタテが被害を受けようやく回復しつつあるそうです 

ホタテの収穫の様子も見せていただきました 選別は中腰で腰に来ます... 加工場のコンベアでは ベテランの方が1枚3秒で貝柱を取っていきます
貝柱はうまみを閉じ込めるために2回ボイルしてから 天日干しで1か月かけて完成!! (外国のは一か月もかけない) 

ここで 「天然オホーツク枝幸名産 ほたて貝柱」のお土産をいただきました♡ ホタテご飯の出汁にするとおいしい!(^^)!

天然オホーツク枝幸名産 ほたて貝柱 7粒入り!!

次は毛ガニ漁業 「漁獲量を決めて大事に獲る」 3月~5月にかけての漁です 餌はイカの胴体 メスや8センチ以下のものは資源保護のために海に戻します カニは20年生きますが 卵がかえって育つのに9年かかります オスはメスを抱きかかえ そのメスはフェロモンを出して より強いオスが寄ってきてそのメスを奪い...と興味深い生態を伺いました 

そしていよいよ秋鮭定置網漁業 「母川回帰」ですね 4~5年かけてオホーツク海やベーリング海をまわって 生まれた川に帰ってくるのですね

そうして定置網で水揚げをして オスメス等を選別してイクラ等を採ります
鮭の顔つきは 最初はめぢか(目近)で鼻と目が近いのですが 遡上をする頃には餌も採らずに川をのぼるので 顔つきがすごく変わります

そして「秋鮭の資源管理」 人工採卵の様子を伺いました 鮭の腹をさいてたまごを出して受精させる作業はデリケートなので素手でかきまぜます 1か月で卵が孵りますが 最初の6週間は餌は食べず 臍嚢 (さいのう)の中の栄養素で生きています めだか位の大きさになれば放流しますが 3%しか遡上しないのですね 自然は厳しいです 

そしていよいよ「お魚を増やす植樹活動」の紹介です  
広葉樹の落ち葉が腐葉土になり 川から海に流れてゆき 海水と真水が混ざる地域でおいしい魚が獲れる 「魚つきの森」運動で 植樹体験ツアーも秋に行い 100本ケヤマハンノキを植えました これは東都生協の組合員さんたちが行ってきましたよ!! ←知り合いも(笑)
滝に鮭が登る瞬間も見たそうです 

これらの植樹活動や 今回行った料理教室の運営は 枝幸産のお魚の購入により積み立てられているそうです いや~うちはよく枝幸の秋鮭を食べています♡ 北海道のマークで目立つんです♪ ファンも多い!!

昨年は台風の影響で不漁でしたが 未来に向けた資源回復に取り組んでいるとのこと 

そして調理室に移動して まずは1人1本 カニの足をさばきましたが 関節は カニスプーンでほじるよりも めん棒やすりこ木等でぐっと押し出すと身がきれいに出ます!!  

ほたてカレー
は じゃがいもかホタテか見分けがつかないくらい大きな 丸のままのホタテが...たっくさん!! イカリング揚げも乗せてあり カニの身まで入っていて...こんなシーフードカレー食べたことない!!! 

   ← ほたてカレー じゃがいもじゃなくてホタテ!!

秋鮭の三平汁は 冬場の野菜や豆腐等を入れて 塩をふった秋鮭を大きめに切っていただきます 塩のきいた鮭の旨味がとろりとおいしい♪

魚つきの森サラダ
も ほたてにイクラにプチトマトに... 
そして自分たちで作ったピンチョスも クラッカーにまずはクリームチーズを塗り イクラやほたてをのせたり 秋鮭のスモークサーモンにオリーブオイル漬けを載せて レモン汁をかけていただきます♡ 一年分くらい食べたかな~(笑)

  ← ピンチョスの具色々♪
 
それでどんどんおかわりしたり 北海道からわざわざいらした浜のおっかさんのお話(東京の暮らしとはずいぶん違う)を聞いたり 漁協の人と話したり またまた食べたり...忙しかったけど とても貴重な時間でした 
日頃心配していた漁業資源の保護の取り組みを直接伺うことができて 少し安心しました  

この日の朝刊でたまたま見た記事「SDGs エコラベルで水産資源保護」は こちら

このラベルができるずっと前から 水産資源保護に取り組んできているそうです

私も 長年加入していますが知らないことがまだまだたくさん... 今回は貴重な機会をいただき大変感謝しております 人気なのでなかなか当たらないんですよ~この料理教室!!

開催のお知らせは こちら

素晴らしい料理教室を開催してくださいました東都生協様に 心より感謝礼申し上げます



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「食の未来づくりフェスタ」に行ってきました(2017.10.14)@東都生協

2017年11月22日 | 東都生協関連・海外の生協
「食の未来づくりフェスタ」に行ってきました(2017.10.14)@東都生協


東都生協の「食の未来づくりフェスタ」に今年も行ってきました!!

100を超える産地・メーカーが集合し 五反田TOCビルの会場はぎっしり!! いつも注文しているものも格安でびっくり! カートで来るツワモノもいらっしゃいましたが 私は手提げ袋も忘れてしまい( ;∀;) 

それでも 山形の庄内農業高校の高校生たちが作ったお米 登録百年トマトの生産地の埼玉産直センター ここはトマトの収穫体験にも行きましたが それ以外にもとにかく 歩けば知り合いに出くわし出くわし(笑) いや~大変でした(*^-^*)

農業高校生の作ったお米を毎回買っています♪


子ども向けには「おはしの達人」や 「野菜でぴったり!350gゲーム」や 牛乳パックの工作コーナー...そして景品のあたる大抽選会やビンゴゲームにステージ 農業高校のおばこ踊り等もあったそうです なまはげ👹怖かった~  

 ← なまはげ 子どもに人気!?

私はどんどん見ていき 座ることが全くありませんでしたが...係の方はお疲れさまでした!!

何年か前は講演会メインで 私もよく聞きに行きましたが 今はこういった産直イベントで大盛り上がり!! でも生産者の講演会もあったようです 次回は大きな袋を忘れないようにしようっと... ← じつは宅配コーナーもあります(笑)

 ← 組合員活動の展示コーナー

とにかく 生産者の方たちと直接触れ合えて じかに産直の品物が手に取って買える貴重なチャンスです!! 五反田の駅からのシャトルバスは 行きも帰りも満員でした 皆さん買い物袋を手に...!!

また今年は 「種子法廃止 タネがあぶない!」 のコーナーがありました 多国籍企業によって種子が独占される未来はすぐそこに...  

スローフード運動の島村奈津氏も「スローフードの真ん中に、種を守る運動を」とのメッセージをくださっています 遺伝子組み換え企業からタネを買わないと農業ができなくなる未来を選ぶのか それとも...

詳しくは 「こちら
 
こういったアクチュアルな情報もゲットできる場であり まったりと楽しめる場であり お買い物ができる場であり 親子で楽しめる場であり...

 ← いつもおなじみの生協の農産物がたっくさん!

東都生協「食の未来づくりフェスタ」は こちら

← たくさん買いました! 班の方にもおすそわけ♪



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『協同組合』がユネスコの無形文化遺産に登録されました(2016.11.30)&「協同組合ってなに?ユネスコ無形文化遺産登録から考える」に参加しました(2017.6.9)@東都生協

2017年07月07日 | 東都生協関連・海外の生協

協同組合』がユネスコの無形文化遺産に登録されました(2016.11.30)&「協同組合ってなに?ユネスコ無形文化遺産登録から考える」に参加しました(2017.6.9)@東都生協


『協同組合』がユネスコの無形文化遺産に登録されたことを どれくらいの人が知っているでしょうか?

私は世界遺産検定を今年から受け始めたばかりなので 実は殆ど知りませんでした...というのも 日本からではなくドイツから申請が出されたから 報道も少なかったのですね!!でも この日の東都生協学習会に参加された方たちの約半数が知っていらっしゃいました スゴイ!!

というわけで 日本の協同組合の父と言われる賀川豊彦氏の記念館である 賀川豊彦記念松沢資料館の理事長である 加山久夫氏による東都生協学習会に参加してきました:

社会運動家 賀川豊彦氏(1888~1960)は労働者や農民の困窮した状態を憂い 救済運動を行いました 友愛による協同組合運動の必要性を訴え 購買や医療生協 共済 信用組合などの創設に尽力しました

神戸ではかなり知られた方のようで (神戸出身の方も知っていました) 映像がぎりぎり残っている世代のため まずはDVDを見てからお話を伺いました

死線を超えて」という本(1920)が当時百万部のベストセラーとなり 作家としても意欲的に活動し 300冊を超える著作を出しました
1909年には神戸スラムに入り 様々な困難な目に遭いつつも 救霊・救貧の活動を開始し 救貧から防貧へと様々な活動をすすめてゆきました


関東大震災後は東京に居を移し活動を続けられました 実はコープこうべを作った方でもあります
各国にキリスト教伝道のかたわら 協同組合の理念を広めてゆきました 
1945年に日本協同組合同盟(日本生協連の前身)が設立され初代会長となりました
1948年に消費生活協同組合法が成立し 1951年に日本生活共同組合連合会が生協法(1948年制定)に基づき設立され初代会長となりました ノーベル平和賞候補にもなりました

そして1995年の阪神淡路大震災でもボランティア活動を行い 1999年にユニセフの「子どもの最善の利益を守るリーダー」として「世界の52人」の一人に選ばれたそうです


学習会では ドイツでは信用組合が広く根を下ろしており 2008年のリーマンショックを堅調に乗り越えたこと 金融恐慌が起きなかったことを知りました ← なのでドイツから申請が出されたのですね!

2002年のILO(国際労働機構)ではすでに「経済社会の発展において 協同組合は世界のどの地域においても極めて重要である」と宣べられていました

国連総会では 2012年を「国際協同組合年(IYC=International Year of Co-operatives)」と定めました スローガンは「協同組合がよりよい社会を築きます(Co-operative enterprises build a better world)」です

またお話の中では 有名なバヤリース等も実は協同組合であることも知りました(そういえば...) アメリカの電気の1割が協同組合によって作られていることも初めて知りました!

これからは やはり地域に根差した中小企業等協同組合との連携が新しい可能性を秘めているそうです

また 講師の先生からは 小さな子どもに協同組合をひとことで説明するとしたら なんといいますか?と出題され 私は「イタリアでは もうけの出ない過疎の(人の少ない)山にも生協は食べ物を届けにいって人々から感謝されたんだよ」と 「イタリアの協同組合」の本で読んだことを書きました 日本のワーカーズコレクティブもそうですよね!

今 貧困が問題となり これは協同組合が出来た当時とよく似ています

日本ではNPO法人は5万を超えますが 人を一人雇うのがやっとというところが2,3割程度 欧米とは大きく違っています 寄付文化が根付いていないからなのですね
しかし 若い女性の力にも期待していますとのことでした

協同組合は 人類の最大の社会科学的発明である」(賀川豊彦) 


    *      *      *

終了後に上北沢駅の南口にある 「賀川豊彦記念 松沢資料館」(教会や幼稚園に併設)にも足を延ばしてきました せっかく遠くから来たので...

チャペルの一室の中では賀川豊彦氏の肉声がテープで流され その迫力ある語りを聞くことができました 核兵器など作らずに 子供たちのために!という内容だったのです

この上北沢のあたりは閑静な住宅街で 北口には東都生協のさんぼんすぎセンターがありますが 今回初めて南口すぐにある松沢資料館にも行かれてよかったです

 ← 賀川豊彦記念松沢資料館にも行きました♪


     *      *      *

サークルでも 「ご存知でしたか? 協同組合が無形文化遺産に登録されました(2016年11月)」という資料を作って 世界遺産入門講座で配布することにしました:

Q.なぜ登録されたのですか?

A.「共通の利益と価値を通じてコミュニティづくりを行う事ができる組織であり、雇用の創出や高齢者支援から都市の活性化、再生可能エネルギープロジェクトまで、さまざまな社会的な問題への創意工夫あふれる解決策を編み出している」とユネスコから評価されました。

Q.どの国が申請したのですか?

A.日本ではなくドイツからの登録申請です。(そのため日本では報道が少なかった)ドイツの信用組合は経済的安定に大きく貢献し、ドイツがリーマンショックを堅調に乗り越えた一因となりました。

Q.どんな規模ですか?

A.国際協同組合連盟(ICA)には100カ国以上が加盟、組合員総数は約10億人(2015年現在)。日本ではJAは1,000万、生協は2,700万組合員、職員は7万2千人、協同組合の組合員は6500万人。人と人の結びつきによる非営利の協同組織で「たすけあい」の精神で広まっています。

Q.協同組合っていつどこで生まれたの?

A.19世紀のイギリス、マンチェスター北東のロッチデールの街で、自らの手でよりよい社会を生み出そうと「ロッチデール公正開拓者組合」が1844年に設立されました。産業革命の時代、多くの人々が低賃金・長時間労働を強いられていたのです。「ロッチデール原則」は今の協同組合原則に受け継がれています。 (日本生活協同組合連合会のHPより)


協同組合が ユネスコの「無形文化遺産」に登録されました(2016.11.30)は こちら

ドイツが申請して登録されたニュースは こちら
 (日本の無形文化遺産リストには掲載されていません ドイツの方に載っています) ← ドイツの協同組合のビデオが見られます(英語字幕付き) これを見ると風力発電もやり民主的な運営で...さすがドイツから申請が出されただけありますね!

学習会「協同組合ってなに?ユネスコ無形文化遺産登録から考える」を開催してくださいました東都生協様に心よりお礼申し上げます。



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東都生協「プロに学ぶトマトづくり体験・交流/第二回」に参加してたくさんトマト収穫してきました♪(2017.3.26)@埼玉産直センター

2017年04月25日 | 東都生協関連・海外の生協
東都生協「プロに学ぶトマトづくり体験・交流/第二回」に参加してたくさんトマト収穫してきました♪(2017.3.26)@埼玉産直センター



前回(1月半ば)は小雪がちらつく中 今回は小雨の中 またまた行ってきました埼玉産直センター!! 2回目とあってこの日はリュックにカバンに たっくさんの直売所の野菜を買い込んで♪←合計7軒にお土産配り(笑) 規格外の野菜等がとにかく安い!

説明を受けたあと 2か所のハウス(圃場)に移動して早速ハサミで収穫開始!! どんな色のトマトを収穫したらよいのか 裏側まで見て決めます 
数日たつとまた次のトマトたちが赤くなってきますが ハサミで傷つけないように気を付けながら切り 再度ヘタを下までしっかり切り落とします (調理の時にヘタが残っていると邪魔なので) トマトは重ねずにそっと入れてゆきます

 ← 人によって微妙に色が違う!?

青い部分と赤い部分と 糖度はどちらも同じですが 青い方が酸味が強い分 甘さを少なく感じるというわけです♪ 大きさは関係ないとのこと 大きいもの(乱形果)は木の勢いが強いためで 味はいいそうです



すじが多く透明感のある 色がうすい実の方が 赤いものより糖度が高いそうです 
太陽の光をたくさん浴びるとよりおいしくなるため まわりの葉も取ります 
日に当たりやすい向きに誘導し 茎の長さももう3月末では2~3メートルにもなっていました
よく見れば 病気のもととなる花びらや枯れた葉はほとんどありませんでした 

青いトマト 熟しかけのトマト 赤いトマト... そのトマトの葉特有の青臭いにおいがまたいいですね~ 冬場はガスで加温 春からは無加温のハウス栽培となるとのこと 



この日ひとつだけ 「2つのトマトがくっついて成っているトマト」がありました これは花がくっついて咲いてて それがそのまま生った珍しいもの(双子のトマトと言う感じ)で ハウスに行ってこそ見られたわけです♪ 

そして今回は「トマトカレー」をみんなで作りました(^^)/
水を全く入れずに トマトの水分だけで作るカレーで 水を入れた時と比べてより栄養価が高く 味が凝縮するのです
トマトが少ない時はホールトマト等でもよいそうですが だいたいは熟しすぎてしまったトマトを使うのだそうです 
この日はカレールーを使いましたが ルーを使わずコンソメスープで作る人もいるとのこと トマトカレーはトマトの形がなくなるまで煮込みますが しっかりトマトの味がして美味しく 今度また作ってみようっと♡



トマトカレーの他にも ブルームきゅうりをそのままみそにつけてかじり デザートはいちご♡
 
食事のあとは生産者との交流の時間 前回のトマトのクイズの答え合わせで 私は全問正解~(笑)
トマトは南米原産 学名はSolanum (ナス属) lycopersicum (ギリシャ語で「狼」+「桃」 リコピンはこれが語源かも?と興味深いです
家に帰って調べてみると... リコピンとは実は関係なく 『リコペルシコン は「狼(lycos)」と「桃(persicon)」を合体させた言葉で、エスクレンタムは「食べられる」という意味。すなわち「食べられる狼の桃」となります。』とのこと!

詳しくは こちら


埼玉産直センターは 土づくりにこだわり 独自に作ったぼかし肥料(有機質肥料)を使っています 

そして参加された皆さんには 立派な修了証書とトマトの大箱が贈られました!!



私たちは家に着くまでこんなにたくさんの野菜を せっせと担いで帰りました~(笑)



家族連れも多く トマトを家族で収穫する体験はきっと心に残ることでしょう 私も無心に帰れて楽しかったです 

11月の収穫祭には9千人もの人が集まるそうです 「百年トマト」も前回行ったあとで早速登録しました♪

早速届いた登録百年トマトは どっしりと重く充実しています 味も皆さん美味しいと絶賛♡ ビックリしたのはトマトのお尻の先がまるで硬い針のように痛いものがひとつあり こんなにパワフルなトマトって実は初めてです!!

埼玉産直センターの皆様 本当にありがとうございました(^^)/

一回目のリポートは こちら


開催のお知らせは こちら


登録百年トマトについては こちら


* 5月初旬現在 収穫が多いためトマトが大箱で届きました!! 多く採れたら採れただけいただけるなんて...最初は3つだったのが今は8つくらい入っています♡ これは~登録した方がゼッタイお得♪ 

素晴らしい企画を開催してくださいました東都生協様に心よりお礼申し上げます ←HPがリニューアルされたみたいです♪



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東都生協「プロに学ぶトマトづくり体験・交流/第一回」に参加しました(2017.1.15)@埼玉産直センター

2017年02月23日 | 東都生協関連・海外の生協
東都生協「プロに学ぶトマトづくり体験・交流/第一回」に参加しました(2017.1.15)@埼玉産直センター



埼玉産直センターに行くのは今回が初めてでした 長年こちらの野菜を東都生協でいただいているのですが 今までは「農家レストラン」等で来ていただいている時に交流しただけでしたが やっぱり現地を訪ねて初めてわかることがたくさんありますね(^_^)

第1回(1月半ば)は管理作業の簡単なお手伝い 第2回(3月末)は収穫のお手伝い!! 
この日は寒波の襲来で朝から雪がちらほら...でも途中止んでくれて あたたかなハウスの中は25度もあり暖かく 家族連れも含めた全員で楽しく作業を行いました

  白や黄色の服は害虫が好む色なので暗い色の服です

実はバスが早く着いたので 直売所で先にお買い物♪ 私は普段なかなか買えないロマネスクや 黄色いカリフラワー 「カリフローレ」というスティックカリフラワー そして名産の深谷ネギをお土産にどっさり!! そして帰りにはさらに苺(とちおとめ)を「15(いちご)の日」ということで買いました~ 直売所はなんといっても安い!! 収穫の時はトマトをどっさりいただけるというので楽しみ♪

 直売所の野菜


バスの人たちとマイカー(親子参加の方がメイン)の人たちが まずは一緒に生産者の皆さんのお話を聞いて トマトの栽培に関する学習をしました 実はクイズがあり張り切ってしまいました(笑)←クイズとか検定とか好きなんで♪

次にハウスに移動し 管理作業開始!!今回は 伸びてきた蔓をとめてあるクリップを外したり トマトを観察して色々なことを学ぶのがメインでした  さつまいもの収穫の援農の時は腰が痛くなったけど今回は楽でした(笑)

次に 最近テレビでも紹介されている「焼きネギ」をふるまっていただきました!!
これは炭火焼で真っ黒に焼いたネギを一本まるごと 熱々のまま皮をむいてハフハフいただく豪快な食べ方です!! 2本いただきました♪ (焼けてないところは辛い)
小さいお子さんも初めての焼きネギ体験に こんなにとろりと甘いとは!!と残らず平らげていました 私も実は初めてです 

 焼きネギたくさん!!

そしてみんなで「武州深谷煮ぼうとう」(渋沢栄一翁が好んで食べたという郷土料理)を作って 皆でいただきながら交流しました 私は小心者なので(?)一生懸命作り方を覚えてから行ったので 生産者の方のレシピのアレンジを聞きながら 大鍋の料理を皆で楽しく作り上げました 調理実習みたい? やはりお客さんじゃなく 片づけまで「いっしょにやる」のがこちらの流儀だそうで 楽しく交流できていいなぁ 

ちなみに 翌日また煮て食べるのは「たてっかえし」というそうです これはイタリア料理ではribollire(リボリータ/ribollitaというトスカーナのレシピがある) ですね!
私はこの翌日 せっせとお土産配りをして 煮ぼうとうをまたまた作ってしまいました!! 家のコンロで焼きネギはできないかなぁ?? ←試してみたらコンロの長さ分はできた(笑)

 煮ぼうとうの大鍋

そして肥料センターを見学 ここでは「すべての野菜に有機質肥料(ぼかし)を使っている」のだそうです 産直ならではのメリットもたくさんあり とても勉強になりました
3年前の大雪のハウス倒壊の時も組合員さんの支援があり 産直として頼りにされていることが生産者の励みとなり とうとう完全復活したとの言葉に感銘を受けました

その時の感謝の言葉を書いたプレートも 今回しっかり見てきました

 感謝のプレート

ここには200軒以上の生産者が所属し 実にたくさんの品目を作っています トマトの苗は何メートルまで伸びるのか? 接木(病気にかからず農薬を減らせるメリットがある)の台の苗と 接ぐ(実の成る)苗はどう違うのか 種の袋も見せていただきながら 管理の仕方のコツも少し教わりました
トマトの原産地はどこか? リコピンは生のトマトとピューレ等の加工品とどっちが多いか? 他にどんな品目を作っているか等々...たくさん教わりました!!

ベランダでトマトを育てているがいつも枯れてしまう という質問には 下葉が枯れるとそこから病気が出て枯れてしまうので 下葉が枯れたら取るのがよいのだそうです(^.^)/ ←私も経験ありマス...

百年トマト」という東都生協の登録トマトがありますが(初夏まで13週にわたって届けられます) この素晴らしいネーミングは「100年育て続けられるように」という意味をこめてつけられたそうです

 ← たった今届いた供給の中の登録チラシ


百年トマトは 「百年続く産地、百年続く産直を目指します」「僕らのこだわりのトマトをお届けします」「ナンバー1の産地を目指します」との目標を掲げています

埼玉産直センターのこのトマトの産地訪問企画はいつも人気のため 抽選とのことでした

広々とした景色を見るととてもほっとしますね 遠くに山も見えます また3月の収穫が楽しみです(^.^)/~~~

 埼玉産直センター

開催のお知らせは こちら


素晴らしい企画を立ててくださいました東都生協様に 心よりお礼申し上げます


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「40才からの農業体験 おとなの援農 さつまいもの収穫」に行き 生まれて初めて援農をしてきました!!(2016.10.15)@東都生協

2016年11月09日 | 東都生協関連・海外の生協
「40才からの農業体験 おとなの援農 さつまいもの収穫」に行き 生まれて初めて援農をしてきました!!(2016.10.15)@東都生協



東都生協に加入して約30年ですが 援農は実は初めて... 体力に自身がないので ボランティアは体力を使わないものばかりでした

でも 最近できた「若手生産者セット」というのを毎週注文しているのですが 日本の農業を真剣に考えこの道を選んだという若い生産者の方のメッセージを読んで衝撃を受け 自分も何かしなければと思い TPP学習会に行ったり 今回のこの援農も 初めて参加することにしました 
生産者からのメッセージの強さ 人の心を動かす強さを知りました
(他にもレシピとか日々の生活とか 色々楽しいことも書いてありま~す)

場所は房総食料センターです さつまいもといえば毎年必ず おせち料理の栗きんとんに使うさつまいもを東都生協で注文しています!! 


さて 「農業体験ヘビー級」ということでどうなることかと思いましたが (これを書いている翌日は足が痛くて...) 準備するものもいろいろ多く 朝からバスに乗り込み 3時間の援農のあと 田舎料理で昼食交流 直売所での買い物という5時間半のスケジュールでした 

17名の参加者のうち男性は2名 3グループに分かれました 

支度してからトラックで畑に行き 土がふわふわなのにびっくり!! これも土づくりの賜物です 収穫作業は すでにさつまいもは収穫しやすくしてあり アタマが見えるのでそっと抜いて並べてゆきます 

子供が幼稚園の時に行った芋掘りでは 蔓に沿ってシャベルであちこち堀りながら探したものですが こちらは収穫しやすいように横に植えてあります 
 収穫の終わった畑

次に根切り ハサミで根を切ってゆきます そして選別 これがランク分けが難しくて一番大変でした~ 大きいもの 出荷できるもの 形が悪く小さい等で豚の餌になるもの 等に分けてコンテナに入れてゆきます 

 ここから選別してゆきます

自分が生協のさつまいもを注文してきた時に どんなものが袋に入っていたか思い出しながら選別しました 組合員さんのもとに届けられるものなので ドキドキでした~((+_+))

そのあとではかりを使って重さをそろえて ビニールに入れてゆく出荷作業なのですが 重さをそろえるのってけっこう難しくて どれを選ぶのがよいか迷いつつ なかなかコツがいりますね! 

さらに畑の説明をしていただいた時に 思い立って里芋を一株ずつ収穫してくださいました!! これが里芋の株で大きい!! たっくさん芋がついていますよ~ 


昼食は 「田舎料理でまんぷく飯」を 生産者の方たちといただき交流 自己紹介や感想などを話しました 87才で現役の生産者の方もいらしてビックリ!! 東都生協の厳しい基準に合わせて有機農法で作られてきて 50品目にもわたるとのこと



肥料の違いが一番大きく 100%有機肥料を使い 安心安全!! 生産者の皆さんの誇りを私たち一同 じかに感じ取りました 
参加された方はけっこう野菜作りに関心や経験のある方が多く 私は初めての参加でしたが ふかふかの土の上で青空を眺めながらの畑作業は 自然に触れられてとっても楽しかった!!
普通の産地訪問のようなお客さんとして行くよりも 援農の方が少しはお役にも立てるし 体力的には少々大変でしたが いろんな話も聞けてよかったです(^_^) 

なので家に帰って早速 焼き芋(アルミにくるんでオーブンで1時間!) 里芋のお味噌汁 その他直売所で買ったいろんなお野菜でどっさり料理を作り 家族でいただきました( ^^) _U~~ 


たくさん持ち帰ったさつまいもは 生協の班の方たち等にもしっかりおすそ分け♪

40才からの農業体験 おとなの援農 さつまいもの収穫」は こちら


他にも色々な産地訪問等のイベントがあります

素晴らしい企画を開催してくださいました東都生協様 お世話になりました生産者の方々にお礼申し上げます

* 追記 この流れで来年1月21日(土)午後の 星美学園公開講座サスティナブルなイタリア ー 持続可能なイタリアの食と生産の現在 -」に申し込みました!! 今から楽しみ(*^^*) ← 申し込まれた方がいらしたら会場で声をかけてください♪

* 2015年11月21日(月)夜 イタリア文化会館で「講演会 イタリアの地域食材と知られざる絶景と町おこし」(島村奈津)もあります!


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